Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア   作:ぼけなす

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———そういえば、イベントやった?
———周回ガチャで、立香が暴れてた頃を思い出した。何回ステラしたことやら


第六十話 喧嘩したら本音で語らせろ

 

 

ーーーー

 

 夢を見る。夢を見た。

 

「立香ァァァァァ! お前、またマシュに変なこと教えたでしょォォォォォォ!」

「あ、ヤベ。バレた?」

「バレるわ! なんだよ誕生日プレゼントは私ってヤツ!? お陰で、女性サーヴァント達が修羅場ってますわ!」

「でも嬉しいでしょ」

「そりゃもちろん」

「男の子だよねぇ、お兄ちゃん」

 

 少女にグッジョブサインを送る彼は、まぁ、男の子であるということだ。

 

「つーか、マジで親の紹介するときに変なこと教えるのやめて。お前と違って普通の親なんだから」

「さりげなく私disられた。ちょっとショックだなぁ」

「んじゃ、普通にしろ」

「これが私の普通だ」

「いや普通じゃねぇし! どこの世界にレースクイーンが部屋着ですって教える!?」

「私の世界ではそれが常識です」

「そんな変態ワールドに、マシュを巻き込むなよ!」

「アハハハ! いやー、お兄ちゃんのリアクションは愉しいねー」

「愉しんでるじゃないよ。全く、最後の戦いが近いってのに、なんでこんなことするんだよ」

「んー……」

 

 そのとき、少女はわからなかった。こんな悪戯しなくても、これからもきっと続いていく日常の中で、こんな悪戯はきっとできるはずだ。

 

 なのに、な(・)ぜ(・)か(・)無(・)性(・)に(・)し(・)た(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)。(・)

 

 最後だからだろうか?

 

「まぁ、いいや。これ以上、変なこと教えるなよ。終わった後のことを考えたら胃が痛くなる……」

「恋人が変態になってたら、面白いよね」

「お前がな! ギルガメッシュ王と一緒にグラスでなんか飲んでるでしょうね!」

「まぁまぁ。お兄ちゃんも終わった後のこと、考えてるの?」

 

 少女は後のことなど考えていない。今、この瞬間こそが彼女の存在意義だった。

 

 ゆえに、この戦いで命を捨てるなど躊躇しない。

 

 だって、彼女は人(・)理(・)を(・)救(・)う(・)た(・)め(・)だ(・)け(・)に(・)生(・)ま(・)れ(・)た(・)人間(人形)なのだから。

 

「終わった後ねぇ。まぁ、普通にサラリーマンとか目指そかなって」

「えぇー、つまんなーい」

「普通がつまんないとか言わないの。こう見えて憧れてんだよ、全く」

「まるでドクターみたいなこと言うね」

「そうか? ドクターの普通の人間として生きたい願いは、俺も共感したよ」

 

 彼はこれまで、全て少女達が普通に生きていられる世界を目指してきた。美しいもの、素晴らしい世界を、広い世界を見せて行きたいと思っていた。

 

「だから、立香。お前もさ、もっと世界を見てみろよ。世界って結構広いんだぞ?」

「レイシフトや異聞帯とかで結構世界見ているけどなー」

「それはそれ、これはこれ。今生きてる世界って案外悪くないと思うぞ?」

 

 少年の笑みに、少女は思う。

 

———彼はこんな世界が好きなんだ

 

———私にとって、残酷で冷たい世界でも、綺麗な世界があるんだって言いたいんだ

 

 少女は彼を信じたくなった。人形じゃない自分も、もしかしたら……。

 

「アハハハ、だといいね」

「だろ? まぁ、お前が嫁をもらってくれるかどうか」

「安心して! そのときは私のハーレムもろとも、お兄ちゃんが私をもらってもらうから!」

「よくねぇよ!? 俺に更なる負担かけるつもり!?」

 

 カラカラ笑う少女に、少年は額に手を当てて、呆れる。

 

…………これはある一幕。カルデアに彼がいたときの、優しい思い出。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………相変わらず、嫌な思い出」

 

 憎々しげに呟く。

 

 

ーーーー

 

「検査の結果、傷もそれほどでもないです。安静していればすぐに良くなりますよ」

「うん、ありがとう……」

 

 響がエルフナインの診断結果を聞くも、どこか元気がない。

 

「調が悪いのデス!」

「キリちゃんが無茶するからでしょッ」

「調が後先考えずに飛び出すからデスッ」

「キリちゃんが私のこと足手纏いと思っているのでしょッ」

 

