特殊な料理人   作:主義

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後釜

新入生が入学してから一週間の時間が流れた。時間の流れは早いもので新入生も少しずつこの新しい環境に慣れてきているのが見ていると分かる。今年の一年生は実力者が揃っているという情報も入って来ている。

 

特に和のスペシャリストと呼ばれて『そば』に関する事であればこの遠月学園に右に並ぶものはいないと言われている、紀ノ国寧々。

 

料理の技術や才能に関しては一級品で料理の腕は一年生の中でも一番と言っても遜色のないほどの実力を保持している、一色慧。

 

中華を得意分野としていて得に四川料理を専門としている、久我照紀。

 

料理ではなくコンサルティングに力を入れているものの料理の才能も群を抜くものがある、叡山枝津也。

 

 

 

この四人以外にも注目の料理人はいるが得にこの四人が目立っている。いずれは十傑入りは確定と言っても問題ないはずだ。

 

今の十傑は三年生が二人、二年生が五人の計七人で構成されている。本来は十傑と呼ばれている通りで十名で構成されなくてはならない。オレの一つ上の世代が卒業してからその穴が未だに埋められていない。このまま放置しておくわけにもいかないから数日前に十傑評議会が開かれた。だが結局そこでは話がまとまることはなかった。

だがその穴を早急に受けなければならないのは事実。

 

 

十傑評議員のメンバーを決めるには…現評議員三人以上からの推薦、もしくは意欲があり自信がある者を集めてトーナメント形式で食戟を戦わせ勝ち上がった上位三名を十傑のメンバーとして迎え入れるという方法がある。前回の世代…90期生の世代は二人は推薦、残りの三人に関してはトーナメントで勝ち上がって来たんだったかな。

数日前の評議会を見る限り、推薦に関しては期待出来なさそうだな。となるとトーナメントで決めるのが妥当な選択肢かな。

 

 

 

 

そんなことを頭で考えていると誰かの声で現実へと戻された。

 

「ねぇ!!」

 

 

「何だ?木久知」

 

オレの言葉に対して不満そうな顔を浮かべているのは現十席第二席の木久知園果。彼女とは彼女が十傑に入ってから話すようになった。話すと言ってもオレの方から話しかけることは極めて少なく、ほとんどが彼女の方から話し掛けてくれている。自分で言うのも何だがよくオレに話し掛ける勇気があるなとは思ってしまう。

 

 

「何だじゃありませんよ!さっきから話してるのに全く聞いてくれないじゃないですか!」

 

 

「ああ、悪い。少し考え事をしていてな」

 

 

「はぁ…それで天沢くんはどんなことを考えていたんですか?」

 

 

「十傑の穴をどうするかをな」

 

オレがそう言うと木久知は驚いた表情を浮かべた。

 

 

「え」

 

 

「なんだよ。その驚きは」

 

 

「あ、あまさわくんがちゃんと十傑のことを考えてる!」

 

 

「お前はオレのことを一体どんな風に思っているんだよ。これでもお前よりも長い間、十傑に在籍しているんだからそこら辺はしっかりしているんだよ」

 

 

「それで良い案は思いつきましたか?」

 

 

「いや、今年も例年通り行こうかなと思ってな。どうせ推薦もなさそうだし、このまま放置しておくわけにもいかないからな」

 

遠月学園の中でも絶対的な権力を持っている『遠月十傑評議会』が不完全の状態のまま運営していくのは良い事とは言えない。十傑には多くのことが許されている。学園の権力や財力の一部分を手中に収めていると言っても過言じゃない。それ以外にも十傑は学校の運営などにも手を出せたりする。十傑の過半数が賛成すれば学園長の交代でさえも出来てしまう。

 

そんな重大なことでさえも決められてしまう『遠月十傑評議会』はなるべく良い状態で運営していかなければいけない。

 

 

「それはそうですね。過去を振り返って見てもここまで空席が長く続いたのは今回が初めてだと聞いてますしね」

 

 

「もう学園長からの催促も来てるしな」

 

 

「え、そうなんですか!?」

 

 

「ああ、早く決めろという感じの手紙がオレのところに届いていたよ」

 

 

「じゃあ、明日にでも全校生徒に向けて連絡が出来るように今日のうちに『十傑』を集めましょうか。私達の独断で全てを決めるわけにもいきませんからね」

 

 

「そうだな」

 

 

 

その日の放課後に『遠月十傑評議会』のメンバーが集まり、二十五分の話し合いの末に例年通りでトーナメント戦で勝ち抜いた者を十傑のメンバーとして受け入れることで決定した。

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