Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア 作:ぼけなす
———とりあえず
———ムカつくヤツは
———ぶん殴る!!
ーーーー
ノイズを蹴散らす。空を飛び回るノイズを、アタシはガトリングで撃ち落とす。
ここまで来るまでに、アタシはずっと考えていた。
少しずつ、アタシの日常が……何かに侵されているのだ、と。ノイズを撃つ度に、コイツらが、コイツらが、と憎しみを込めて撃ち落としていくが、これもそれもソロモンの杖のせいだと感じていた。
そのソロモンの杖を……扱っていたアタシが悪い———結局、アタシが元凶なのだと思い知らされた。
全てのノイズを撃ち落とした後、息は切れない。立香とのパスが繋がっているからなのだろうか。
アイツの魔力というエネルギーが、アタシのフォニックゲインへ還元してくれている。だから、あれほどのノイズがいたとしても敵ではなかった。
……でも、な。どんなに強くなったからと言って、アタシの罪悪感は消えない。アタシのした業は……消えないんだ。
「おっ。クリスちゃん、みっけ!」
「なんだよ。案外余裕じゃねぇか!」
天羽先輩と立香が駆けつけてくれた。
「……まあな。空太郎は?」
「お兄ちゃんなら、響ちゃんと一緒だよ! なんでもセレナさんも保護したらしい」
「そうか……」
「およ? 元気ないね。どしたの?」
「……なんでもねぇ」
「むーん。そんなこと言うなら、またイジメちゃうよーん?」
「ヒッ」
思わず、身体を守ってしまう。コイツとのパスを繋げるためとは言え、あ、ああああんなことするなんて!!
「ニュフフフ、いいねぇ。唆られるねぇ。今夜あたり、もっと」
「よーし、そろそろ黙ろうか愚妹」
「あうち!?」
空太郎がハリセンで立香をしばく。コイツの暴走を止めるの、コイツしかいないもんなぁ。
てか、なんか目の輝きが薄いんだけど。
「なんかさ……かわいい妹分が遠い世界へ行ってしまったと思うと、なぁ……」
「ちょっと待て。アタシのことか、アタシのことなのか!?」
「いやそうでしょ。女の子同士でドッキングしたってことでしょ。ゲッターロボみたいに」
「いやまだしてねぇよ!? キスしただけだって!」
「ディープ?」
「…………ノーコメント」
「したのかよ」
「し、ししし仕方なねぇだろ! 天羽先輩があれほどの力を得たんだし、アタシも必要と思ったから!」
アタシの言葉に空太郎の目がどんどん死んでいる!? コイツどんだけストレス抱えてるの!?
「なんか、そのうち立香が装者ハーレム作りそうな気がしてきた。もう、なんか嫌になってきた。奏さん、現実逃避していい? 主に二次元に逃げたい」
「三次元の方がいいぞ? なんなら混ざる?」
「三だけにって言いたいの?」
「ハッハッハッ、この際、三人だろうが四人だろうが変わらないだろ。道連れが増えてバンバンザイさ!」
「道連れって言っちゃったよ、この人」
……天羽先輩。結構、キてるな。なんかいろいろ失っているだろうなぁ。
「てか、空太郎。アイツを放っておいていいのか?」
「響ちゃんは、今一人にした方がいいかなって思って。それに……」
ふと、空太郎はアタシを見る。急にどうした?
まさか、またこの格好のこと言いたいのか?
「……大丈夫なのか?」
「ッ……別に怪我してねぇし。へーきだって」
「なら……いいか。辛くなったら、誰かを頼れよ。ほら、いくぞ立香」
「あぁーん。美少女とイチャイチャしたいのにぃー」
アホなことを言う立香を引きずっていく空太郎。
なんだよ……気づいているのかよ。誰かを頼れって言われても……。
「……なら、アンタに甘えていいのかよ。空太郎」
自然と出た言葉に、しばらくしてから驚きを隠せなくなってきて、ちょっと悶絶したのは秘密だ……。
ーーーー
未来が生きていることが明らかになり、師匠から「いつまでも燻ってはいられない」ということで、翼さんやクリスちゃん、それとカルデアのマスター達とトレーニングをすることとなった。
最初はランニング…………なのだが、ここでアレックスさんから待ったをかけられた。
ただのランニングでは味気ない。面白みがない。
なので、
「これをつけて走ろうではないか」
「なにこれ」
「お地蔵さんだ」
うん、お地蔵さんだね。小さいし、持ち運びしやすいね。ただ、めちゃくちゃ、肩に引っ付いて離れないし、重いのだけど?
