今回はあの子の闇に触れちゃいます。音ちゃんはどういう風に対応するのでしょうか、楽しみですね。
それと、感想や評価などいただけたらこのあっとマーク、とても喜びますのでどんな些細な感想でも頂けたら嬉しいです。
音視点
音「それじゃあかな姉、いってきます」
奏「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね」
私は夕方、学校に行ってる人の間では放課後と言われているらしい時間に家を出る。もちろん、目的もなく出かけた訳ではなく...。私は昨日、まふゆと2人っきりの時のことを思い出した。
───昨日、誰もいないセカイ。
まふゆ『...そういえば、音は生活のこととかが分からないって言ってたよね』
音『え?ああうん、多分生活のことだけじゃなくて基礎的な知識から全部ぶっ飛んでるんだと思う。ひらがなカタカナ以外の文字とか分からなかったし』
まふゆ『じゃあ、計算も出来ないの?』
音『計算...足し算とかかけ算とかの存在は知ってるけど...』
正直、それ以外の複雑な計算となるとできるか分からない。というかこれ、かなり生きていく上でピンチなのでは...?そんなことを考えていると、まふゆが少し考えてからこう言った。
まふゆ『なら────私が教えてあげる』
音『...え?』
───と、いうわけで。私はまふゆの言った図書館というところに向かっている。宮益坂にある、勉強ができる図書館らしい。もちろん私はそんな所がどこにあるのか分からないので、かな姉に言って地図と目的地案内のアプリをダウンロード?してもらった。
音「えっと、次の角は左......って、あれ?」
瑞希「あれ、音だ!やっほー♪」
音「...瑞希、制服?じゃないけど...学校は?」
瑞希「え、あ、あはは〜今日はあんまり気分が乗らなくって...許して?」
音「...?別に行くも行かないも瑞希の自由だと思うけど...」
そういえば。昨日まふゆに聞いて、瑞希に対する疑問がわいたんだった。確認するなら今しかない、よね。
音「ねえ、瑞希」
瑞希「ん?なーに、音?」
音「瑞希って─────男子、なの?」
その瞬間、瑞希の肩がビクッとする。相変わらず絵名やかな姉と比べると少し広い肩だ。
瑞希「えーっと...な、なんで?どうしてボクが男の子なんて...」
音「いや、なんとなく......」
性同一性障害。簡単に言えば、身体の性別と心の性別が違うこと、らしい。昨日まふゆに聞いたらそういうものがあるのだと言っていた。だからまあ、厳密にはなんとなく、ではないけど。
記憶を失ってから、道の途中途中にいる男の人しか見てないけど、なんとなく瑞希と歩き方や骨格が似てた。もちろんそんなことは瑞希には言わないけど、瑞希は諦めたように少しため息を吐く。そして少し低くなった声でこう一言。
瑞希「...なんとなくで、分かっちゃうんだね」
音「ごめん...?でも、服とかはどうしてるの?」
瑞希「ああ、服は自分で作ってるんだ。所々アレンジしてね」
音「へぇ、すごい...瑞希って器用なんだね」
瑞希「...引いちゃった?」
音「引く?なんで?」
瑞希「え、だって、男がこんな格好してるなんて変でしょ...?」
音「...?よく分からないけど、どんな格好するのも、瑞希の自由じゃないかな?瑞希には瑞希の気持ちがあるんだから。それに私だってパーカーだらけだよ?」
瑞希「...そういうこととはまた違うんだけど...そっか、あははっ」
どこか吹っ切れたように瑞希が笑う。すごくいい笑顔...そんな風に思った。
瑞希「あー、なんか焦ってたボクがバカみたい。ていうか音って結構天然?」
音「天然...?」
瑞希「あーいやいやなんでもない。うん、これは確定だね」
音「よく分からないけど、私は瑞希らしくていいと思うよ。瑞希は瑞希らしく、やっていけばいいんじゃないかな」
瑞希「...うん、そうだね。ありがとう、音。...でも、みんなに言えるかは分からないんだ。...すごく、怖くて」
怖い...感覚的には、私の記憶が無いっていうことをかな姉に伝えるような感じかな...うん、確かにかな姉がどう反応するかは想像しただけでも怖いかも。
音「...そっか。瑞希のペースでいいと思うよ」
瑞希「...うん。ほんとに、ありがとね、音!そういえばこんな時間に外出なんて、どこか行くところがあったんじゃないの?」