 あの二人が喧嘩するなんて珍しい。私が驚いていると、エルフナインちゃんが「傷口に障るからやめてくださいッ」と叱りつける。

 

「こんな状態じゃ、イグナイトモジュールも無理ですッ!」

「……」

「……」

「「フンッ」」

 

 うーん、亀裂が入ってしまった感じだ。こういうのも愉悦というものだろうけど、なんか違うね。

 

 そうだねぇー、空太郎さんのように羞恥で悶える姿とか。

 

「未来……なんかイケナイ顔してるよ」

「おっと。危ない」

「……二人ともごめん。私が最初にペースを乱したから」

 

『響は思う。あのときのことを』

 

「何があったの?」

 

『調は響のことを心配する。いつもの彼女らしくない。明るく前向きな太陽のような少女が、今や日陰を作っている』

 

「実は……お父さんとまた会ったんだ」

 

『彼女が会った父親は、今や見る影もない。優しく頼りがいのあるナイスガイではなく、まるでダメなオッサン、【マダオ】へ変貌していたことに失望したのだ』

 

「あんなにカッコよかったのに……あんな姿、見たくなかった……」

 

『そう、彼女が知る父親、ナイスガイ晄はいない』

 

「……私のせいだ」

 

『何これオモシロ』

 

「違うよ! 未来のせいじゃないよ。悪いのはお父さんだ……」

 

『おのれ、マダオ。未来を泣かすとは許すまじ。ヌッコロを誓う響である』

 

「でも……」

「平気へっちゃら……! 大丈夫だよ」

「響……」

 

『そうして出来上がったのは百合の花園。二人の間に、障害など』

 

「ってさっきからなんなのこのナレーション!?」

 

 いい加減に響もツッコんだ。なぜか目の前に文字が出るナレーション。私達の心情と描写を事細かく伝えていく。

 

「誰!? こんな酷いことするの!? せっかくのシリアスが台無しだよ! 私の悲しい過去が悲しいコメディになっちゃったよ!」

「あわわ〜、申し訳ございません」

 

 そこにいたのは紫式部さんと空太郎さん。なぜか、彼はうまい棒を片手に私達を見ていたらしい。

 

「いいよ、続けて」

「続けないよ!? てか、空太郎さんのせいだよねこれ!?」

「違うって。ここにいる紫式部さんもとい、薫子さんは思っていたことを文字に出してしまう陰陽術が自動的に発動しちゃう未亡人さんなの」

「そんな人をなぜここに連れてきたの!?」

「え、喧嘩するんだろ? なら、手っ取り早く本音で語らせろだろ」

「どこの熱血漫画!? というか、出てたの私と未来の本音だし!!」

「その未来さん。『何これオモシロ』って内心呟いていたぞ」

「そんなことないもん! きっと、違うよね未来!」

 

『えー、気づいちゃったのー?』

 

「未来ゥゥゥゥゥゥゥゥ!? 私達友達だよね!? 私達、相思相愛だよね!?」

「相思相愛だよー。だからこそ、イジらなきゃ♡」

「空太郎さん! どうして未来をこんなドSにしたの!?」

 

『拙者の責任ではないでザンス』

 

「どういう呟き!?」

 

 空太郎さんもなかなか言いますね。切歌ちゃんと調ちゃんがクスクスと笑っている。

 

「おっ、笑顔になってきたじゃん」

「「えっ」」

「なんか、意地張って、喧嘩してるって見てて感じたからなー。ムスッとしてたら、ビキオのようにイジられるぞー」

「なんで私なの!?」

「いや、お前の重いシーンはお腹いっぱいなんだよ。手軽で簡単なもので頼むよ」

「そんなものないよ!」

「じゃあ、麻婆を食べようよ響」

「未来もなんで嫌がらせするの!?」

「「楽しいから」」

「ドSですかこの二人!」

 

 失礼な。これでもまだマイルドだよ。

 

「うぅー……なんでこうなるの」

「日頃の行いだ」

「本音は?」

 

『よくも装者みんなにジャンボパフェを奢らせると、回したな。おかげで、今月の小遣いがゼロだと、考える空太郎であった』

 

「怒ってたの!? え、お父さんと別れた後のアレで怒ってたの!?」

「いやいや怒ってないよー」

 

『殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺(シャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ)ァァァァァ! 何かに目覚めて走り出した空太郎である』

 

「めちゃくちゃ殺意高め!? ブチギレじゃん!」

 

 結構お冠? と思っていたら、薫子さんが呆れた息を吐いた。

 

