Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア 作:ぼけなす
——————失っても、前へだけは見よう。さあ、顔をあげて。歩こうよ
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「よく生きていられるわね。」
「たくさん人を殺しておいて」
「知らないの?ノイズに襲われたら 怪我をしただけでお金貰えるんだよ。特異災害保証って言ってね」
「それってパパやママからの税金でしょ?死んでも元気になるわけだ。マジ税金の無駄遣い」
あぁ、またあの夢だ。
最低最悪の記憶。人の悪意に晒されたときのものだ。……未来がいなかったら、きっと立ち直れなかった。お母さんやおばあちゃんがいなかったら、耐えきれなかった。
がんばってリハビリをして、元気になればきっと お母さんもおばあちゃんも喜んでくれると思っていたのに。
「アンタが死ねばよかった」
「人殺し! 返してよ、あの人を」
罵倒され、貶され、蔑められる。
私は……なんのために。
「うるせェェェェ!! 俺の前で、友達にクソ下らないやっかみつけてんじゃねぇ!!」
声が響く。誰かが私の前に立つ。いつの間にか、私を貶す人影が消えていく。
「ああもう! なんか知らない夢に入ったと思えば、なんか友人が貶されてるし、無茶苦茶胸糞悪いもの見せられたわ! そこんとこどうなの、エドモン!」
「知らん。むしろ、驚け。そこの少女と繋がってることに」
「どうでもいいわ! いきなり、他人の夢へダイブさせるなし! プライバシーも考えたげてよ!」
「……ふぅ。まあいい。とりあえず、行くぞ。マスター、これでこの少女に巣食う呪いは抑えられた」
「あっそ。もう勘弁してくれよ。ただでさえ、立香の狂気的な悪夢を払うのに、付き合わされているんだし」
「クハハハ! 人のこと言えないではないか共犯者よ。貴様も大概悪夢を見ておるぞ」
「マジでか。ヤベェなオイ」
真っ黒のシルエットした男と、見知った顔の人が雑談していた。
「待って、あなたは……!」
「んじゃ。お大事にー。麻婆楽しみにしておけよー」
「それは嫌なんだけど!?」
その声と共に目が覚める。
なんだったのだろうか、あれは……。なんか、人の夢にも入っていけるのあの人……。
「あ、カサブタ」
胸のカサブタがとれたことで、やっと私は目を覚ました。
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「ふむふーむ。これは驚いたねー」
報告書を見ながら、私は前に座る翼さんに尋ねた。
「響ちゃんの融合が進んでいるとはねぇ。ま、遅かれ早かれだったかもね」
「……気づいていたのか?」
「予想はしていたさ。ペンダントなしでシンフォギアを纏えている時点で代償なしとは言えないからねぇい。ま、命に関わると知ったことを考えたら儲け物かな。選択肢ができたことだし」
「儲けものなものか!」
おや、翼さんが怒鳴ってきた。
「立花が死ぬかもしれないんだぞ! そんな簡単に!」
「簡単な話さ。私やお兄ちゃんだって、いつか、誰かに殺される。そんな世界と時代を命懸けで戦ってきたよ」
「立花は違う! あの子は……」
「うん、そうだねー。あの子は普通の世界から、ここへやってきた女の子だ。でも、彼女がこの先どうするかは、彼女が決めるべきさ」
「そんなの……!」
「翼さん的には戦わせるなって言いたいかもしれないけどさー。響ちゃんはこのまま戦わないかな?」
性質的にはお兄ちゃんに似ている。彼女が黙ってそのままでいるはずがないのだ。
「……私が言う」
「戦うなって?」
「そうだ。突き放す」
「あなたが言っても止まらないかもしれないのに?」
「それでもだ。たとえ、悪者にされても。だから、立香。お前もこのことは言うな」
翼さんはそう言って、席から立って出て行く。
「言わないさ。だって、それは愉しみにとっておきたいからね」
彼女は死を意識したとき、どのような顔になるだろうね。
絶望? それとも……。
「面白くなってきた」
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私はある独房室へ向かう。空太郎さんは、二課へ拘束され、危険人物兼、重要参考人として閉じ込められた。
この数日、私は眠っていたようだ。ネフィリムに腕を食いちぎられた記憶を最後に、私は我を忘れてしまい、暴走してしまった。
それにより、みんなに……二課のみんなに迷惑をかけてしまった。そして、空太郎さんの……サーヴァントであったものを倒してしまった。
みんなに酷いことをしたサーヴァントだったけど、悪いものでもなかったと、翼さんは言う。……見た目はエイリアンだったけど。
それから翼さんに、突き放され、しばらく戦いから離れることとなった。
そんなときだからこそ、……私は空太郎さんと会おうと思った。
……空太郎さんは、どんな形をした存在であっても、サーヴァントであれば最後まで一緒に戦う人だ。それは自身のサーヴァントを信頼し、大切にしているからだ。
立香さんのような、犠牲を前提の戦い方は好まず、誰かを見捨てるようなことはしない。……たとえ、それが自分の命をかけたとしても。
「……緊張してきた」
これから会う空太郎さんは正直、何を言われるか……わからない。だから、怖い。あの人に恨み言言われることが、あの人に罵声を浴びさせられることが。
脳裏に浮かんだのは、あのときの夢……。
「響……」
一緒に来てくれた未来が心配そうに見つめる。大丈夫。親友がいてくれる。勇気を出して、彼のように前へ進め。
私は彼がいる部屋へ入る——————
「あ、おま、そこでカミナリは卑怯だろ!?」
「ふふん、勝てばよかろう、だ。マスター」
「では、私の一撃をくらいなさい」
「ちょ、セイバー。そこでスターか!?」
「ぎにゃー! 巻き込まれた! スターとのダブルコンボで轢かれた!!」
仲良くマリオカートをする捕まった皆さんである。
「って何呑気にゲームしてるんですか!?」
「おっ、ビキオ。お前もするか? 次はスマブラで決着つけるつもりだ」
「いや、しませんし、犯罪して捕まったのお忘れですか!?」
反省してないじゃんこの人!
