Fate/grand order 絶唱魔性戦記シンフォギア 作:ぼけなす
答え合わせの時間です(愉悦)
———どう思う?
———元からそういう性質ありましたからね、彼女は
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キャロルちゃんに尋ねた。なんで、私と協力するのって。
「……おれはオマエを利用するって決めたんだ。そして、オマエもそれを了承した。お互いビジネスライクってヤツだな。……けどな、なんでだろな。
セレナさんに聞いた。なんで契約してくれたのって。
「私は決めたからです。アナタを……藤丸立香を救いたいと。【普通】を知って苦しむこの子を手助けしたいと」
二人とも良い人だ。私なんか勿体ないくらいのとても良い人だった。キャロルちゃんは否定してくるかもしれないけど、彼女はきっと妹がいたらとても良いお姉さまになっていたに違いない。
だって面倒見がいいもん。
それに対して私は……とてもミニクイ。
自分勝手で、自己中心的で、自分のことしか考えられていない。
私の破滅への願いは身勝手で、お兄ちゃんが託してくれた全てを否定したかった。
だって、それはお兄ちゃんが得るものだった
多くの賛美と、多くの名誉が藤丸空太郎が得るものだったんだよ?
そんな……そんなモノを、何も知らずに能天気に生き残ってしまった私なんかが得るべきじゃないんだよ……!
今でも、私は……自身の思い出———世界をすくえとしか考えれなかった狂気の記憶に苛まれていた。
「普通になりたかった! こんな記憶なんていらなかった! 狂った私なんて死ねばよかったんだ!!」
想いを全てマシュを通してお兄ちゃんへぶつける。
「だって、こんなのあんまりだよ! 世界を救うために狂って、救われたら死ぬだけだったのに、あなたは私に【普通】をくれた!」
狂気の私は感謝していた。私を普通の女の子にしてくれて。それを最後に彼女は【普通の私】へ溶けて一つとなった。
けどさ、
「それがとても辛くて苦しくて、もう耐えられない!! だから!」
「だから……ファストローブの思い出燃料で」
「そうだよ! これは私の思い出を燃やしてくれる救済だよ! キャロルちゃんに協力したのも、全てこのため!」
それが全て。お兄ちゃんの推理通りだ。
「記憶を抜き取られても、とれなかった汚い思い出なんかいらない!! それが無理なら、【普通の女の子】の記憶なんていらない!!」
全て捨てたい。
全て消したい。
死にたい。罪悪感で押し潰され、私という存在が疎ましく、大嫌いだった。
もう嫌だ。こんなこと。
もう何もかも嫌になった。ならいっそのこと死にたい。
だから、お兄ちゃん……。私をころして世界を———
「ふざけるな!」
そう言おうとしたのに、お兄ちゃんが否定してきた。なんで、どうして……?
