Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア   作:ぼけなす

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———ところで、さ。あなたの初体験は?
———……最終決戦、前? うーん、記憶があいまい。でも、未経験じゃない気がする


第三十話 損失と決意

 

ーーーー

 

 

☆月○日(木)

 

 

 響ちゃんに自身の身体ことを知ってもらった。

 

 未来ちゃんやクリスにも伝えられていることを、弦十郎さん直々に話してもらい、しばらく療養することとなった。

 

……それでも戦おうとする響ちゃんに、クリスが「これ以上、戦うな。鬱陶しいんだよ」って釘を刺されていた。

 

 キツい言い方だけど、あの子なりの優しさなんだよなぁ。……でもさ、なんで立香を見かける度に顔を紅くしてるのぉ?

 

 え、いや、待って。ジョークだよな? 冗談……だよな?

 

 一応、立香と何があったんだ、って聞いてみたら、「言わせんな! 変態!」って怒鳴られた。

 

…………嘘だろ。奏さんだけでなく、クリスまで?

 

 あの子、どこまで毒牙を広げるつもりなの?

 

 

 もう、百合ハーレム作っちまえよ(ヤケクソ)。

 

 

 お兄さん、面倒見ませんからね。本当だからね?

 

 なお、このこと言ったら、立香のヤツ。不敵に笑って、

 

 

 

 

 

「大丈夫、いずれ、お兄ちゃんのハーレムになるから」

 

 って返された。いや、待て、オイ。俺、ハーレム作るつもりも、作れることもできないんですけど。

 

 どの口を言ってやがる。俺なんか、好きになってくれる女の子いるわけないでしょー、ハッハッハッ。

 

……自分で言ってて、もとい書いてて、悲しくなってきた。

 

 兎にも角にも、クリスがパワーアップしていることがわかったことで、話は終わり、響ちゃんとちょっと話した。

 

 明日からなんか、未来ちゃんと都市のタワーへ登っていくそうだ。

 

 そんな彼女はどうも、不安そうだった。

 

 自分の命が危ない。死ぬかもしれない。

 

 それが明日なのか、それとも……という感じで不安だったようだ。

 

 あと、俺から言われた言葉がずっと呪いのように巣食っているそうで、気になっていた。

 

……あちゃー。逆効果だったか。

 

 まあでも、これは響ちゃんの問題だし。俺がどうこう言うつもりはない。だから、俺はたったそれだけの一言を彼女へ残した。

 

 君はこれから何度も、いろんなことを経験する。悲しいことや怒りを感じること、理不尽なことや選べない選択肢が出てくるかもしれない。

 

 そんな彼女へ向けた言葉だ。

 

 俺の言葉に彼女はただ頷いた。

 

…………さて、これから()に聞かなきゃな。

 

 あの葡萄ジュースが、何をやからすのか、その具体的な内容を

 

 

ーーーー

 

 

——————君が命をかけるとしたら、どういうとき?

 

 ずっと呪いのように残る言葉が、今の私を蝕む。シンフォギアを纏う度に、私の身体が聖遺物に侵されていた。

 

 私の身体に巣食う聖遺物(悪魔)が、私を追い込んでいたのだ。

 

 奏さんの受け継いだ力が……どうして。

 

 師匠の話が終わり、私は足取りがおぼつかないまま歩いていると、空太郎さんとぶつかってしまう。呪いの言葉を授けた張本人だ。

 

 彼に思わず、聞いてしまった。

 

「私は……どうしたらいいのかな」

 

 彼はその言葉を聞き、頬を掻き、やってしまったなぁ、と言った感じで。

 

「んー、別にそういうつもりであのこと言ったわけじゃないんだけどなぁ」

「……無責任だよ」

「まあ、当事者しかわからないことだからね。わかってますよー、って言ってる方が無責任だしね」

「…………戦えない私って誰からにも必要とされないのかな」

 

 空太郎さんならどうするの?

