Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア   作:ぼけなす

36 / 79


———Anti_LiNKERは、忘れた頃にやってくる。ふはははははッ!
———なら……ブッ飛べッ! アーマーパージだッ!!
———それ、恥ずかしくない?
———うん、これできたクリスはすごいね。キャスト・オフだもん

 もう使われないセリフ達より。


第三十四話 だから英雄は

 

ーーーー

 

———ウェルが杖を奪われる前。

 

 マリアは愕然としていた。理由は自身のしたことが、世界を救うのではなく、世界を壊す手伝いをしてしまったからだ。

 

「有史以来、数多の英雄が人類支配を成し得なかったのは 人の数がその手に余るからだッ! だったら支配可能なまでに減らせばいいッ! 僕だからこそ気付いた必勝法ッ! 英雄に憧れる僕が英雄を超えてみせる!」

 

 自分勝手な言い分。

 自分勝手な理想。

 

 そんな男の手伝いをしてしまった彼女は絶望し、泣き崩れた。

 

「気の済むまで泣いてなさい。帰ったら 僅かに残った地球人類をどう増やしていくか、一緒に考えましょ」と言って、彼は雪音クリスと風鳴翼、暁切歌と月詠調が戦う様を、高みの見物へ向かっていった。

 

…………結局、奪われてしまったがね。ザマァである。

 

 さて、いい加減。彼女には立ってもらおうか、そう思っていたら、ナスターシャ教授が彼女を叱咤していた。……彼女はこれからも、一人で悩み苦しむことがあるだろう。

 

 だが、彼女には家族がいる。妹がいる。仲間がいる。ナスターシャ教授自身がいなくなっても、きっと彼女は立ち上がれる。

 

 そう彼女へ伝えたような気がした。

 

「クソクソクソ! どいつもこいつも!」

 

 ウェルが苛立ちながら帰ってきた。杖はギルガメッシュ王に奪われたからね。そりゃ当然だ。

 

「こういうときこそ、フロンティアの力で」

 

おっじゃましまーす!!

「何事ォー!?」

 

 ウェルがシャウトしながら驚く。空太郎を乗せた牛の戦車が壁を破壊してから、突入してきた。これが噂のダイナミックエントリーか。

 

「ではな坊主達! 良い征服を!!」

「ありがとうー、良い征服を!」

「……それは共通の掛け声なのかね、マスター」

 

 イスカンダルが壁をまた破壊しながら、出ていった。

 

「人ん家の庭だけでなく、家を破壊するなんて常識を考えたらどうなんだ!!」

「うるせーよ。英雄になるためだけに人類抹殺しようぜ計画してるオッサンに言われたくねーよ」

「まだオッサンじゃない! お兄さんだ!」

「顔芸のせいで老けてるんだよ。そこの孔明みたいに」

「余計なお世話だ!!」

 

 カラカラ笑う空太郎。忌々しそうに舌打ちするウェル博士がこちらへ命令してきた。

 

「キャスター! さっさとコイツを排除しろ! 出なければマリアがどうなってもいいのか!?」

 

 おや、人質か。ふむ、では僕は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好きにしろ。この娘がどうなろうがどうでもいい」

 

 僕の言葉に、ウェルだけでなくマリアまでも目を丸くした。

 

「な、何を言っているんだ!」

「好きにしろと言ったのだ。僕にとって重要なのは、ウェル。貴様の野望を徹底的に砕くこと。誰が犠牲になろうが構いはしない」

「何を言っている!? セレナのサーヴァントだろう! なら、忘れ形見である姉のマリアが大切じゃないのか!」

「ないな。姉だろうが関係ない。まあ、そもそもセレナは生きているがね。知っていてあえて言わなかったが」

「なんだと!? 騙したのか!」

「当たり前だ。まあ、正直に言えばマスターがどうなろうが構いはしない

 

 僕の言葉に衝撃を受けてしまった二人は固まってしまった。それに対して空太郎が口を挟んできた。

 

