特殊な料理人   作:主義

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本当にお久しぶりの投稿になります。


トーナメント

『遠月十傑評議会』でトーナメント戦をやることを決定した翌日に放送を行い、来週の月曜日から予選をすることになった。少し早いスケジュールだけど、ハイペースでいかないと。これ以上、十傑の席を空席にするなんてことは避けなければならない。だから早急に決めなくてはならない。

 

 

理事長から手紙を貰っている以上は何もしないわけにもいかないしね。

 

 

 

放送に驚いた者もいるだろうし、やる気を漲らせているような人間もいるだろう。そしてこれで確実に空席が埋まる事になる。これで仕事は果たした。後はその経過を見ているだけで全て上手くいくはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は進んで、トーナメントはいよいよ大詰めというところまで来ていた。オレは少し遠くから二人の料理人の対戦を見ている。

 

その二人は紀ノ国寧々と久我照紀。どちらもここまでほぼ圧勝と言った感じで突き進んできた。そしてこれはオレの感想だけど、この二人の実力は拮抗していると言っても良い。少し紀ノ国の方が技術が上な感じもするが、それもほんの少しだ。

 

 

 

このトーナメントは十傑を決めるために行われている。

遠月十傑評議会に入るには『上位3名』になるしかない。今回、十傑入りするには『上位3名』に入るしかないのは事実。

 

だが、オレたちが抜ける時も来る。遠月十傑評議会に属したまま卒業する者には次の『メンバーを指名する権利』が与えられる。でも、それは卒業式のその日まで席次を守り抜いた者だけ。オレだっていつこの椅子を奪われるかは誰にもわからない。まあ、正直渡せるものならこんな椅子は誰かに渡して呑気に生活したい。

 

でも、そんなことをしたら木久知に怒られるのは確定だな。

 

 

 

だから、それも兼ねてオレは一年のことを見に来た。だが……見に来る必要はなかったかもしれないな。

だって一年にはいい素材がたくさんいる。今、ここでそれを決めるのは聊か早すぎるな。これからどんな風に成長していくのかは誰にもわからないが、素晴らしい料理人になってくれることを期待している。そしてオレは観戦を止めて、家に戻る事にした。後ろですごい歓声が聞こえてきたが、そんなことは気にしなかった。

 

 

家への帰り途中はびっくりするほど誰もいない。遠月学園の生徒は全員、トーナメント戦を見るためにあっちにいるんだろう。まあ、注目の一年がたくさんいるからな。それに帰る、こっちとしてはスムーズに帰れるのは何よりも嬉しいことだ。

 

 

そんなことを考えていると後ろからオレの名前を呼ぶ声が聞こえて来る。誰だよと思って振り返るとそこには赤い髪の男子生徒が立っていた。

 

 

「天沢先輩ですよね」

 

 

「オレは天沢だけど、キミは?」

 

オレが忘れているだけかもしれないが、オレはこの赤い髪の生徒に見覚えは全くない。

 

 

「俺は遠月学園中等部3年の幸平創真っス!」

 

 

「それでオレに何か用?」

 

 

「あんたに食戟を申し込むために果たし状を渡しに来た」

 

幸平はポケットから果たし状と書かれた紙を取り出すとそれをこっちに差し出してきた。

 

 

「本気?」

 

 

「はい、本気っス」

 

 

「そう…わかったよ。その勝負受ける」

 

オレは紙を受けとって帰路に付くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ引き摺り下ろそうって後輩が居てくれてよかった。あの子の目を見るに本気でオレに勝てる気持ちで挑んできている。まあ、自分が負けると思って挑んでくるような料理人はいないけどね」




感想などがありましたら書いて下さると嬉しいです。コメントできないことが多いですが、見てはいますので。

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  • 木久知園果
  • 小林竜胆
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