「フッ、このエミヤが何度捕まったか、わかっているか? 正義の味方をしているのに、なんか敵や味方の女性から指名手配された傭兵ナンバーワンだ」
「それ女の敵みたいなことしたからでしょ!?」
「……優しく紳士にやったつもりなのになぁ。なんでだろ。捕まったら、捕まったで軟禁されかけたし」
「あ、違った! この人、無自覚に女の人堕として、ヤンデレに捕まってた人のだ!」
「ヤンデレは後輩だけで充分だ。……あれ、本気で怖いぞ、うん」
「なんか実感こもった言い方、やめてくれません!? 私も怖くなってきました!」
「大丈夫だ。君ならきっとこの運命乗り越えられるさ。きっと、たぶん、メイビー」
「それ大丈夫じゃないですよね!? それとそんな人いませんから!」
そうだよね! 私の近くに病んでる人いないよね! ……そうだよね?
隣でニコニコしてる未来だけじゃなく、なんか、自分もなりそうで怖い。
「まあ、落ち着きなさいヒビキ。ここは一つお菓子を……。アーチャー、お菓子無くなりました。どこにやりましたか?」
「それは君が全て食べたからだろう。あれ、マスターのものだぞ。彼は一口も食べてないぞ」
「そうですか。ではマスター、おかわりをいただけますか?」
「オグリみたいな言い方はやめたまえ。それと反省しろ」
アルトリアさん、ナチュラルにボケていく人なんだ。というか、食べすぎじゃ……え、未来?
響も変わらないって? 私はそんなに食べないよ?
「どの口を言うか。君が目覚めた当初、その食欲のあまり、私を独房ではなく、食堂へ叩き込んだくせに」
「デリカシーないですよ、エミヤさん。女の子に一杯食べるなんて言い方」
「自重しろと言っているのだ!! 食堂のおばちゃんが、涙を流して、『ありがとう、ありがとう……』と言っていたのだぞ!? 死んだジイサンを思い出したわ!!」
そんなに食べてないのになぁ。
「てか、空太郎さん。元気ないね」
「あ、そう? んー、まあ、あんなことがあったからねぇ」
未来の言葉に反応した空太郎さんは、やっぱりどこか上の空になりつつある。
「その……ごめんなさい」
「何がだ、響ちゃん」
「あなたの大切なサーヴァントを……」
「別に気にしなくていいよ」
「けど……」
「立花響」
空太郎さんが真剣な目をこちらへ向けてきた。
「謝るな。謝ってほしくない。謝れば、アイツがしたことが悪いことになる」
あのサーヴァントがしたことは間違いではない。
「責任は全て俺のものだ。俺があのとき、アイツを止められなかったし、置いていった。だから、全て俺のせいだ。響ちゃんの責任にしたくないし、させない。」
そして、その責任は自分のものだと彼は言い切った。自分の業は、自分のものだと……。
「なんかさ……ネフィリムの最後が、さ。オケアノスの特異点を思い出したんだ」
「それって……」
第三特異点。海の上で、黒髭とイアソンを相手したところだと、立香ちゃんから聞いている。
……そして、初めて、仲間のサーヴァントを犠牲にしてしまった特異点であることを。
「立香から聞いてる?」
「……大まかな流れは」
「うん。まあ、詳しく話すとな。アステリオスって言う、まあ、ツノが生えた大男でさ。身体はデカいけど、心は少年みたいな純粋な英霊がいたんだ」
その英霊は怪物だった。
その英雄は心優しかった。
ゆえに自らの行いを悔いて、自身を化け物って思っていた。
「けど、そいつはさ。ヘラクレスって言うギリシャの大英雄に立ち向かって、俺達を逃してくれたんだ」
大英雄から逃すために、致命傷を負いながらも、空太郎さん達を助け、足止めしてくれた。
「最後の最後で、名前を叫んだら、アイツが何を言ったと思う? 『名前を呼んでくれてありがとう』、だってさ。そんなこと言われたら……もう何も言えないじゃないか」
空太郎さんは、どんな形であっても、自分のサーヴァントであれば【仲間】と見る。だからこそ……辛い。
「だから、さ。ネフィリムの最後の言葉が、アステリオスと重なってな……。思い出しちゃうんだよ。……あのときと変わらず、俺って何もできないんだなって」
「そんなこと……」
ない、と言いたかった。でも、彼は涙を流して、それを堪えようとしている顔だった。……私や未来は何も言えなかった。
「悪い。ちょっと涙腺が緩んでた。けど……もう大丈夫。……前だけは、見る。もう、進まなきゃ、何も始まらないんだ」