「……徹底的に人間が嫌いなんだなぁ」

()()()。むしろ、さっさと滅べ人類と思うぐらい嫌いさ。一部、マシな存在がいるが、後は碌でもない者ばかりさ」

「なら、そいつのことを協力したらいいじゃん」

「愚劣極まりないことだ。()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ウェルとは全く逆の考え。

 

 僕にとって【英雄】とは人間の愚かさが生んだ者だ。

 

 自分達には力がないと勝手に決めつけ。

 自分達には敵わないと勝手に決めつけ。

 自分達にはできないと勝手に決めつけ。

 

 その無力さを克服し、立ち向かわなければならなくなった者こそ、英雄と呼ばれてしまった。

 

 犠牲者だ。被害者だ。

 

 そんなものになりたいと思わないし、なろうとも思えない。むしろ、誰かがその役割を負うなど言語道断だ。

 

 目の前で愚かな言い分をする馬鹿どものために、戦うことや戦わせるなど僕が、いや、()が許せるはずがない。

 

「カルデアの英雄達も否定してそうだけど」

「彼らを否定するつもりはない。だが、私は思うのさ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と」

 

 もちろん。彼のために戦う者、寄り添う者はいた。けれど、共に戦ってくれた人が少なすぎる。

 

 無名でもいい、有名でなくても構わないそんな人間が少なすぎる。

 

 ゆえに、私は()()が許せない。

 

「実はアヴェンジャーじゃない?」

「まあ正直、私自身も思う。なにせ、ブラック研究所に所属していたからな」

「よかったな孔明。仲間だぞ」

「解せぬ」

 

 渋顔の孔明とカラカラ笑う空太郎。

 

「ふざけるな!! それはお前の価値観じゃないか!!」

 

 それに気に食わないのか、ウェルは怒鳴った。

 

「その通り。私の一個人の価値観さ。これまで歩んできた上での、意見だ。無視するなり、検討するなりするがいい」

「認めん! お前のようなヤツが英雄などと!」

「私も認めんよ。お前のようなただ【英雄】になりたいと言う愚かな者だけは」

「なんだと!?」

 

 まだ気づいてないのか? どこまで愚かなのだ、この男。私が口を開こうとすると空太郎は、手で制してきた。

 

 彼が言うのか……ククク。まあ、それがいいか。

 

「葡萄ジュース博士」

「ウェルだ! いい加減名前覚えろよ! どこまで記憶力ないんだ!」

「うん、だって()()()()()()

「は?」

 

 素っ頓狂な声を出すウェルに気にせず、彼は口に出した。

 

「いやさー。正直、俺も普通、名前は覚えて口に出すよ? 相手が自分の敵として言えるならば、俺ははっきり名前で言っていくし」

「じゃ、じゃあ、なんで!!」

「え。だって、お前……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小物じゃん

 

 小物。その一言に部類する。

 

「第三特異点の敵だったイアソンだって、悲鳴はあげても自分の軸をしっかり持っていたよ。自分の王国を再建して、王となるって、まあ、ほぼ理想的な夢だったけど、悪くはないと思ってる」

 

 けどね、と続ける。

 

「対してアンタはただ()()()()()()()という夢しかない。どんな目的や理想もなく、夢や目標を語ることなく、ただ英雄というネームしか求めていない。……そんなの、敵として言いたくないというか、恥ずかしいよ。今まで戦ってきたサーヴァントや敵に失礼だ」

 

 全くだ。彼が戦ってきた者は、良いも悪いも含めて、()()()()()()を持っていたそうだ。

 

 【英雄】など、ただの過程によって生まれた産物であり、手段。彼らの夢や目標が、【英雄】となり得た産物なのだ。

 

「こ、ここここの僕が、小物、だと?」

「うん。正直、相手にするのも恥ずかしい。子ども相手に本気出せって、酷い話でしょ?」

「ふ、ふざけるなァァァァァ!!」

 

 ウェルが怒り狂い、フロティアの機能の一部を使ってきた。これは、ネフィリムの心臓を媒介にしたホムンクルスか。

 

「世界がこんな状況だからこそ、僕たちは英雄を求めている。そう、誰からも信奉される偉大なる英雄の姿を求めているんだッ! だからこそ、僕が立ち上がり、英雄となり得るのだ!!」

 

