「とりあえず沖縄に来てみたが、必要なかったかもな」
「なに言ってんだスターク。水族館や首里城だってあるだろ?」
横でぴょんぴょん跳ねてる彼女を傍目に、スタークはため息をこぼした。
「観光に来たんじゃねぇんだよ。つっても、まだやることはねぇだろうがな」
「え⁉︎じゃあ行ってもいいんだな」
そう言って喜びをあらわにするリリネット。
「……はぁ、俺の目が届く範囲でな」
スタークは沖縄に来てから何回目かわからないため息を吐いた。
「傑、多分だけど誰かから見られてる」
「本当かい悟、場所はわかるかな?」
「すまねぇ、場所まではわからない。もしかしたら俺の勘違いかもしらねぇしな」
彼らもスターク達と同じように護衛任務をしており、その一環として沖縄に来ていた。
「どうしたのじゃ?ふたりして神妙な顔しおって」
ジトっとした目で彼らのことをうかがうのは天内理子。
「なんでもねぇよ天内。それよりさっさと海行くぞ」
「そうじゃな、では行くぞーー‼︎」
そう言って彼女は砂浜へとスキップするように駆けていった。
「沖縄楽しかったねスターク。もう出発するんでしょ?」
「あぁ、原作と同じように2日間滞在してな……お前は満喫しすぎなんだよ」
そんな彼の注意に、リリネットは少し呆れたような表情を見せる。
「そう言うスタークも楽しんでたように見えたけどな」
「……気のせいだろ、それよりはやく飛行機に乗るぞ」
ぶっきらぼうに言い放ち、トランクケースを引きながらロビーへと彼は消えていった。
「待ってくれよーー‼︎」
「これが最強ねぇ」
「どうだスターク、やっぱり強いか?」
沖縄から帰ってきた彼らは、五条と夏油が呪詛師達と戦っているのを遠くのビルから眺めていた。
「相手が弱かったからよくわかんねぇが……アレを使う必要はないだろうな」
「そっかーーアレは使わないのか」
そう言って少ししょぼくれるリリネット。
「なんでお前はそんなに使いたがるんだ?俺はめんどくせぇことは嫌いなんだよ」
「使えるもんは使いたいだろ、カッコいいしさ」
彼女が口を尖らせて文句を言うのを待たずに、彼らはその場を去ろうとしていた。
「不貞腐れてんじゃねぇよリリネット、さっさと移動すんぞ」
屋根の上をアクロバティックな動きで進んでいくスターク。
「だから置いてくんじゃねぇよーー」
「アイツが今回守る対象かぁ」
「どんなやつかは知ってただろ?今更やめるは無しだ。ダチの頼みだしな」
気落ちするリリネットへ九十九をダシに宥めようとするスターク。
「将来的に最強つってもまだガキか……注意不足だ」
そう語る彼の視線の先には地面へと倒れ伏す五条悟の姿。
「スタークほんとにこれでよかったのか?」
「あぁ、これじゃないと最強が生まれないかもしれねぇからな」
血溜まりの前に歩み寄る2人。その表情はあまりいいものではないように見えた。
「……リリネット、応急処置してやれ。俺は先に行く」
「わかったよスターク‼︎すぐに追うね」
彼女は血塗れの服をはずし、彼は暗闇へと歩きはじめた。
「すまねぇな。止めることができなくて」
暗がりの中で倒れていたのは黒井。天内理子の世話係であり、親代わりでもあった。
「回道はかけた。あとはリリネットがなんとかする……あの子は絶対に助けるよ」
そう語って彼女の傷口に彼が触れると、淡い緑の光が溢れる。それを見届けた彼はまた歩みを進めた。
「私達は最強なんだ。君がどんな選択をしようと、君の未来は私達が保証する」
幼児を諭すように語る夏油。
「私は……もっと皆と一緒にいたい。いろんな所に行って、いろんな物を見て……もっと‼︎」
そんな吐き出した言葉を聞き、彼はゆっくりと右手を差し出した。
「帰ろう、理子ちゃん」
「……うん‼︎」
本来ならばここで乾いた音がするはずだった。だが、今はこの男がいる。
「おいおい、そんなもんを女の子に向けるんじゃねぇよ」
「アンタどっかで会ったか?男の名前を覚えんのは苦手でな」
拳銃を降ろさせた彼は、そのまま右手につけてた手袋を外し答えた。
「心配ねぇ、初めましてだよ。第一刃コヨーテ・スタークだ」
プリメーラエスパーダと読みます。