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この結果が表示されて観客は盛り上がっている。そして目の前の幸平くんはかなり悔しがっているが、オレは茫然と立ち尽くしている。それはこの子の料理人としてのセンス。やっぱり料理人にはセンスというものがある。やっぱり努力だけじゃ到達できないところもある。そういう場合に料理人のセンスがあるかないかは重要になってくる。
この幸平創真という男は…センスの塊だと感じた。オレに敗れたものの中等部三学年でここまで皿を作る料理人がいるとは思っていなかった。オレは別に油断していた訳ではない。久しぶりの食戟だから逆に気合が入っていたぐらいだ。
それに何よりこの悔しがる姿を見るだけでも…この幸平創真という料理人はもっと高みに行けると感じた。
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そして幸平くんとの食戟が終わって次の日からまたいつもの日常に戻った。
そしてあの食戟から数日が経って、今日は次期十傑の人たちを呼び出した。今回のトーナメントを勝ち上がった三人。呼び出した場所は…遠月十傑評議会のメンバーがいつも集まる場所。そしてオレを抜いた現十傑の六人は席に付いている。
三人は直立に立っている。そしてそこに近づいていき、オレは正式な一員として認めたことを証明する書類を渡して…オレから一人一人に対して一言。
「紀ノ國くん」
「は、はい」
「そんなに緊張しなくて大丈夫だ」
「はい!!」
「キミには十傑第8席の座を任せるよ」
「一色くん」
「はい」
「キミには十傑第9席の座を任せるよ」
「久我くん」
「は~い」
「キミには十傑第10席の座を任せるよ」
そして僕はそれぞれに…十字型のバッチを渡す。このバッチは僕が個人的に十傑に入った人に渡している。十傑はこの学園の中でも特に秀でた料理人だけが入れる。
だがもちろん、学生の中には虎視眈々とこの十傑の席次を狙っている生徒も少なくないだろう。そしてその結果として十傑は脱退と加入が慌ただしい時もある。オレだっていつここから退くことなるか分からない。まあ、譲ってもいいんだけど…。
でも、幸平くんの姿とかを見ているとやっぱりこの席次はそれだけの価値があるんだと感じさせられる。だから簡単に譲るんじゃなくて…誰かが本当に実力で奪って欲しい。そしたら…快く譲れる。
まあ、話を戻すとバッチを渡している理由は……一期一会という言葉あるように人の出会いは運命的なものもある。だからこそ、その出会いを大切にするためにも…今、この時…同じ席次に居られる運命を。だからそれを証明するものとしてオレはバッチを上げることにしている。
それからは簡単に十傑においての決まり事などを話してその場は解散になった。でも、新入りの三人は立ち去る感じじゃない。特に紀ノ國くんに関してはさっきもそうだけど、かなり緊張しているのが伝わって来る。もちろん、遠月十傑に選ばれるのはとても光栄なことなんだろう。
オレなんか選ばれた時は…あんまり嬉しくなかったけど。
「三人とも」
オレが呼びかけると他の三人は姿勢を正す。別にオレってそんなすごい人間じゃないんだけど。でも、今は緊張していてあんまり言葉が響かないだろうな。
「これから同じ十傑の一員としてよろしく」
それだけ言ってオレも帰ることにした。あんまりオレが居ても…やることないし、入ったばかりの一年生からしたらオレなんかでも恐れる対象になりそうだしな。
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