 複数現れるネフィリム達。対して空太郎は肩をすくめて呆れ果てていた。

 

「あっそ。くだらない癇癪」

「辛辣だな、マスター」

「だってマジで相手したくないもん。馬鹿馬鹿しくてしょうがない。ましてや()()()()()()()()()()()とか付き合ってなれないって」

「私もだが、一応、相手は普通に強いぞ」

「だろうね。まあ、アルトリアを呼ぼうと思ってたけど、今は二課に待機してもらってる。だってこの先、コイツが何やからすはわからないし」

 

 ウェルが二課が乗る潜水艦を狙わないとは限らない。ゆえにサーヴァント達を待機してもらってる。

 

「だから代わりに喚びたい人がいるんだよねー」

「ほう。誰だ?」

「そりゃ、もちろんマリアさんの持つギアに由来する人」

 

 彼はそう言って、マリアの元へ足をすすめた。

 

「空太郎……私」

「言わなくてもいい。君の罪や業はわかってる」

「ッ……そう」

「でも、ここで座り込むのは違うよね?」

 

 彼はそう言って、マリアの持つガングニールのギアをとる。

 

「このまま、彼の思うままでいいの?」

「……ちがう」

「セレナさんが、切歌や調ちゃんが必死になってまで守ろうとした人が、失うのをただ見てるだけでいいの?」

「……ちがう!」

「ならさ、これ。どうする?」

「……戦う。私は戦うわ!!」

 

 目に光が戻る。ガングニールのギアを空太郎はあらぬ方向へ投げ捨てる

 

「なっ!? なんのつもりでッ!?」

「あ、ごめん。これは一応彼女に貸し出すね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「Balwisyall Nescell gungnir トォォォォォォォォォッ!!!」

 

 

———と思っていたら、手がそれを受け取る。立花響が。

 

「お待たせ!!」

「待ってたよ、サーヴァント」

「テヘッ。結構時間かかっちゃった」

「ジャストタイミングさ。いい感じできてくれた」

 

 なるほど……立花響と契約を交わしたようだ。ふむ、これはもしや、修羅場に繋がる予感?

 

「私のギア……」

「持ってるでしょ、もう一つ。セレナから受け継いだとびっきりの」

 

「はい。貴女には既にあるはずです。弱き人を守るための剣が」

 

 光と共に現れた美丈夫。聞いた話では、かつて姉妹を助けた英雄……。

 

「サーヴァント、ベディヴィエール。少女の助けの元、参上しました」

「貴方は……!」

「お久しぶりです、レディ。立派になられましたね」

 

 爽やかスマイルで、彼女を安心させるベディヴィエール。登場の仕方も、イケメンだ。

 

「おー、空太郎さんとは違うイケメンですね!」

「ベディがイケメンなのは周知の事実。別に悔しくとも思わない。だって、マジでかっこいいし」

「空太郎さんの薄い本が厚くなるね!」

「絶対リディアンには行かせん。俺の心労のためにも」

 

……リディアンでは何が起きてるのだ?

 

 なんか恐るべき事実が判明している。

 

「今さら何ができる! このネフィリムホムンクルスは空太郎のサーヴァントから得た経験や力を持っている!! サーヴァントや装者がいたところでなんになる!!」

「なんでもよ!」

 

 聖詠を唄い、マリアもシンフォギアを纏う。

 

「覚悟してドクター。今の私は強いわよ!!」

 

 今、世界を賭けた一戦が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、マリアさん。その格好もなかなかエッチぃですな。恥ずかしないのですな?

「それを今言うの!?」

「大丈夫! いずれ慣れますから!!」

「慣れちゃいけないわよ!? いつか後悔するわよ!?」

 

 

 なんかグダグダしながら始まった。





なお、ナスターシャは月へ向かいました。そこは原作通りなのでカット。
ごめん、マム。だって濃いもん、このメンツ。

唯一まともなのはベディヴィベールとマリアのみな件。

空太郎? 苦労人をまともだと言うのは違うと思わないかね(笑)

さて、次回はネタと黒幕考察へ。

———果たして彼らを招いたのはどこのどちら様でしょう?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。