涙を拭い、彼の目は既に、前だけを見ていた。その目は次にどう動くことしか考えていない。
「悲しむのは全て終わってからだ。今は、【フィーネ】にいる敵を止めなきゃならない」
「うん……」
「【フィーネ】は悪というわけじゃない。彼女達がやってることは間違いでも、その目的は地球の危機を救うことだ」
「そうなの?」
「後々、弦十郎さんから説明があると思う。これは尋問の時に話した内容だ」
なるほど。空太郎さんは何のために【フィーネ】にいたのか、わかった気がする。
彼の目的は……見定めること。
【フィーネ】が本当に、世界を救う組織なのかどうか、彼は自分の目で確かめてみたのだ。
「……ぶっちゃけ、言えば立香や弦十郎さんに随時報告してたしな」
「え!? そんなことしてたの!?」
「まあな。言ったら悪いけど、俺は【カルデア】のマスターだ。報告するのも、俺の自由だったし」
「そ、それはそうですけど。なんかショックだなぁ……」
「許してくれよ。俺だって友達やみんなに話しかったけど、彼の頼みだったから、できなかったんだ」
空太郎さんが言う彼。それはもしかして……キャスター?
「話を戻すけど、その地球を救うのに、一人だけ理念や思想が違うヤツがいる。……そいつが後からトラブルを起こすはずだ。だから、俺と彼はそいつを止めなきゃならない」
「その彼ってキャスターですか?」
「そうだよキャスターだよ。まあ、ジョンって名乗っていたけど……。まあ、ジョンでいいや」
ジョン……。そういう白衣を着ている研究者系の英霊がいるのかな。未来にも尋ねてみたが、思い当たる節がない。
「ま、これからどうするかは【フィーネ】次第かな。……それに」
空太郎さんは、ジッと私を見つめる。そんな……なんか、男の人に見られてると照れちゃう……。
「……いや。まだいいか。未来ちゃんもいるし、本人次第かな」
「??」
「とりあえず、響ちゃんにアドバイスをあげるねー」
——————君が命をかけるとしたら、どういうとき?
そう言った彼の言葉は、未だに脳裏から離れない。
ーーーー
「……マスター。彼女にそれを言っていいのかね」
「いずれ来る問題を先送りしちゃ、駄目だと思うんだ。きっと大丈夫と思ったから言ったんだ」
彼女達が独房室から出てから、マスターに
「どのみち、エミヤも言うつもりだったでしょ? かつての自分のようになるか否か、わからない女の子がいて黙っていられる?」
「……確かに、彼女は私に似たような感じがする。だが、生き残ったから、人助けをしたいという感じではなかった」
彼女は恩を返したい。その恩は他の誰かへ返したいという思いの元、人助けに繋がっているのではないかと思う。
「まあ、結局、選ぶのは響ちゃんさ。命をかけて、守るかは彼女次第だよ」
「マスターは選べるのか?」
「選べる」
強い決意。既に答えが決まっていた。
「死にたくないけど、命をかけなきゃ守れないなら守るさ。……そういう道ばかりしてて、結局は生き残ってるけど」
「違いないな」
肩をすくめ、苦笑する。そうだ、そんなマスターだからこそ……藤丸空太郎だからこそ、私やサーヴァント達、彼が契約していないサーヴァント達も力を貸してくれる。
「見守っていくしかないさ。俺達はね」
「……そうだな」
私は彼の手が固く拳を握っているところを見てしまった。……歯痒い気持ちは同じ、か。
「ところで、マスター。おかわりいただけるでしょうか」
「「自重しろ」」
最後の最後までセイバー……台無しだぞ……。
そういえば、あの特異点で仲間を失ったことが初めてだった気がします。
オケアノスはそれほど好きというわけではありませんが、アステリオスのシーンはなかなか応えましたねぇ(泣)
だって何もからにも呼ばれた怪物から誰かの英雄になった瞬間でした。
だからこそ、第一異聞帯で再登場したアステリオスは、メンタル的にもキツかったです。別人とは言え、ミノタウロスとして倒さなきゃならなかったことは、原作主人公(プレイヤー)としてキツかったでしょう。
……なお、うちの藤丸立香(女)は問答無用にステラとゲステラしてから、超火力特攻宝具で、慈悲もなくやります。
最短で最速で、この想い(殺意)を届ける!!という感じで。
次回、例の葡萄ジュース博士が登場。未来氏もツッコミ兼ボケ役として出てきます
——————絶唱の歌詞って変えられるのかな? ネタ曲とかに