「ヌハハハ! とーぜんだ。これはかの哲学する柔術家が発明したとされる【しがみつき隊】だ!」
「え、ホントにいるのあの人!?」
「実在してたらしいよ。梁山泊はあるのか知らないけど」
普通に呟く空太郎さん。
漫画の世界だけかと思いきやホントにいたんだ!
でも、あの人のトレーニングって……主人公が死にかけてたような。
「加えて番犬だ!」
「フシャー!!」
「犬じゃなくてキャットだし!!」
「タマモキャットだワン」
「ワン!? 猫人じゃないの!?」
「猫じゃなくてキャットだワン。キャットは犬、犬は猫、猫はキャット! つまり、そういことだゾ!!」
「わけがわからないよ!?」
なんかカルデア側のサーヴァントみたいだけど、空太郎さんが「俺のサーヴァントをトレーニングに使わせるな」と抗議の目を向けていた。アレックスさん曰く、「人参で買収したから問題ない」と。
……え、結局、この子は猫なの? 犬なの? もしくはナマモノなの?
「ではゆけぇい!! タマモキャットよ!」
「応さ! というわけで、このハンマーから避け続けよ」
「「ハンマーかよ!?」」
どこからか取り出した【百トンハンマー】を振り回すタマモキャットさん。ちょ、本気で危ない!
これには命の危機を感じた私達は必死に逃げていく。
「って空太郎早っ! 逃げ足早っ!」
「HAHAHA! こう見えて鍛えているからねぇい!」
「本当は!」
「ぶっちゃけ、言えばこの男の『超レオニダスブートキャンプ』に巻き込まれそうなったりして、逃げてたから、自然と身につきました!!」
「どんだけキツいんだ!?」
「メタボな一般職員がムキムキボディービルダーになるくらい」
どんなブートキャンプ!? てか、それ今行われているの!?
「ウムウム、ご主人。わかっておるな。とりあえず、50Kmのランニングをしようぞ」
「それマラソンじゃねぇか!!」
「ふむ……サライを流していいか!?」
「オッサンンンン!? そういう問題じゃねぇんだけど! アタシ、初参加でどんだけハードトレーニングさせるつもりなんだ!?」
「雪音、最近ふくよかなってきてるのではないか? うむ、それはいけない。イケナイから鍛えよう、な?」
「翼先輩ィィィ! どうしてアタシの胸を怖い目でそんなこと言うんですか、こんちくしょう!!」
「雪音に初めて名前で呼んでもらった。うれしみ」
「和むな! てか、ハード下げてお願いしやがりますぅ!」
クリスちゃんツッコミながら全力疾走して疲れないのかな。まあ、ほどほどに頑張っていこうよ。
「あ。アレックスさん、質問。タマモさんは、『別に倒してしまっても構わんだろう?』って言う認識でいい?」
「よいぞ! むしろ、やってもよし!」
「よーし! 卑弥呼真拳で返り討ちだ!」
「いや死亡フラグ立てるなよな!?」
クリスちゃんの言うフラグは知らないけど、とりあえず返り討ちは失敗しました。まる。
ーーーー
僕は一人、歌う少女を見守る。彼女は大切な妹と離れ離れとなり、死んだと思っているようだ。それもそうだ。爆発と、銃撃でセレナはタワーから落ちてしまったのだ。
そのときに、黒髪の女の子……小日向未来という少女を保護してしまった。
セレナのような女の子をつい、助けてしまったが、我々にとって部外者だ。
計画も最終段階で、さっさと解放してしまえばいいものの……。まあ、それはできないものか。
何せ、僕達はテロリスト……【F・I・S】なのだ。
「何見ているのですか? キャスター」