「思い出から逃げるな! 過去から逃げるな! お前のしてきた罪悪はずっとお前のものだ!」
酷い……なんて酷い話だ。けど、彼は続けて言う。
「俺はお前に【普通】を教えた。なら、その責任をもって、お前に【罪悪】を叩き込む。覚悟しろ、人様に迷惑かけてスッキリなんて結末だけは認めさせない……!! それが俺の責務だ!!」
彼は容赦なく言う。マシュはそれに頷く。
なんて酷い人達だろう。私を救うと言っておきながら、私を責め立てるつもりなのだ。
けど……なぜか、納得する私がいる。
だって、彼は
のし掛かる責務と義務。人理を救うという不可能と言われた偉業から。
そして、そう言えるのは———彼と彼女……カルデアの旅路は酷く
狂気的な私から見てもそうだったから。
もし、彼がそこで否定すれば今までの全てを否定することになる。
今までの戦いを。
旅を。
経験を。
努力を。
意味を。
使命を。
犠牲を。
勝利を。
敗北を。
助けて命も、助けられなかった命を。
時代を。
歴史を。
人を。
神を。
異聞帯ので生きていた命を。
そして託された思いを。
失うものが多すぎた。
得るものよりも失うものを数えてしまう。
後悔もある。
屈辱もある。
絶望もある。
けど……けど……彼は
それでも前に進むことを選んだ。
惨めでも。
泥臭くても。
恥ずかしくても。
生きようとしたんだ。
自分達のために。
自分自身のために。
負けたからこそ託した人がいる。
負けても託せると思えたから託した人がいたんだ。
勝利することを。
生きることを。
争うことを。
きっと……きっと、彼は……藤丸空太郎もそう思っていたんだ。
彼はこれまでの
だから、彼はいつも通りにやるだろう———バトンタッチ。
「あとは任せた!」
「「「任せろ(て)(なさい)!!」」」
あとを繋いでいける者だった……。
私のローブの一部が砕ける。
ランサーのメリュジーヌが。
セイバーの村正が。
アーチャーのエミヤが。
キャスターのアルトリアが。
ライダーのマンドリカルドが。
アサシンの風魔小太郎が。
バーサーカーのモルガンが。
みんなお兄ちゃんを支えてくれた大切な
それでも、私は意地になって、足掻こうとしたら、マシュとお兄ちゃんが飛び込んできた。
「マシュ! 俺ってどんなヤツだっけ!」
「デリカシーのない普通の人です!」
「正解! じゃ、マシュは浮気女の良い女にしとくわ!」
「酷いです! でもありがとうございます!!」
「どういたしまして!」
そんな軽口を叩きながら、彼らは最後の仕上げにやってきたのだ。それを見て、私の頭に
『君はお兄ちゃんを甘く見てしまったね』
そうだね。
『私のお兄ちゃんはすっごいでしょ?』
そうだね。
『だから、もう大丈夫だね?』
……そうだね。そうだったね。
私がいくら記憶を焼却しようが、ずっと私の頭には【狂気の記憶と知識】は残っていた。
狂気の私を甘く見てしまったんだ。けど、別にいいと思えた。
目の前に迫る二人を……必死になって私を救おうしてくれるヒーロー達に……。
私は口角を上げる。何せこの二人はとてもピッタリだったから。
この二人……私から見てもお似合いだもん。
相棒としても、カップルとしても、そして……共に背を預け合う戦友としても。
「悪い子は」
「とりあえず!」
「「ぶん殴って止めろ!!」」
そんな決め台詞を言って、マシュはローブを破壊して、お兄ちゃんは私の顔へグーパンした。
……マシュはともかくとして、お兄ちゃんや。
女の子にグーパンは酷くない? しかも、顔に。
「男女平等パンチである」
「……先輩、酷いです」
「やかましい。これまでやってきた厄介事の怨みだ」
私怨じゃん。そう思いながら意識を手放した。
ーーーー
決着は着きました。立香さんは、スッキリした顔で、意識を手放し倒れた。
記憶の焼却……それでどれだけの記憶を消費したのか、私は恐くなってきました。
次、目覚めたときに、立香さんは私のことを覚えていなかったら……それはとても悲しいから。
「だいじょーぶ。どうせ、狂気的な立香が、脳内の記憶箇所に魔術で弄って、バックアップしてるでしょ」
「じゃ、じゃあ、次目覚めたら立香さんは狂った状態で……」
「……じゃないと思うな。アイツが出る幕は、俺と同じで終わったんだ。もう世界を救う必要性がなくなったから、
そう先輩は推理していた。……だと良いですが。あの方……正直言いまして、その……苦手ですから。
サーヴァントを道具として扱いますし、見境なしに同性の私にセクハラしてきますし。どちらかと言えば、私は今の立香さんの方が好きですし。
……あれ? セクハラの部分だけ普段の立香さんと変わらない?
「てか、マシュの愛する女が狂ってたら嫌だろ」
「あの……そのネタいい加減にやめてくれませんか? 正直、罪悪感で泣きそうになるので……」
「だが断る」
「そんな……! 先輩一筋ですよ!?」
「いや、そうは言っても立香とキマシタワーしたんでしょ? なので好感度はリセットされて一から攻略しなさーい」(死んだ目)
そんな……!