 

 みんなと戦えない。足手まといのまま。

 

 医療班が目下で、了子さんのデータを元に治療を探しているけど……今が大事なのに。

 

 そんな私に空太郎さんは「それは違う」と言う。

 

「響ちゃんを必要としているのは二課だけじゃないでしょ。君を必要としているのは身近にいるだろ?」

「……あ」

 

 未来……私の陽だまり。

 

「ま、こんな俺が言うのもなんだけどさ。一つアドバイスね」

「? 空太郎さんからの?」

「あ。参考にならないと思った?」

「そそそそそんなことないもーん!」

「嘘つけ。全く……」

 

 苦笑しながら、彼は目を瞑る。

 

 きっと、そうなのだ。そう信じているかのように、彼は私に言う。

 

「なら、さ。君が信じたもの。君がしたいこと。それを突き進め」

 

 

 彼の言葉は、まだ私にはわからない。

 

 

ーーーー

 

「あたしが、フィーネ……」

 

 木陰に休むあたしは、これからの未来に恐怖する。あたしがフィーネの魂に上書きされたら、調やみんなのことを忘れる……。それがたまらなく怖い。

 

「どうしたら……」

「ふむ。悩める少女はまた美しいというものか」

 

 キャスターが会話に参加してきた。あたしの言っていたことを聞いていた……!? もし、そうだとすると……。

 

「まあ待て。僕はきみをどうこうするつもりはないし、誰がフィーネであるということなどどうだっていい」

「どうでもいいデスか……」

「どうでもいい。それよりも重要なのは、フロティア浮上を失敗したことで、今後どうするかだ」

 

 【フィーネ】の目的は、ルナ・アタックによる月落下の危機から万人を守るため。そう聞いていマス。

 

 あたしや、あたし達はそのためにこんなことをしてきた。

 

「おそらく、マム……ナスターシャ女史は米国政府に、研究データを渡すだろう」

「ッ!? どうしてデスか! 米国が月落下の情報を隠蔽した。権力者や企業トップがそれを誤魔化して逃げようとしている。それだから、信用できない米国をデスか!」

「一番国力もあり、元よりこの組織は米国所属だった。ゆえに、協力を求めるのは必然さ」

「くっ……納得できないデス」

「まあ、でも結局の話だが、()()するだろう」

 

 失敗デスって。

 

「米国側は、我々のことを目の上のたん瘤としか思ってない。それゆえに手段を選ばないのさ」

「なら、マリア達が!」

「それは大丈夫さ。何せ、シンフォギアがある。ただ……」

 

 ただ……?

 

「これから会うマリアとセレナを、()()()()()()()()()()()()()()だけは覚えておきたまえ」

 

 彼はそう言って、あたしから離れた。

 

「それと、だ。きみがフィーネなどありえない」

「どうしてデスか」

 

「お気楽娘に、乗り憑りたいものかね? ククク」

「失礼な!!」

 

 無礼な人デス!!

 

 でも、ちょっと元気が出ました。そこは感謝するデス。

 

 それにしても……。

 

「あのヘルメット。熱くないデスかね?」

 

……キャスター。彼はいったい何者なのデスか?

 

 ただの、セレナのサーヴァントデスよね?

 

ーーーー

 

 未来と久しぶりにお出かけである。気分転換に誘ってくれたのだが、私は未だに戦えないことを気にしていた。

 

 そんな私に未来は気にかけ、いろんなところへ遊びにいってくれた。少し元気出た……かな。

 

「見て見て響! ほらあそこのマンボウ。大きいねー」

「確かに大きいね」

「ほら、あそこのジンベエザメ。大きいねー」

「うん、大きいね。あと、可愛い」

「ほら、あそこあそこ!! なんかスゴイの泳いでるよ!!」

「ハハハ、未来。はしゃぎ過ぎ——————」

 

 絶句した。これまでの大きな魚はいい。

 

 たまに見かけるスキューバしている飼育員さんはいい。

 

 けどね…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、スパルタクスさんが泳いでるの? ここ、水族館だよね?

 

 マッスル館じゃないよね?

 

「すごいねー。人ってあそこまで潜れるんだー」

「いやいやいや! 未来、ツッコんで!? なんでスパルタクスさんがこんなところで泳いでるの!? しかも水族館の水槽で!」

「それはここが水族館だからだよ」

「どこが!? 筋肉が泳ぐ水族館とか嫌だよ!?」

「あ。響! あそこにもいるよ!」

「何が……って、サイドチェストしてるアレックスさんじゃん!? 酸素ボンベなしで何してるの!?」

「それはあれだよ。魅せるためじゃない? ここにいる客に向けて

「視覚の嫌がらせだよ!?」

 

 水族館で何してるの!? 公の場でサイドチェストしないで!?