「ウェルか。何、麗しい少女の会話見て楽しんでいただけさ」
「変態チックですねぇ。まあ、でも君が消えてない辺り、セレナは生きてるようだね」
「当然だ。サーヴァントはマスターとの繋がりが消えれば消える影法師。マリアはそれを知らないようだが……」
「教えてませんからねぇ。このままの方が都合が良いので」
「……そうか」
……やはり、止まらないか。
「未だに目指すか?」
「当然さ! 男の子は全て【英雄】を夢見る!! それは誰もが当たり前でしょう!」
「そうとは限らないと思うがね」
「フンッ言ってろ。これから準備あるから、邪魔しないでもらおうかね」
「もちろん、邪魔はしない」
今はな………。
ウェルの言うことは、まあ大体会ってる。
物語に出てくるヒーロー。神話に出てくる英雄。誰も彼もが、カッコいいもの。
泥臭くても、最後まで諦めず、最後には勝利していくそんなお話。
全く……どうして。
「くだらない。度し難いほど、くだらない……!」
英雄などクソくらえだ。あんな……あんな人柱のためになるために。
「……空太郎氏に打ち合わせしなければな。いや、そろそろ風鳴司令官とのコンタクトを、か? まあいい。いずれ、終わらせる話だ」
ウェル……貴様だけは。貴様の夢だけは絶対に認めない。この
ーーーー
【F・I・S】が動きを見せた。海上へ、現れた大型飛行船が何かをしようと見せたところで、アメリカ政府から派遣された海軍が、彼らへ攻撃を加えようとかしていた。
しかし、それはウェル野郎のノイズによって、無力へ変わる。
数は少ないが、
「翼さんッ! 私も……」
「死ぬ気か、お前! ここにいろって。な? お前はここからいなくなっちゃいけないんだからよ。……頼んだからな」
「でも……」
「雪音!」
「わかってる。……わかってくれ、頼む」
アタシはこの馬鹿が、出撃しないように釘を刺した。コイツはこうでも言わない限り、行こうとしやがる。人を助けるために、この身を犠牲にしてまで。
「空太郎、コイツを頼む……」
「んー、まかされたー」
……なんか棒読みのような気がする。いや、なんか心あらずって感じ? と思ってたら、なんか動揺している?
……何があったんだ?
「しっかりしろよ! お前のサーヴァントも出撃させるんだろ? なら、マスターのお前がしっかりしないと!」
「……そうだよな。うん、そうだよなぁ。俺……
「当たり前だろ! 何寝ぼけてやがる!?」
「寝ぼけちゃないけど……まあ、気にしないで。ちょっと時間かけて心を落ち着かせるから」
……何があったんだ? 衝撃的過ぎて、びっくりしてるような。まあいいや、アタシはアタシの仕事をするだけだ。
今、シュルシャガナの装者がノイズを蹴散らしている。仲間割れを起こしたのか、都合がいい。
アタシと先輩で加勢へ向かうために外へ、飛び出した。
そこで待っていたのは、イガマリアの装者がシュルシャガナの装者を無力化させていた。あれは……アンチリンカーってヤツか?
「キリちゃん……どうして」
「あたし……あたしじゃなくなってしまうかもしれないデス。そうなる前に なにか残さなきゃ、調に忘れられちゃうデス。例えあたしが消えたとしても 世界が残ればあたしと調の想い出は残るデス。だからあたしは ドクターのやり方で世界を守るデス。もう、そうするしか……」
仲間割れしたのに、回収つもりか?
とりあえず、話を聞こうとしたら、今度はどっからかビームが飛んできやがった!?
なんだあれ!?