この先輩を攻略するのに、バレンタイン、夏のイベント、秋の祭り、クリスマスを参加しつつ、三年間ずっと、アタックしなければ納得してくれない超高難易度キャラクターを!?
ナチュラルにアタックしてた頃はなんともなかったのですが、最近になって思い悩むことがある私には厳しすぎません!?
「なんかマシュが人間味があっていいね。今のマシュは好きだよ」
「ありがとうございます! それは告白ということですか!?」
「寝言は寝て言え色ボケなすび」
「辛辣過ぎません!?」
もしかして……イグナイトモジュールを誰か使用しているのですか!?
おかげで先輩が……ダークネスに!!
「まあいいや。とりあえず、立香をお願いしてていいか?」
「先輩?」
「この先にさ。きっと見届けなくちゃいけないヤツがいるんだ」
「なら、私も……!」
「いや、マシュはこのまま戦線を離脱してくれ。今の立香じゃ、心配だし、医者に見てもらわなくちゃいけないし」
確かにそうですが……。それでも私は先輩のサーヴァントとして共に行かなきゃいけない。
だけど……このまま立香さんを置いていくのは……。
先輩はそう言い終えると、サーヴァント達と一緒に歩き出しました。
私は……私はまた……。
「また……おいて、いくの?」
立香さんの弱々しい声が、先輩の足を止めた。
「また私を……おいていくの……?」
「立香さん……」
立香さんの言葉に、先輩は「そうだよ」と答えた。それを咳ききったかのように、立香さんが、
「ふざけないで……! そんなの許さない……!」
「そんなの……絶対に許してあげない。私をこんな普通の女の子にしたあなたを!!」
「だから……責任とって。私をこんなことふうにしたあなたが悩み苦しむ様を最後まで見ていてあげる!! だから! だから……!!」
「お願い……見捨てないで。私と最後まで一緒にいてよ……。もう、忘れるのは……独りぼっちは……嫌だよぉ……」
まるで迷子の小さな女の子のように、彼女はそう呟いた。身体中が痛みで苦しいのに、彼女は先輩を……マスターが
これまでの戦いだって……私の知る戦いだって、先輩は
だから、私もまた立香さんの言葉に頷いた。振り向いている彼はそれを見て、目を伏せ、私達に向けて言う。
「一人じゃないさ」
「一人だよ……」
「一人じゃないよ。だって、君には
———君と一緒に歩んでくれる人達がいるんだ」
先輩の言葉と共に、彼女と契約しているサーヴァント達が……彼女のそばへ寄り添っていた。
「君が繋いだ絆が、彼らをここへ向かわせたんだ。そりゃ、もちろん。君が召喚したサーヴァントだ。君の言うことは聞くよ」
けど、彼は続けた。
「サーヴァントだって、心がある。誰と共に戦い、誰と共に歩みたいか決めるんだ。だから、きっと君が繋いできたモノが、君を一人にさせない」
先輩は笑みを浮かべて言う。
「もう君は俺がいなくても、生きていけるんだ。だって、君には側にいてくれる人がたくさんいるからね」
その言葉を聞いて、私は先輩がなぜ立香に全てを託して、消えることを選べたのか納得した。
立香さんは……立香さんは先輩と同じになれると思えるからだ。
時には笑い。
時には泣き。
時には怒り。
時には楽しむ。
そんなありふれた喜怒哀楽ができて、サーヴァントと絆が深められる人間だからこそ……
「だからさ。お前なら大丈夫。きっと、な」
「……酷いお兄ちゃんだね。こんなにも、私が……可愛い妹が一緒にいてってお願いしてるのに」
「なら、さ」と先輩は続けて言った。
「追いついてきなよ」
「え……」
「俺は先に進むよ。これからも、この先も。このまま一人で行くことがあるかもしれない。二人の懸念通りになるかもね」
「……だったら」
「だから、
「君が諦めない限り、ね」と先輩はそう言って歩みを続けた。
先輩は言った。
———自分のところまで追いかけてこい、と。
先輩は言った。
———諦めないなら、追いかけてこい、と。
先輩は言ってくれた。
———この先にいるから、追いついてこい、と。
私の知る先輩は……遥か先にいる。私が諦めたら、そこで先輩は孤独になり、一人で歩み続けるだろう。
そんな……そんな哀しい結末を許せるのか?
