特殊な料理人   作:主義

14 / 23
顔合わせ

 

そして交流会の開催への準備は順調に進んで行く。十傑のメンバーはそれぞれが忙しいが、交流会のための準備にかなりの時間を割いてくれていた。それに関しては本当に有難かった。

 

 

そのお陰もあって準備に関してはほぼ終わった。後は本番の時に起こるかもしれない不測の事態に備えるだけ。

 

 

 

 

―――――――――

 

そして今日は自分のグループのメンバー顔合わせの日。

 

 

 

オレが属する班を含めて十傑のメンバーがいるところは自分たち以外、高等部一年生と中等部三年生だけ。紀ノ国くん、一色くん、久我くんは自分たちの同級生と一つ下の世代だけになってしまう。

 

 

これにはやはり三年生、二年生の数の少なさなどが大きく影響している。やはりこの料理学校では簡単に生き残れない。入学した時はこの場所に希望を持っていたとしても卒業証書を受け取れるのは本当に一握りだ。

 

 

 

 

なので、やっぱり上級生の人数が足りないことになり、二年と三年は紀ノ國たち以外のグループに一人ずつが限界だった。これは仕方のないこととはいえ、もう少し良いやり方があったのではないかとオレは思ってしまう。

 

「やっぱりもう少し開催前に考えておくべきだったかもしれないな」

 

まぁ、そんなことを言っても交流会の日程的にも今更なにかを変更するのは不可能に近い。今回はこのまま開催へと踏み切る以外の道はない。

 

 

それにグループのメンバーも決まっている。

 

 

 

オレのグループはオレ以外に高等部一年生が二人、中等部三年生が四人といった形になった。これは普通のグループに比べて中等部が多い。その原因として予想以上に中等部三年生の立候補人数が多かったこと。

 

十傑が割り当てられているグループは一人だけ中等部の生徒が多い。申し込みの多さに関してだけ言えば主催者としては有難いが、事務的なことが増えて色々と面倒くさかった。

 

 

 

 

 

オレのところに来るのは…だれだっけ。

 

 

「そ、そう、こういう時のためにしっかりと名前とかの情報が記載されている紙を貰ったんだった」

 

ポケットを探るとそこには小さく折りたたまれた紙があった。その紙を開くとオレ以外のメンバーの詳細な情報がしっかりと書かれていた。

 

 

「ありがとう、木久知」

 

これをしてくれたのは第ニ席の木久知。どうやらオレ以上にオレのことを理解しているようで紙を持たしてくれた。

 

 

「え…っと高等部一年生は鏑木祥子くんと小西寛一くんか」

 

鏑木祥子くんは成績もTOPクラス。教師からの評価の中には「いずれ十傑に名を連ねるだろう」というものもあった。それほどの逸材をオレのところによこすなよとは思ってしまう。もっと指導とかが上手そうな奴のところに……。

 

そしてもう一人の小西寛一くんの成績は飛びぬけるようなものはなし。だが丼系の料理に関しては情熱があるようで、そこは教師陣も目を見張るほどという記載もある。こういう子は一つのものをしっかりと伸ばして行けば大丈夫だろう。

 

この二人が高等部一年生。

 

 

 

 

そして次に中等部三年生の四人は一人目は薙切アリスくん。薙切家の血を受け継いでいる子で薙切えりなくんのいとこにあたる。最先端の技術を駆使して調理を行うらしく異質な料理人と書かれている。性格に少し難ありと書かれているが、そこら辺はどうにか乗り切っていくしかないな。

 

二人目は吉野悠姫くん。得意料理はジビエ系で極星寮で過ごしているということ。極星寮ってことは一色くんのところか。それならこの子は大丈夫かな。オレが教えることもほとんどないと言ってもいい。

 

三人目は丸井善二くん。実技の成績はそこまで飛びぬけたものはないが、筆記に関してはほぼ完ぺき。ここまでしっかりと偏っている料理人というのも珍しいかもしれない。

 

四人目は川島麗くん。料理に関しては特出したものはないが、平均より下回ることもない。実技や筆記においても問題なく、教師の面々からの評価も高い方だ。

 

 

これが担当する中等部三年生。

 

 

 

 

「上手く馴染んでくれればいいが…」

 

オレはあんまり人とコミュニケーションを取って来たような人間ではない。そんな人間に後輩の指導なんて出来るのかと自分でも不思議だが、やらなくちゃいけない状況だ。第一席のオレがやらないってわけにもいかないしな。

 

「なるべく学んでもらえるような状況を作ってあげるか」

 

 

 

そして少しすると全員が集合してくれた。だがそれぞれ緊張した面持ちなのが見て分かる。高等部一年生や中等部三年生からすれば高等部三年生というだけでオレは恐怖の対象だろう。

 

「まずは自己紹介をするか。オレは天沢久遠だ。一応、三年でこのグループでは最年長。よろしく頼む」

 

自己紹介にしては簡単すぎるかもしれないが、こんなもんでいい。どうせこれから一緒に行動していく中で色々と知る機会があるだろうしな。

 

 

「それじゃあ、キミたちも自己紹介をしてくれ。簡単でいいから」

 

そして最初に指名したのは鏑木くん。

 

 

「私は鏑木祥子。高等部一年生です」

 

その後なにか続くのかと思ったが、なにも続かなかった。

 

 

「そうか、よろしく頼む。では次に小西くん」

 

 

「俺は小西寛一だ。高等部一年で丼が好きな男!」

 

さっきの鏑木くんに比べれば小西くんは元気な方だ。あんまり元気過ぎても困るが。

 

 

「よろしく頼む。次は一年生は自己紹介していってくれ」

 

 

「薙切アリスよ」

 

 

「中等部三年の吉野悠姫です!

 

 

「ま、丸井善二です!!よろしくお願いします!!」

 

 

「川島麗ちゃんです!よろしくお願いします~」

 

オレが受け持つグループのメンバーはこれで全員だな。

 

 

 

 

―――――――――

 

 

天沢久遠のグループに在籍した六人はそれぞれの才能を開花させていくことになる。そして後にそれぞれが天沢久遠の『一番弟子』を名乗るようになるのだが、それはまだ先のお話。




感想があればお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。