「いつから機動戦士が開発されてたんだ!?」
「雪音、なぜそこを目をキラキラさせる」
「いやだって、夢あんじゃん。ロマンあるじゃん!」
「それもそうだが、ちなみに私は斬鉄剣をやりたい」
「あ。それわかる。つまらぬものを斬ってしまったって言ってみてーし」
『君達! 現実逃避してないで、目の前の敵を見て!!』
藤堯の言葉で、アタシの意識を敵へ向かう。
「……嘘だろ」
人質になっていたアイツの友達が……なんで。
「小日向がッ!」
「なんで……そんな格好をしてるんだよッ!」
……ウェルの野郎。やってくれるな。
まさか、装者に仕立て上げるなんて。
「雪音! 避けろ!」
「わーってるよ!」
紫のビームから避ける。クソッ、このままだとジリ貧だ。てか、リフレターで防ごうとしたら、リフレターが溶けた!?
「なんだよあれ! 反則だろ、チートだろ!?」
「ぐっ、剣が溶けるなどとは」
「ふ、ふふふふ……」
不気味に笑うアイツの友達。
「この力さえあれば……響を。響を守れる」
「これさえあれば、響を危ないところへ行かせない」
「もう響が、誰もが戦わなくていいような……世界にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!!」
なんつーかその……。
「ヤベェな」
「ああ。本気で」
先輩までドン引きだよ。なんか、『やんでれ』ってワードが脳裏に浮かぶ。コイツってこういうキャラだっけ?
「なんか、立香にあてがいたいな。色んな意味で」
「私怨混じってないか? それ」
「ぜーんぜん。別にアイツに好き勝手身体を弄られて、ムカつくから、宛てがうわけじゃないから」
「いや、それめっちゃ私怨入ってるぞ」
ちょうど、立香と天羽先輩がここへやってきた。小日向のヤツがまたもやビームで、天羽先輩達を狙うが、それは躱され、当たらない。
クッ やりづれぇ。助ける為とはいえ、あの子はアタシの恩人だ。
隙を見て、陳宮が矢の雨を降らしていくが、小日向のビームがそれを
……まさか。
「立香! サーヴァントを下がらせろ!」
「ッ! まさか!」
今更気づいたが、遅かった!!
立香のサーヴァントであるシグルド、ブリュンヒルデがビームに呑み込まれた!
断末魔も悲鳴もなく、ブリュンヒルデを庇ったシグルドを、シグルドごとブリュンヒルデを呑み込み、跡形もなく消してしまった。
「サーヴァントが……霊格を残さず、消えた?」
「あれは聖遺物だけじゃねぇ!
だとしたら、コイツはマジでヤバい!!
普通の攻撃どころか、聖遺物やサーヴァント。それすらも封殺し、消してしまう特攻兵器だ!!
「まずいね……だとしたら、これは」
「ッ、悪いマスター! 翼ぁ!」
立香を先輩へ投げ捨て、天羽先輩がビームに呑み込まれてしまった!!
天羽先輩は元の姿へ戻り、ギアペンダントが……砕けかけていた。彼女はそのまま海へ落ち、浮かんだまま気を失っていた。
立香を受け止めた先輩は、苦虫を噛んだ表情で、小日向を見ていた。
「ッ、あれに当たればもう戦えなくなる!」
「マジかよ! 避けなきゃヤベェヤツかよ!」
どっかの機動戦士みたいに一斉放射してくる小日向。それを躱しながら、アタシはツインテールのヤツを回収した。
「し、調!」
「お前もこい!」
無差別にくる攻撃。金髪のヤツを先輩が回収し、まとまったところで、極太のビームが飛んできた!
先輩の巨大な剣を盾にし、さらにリフレターを使ってガードしたが、威力を軽減させただけで、その衝撃で吹き飛ばされてしまった。
『どうした! 何が起きている!』
オッサンの声が響く。ものの数秒のやり取りでここまで消耗するなんて……!!
「行方不明となっていた小日向未来の無事を確認。ですが……」
「無事だと? あれを見て無事だと言うのかッ!? だったらあたしらは あの馬鹿になんて説明すればいいんだよッ!」
全く……洒落にならない。友達殺しとかさせろなんて。
「先輩……。先輩達は二課へ行ってくれ」
「雪音!?」
「アタシがケリつける。立香のサポートもありゃ、充分だ」
「まあ、確かにいけるって行ったらいけるけど。
「わかってる! でもやるしかねぇんだ」
これ以上、悲しませないために。
これ以上、戦わせないために。
「アタシが、その十字架を背負う!!」
銃口を向け、覚悟を決めたアタシ。それを嘲笑う、アイツの親友。
「できますか? あなたに」
「その仕上がりで偉そうな事をッ!」
次々とくるビーム攻撃。それを避け、こちらもエネルギー弾で応戦してくるが、アイツの周りに浮くファンネルみたいなのが、三角形を作り、防ぎやがった!!
