特殊な料理人   作:主義

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久し振りの投稿



昼食

オレには友達がいない。こんなことを自分でも言うのはかなり恥ずかしいことだが、昼食を一緒に取るような奴もいない。だから、オレはいつも十傑評議会の時に使われる部屋で一人、食事をする。

 

 

 

木久知からは「友達ぐらい作ればいいのに」と言われたが、それは難しい。ここは遠月学園でこの学園には料理を極めようとしている奴らが入学している。そんな奴らの目にはオレという人間はあまりよく映っていないだろう。それはオレの料理人としては態度や振る舞いなども影響して最悪と言ってもいいかもしれないな。

 

 

 

 

 

別に誰かに好かれたいとは思わないが、一人ぐらい話せるような奴が出来るともっとこの学園生活も楽しめるかもしれない……ってオレは別に楽しむためにこの学園に来たわけじゃないだろう。

 

 

 

 

オレがこの学校を選んだのは将来のため。自分の才能を活かすためには…この学校を卒業した方が一番早いというだけ。

 

 

「オレはただ卒業の先だけ考えればいいんだったな」

 

 

そんな独り言が部屋に響くが、そんなことは気にしない。だってここには誰もいない。人の目を気にする必要もないからな。こんなところに来るような奴はいない。

 

まず、ここの鍵を持っているのは十傑に所属している者だけでその中でもこんなところに来ることがあるとしたら……忘れ物か……オレと同じで一人で食事をしたい奴か。

 

 

 

 

 

適当に食事を進めていると…誰かが扉を開けようとしているのに気付いた。誰だか知らんが、鍵が開けられないからなのか何度も鍵を入れたり、外したりを繰り返しているからうるさい。

そしてどうやらやっと開けられたようで扉が開けれた。

 

 

 

姿を現したのは…

 

 

 

「茜ヶ久保さん」

 

 

「あ、あまさわ…せんぱい」

 

確か…第四席の茜ヶ久保ももだったか。最近はなるべく名前を覚えるようにしているんだよな。さすがに十傑の人間ぐらいは名前を憶えておかないと失礼になるだろうしな。

 

 

「何か用か?」

 

 

「…は、はい。もも、忘れ物しちゃいました…」

 

 

「そうか」

 

ここで話をするつもりはない。只でさえ、こんな風に一人で食事をしているところはあんまり見られていい気がするものではないからな。

 

 

 

茜ヶ久保は自分の忘れ物を発見するとすぐに出ていくと思っていたが、なぜかオレの方に視線を向けたまんまじっとしている。

 

「なんだ?」

 

 

「オレの顔に何か付いているか?」

 

 

「…い、いや…そうじゃなくて…」

 

 

「じゃあ、なんだ?オレに何か言いたいことがあるのなら聞くが」

 

 

「…せ、せんぱい…」

 

 

「なに?」

 

 

「『もも』も一緒に…食べてもいいですか!??」

 

 

「……?」

 

 

「…だ、だめですか…?」

 

茜ヶ久保はなぜ…オレなんかと食事をしたいんだ。どう考えてもオレと一緒に食べるメリットが何も思いつかない。色々と気まずくなるのが目に見えているだろうに。

 

 

「…別にいいが、オレと食べても何も楽しくないぞ」

 

 

「い、いいの!?」

 

 

「…まあ、別に一緒に食べることを拒否はしない」

 

そしてオレは茜ヶ久保と食事をすることになった。茜ヶ久保のお弁当は…スイーツ。なぜなのかと聞くと、どうやら茜ヶ久保の得意料理はスイーツらしい。

 

 

 

一口だけ食べさせてもらったが…美味い。さすが得意料理だけあって見た目から味まで完璧と言ってもいい。ここまで完璧な料理はそこまで…お目に掛かれるものではない。

 

 

「茜ヶ久保には才能があるな」

 

 

「…そ、そうですか?」

 

 

「ああ、この美味さは素直にすごい。ここまでそれぞれの食材の味を最大限に活かしている料理人はそう多くない。茜ヶ久保のスイーツはお世辞抜きで…『美味しい』」

 

 

「ほ、ほんと…?」

 

 

「オレが太鼓判を押してやってもいい。このままいけば…オレを簡単に追い抜けるだろう」

 

これほどの才能と…研鑽があれば確実に追い抜かれる日も来る。料理人というのは如何に…食べる側を喜ばせたいと考えるかが重要だとオレは考えている。それが料理を一つ上に持ち上げてくれる。

 

 

 

 

だが…オレには食べる側を喜ばせたいという精神が著しく欠けている。そんな奴の料理はやはり中途半端。完璧にはならなくて…未完成。

 

 

 

それからもオレは茜ヶ久保と少しだけ話した。ほとんどは茜ヶ久保の方から話題を振ってくれて、オレがそれに答えるという感じだった。

 

 




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