特殊な料理人   作:主義

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天沢久遠という料理人

「第一席って面倒くさいな~」

 

 

そんな言葉をベッドに寝転がりながら呟いているのはさっきまで十傑のTOPとして会議を取り締まっていた一人の男。周りからは恐れられていたり嫌われていたりする彼だが彼も一人の人間であることに変わりはない。表情はあんまり動かないが疲れだってあるし、嬉しさだってある。感情がない訳ではないのだから。

 

 

「こんな事なら第一席なんてならなくも良かった。オレは只安全にこの学校を卒業出来ればいいだけなんだから。態態、目立つような行動をしたりする必要はなかったはずだよな。これはオレのミスだな。だがここまで第一席の仕事が多いとは予想をしていなかったな。はぁ~」

 

 

 

もう今日だけで何度付いたか分からないため息を吐いた。誰かオレに食戟を申し込んでくれるような生徒は居ないだろうか。今だったら喜んで第一席の座を譲ってあげても良いんだけどな。まあ、そんな期待をしたところでどうせ現れる訳ないんだけど。

 

 

十傑に食戟を挑むというのはかなりのリスクが伴う。挑戦者の望みは十傑に入る事だろう。だが十傑の座と釣り合うぐらいの対価はそれほど多くない。そんな対価を支払ってまで挑んでくるような生徒はそう多くないのが現実なんだよね。

 

 

 

 

「そう言えば…白髪の男子生徒と赤髪の女子生徒が何か言おうとしていたな。早く家に帰りたかったから帰っちゃったけどちゃんと話を聞いてあげた方が良かったかもしれないな。うろ覚えだけど……白髪の子は第三席の子で赤髪の子は第四席の子かな。顔とかをまじまじ見たことが全くないから分からないけど」

 

 

オレなんかに話し掛けるなんて一体どんな用があったのだろうか。まあ今更気にしたところで何も変わらないのは別にいいか。

 

 

 

 

--------

 

ここは薙切えりなの自室。普段の彼女の印象からすれば想像出来る人は少ないかもしれないが彼女の部屋はそれなりに女子らしい。ピンク一色という感じではないがそれなりに女子の部屋だ。ベッドにはぬいぐるみが置かれていたりする。そして当の本人はベッドの上で送られてきた写真を眺めていた。

 

 

 

「天沢久遠…」

 

 

その写真に写っているのは現第一席であり三年生の天沢久遠。普段からあんまり人を寄せ付けない感じで友人と呼べる人もいない。

 

そんな彼の写真を何故、薙切えりなが集めているのかと言うとその理由は実に簡単で薙切えりなは天沢久遠にご執心なのだ。薙切えりなという少女は天沢久遠に一目惚れをしてしまったのだ。一度見てしまってから頭からずっと離れない。それだけなら可愛らしい恋物語なのだが彼女はそれを破り、どんどん先に行ってしまっている。高等部三年生の生徒を買収し久遠の写真を取らせているのだから狂っている。そしてその写真の厳選した一枚を毎日懐に忍ばせている。

 

 

 

「なんて、カッコいいの!!カッコいいのはいつもだけど…今日のこの写真の横顔もカッコいいわ!!!!」

 

 

 

この薙切えりなを見た人間が居れば確実に頭が狂ってしまったのであろうと思う事はほぼ間違いないだろう。

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