「【暁】か!!」
「え、あたしデスか?」
「ちげーよ! 危なっ!」
バリアしたら、残りでビーム攻撃かよ!!
てか、足場の船ごと沈める気満々かよ!?
「ふふふふふ、ふ、ハハハハハハ!!」
「うわぁー……あれ、ラスボスだよ。絶対シンフォギアではラスボスだよ彼女」
「ヒロインがラスボスなんて、 Vガンダムで充分だ!!」
「え、Fateもあるよ? エミヤ関係で」
「マジかよ!?」
エミヤって恋人とも戦ってたの!? どんな悲劇のヒーローだよ!
そう言うと、立香曰く、なんか【衛宮士郎】ってヤツがそうだったので、過去のエミヤと今のエミヤとは違うようだ。……いつか過去の自分が現れたら、きっと殴り合うな、こりゃ。
「へい、痴漢魔術!」
「字がちげぇ!!」
入れ替え技をセクハラみたいに言うな!! まぁ、お陰でビームの位置を変えることができた!
方向は小日向の方面。自滅してやんの!
「あのビーム、自分にも効くみたいだねぇい」
「なるほどな。んじゃ、どうする?」
「置換して、妨害する。そうしたら、その隙に撃つ。簡単でしょ?」
「マジで容赦ないな」
「友達だろうがなんだろうが、敵なら殺る。これが普通でしょ?」
だとしてもだ。コイツに情がないのか?
「それにいい加減止めないと響ちゃん、来るよ?」
「それは駄目だ。ここで無効化させる!」
「了解! 他に、何も……ッ!?」
そう言いかけた刹那、立香がバックステップして回避! 立香がいた地点に槍が刺さっていた。
「チッ、親玉かよ!」
「うにゃー……本気でマズイかも」
いつの間にか形成逆転していた。金髪のヤツは、親玉の元に着き、さらに小日向が親玉の味方。
「邪魔です」
そう言ってさらには陳宮を消し飛ばした! クソッ! 外道戦法を使っていくサーヴァントとは言え、今、これ以上味方が少なくなりゃ……いくら先輩と一緒にやっても。
「これで終わりね。調、こっちに来なさい」
「できません……」
「どうして?」
「こんな……こんな弱者を虐げて、力を抑えていくやり方なんて、やりたくありません! ドクターのやり方で世界を救っても、スッキリできない!」
「……調」
親玉が唇を噛んで何かに耐えていた。……何か思うことがあるのかもな。
「……それでも、私は。私達は進むわ。たとえ、どんなことがあっても」
「マリア……」
「ごめんなさい。……キリカ。無理矢理でも連れて帰るわよ」
「デス!!」
やり合う気満々か……。クッ、このままだと。
そう思うも虚しく、また極太ビームがアタシと先輩達の元へ向かっていく。結局、駄目なのかよ。
最後に思い浮かんだのは、あの馬鹿と空太郎の顔。なんでたってアタシは——————
「令呪をもって、命ずる。エミヤ——————『クリス達』の正義の味方となれ!!」
その声と共に、エミヤが前に立ち、大きな七つの花びらの盾で、アタシ達を守った。
「全く……無茶命令してくれるな、マスター」
「ごめん……ごめんな……」
「謝るなマスター。私とて、この世界でこんな最後を迎えさせてくれるなんて、願ってもいなかった」