音「あ、そうそう。この図書館に行きたいんだ」
瑞希「...んんっ?音、この角を左に曲がろうとしてたよね」
音「え、うん...それがどうかしたの?」
瑞希「あー...これ、次の角を左だね。ほら、あそこの」
そう言って瑞希に少し前の方を示される。...どうやら私は方向音痴に加えて地図が読めないらしい。
音「...そう、なんだ。ありがとう、それじゃ」
瑞希「あー、待って待って!心配だからボクもついて行くよ!」
音「...じゃあ、よろしく」
結局全部瑞希に案内されながら、ようやく目的地の図書館に着いた。
瑞希「それじゃあ音、じゃあね!帰り道にも気をつけるんだよ!」
音「うん、分かった。ありがとう、瑞希」
瑞希に別れを告げ少し歩くと、前の方にまふゆを見つける。どうやら学校の帰りに直接来てくれたらしい。あ、今は放課後だったな、瑞希のおかげですっかり忘れてた。
音「まふゆ、ごめん待たせちゃって」
まふゆ「...音。来れたんだ。途中で迷ってるのかと思ってた」
音「あはは...まあ、確かに迷いそうになったけど...瑞希にここまで案内してもらったんだ」
まふゆ「...瑞希に?...そう。じゃあ、行こう」
まふゆが私の手を握って歩き出す。あれ?私、図書館内でも迷うと思われてる?なんかちょっと悔しいなぁ...。そう思ってるとまふゆが受付で色々済ませてくれたみたいで、座れそうな席に連れていってくれる。
まふゆ「ここに座って」
音「あ、うん。ありがとう、まふゆ」
まふゆ「......どう、いたしまして。これ、中学校の教材」
音「...ん?そんなことよりなんでまふゆ、隣に座ったの?向かいの席の方が広いよ」
まふゆ「こっちの方が教えやすい」
音「...そういうもの?」
まふゆ「そういうもの。じゃあ早速教えていくよ」
まふゆの説明は分かりやすかった。急に知らないことを詰め込みすぎたのか、まふゆ先生の授業が終わる頃にはもう私は疲れきってたけど...。
まふゆ「それで、このxに代入して......」
音「まふゆ、まだ時間大丈夫そう?」
まふゆ「...そろそろ帰らないと、お母さんが心配するかも」
音「そっか、じゃあ今日はここら辺にしよう」
まふゆ「...音。送ろうか?」
音「ううん、大丈夫。さすがに帰れる」
まふゆ「...そう。じゃあ途中まで見送らせて」
まふゆは心配症だなあ...。まあ、私も無事に帰れなかったらそれはそれで困るのでまふゆのお言葉に甘える。それから週に2回、更にナイトコードで集まって時間がある時にはセカイで。まふゆに生活に関することや基本的な中学までのお勉強を教えてもらった────
─────1ヶ月後。
いつものようにまふゆに図書館で教えて貰っていた時の事だった。まふゆにある提案をされる。
まふゆ「ねえ、音。音は宮女に復学しないの?」
音「宮女?復学?」
まふゆ「宮益坂女子学園のこと。音は昔、そこの中等部に通ってたから」
音「そうなんだ...でも復学って、多分学校に復帰するってことだよね?そんなことできるの?」
まふゆ「音が休学する前に入院してた病院に行けば、復学届を書いてもらえると思う。多分病院側は、音の休学期間を伸ばしてるだろうから」
そう、嫌そうな様子でまふゆは言う。なんか難しいな...というかまふゆ、私が入院してた病院?私入院してたなんて初耳なんだけど。まあこの感じからしてまふゆは私が入院してた、という病院にいい思いはなさそうだな...。
音「...分かった。その病院ってどこなの?」
まふゆ「ここから少し離れた病院。ちょっと遠いけど、大丈夫?」
音「うん。...あ、まふゆもついて来てくれると助かるな。私だけだと、上手く言えないかもしれないから...」
まふゆ「分かった。じゃあ行けそうな時、連絡する」
復学、か...。考えたこともなかったな。それにしても病院だなんて、私のお父さんが入院してる病院とは違うのかな?なんて、そんな呑気なことを考える。だって私はまだ知らなかったから。まさか───────
────その病院に入院したことが、全ての発端だったなんて。
はい、ということで。いかがでしたでしょうか。
ここで新情報!音ちゃんは元宮女の生徒!!
奏は宮女やないやろと思ってる方、ご安心ください。小学校と同様、中学校も奏と違う学校の設定です。ご都合主義ってやつですね。
ここから宮女の子達とも絡ませていくので、お楽しみに。