 

「ママー、筋肉だよ!」

「あらやだ。良い腹筋。うちの旦那と良い勝負ね」

「ミカちゃんのママも、すごいよ! 上腕二頭筋がピクピクするほど、マッスルだったよ!

「まあ! こちらも負けてられないわ。主婦の嗜みとして!!」

 

 どんな嗜みぃぃぃ!? てか、流行ってるの筋トレ!?

 

 うちのお母さんやおばあちゃん大丈夫だよね? 筋肉に汚染されてないよねぇ!?

 

「……ここっていつから、変態の人が集まるようになったのかな」

「見て! 響。アレックスさんが急上昇していったよ!! あぁ! そのままムーンサルトを!」

「私の日常返して!!」

 

……空太郎さん。私、戦いが日常と思える日が来るとは思いませんでした。

 

 げんなりしながら、水族館から出る。すると周りが騒然としていた。外には……ノイズ!?

 

 これって……。

 

「ッ、行かなきゃ!」

「ダメ!!」

 

 未来が手を握って、止めてきた。

 

 でも、このままだと!

 

「行かせない。行かせないよ……! 響が遠くに行くのはもう嫌!」

「未来……」

 

 彼女の言葉が胸に刺さる……。

 

 そう……彼女には心配させないためにも、これ以上は……。

 

 弱気な自分が、勇気を鎮める……。

 

 

 

 

 

 

 

 

——————君が命をかけるとしたら、どういうとき?

 

 

 空太郎さんの言葉(呪い)が、脳裏に浮かぶ。

 

……こういうとき、私は。

 

 刹那、瓦礫が崩れ落ちる!!

 

 すぐに未来を引っ張るも、瓦礫の風圧で私は外へ飛び出す。マズっ、このままだと!

 

 そんな私を、未来が手を掴む。

 

「未来! 離して、このままだと未来も!!」

「離さない!! もう、離したくない!!」

「未来……」

 

 もう遠くに行かせないという強い想いを感じた。

 

 私……どうしたら。

 

 

 

 

 

 

「なら、さ。君が信じたもの。君がしたいこと。それを突き進め」

 

 

 彼の言葉を思い出す。

 

 瞬間、私は何がしたいのか、頭に浮かんだことがある。

 

 

——————この胸に秘めた歌で、未来やみんなを守りたい

 

 そうだ。私は最初からそうだった。この手に届く限り、私は手を伸ばし続ける。

 

 いつだって、そうだ。いつもそうだったじゃないか。

 

 誰かががんばっている。私も負けられないッ! 進むこと以外、答えなんてあるわけがないッ!

 

 

「未来……私を、私を信じて!」

「響……」

「私は死なない。もう、遠くにはいかない。……たとえ、何を言われようが、私は絶対に諦めない」

 

 未来の手がすり抜ける。未来の悲鳴に似た叫び声が聞こえる。シンフォギアを纏い、地面へ落下していく。着地と瞬間、レンガの地面が軽いクレーターを作ってひび割れた。

 

「……これ、大丈夫かな。公共のものだし」

「なぜ、今になって気にしだす」

「空太郎さん!」

 

 空太郎さんがそう言いながら、外のノイズへ目を向けていた。ノイズは飛んできた紅い矢で次々と消していく。

 

「空太郎さん! 中にまだ未来が!」

「アレックスに任せろ。アイツなら、きっと……嘘だろオイ!!」

 

 空太郎さんが突然叫ぶ。未来がいたところが爆発した!

 

 未来が……未来が!!

 

「信じろ!」

「空太郎さん……」

「君の友達は生きている。それを信じろ! 絶対に負けるな、諦めるな! 最後まで折れるな!!」

 

 その言葉は……私に勇気と希望をくれる。うん、そうだ。

 

「信じます!」

「ならよし! あと、爆破と同時にアレックスのヤツが落ちてきてる!」

「え……」

 

 あ、ホントだ。なんか、マッスルポーズしながら落ちてる。余裕なの?