エミヤの花びらの盾が……エミヤの身体が消えていく……。やっぱり、サーヴァントに効くのかよ……。
「万人の救える英雄になりたかった。それを君が叶えさせてくれたのだ。我々、サーヴァントはマスターのために道を切り開く者。ゆえに、私が消えたとしても、それはやむ得ないことだ」
「でも俺は……!」
「君は優しい。その優しさは本来ならば、私が咎めるべきだが……ありがとう。私のために、泣いてくれて」
「男の涙なんて……誰得だよ」
「フッ、別にいいではないか? だって、もう前を向くのだろう?」
エミヤの言葉で俯き泣いていた空太郎が、涙を拭い去り、顔を上げた。情けない顔ではなく、あのとき見せた……あの強い顔に。
「バトンタッチしたぞ、マスター」
「ああ……」
「次に会うときはカルデアだな」
「ああ……!」
「……またな。マスター。勝てよ。友達を助けるために!!」
「ああ……!! 任せろ!!」
空太郎の声を聞き入れ、ビームの攻撃と共に、エミヤは笑顔で消えた。
……アイツ、あんな顔で笑えるんだ。
「邪魔が入りましたね。まさか、空太郎さん。ここに来るなんて」
「来ちゃ悪いのかよ。エミヤを消したくせに」
「それは……申し訳ありません。でも、これは響のため。響のためだから」
「そうか。たとえ、目の前で人を消しても
空太郎の鋭いナイフの言葉で、顔を歪めた小日向と親玉。それでも、と彼女達は自分達の決意を曲げない。変えない。そんな表情となっていった。
「だとしても、私はこの想いを変えません! たとえ、あなたに何を言われても」
「そうか」
「あなたはたった一人で、何ができるのですか! 今、立ち向かうのはあなた一人なのですよ!」
「そうか」
「今の私は昔の私じゃない! もう無力な私じゃない! サーヴァントがいなければ何もできないあなたとは違う!!」
「そうか」
「それだけしか言えないのですか……。それだけしか言い返せないのですか!!」
「そうか。…………まあ、いろいろ言いたいけどさ。とりあえず、最初に言うけど、
サーヴァントなら、いる。とびっきり最高のヤツが」
サーヴァントがいる……?
でも、どこに……。
「アルトリアさんを呼ぶつもりですか? 無駄ですよ、私のこの神獣鏡なら」
「卑弥呼」
「いっくよー!!」
急に現れた卑弥呼が小日向をバリアごとぶっ飛ばした!?
空へ上がる小日向は忌々しそうに空太郎を見ていた。
「それがどうしたのですか! バリアで卑弥呼さんの身体……消えて、ない?」
なぜ!? サーヴァントなら、あの光……もといエネルギーを触れたら消えるはずじゃ!
「卑弥呼はサーヴァントだけど、一部の聖女系サーヴァントには効かないって予想してたわけ」
「要するに?」
「魔力で纏ったパンチなら、後は筋力でぶっ飛ばせる。ステゴロで天使や神様をぶっ飛ばしてきた人だから」
……サーヴァント関係なくね?
てか、シグルドとブリュンヒルデ、陳宮は聖女や聖人ってわけじゃないけど、なんか、こう納得できねぇ。
だって物理で起きた衝撃波でぶっ飛ばすってことだろ!?
なんか違うだろこれ!