「マスター。心の声で遊ぶのはやめてくださいまし」

「あ、バレた?」

「読心術の対策で、本音を隠す訓練されてたのを知ってますから」

 

 あ、やっぱり嘘なんだ。

 

「じゃあ、ブチギレているのは嘘なんだね!」

「うん、だが、ジャンボパフェの件は許さない」

「やっぱり、怒ってるのそこ!?」

 

 まぁ、値段高いからね。そうこうしていると、切歌ちゃんと調ちゃんがエルフナインちゃんにLinkerを渡されていた。またオートスコアラーの襲撃があるのだとか。

 

「くれぐれも使い所を間違えないでください。Linkerの数にも限りがありますから」

「ジョンが目覚めたら、また作ってもらえるからそれまで辛抱しなきゃね」

 

 サーヴァントのジョンさんは空太郎さんと仮契約を結んだことで、消滅は免れたが、意識が戻っていない。彼が長く海に流されて衰弱していたし、魔力消費を節約していたので、結構危なかったらしい。

 

「つまり、ジョンさんとも合体したってこと」

「「「「「ッ!?」」」」」(ガタッ)

「いや、してないから期待を込めた目で見るなゴルァ。そもそもサーヴァントの契約は、マシュの盾でもできるって」

「あれ? でも私とクリスちゃんは合体したよね」

「あれは聖遺物という英(・)霊(・)を(・)纏(・)っ(・)た(・)からこその擬似サーヴァントなんだ。聖遺物のない状態の生身の人間と契約なんてできないからな。立香がやったように、自身の一部を契約したい人間が取り込むことで、本契約が果たされるってわけ」

「なんだぁ。てっきり、新作と同じ展開になると思ってた」

「うん、後で話をしようかビキオ」

 

……墓穴を掘ったね、響。

 

 ほっぺを引っ張られてお仕置きされる響。空太郎さんは嘆息を吐いて、喧嘩している調ちゃんと切歌ちゃんに一言。

 

「とりあえず、本音でぶつかり合いなさいな。俺らは何も言わないから」

 

 そう言って薫子さんを残して退出。……でも、この人いたら、恥ずかしいことを考えていたら、文字に出るんだよね。

 

「わ、私も出るデス」

「私も……」

 

『こんなところにいられるか! と二人は死亡フラグを立てながら空太郎お兄様についていくのだった』

 

「「お兄様って呼んでないデスよ!?」」

 

 あ、シンクロした。

 

ーーーー

 

「いやー、こんな日はお参りするもんだねー。なんか知らない神社だけど」

 

 なんとなく、帰り道に見かけた神社へ行き、お賽銭を入れた空太郎。

 

「……何を祈ろう」

 

 彼自身祈るものはない。神様はカルデアにいるし、祈ったところで答えが出るわけでもない。

 

そもそも、ミカとの戦いではメディアが突撃してきたことにより中断されたわけだが

 

「俺のBLがなくなりますようにって祈ればいいのかな」

「それはムリだゾ」

「マジっすか。んー、じゃあ……ん?」

「ヤッホー! これでも喰らうんだゾ!!」

 

 赤褐色のクリスタルが一斉に飛んできた。空太郎はそれを避けながら、サーヴァントを呼ぶ準備を始めたが、一つのクリスタルが目の前に落下してしまい、吹き飛ばされてしまった。

 

「……いって」

「ムフフ、これでおびき寄せる準備ができるゾ」

「黙らっしゃいタマモ擬き。俺を餌にしたら、ヤベェの来るぞ。筋肉か変態が参戦するぞ」

「ワタシはそんなの知らないゾ」

 

 幼女の君にはわからないものだ、と空太郎は内心思う。

 

「というかメディア来ないの?」

「…… 一通り、着せ替えさせて満足されたゾ」

「ご愁傷様ー」

「ヌガー!」

「痛い痛いって」

 

 鉤爪で突かれてしまう空太郎。

 

 そんな最中、シンフォギアを纏った調と切歌が参戦した。

 

「クータロー! また捕まったのデスか!」

「空太郎さん、麻婆ノイズは?」

「いや、なんで麻婆ノイズをご所望なのデス!?」

「キリちゃんに仲直りの証として、食べてもらいたい」

「あたしにとっての嫌がらせデスよ!?」

「そんなッ! あの至高の辛さがわからないの……!?」

「わかりませんよ!? というか、なんか黒髪の人が主に麻婆好きなのデスか!?」

 

