黒炭オロチに息子がいたら   作:主義

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絶世の美女とオロチの息子

ワノ国には絶世の美女と呼ばれるほどに美しい女性がいる。そしてそんな人がボクの目の前に座っている。絶世の美女と呼ばれるほどの美貌を持っているのは本当のようで今まで多くの男性が彼女を手に入れるために色々としたようだが、彼女の心を射止めた者が未だ一人もいない。

 

 

そしてボクの父である、黒炭オロチはこの絶世の美女こと小紫さんに恋をしてしまっているのだ。まあ、恋という言葉で片付けていいのかは疑問が残るが、小紫さんに振り向いてもらうために色々としているのをボクは知っている。

 

 

「お主はあちきのことをどう思っているでありんすか?」

 

 

「美しい女性だと思いますよ。絶世の美女と呼ばれるに相応しいお方だと」

 

 

「それにしてはあちきに対しての視線は無関心のように映るでありんすが」

 

 

「そうですかね。ボクは父さんと違って女性に対しての関心が極めて薄いんです」

 

自分でも少し心配に思ってしまうほどに色欲がない。無関心だ。

 

 

「そうなんでありんすか…」

 

 

「だから父さんとは真反対ですかね。そこは。小紫さんにはこんなところまで毎日お越しいただいて本当にありがとうございます」

 

父さんが呼び出すたびにこの城まで来てもらっている。父さんが将軍である以上は外を出歩くことは危険が付きまとうということで…ね。

 

 

「…本当にお主はあのオロチの息子には思えないでありんすね」

 

 

「そうですか?」

 

 

「お主は誰に対してもあんまり関心を抱くことをせずに、話しを聞く限りだと『目的』というものがないのでありんすね。だけど、少なくとも人のことを想う気持ちは持っているとあちきは思うでありんす」

 

 

「そうですかね。僕はただ中途半端な人間ですよ。どちらにも靡くことをせずに多くの命を見殺しにして生きてきた人なんですよ」

 

この国の人々がどのような印象を僕に対して抱いているのか分からないが、少なくとも好かれてはいない。父さんのこともあるだろうしな。多くの人は父さんに対して恨みがあるだろう。逆に恨まない理由が思いつかないほど。

 

 

「お主がどう思うかは自由だが少なくともあちきはお主のことを好いているぞ」

 

 

「僕をですか?」

 

 

「最初はもちろん色々と思うことがあったでありんすが、あちきはお主と話すほどに『悪い人間』じゃないと分かったでありんすよ。人のことを想える心を持っているのを知った。オロチと違って」

 

小紫さんが父さんのことを病的な程に嫌っていることを僕は知っている。普通であれば自分の父親の悪口を聞けば少しは気分を害するかもしれない。だが、僕に関してはそれに当てはまらない。僕をここまで育ててくれたことには感謝をしているがそれ以上の気持ちはない。

 

 

最初こそ小紫さんもちゃんと父さんの悪口を僕の前では言わなかった。だけど少しずつ僕という人間のことを知って小紫さんは僕に対して気を許してくれるようになったんだと思う。それから色々と話すようになったのだ。

 

そんな風に話していると父さんのお付きの人が小紫さんを呼びに来た。

 

 

 

「小紫様、オロチ様がお呼びです」

 

 

「わかったでありんす」

 

そして小紫さんは父さんの元へといった。あの人は僕のことを過大評価している。僕は小紫さんに好かれるようなすごい人ではない。ただの中途半端な人間。

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