それを気にせず、空太郎は続けた。
「まあ、かと言ってもうサーヴァントの援軍は呼べないけど。こっから先はマジでしんどいし、そんな余裕がなくなる」
「何がいいたいの?」
親玉が空太郎に聞く。空太郎は不敵な笑みを浮かべて言った。
「……友達を助けるには、友達が一番ってこと。なぁ、
——————ガングニールの響」
空太郎がそう言い終えると、あの馬鹿がヘリから飛び降りて、シンフォギアを纏う姿を見た。
ーーーー
———十分前、
「翼さんもクリスちゃんも戦ってる今 動けるのは私だけですッ! 死んでも未来を連れて帰りますッ!」
「死ぬのは許さんッ!」
「じゃあッ! 死んでも生きて帰ってきますッ!! それは、絶対に絶対ですッ!」
二課の潜水艦にて、弦十郎と響が言い合っていた。理由はそう、響を出撃させないためだ。
仕方ないといえば仕方ない。彼女の胸の爆弾は、シンフォギアを使えば使うほど期限が迫る。
「弦十郎さん。行かせてください」
「空太郎くん。しかし!」
「俺も行きます。一つだけ秘策といいますか、対策を立てています。……それにあの神獣鏡を使えば、未来ちゃんだけでなく、響を救えるかもしれない」
「なんだと……」
空太郎の言葉で弦十郎は思案顔になる。彼はあの神獣鏡の特性を理解した。あれは……魔を払う。そして凶も払う。ならば……と思い、彼は弦十郎へ提案したのだ。
「胸に抱える時限爆弾は本物だ。作戦超過、その代償は 確実な死である事を忘れるなッ!」
「大丈夫です。俺の対策で、彼女のタイムリミットは伸びています。……絶対死にません」
「本当か? してその対策は」
「時間がないので、そのまま行きます。そして、その戦いで説明していきます」
彼はそう言って響と共にヘリへ乗り込んだ。
中には既にエミヤがおり、飛び上がっていくヘリの中で、彼はエミヤに言った。
「エミヤ……」
「わかってる。この身をかけて」
「うん……お願い。俺の予想が外れてほしいけどね」
「大丈夫さ。信じろマスター」
エミヤの言葉を聞き入れ、彼は、深呼吸をして、覚悟を決めた。
「いくぞ……
「はい!!」
そう言って、エミヤと彼はヘリから飛び降り、未来のビームから装者を守る。
「———
かつて、マスターとその仲間を……過去の自分を守るために使った彼の鉄壁の盾。
「
その盾は、仲間とマスターを守り、彼は消えていった。それを見た響は、決意を固める。
「絶対助ける!!」
なお、卑弥呼様が招かれた理由は神獣鏡の影響。
一応、鏡関係だしね、邪馬台国、銅鏡めっちゃ多用してたし。
神獣鏡のバリアは、魔力やシンフォギア関係のエネルギーは全て無効化しますが、卑弥呼パンチという魔力でコーティングされた拳とそのとき起きた衝撃波で、ぶっ飛ばすことはできます。
なので、響ちゃんなど直接、拳をぶつける系は有効という設定です。
……なんか、そのうち響ちゃんが武術だけで魔法の域にいきそう。
次回、ひびみくファンの皆様ごめんなさい。やってしまいました(汗)
完全にネタを交えたシリアスなのでお覚悟のほどを……!!
—————いや、最初の設定はね……結構マイルドだったんだよ。なんでノリで書いてしまったんだ……。
ーーーー
サーヴァント:393様
クラス:バーサーカー
属性:混沌、善、神性(?)、魔性、人、愛する者、病み
・四ブレイクしなければ倒せない。
開幕から393はバフ
『無駄ですよ』
・サーヴァントに対して耐性を得る、被ダメージにて確率で即死を与える(擬似サーヴァント、デミサーヴァントは除く)
『消えてください』
・ダメージ時、確率で即死を与える(聖女または聖人系サーヴァント、擬似サーヴァント、デミサーヴァントは除く)
『う、あぁあぁ……』
・確率で麻痺状態になる、宝具封印
『響、響、ひびきィィィ!』
・チャージマックス、攻撃力大アップ、即死確率を上げる
宝具『
・全ての強化状態を解除
・確率で即死を与える(擬似サーヴァント、デミサーヴァントは除く)
戦闘
・開幕時、マスター側のスキルが封印
・サポートが立花響で固定
・デミサーヴァント、擬似サーヴァント、聖人または聖女系以外のサーヴァントに対して、防御力ダウン付与
『マスターの最後の支援』
・宝具威力、攻撃力、防御力アップ
・デバフ状態無効化を付与
『令呪をもって、命じる!!』
・ガッツ二回付与
・無敵二回付与
攻略方法
・基本的にいつも使う擬似サーヴァントを除いたサーヴァントでは無敵があっても即死するので、使わない方向
・立花響に超火力宝具で挑むのがベストなので、ダブル孔明やマシュを使うのがベスト
・ケルヌンと比べたらマイルドだが、サーヴァントが揃ってないとキツいかもしれない