 言われてみればそうなる。黒髪の人が麻婆好きな法則が出来つつある。

 

 どこぞの神父も、麻婆イケると聞いている。なお、例外はフランシスコ・ザビエルと騙る少年少女である。

 

「私は足手まといじゃない。だから戦える」

「足手まといなんて思ってない! 調のことが……調のことが好きなのデス! だから、傷ついてほしくないのデス!!」

「キリちゃん……」

 

 戦いながら、百合展開が始まったのを見て空太郎は呟く。

 

「え、キマシタワー?」

「「うるさい!」」

「理不尽ー!」

 

 爆風で飛んでいく空太郎、切歌は彼を受け止め、そして落ちてくるクリスタルの瓦礫を盾にして防いだ。

 

「クータローシールドは伊達じゃないデス!!」

「いだだだだだだッ! またこれ!? 夢じゃなくて現実もするの、これ!?」

「なんで普通に痛いだけで済んでるのかな」

 

 激しい瓦礫の応酬に対して空太郎は「痛い」だけで済んでいる。伊達に多くの修羅場を乗り越えてきたのではない。

 

 そして、二人は息を合わせて、イグナイトモジュールを使った。イグナイトモジュールの呪いが空太郎の中に流れ込むが、彼女達は既に己の闇を乗り越えていたため、軽い呪いで済んでいた。

 

「クータローはそこで見ていてください!」

「私とキリちゃんで、この子を倒す」

 

 サーヴァントを召喚しようとした空太郎は、手を下げてただ見守った。

 

 彼女達の戦いを。リベンジマッチを。

 

 

ーーーー

 

 んー、予定通りになっちゃったなー。

 

 ミカちゃんが敗れて、赤色のエネルギーが流れ込んでいるところを見る私。

 

 いよいよ、近いかな……お兄ちゃんとの決戦ってヤツが。

 

 そんなとき、遂にキャロルちゃんの思い出のインストールが終わった。彼女の複製体が、コフィンから出てきて、最初に吐いた一言は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かっっっっらっっっっ!!」

 

 舌を出して、水を求めていた。あ、エルフナインちゃんの麻婆試食体験が効いてるんだっけ。

 

 通りで、たまにコフィンから断末魔が聴こえていたわけだよ。

 

「クソぅ……己、空太郎め。まさか、気づいてあのホムンクルスに麻婆を提供したわけじゃないだろうな?」

「んー、たぶん偶々かな。お兄ちゃんは同好の士を求めて提供したりするから」

「あの激辛兵器をか!? そもそもなんでアレを食べれる!?」

「ハッハッハッ! ……美味しいからじゃないかなー」

「わけがわからん……!」

 

 私もだよ。狂った頃の私も食べさせられていたけど、「からいー」と苦しみながら食べてたねー。

 

 今はもう無理だけど。

 

「それじゃあ、これからどうするの?」

「言うまでもない万象黙示録を完成させる」

 

 キャロルちゃんの目的。世界を分解するための術式。

 

 奇跡を否定し、蹂躙するための儀式。

 

「世界の終わりを加速させる!」

 

 彼女の目的は、私(・)と(・)は(・)違(・)う(・)。(・)

 

 でも、彼女に協力するのは彼女から提供してもらうモノが、私(・)の(・)目(・)的(・)なのだ。

 

「……決着つけようよ」

 

 私の背後にいるサーヴァント達は、複雑そうな顔をしている。まぁ、私の目的がアレだからねぇ。

 

「だから、早くここにきてね。お兄ちゃん」




ーーーー
ミカ・ジャウカーン

属性:魔性、機械系、聖遺物、愛する者
説明:
・確率で無敵発動

戦闘:

・イグナイトモジュールの切歌&調(ライダー)の宝具でしか倒せない
・出撃するアルターエゴに魔性特攻付与

『出番だ、アルターエゴ達!』
・魔性特攻付与、ターゲット付与
『勝負だゾ!』
・毎ターンチャージ
・確率で火傷付与

ーーーー

遅くなって申し訳ございません。いろいろあって、まぁ、更新遅れていました。FGOのイベントが立て込んできましたからねぇ……(遠い目)
完全に私的な理由なので、悪いのですが(ーー;)

最後に出てきた立香の発言通り決着は近いです。
そろそろ、奏とセレナ達を戦わせないとですねー。……ロベルトも出さなきゃ。

さて、次回は空太郎を除いて、翼とマリアが風鳴邸へ。……八紘さんが出てきますが、まともな展開と思わないでくださいね。

———お父さんって大変だね
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