「……なら、追いついてみせるよ」
立香さんが私を代弁してくれたかのように呟く。
「マシュ……絶対に追いついてやろうよ」
「はい……」
「あのお馬鹿さんに分からせてあげなきゃ。お前が言うなよ、って」
「はい……!」
「だからね……マシュ」
「はい!」
「共同戦線、張ろうよ」
「共同戦線……ですか?」
「この先、お兄ちゃんは
「はい、もちろんです!」
「だからね……お兄ちゃんをね……縛っちゃおうよ」
縛る……ですか? むしろ、私は縛られたいと思いますが……。
「物理的に、じゃないよ? お兄ちゃんをねぇ、
《愛で縛っちゃおうよ》」
立香が言うには、マスターを……先輩を愛する人達で、逃げられないように関係を結ぶようにすることらしい。
私としてはそれがいいと思います。いや、その通りにするべきです!!
「正妻だとか気にしてる場合ではありませんね……いいでしょう。ヤっちゃいましょう!!」
「ニュフフフ……お兄ちゃん。覚悟してねー。……私、結構執着心強いから」
私と立香さん。そして、これから現れる先輩を愛してくれる人達で、先輩を逃げられないようにしましょう。
「フフフ」
「ニュフフフ」
「「ハハハハハハハハハハハハ!!」」
幼い女の子のように笑い合う私達。
ドン引きしているサーヴァント達と、愉悦する一部のサーヴァントに気にすることなく、私達は笑っていた。
……覚悟してくださいね? せ、ん、ぱ、い♡
ーーーー
ブルッ!!
「なんかめっちゃ寒気する!!」
「……あぁ、私も感じた。なんだ、この地雷を踏んだときのような修羅場の前触れは……」
「
主人公達は女性関係のトラブルに敏感になっていた。
是非もないよね……!!
こうして彼女はヤンデレへ……まぁ、元からそういう素質ありましたから(愉悦)
えー、なぜこんなストーリーを書いたのか、と言いますと、まず『どうして物語の主人公は、メンタルが強いのか』ってところなんですね。
プレイヤーの皆様は、ゲームだからという感じで見ていますが、ではいざリアルタイムで経験するとなるとどう感じますか?
ぶっちゃけ、大半の人が
これを、『はい、わかりました!』と言える人はメンタルが鋼としか言いようがないですよ。ありふれの勇者(笑)じゃあるまいし。
普通ならば、受け入れられず、発狂してもおかしくないのが、このFGOの旅路だったと思います。
なので、今回の話に出ていた藤丸立香ちゃんがクソ雑魚メンタルなのは、
普通の女の子に、『君は外道』『他人の手柄を奪った盗人』『居場所を盗った酷い人間だった』って言われてみてくださいよ。……そりゃ、鬱になりますわ。
だって彼女……皆さんご存知の通り、本来ならば【善性】側の主人公ですから。
なので、彼女は耐えきれなくって、こんなことしたわけですよ。
……今回のお話が難しく感じる方がいらっしゃるのでしたらすみませんでした。ですが、理解してほしいのは一つ……狂気から抜け出した藤丸立香は、『普通の女の子だった』というわけですよ。
狂った立香は、本来ならば異常であり得ない。ゆえに代わりに兄である
まぁ、この章で一番書きたかったストーリーですからね!(開き直り)
だって、章のところで【忘却】ってヒント出してましたから!(開き直り)
さて、次回はいよいよキャロルと決戦。
———復讐? ナメんじゃないわよ