これからはなるべく更新できるように頑張るので
遠月十傑評議会のメンバーにはこの学校の行く末が託されていると言っても良い。どんなことであってもまかり通るのがこの十傑評議会なのだ。十傑評議会での決定は教師陣の決定よりも大きく、影響を与える。
そしてその十傑評議会は一から十の席次を与えられた者たちが集まる場所。
第一席は天沢久遠。圧倒的な実力と料理に対する想いの欠如を持ち合わせている者。
第二席は木久知園果。高等部三年生で洋食の天才と呼ぶ者も多いぐらいの実力の持ち主。
第三席は司瑛士。高等部二年生で万能という言葉で言い表す生徒がいる程の実力者。
第四席は小林竜胆。高等部二年生で希少食材の調理に全てを捧げる料理人。
第五席は女木島冬輔。高等部二年生で筋骨隆々の料理人でラーメンマスターの異名を持っている男。
第六席は茜ヶ久保もも。高等部二年生でお菓子作りの申し子と呼ばれているパティシエ。
第七席は斎藤綜明。高等部二年生ですしを握らせたらこの男の右に出る者なしと言われるほどの腕前。
第八席は紀ノ国寧々。高等部一年生でお蕎麦を得意料理としていて強さは折り紙付きの職人。
第九席は一色慧。高等部一年生で全てを万能にこなす料理人で特に和食を得意としている男。
第十席は久我照紀。高等部一年生で四川料理が得意な料理人。
この十人が現代、十席の座を与えられているのだ。十傑に関しては変動することがあるのでこのままずっと続くとか限らない。だが現在の遠月学園のTOP10はこの者たち以外に考えられない。
そしてこれから遠月十傑評議会が開かれる予定になっている。
その会場に最初に到着したのは…第一席こと天沢久遠だった。彼はまだ誰も来ていないことを確認してからいつも自分が座るところに腰を下ろす。
彼の容姿は黒髪のロングヘアーで童顔なので女性と間違えられることも多い。でも実力はこの学園に敵なしと言われることもあるぐらいだ。未だ、この学園に来て一度たりとも負けていないのが彼の強さの証明と言っても良いだろう。
その次に姿を現したのは第七席の斎藤綜明だ。彼を一言で表すんであれば『職人』だ。実家がお寿司屋で幼い頃からずっと料理と触れ合ってきた。そんな彼が作り出す料理は誰もが認めるほどの美味だと言われている。
そんな彼は一席が来ていることに気付くとすぐに彼の元へと向かった。
「お疲れ様です」
「あ、斎藤くん、うんお疲れ様」
容姿だけであれば斎藤綜明の方が怖いという印象を受ける人も多いし、何も知らない人に聞いたら斎藤綜明の方が職人ってぽいと言う人が多いだろう。
「そう言えば、少し前にキミの噂を耳にしたよ」
「噂ですか?」
「うん。キミの作ったお寿司を食べるともう他のお寿司が美味しく感じれなくなっちゃうとか」
「そんなことはないと思いますが」
「そうなのか?いつか暇があればオレにも食べさせてくれ」
天沢にそう言われると齋藤は少し笑みを浮かべた後に言葉を紡いでいく。
「それはこちらからお願いしたいぐらいです」
「頼むよ」
会話が終わると齋藤もそれぞれいつも座っている席に腰を下ろしていく。
次にやってきたのは第八席の紀ノ国寧々。彼女も今年入学した一年生の中で最上級の腕を持っていると言われており、現段階で同学年の料理人の中で一番席次が高い。それが彼女の実力を示していると言ってもいいんだろう。
彼女も齋藤と同じようにまずだ一席の天沢の元へと向かうのだった。
「お疲れ様です、天沢先輩」
「うん…って…いつも思うんだけど、そんな風に頭を下げなくていいよ」
「なぜですか?」
「だってオレってそんな風にされるような人間じゃない。紀ノ国くんだって僕が学内であんまり良く思われていないのは知っているでしょ」
「それは関係ありません。私は私の意思で天沢先輩のことを慕っていますので」
「まぁ…キミがいいならいいけど、オレを慕ってもそんなにいいことないよ」
「誰かを慕うのに損得で選ぶような人間ではないので」
紀ノ國は二つ年上の天沢に対しても臆することなく、自分の意見をぶつける。
「紀ノ国くんがいいのならオレは何も言わないよ」
「はい、私はずっとあなたのことを慕っています」
その後は斉藤にも挨拶をしてから自分の席に座った。
次は…第二席の木久知園果が姿を現した。彼女は第一席の天沢久遠と同じ三年生。調理の技術などを含めれば歴代の第一席と比較しても劣るところはあんまりない。
彼女の普段の性格を知っている者からすれば『食戟』などの戦いを苦手と思っているが、勝負となれば彼女は純粋に勝利を目指す。それは彼女の食戟の勝敗が示している……30勝1敗。
そんな彼女はまず部屋の中を見渡す。その後は斎藤や紀ノ國に挨拶をしてから天沢の近い席に腰を下ろす。
「今日は早いですね」
「オレが呼んだからな。一応、呼んだ奴の責任として一番最初に来ておいた」
「そうですか」
それからしばらく静寂が包んだのちに天沢がそれを破った。
「木久知」
「どうしたんですか?」
「今度、月饗祭のことについて話したいことがあるんだ。時間は取れそうか?」
「大丈夫ですけど、なんかあったんですか?」
「いや、問題があったわけじゃない。オレ個人のことだ」
「そうですか…分かりました。しっかりと予定を空けておきます」
「悪いな、毎度」
その後に来たのは第九席の一色慧だ。彼は全てにおいて…『万能』。どんな料理をやらせても並み以上の成績を残す。その実力は一年生の中でもやはり飛びぬけている。
彼も他の者たちと同じで辺りを見渡して天沢がいるのを見つけるとすぐに挨拶に行った。
「天沢先輩、お疲れ様です」
「一色くん、そちらこそお疲れ様」
「いえ、僕よりも天沢先輩の方がお疲れでしょう。色々と今回のことで飛び回っていると聞いてますよ」
「まぁね。だけど、一色くんの同級生やその下の学年の子が何か掴んでくれるんだったらやる価値があるからね」
「本当に天沢先輩は…優しいですね」
「優しい?そんなことはないよ。それはオレのことを過大評価しているようなものだよ。オレはただ…第一席の座に着いている以上はやるべきことをやるだけだ」
「先輩がそう言うなら…否定するつもりはないですけど…」
「あ、そう言えば、紀ノ国くんと一色くん、久我くんには本当に色々と迷惑を掛けてすまない」
「僕たちは大丈夫ですから心配なさらないでください」
「そうもいかないよ。キミたちは宿泊研修のことで色々と疲れが溜まっているだろうに働かせてしまっているんだからね」
「本当に大丈夫ですよ」
宿泊研修とは一年生の一学期に四日間の間で行われる合宿試験。一年生の最初で一番の試験と言ってもいい。これに合格できなければ即退学となる。
そしてその宿泊研修が終わると連休があるが、その連休を一年生のメンバーには今回のイベントのために働いてもらっているのだ。
「それに紀ノ國や久我は分かりませんが、僕はあなたと共にやれることが本当に嬉しいので」
「そうか。そうまで言ってくれるとこっちとしても嬉しいよ」
少し話してから一色は自分の椅子に座るのだった。