黒炭オロチに息子がいたら   作:主義

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オロチの息子

ボクの父さんはお世辞にも良い人間とは言えない。女性や子供であろうと自分の障害になるような人間であれば躊躇いもなく命を取る。

 

 

自分がワノ国の将軍であるが故に奢り高ぶってしまう。逆らえる者など存在しないと…思っている。確かにこの国の将軍に逆らえるほどの人間は存在しないのも事実だと思う。唯一、父さんに意見を言えるのはカイドウさんぐらいだろう。それ以外の人の意見なんて聞く耳を持たない。

 

 

 

 

父さんも昔は貧乏で地を這いつくばるような人生を送っていたことは知っている。それには勿論、同情するし、それでも頑張って将軍にまで上がったことは尊敬に値する。だが、父さんが今行っている事に賛成することは出来ない。

 

 

 

 

ボクは今、和の国の町を適当に徘徊している。今日はしなければいけなような事もないしなと考えながら歩いていると後ろから急にボクを呼ぶ声が聞こえてきた。

 

 

「ミコト~~~~」

 

 

後ろを振り返るとそこには仮面を付けてこちらに歩いて来る人物の姿があった。

 

 

「……ヤマトさん、何か用ですか?」

 

 

 

「ちょっと会いたくなってね」

 

 

ヤマトさんはカイドウさんの息子?で自称光月おでん。とても優しい人で正義感に溢れたような人。出会った時から印象がまるで変っていない。

 

 

 

「会いたい……ですか?」

 

 

 

「うん!!会いたかった!!だってミコトは僕に会いに来てくれないから」

 

 

だって会いに行く必要がないし、ヤマトさんはほとんど鬼ヶ島で生活しているから会いに行くんだとしたら態態、船を出さなければならない。それほどの用もないから会いに行かない。

 

 

 

「僕達、恋人でしょ!」

 

 

そう言ったヤマトさんは仮面はしているけど…それでも分かるぐらいにヤマトさんは笑顔だ。確かにボクとヤマトさんは『恋人』ということになっている。それは二年ぐらい前にカイドウさんと父さんが結託して僕たちを『恋人』にした。

父さんがカイドウさんとの繋がりを強くするためにボクを利用したのは明らかだった。それに文句を言う事をボクはしなかった。

 

 

 

 

「それは…そうだけど、それは只の形式上のことで「僕はミコトの事が好きだよ!!」」

 

 

この人は本当に恥ずかしげもなく良くそんな事が言えるな。会った時からズバりと言う人だとは思っていたけど、まさかこういう事も恥ずかしげもなく言えるなんて思いもしなかった。

 

 

 

「…よく…いえますね…」

 

 

 

「だって僕はミコトの事が好きだもん!好きな者は好きだと言わないと伝わらないだろうしな。ミコトには僕の気持ちを知って欲しいから」

 

 

 

「そうですか……ありがとうございます」

 

 

何故かお礼を言ってしまった。こんな真正面から気持ちを伝わられたらなんと言っていいのか分からなくなってしまう。

 

 

 

今ではこんな風に自分を好いてくれているヤマトさんだけど出会った頃は決して良い関係とは言えなかった。お互いに表面上は恋人というだけで別に本心では相手の事を好いていることはなかった。それが今では変わってしまった。何でヤマトさんが変わってしまったのか分からない。

 

 

 

 

「ミコト、今日は一緒に町を回ろう!!」

 

 

そう言ってヤマトさんはボクの手を取って駆け出して行った。引っ張る力が強いな…と思いながらも僕はそれに付いて行った。

 

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