 

 すると空太郎さんが肩を掴んできて。

 

「響ちゃーん。ちょっとお願いがあるんだけど」

「嫌です!」

「なぁに、簡単なことさー。落ちているアレックスを受け止めてよー

「嫌ですよ!? あんな筋肉モリモリマッチョな人を受け止めるの!? ゴツくてキモくて、無理ィィィ!」

「諦めるなよ! 負けるなよ! そこで折れたら、おしまいなんだよ!」

「熱血根性で言われても、アレを受け止めるのマジで嫌なんですけど! 私の好みは細身で優しい男性がいいですぅ!!」

「なら、俺ならいいか!?」

「バッチこい!!」

「なんで、そこは否定しないの!?」

 

 私はなんかノリでとんでもないことに言ってる気がするけど、気のせいだ!

 

 でも、あの人受け止めるのはちょっと無理!

 

「クッ、アレックスが……」

「なんかあの人なら、落ちても平気そうな気がするんですけど」

「たぶん大丈夫だと思うけど、あの高さだとさすがに……なぁ」

「うーん……どうしたら」

 

「ヌハハハ! 貴様らさりげなくひどいな!!」

 

 あ、聴こえてたの?

 

「だが、安心なされよ!! 我には協力者がおる!」

 

 え、誰なの? まさか、またマッスル?

 

「では、着地を任せた……セレナ殿ォォォォォォ!」

「「えぇ!?」」

 

 まさかのセレナさん!? あの穏やかで優しそうなお姉さんが、筋肉モリモリマッチョを受け止めるの!?

 

 するとセレナさんが先に着地し、アレックスさんの落下地点へ向かい、そして……。

 

 

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)ァァァァァ!!」

「グァァァァァァ!!」

「「聖剣で吹き飛ばしたァァァァァ!?」」

 

 まさかのエクスカリバーでした。綺麗に吹き飛んだアレックスさんは、そのまま遠くの噴水へダイブ!!

 

 あそこ、結構深かったからよかった。

 

「ってなんで、受け止めるのではなく吹き飛ばしたのですか!?」

「え、だって筋肉達磨を受け止めるの、嫌ですし」

「普通に酷っ!!」

「お前が言うなビキオ」

 

 えー……。私も嫌ですって。

 

 というかセレナさん……結構、辛そう?

 

「……誰にやられた?」

「米国政府に、です……不意をつかれました。えへへ」

「笑ってる場合かって。ほら、【緊急治癒】」

 

 魔術で腹部から血を流すセレナさんを癒す空太郎さん。そんな彼にセレナさんは真っ直ぐな目で、彼に言った。

 

「……空太郎さん。お願いがあります」

「……キャスターの予想通りか?」

「はい。彼には姉さんへ付いてもらいました。ただ……」

「……マリアさんが決意してしまったってことか」

 

 空太郎さんとセレナさんが暗い顔で話していた。

 

「……それと、立花さんのご友人が連れて行かれました」

「未来が!? どこに!」

「セレナの本拠地だろ。……どうせ移動しているからもう遅い」

「クッ……」

「それよりも、だ。ジョンの予想通りになってきたな」

「それはキャスター真名ですね。なぜ、あなたが」

()()()()()()()()()()()()()()()()()らしいな。その方が都合が良かったって本人は言ってたけど。あと、ナスターシャ教授には教えていたみたいだな」

 

「なんで、マムには……」と言うセレナさん。

「さてな」と言って肩を竦める空太郎さん。いったい何を……。

 

「ここから先が正念場だってことさ。俺も……覚悟を決める」

 

 彼はそう言って、左手の令呪をジッと見て拳を作るのだった。





更新遅れてすまない、本当にすまない。
まあ、なかなか進みにくい段階にきたのでちょっと止まっちゃいました。

なお、セレナの出番はしばらく終わり。さすがに銃弾から止血したけど、複数空いた傷の痛みは消せないので、無理やりしないと動けません。

……ナイチンゲールがいたら強制睡眠ですが。

次回、いよいよ393様降臨。ビッキーの明日はどっちだ!?


———なお、立香だけがパスを繋がる専売特許じゃないのを言っておきます(意味深)
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