GATE - アークス 彼の地にて、斯く戦えり   作:睦月透火

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前回のアンケート結果……え、コレってアレですか?
野党議員をお嬢ちゃん呼ばわりするシーンをやれと?
もしくはアークス流で黙らせろと?

……やってやろうじゃん!(ニヤリ)


第10話 理想と現実

 殿下の手記には、こう記されていた……「門を潜ったその先にあったもの……それは、正しく『摩天楼』とも呼べる光景だった」……と。

 

「……ッ!? こ、コレは……!」

 

「……ぁ……っ……」

 

『……なるほど、良く似ている……』

 

 異なる世界を繋ぐ「門」(ゲート)は、主要道路のど真ん中にあった……その為か、両側はオフィスビルやテナントビルで埋め尽くされており、殿下達はその異様な光景に目を奪われていた。

 

「殿下?! 壁の中に人が……!」

 

 窓越しに見えるビルの中で、人々が忙しなく日常を送っている……この地点は自衛隊の管轄になっているので、ほとんどが自衛官みたいだけど。

 

『壁ではありませんよ? アレは建物の一種で、立地を有効活用しているのです』

 

「……なんと言う……!」

 

 殿下は自身の持つ知識や技術と照らし合わせ、レベル差が違い過ぎる事を痛感しているようだ……まぁ、科学というジャンルが未発達な世界から来たのだから、些細な事でも驚愕に感じるだろう。

 

(……あまりに衝撃が大き過ぎると、却って悪影響な気がする……)

 

 恐らく……僕がオラクルに帰る事が出来るようになったら、似たような交流も無いとは言えない……その場合、今度は伊丹さん達がオラクルの技術力に圧倒される事になるだろう。

 その場合の責任者がカスラ室長だけなら穏当な配慮があるだろうけど、もしシャオまで関わるなら、それこそ面白半分で度肝を抜く事を見せびらかす可能性が高い……

 

 シャオはオラクルの管理者なのに信用無いって? 彼の本質……教育者(サラ)には悪いけど、彼の精神性はまだまだ子供っぽさが抜けてない大人だ。

 人間への理解を深める為とはいえ、守護輝士2人(アッシュとマトイ)のプライベート……二人揃っての外出(デート)を管理者権限でこっそり覗くとか……完全に子供だろ? しかもあろう事かシエラも共犯で。

 

 ……無論、その事は漏れなくカスラに報告を上げさせて貰ったが。

 

「アンタが、伊丹二尉……かな?」

 

 殿下達を待っている伊丹さんに声を掛けてきたのは、如何にも……という風な演技をしている駒門という男、日本の公安組織に所属する人間だった。

 情報部の査察官である僕の感覚で見た彼の言動は……半分テスト、といった感じかな……この飄々とした態度で伊丹さんの真意を探るつもりだろう。

 

 ……ただ、伊丹さんのあの言動は本当に策略なのか? もしかしたら天然? 僕を尻目に会話を重ねていく伊丹さんと駒門さん。

 

「月給泥棒、オタク……隊内じゃ散々弄られた様じゃないか……だが、何でそんなアンタが『()』なんだ……?」

 

 駒門さんは伊丹さんの経歴を淡々と語り、最後の一言を呟いた途端……栗原さんの顔が露骨に歪み初め、終いには何故か絶叫し始めた……

 

 雰囲気的に、伊丹さんの経歴からやっぱり只者じゃない感はする……そしてそういう評価だからこそ、敢えて能力を求められる現場に行かされてしまう……と、邪推したのは間違いだろうか?

 

 しかし、それどころじゃない栗林さん……驚愕の理由を問うと

 

「だって! キャラじゃないじゃん?!」

 

 いやキャラって……確かにアークスにも、馬鹿をやってる面子は少なくない。

 

 しかし彼らは相応の場面に当たれば、古参の強者すら舌を巻く程の恐るべき実力を発揮する……彼らの大半は、ダーカーとの長き戦いに終止符を打てた為、不意にできてしまった暇を持て余した末にああなったのだ。

 

「そんな……隊長(こんな人)選りすぐりの精鋭(レンジャー)な上に『S(Special Forces Group:特殊作戦群)』なんて、何かの間違いよ……嘘だと言ってぇ~!!」

 

 伊丹さんも彼らと同じく、そういう手合だと思いたい……だが、彼女の慌てっぷりを見ていると妙に不安になってくる……本当に大丈夫なのだろうか、と。

 

──────────

 

 殿下達はお忍びの同行である為、外部に悟られない様に皆揃って大型車両で移動……途中、普段着のまま来ているテュカの為にスーツを買う事に……

 その際僕らも、スーツを買うように求められたが……サポートパートナーであるリィスにはサイズが合わず、キャストである僕は『オラクルで行っている専用のカスタマイズやチューニング、そしてフィッティングが施されてないと着れない』という現状を語り、丁重にお断りさせて貰った。

 

 それから、昼食を『○野家』という牛丼の格安チェーン店で済ませる。

 

 何故格安チェーン店? と思う人も多いだろうが……情報漏洩を防ぐ目的もあり、この招致の件が終わるまでの間、僕らは全員伊丹さんの部下として「出張扱い」という事になっているらしい……

 その為テュカに(あつら)えたスーツ等は経費で購入でき(落とせ)る反面……食費は1人一食につき最大500円まで、という事なのだそうだ。

 

 無論、殿下とボーゼスさんも牛丼を食べ……火の通った茶色い肉がたっぷりという見た目に反し、出汁と紅生姜の効いた奥深い美味しさに終始ご満悦な様子だったのだが……帝国には所謂(いわゆる)()()()()が無かったため、生の鶏卵を入れるというスタイルに揃って驚愕……「腹が減っては戦ができぬ」という精神で己を奮い起たせ、最初の一口目を口にする直前までの間、物凄く尻込みしていた事を併記しておく。

 

 

 その後再び大型車で移動を再開し、国会議事堂に到着……僕は殿下に付いて行くつもりだったが、伊丹さんにこう言われた。

 

「あ~、トリニティ。殿下の方は別会場だが、お前さんも対外的な名目上は現地民だ……答弁を求められる可能性があるから、お前さんもココで降りてくれ。

 殿下には特地語の履修者が応対するから、富田と栗林だけでも十分だし」

 

『そうですか、了解です……ただ、帰還後の報告書に関して……両国間の交渉の内容くらいは把握しておきたいので、リィスだけでも連れて行って下さい』

 

 実際、長期任務後オラクルへ帰還すると……だいたいは詳細を明記した報告書の提出や出頭命令が下る……現状、直接の連絡手段が無いので、帰還後までの行動や判断、言動などを上層部……或いはトップであるウルク司令から直接評価されるのだ。

 

 昔は事務的な報告書の提出だけだった上、評価も適当だし補填や報奨も有って無いようなもので済まされていた為、相対的な義務感だけで誤魔化している者が多かった……

 しかし今では、詳細を明記した報告書じゃないと済まされない代わりに、正当な評価とそれに見合った報酬……大抵の場合は通常時に取得できるはずだった休暇の補填だったり、報酬メセタだったり……ごく一部はスタージェムと呼ばれる物が支給される場合がある。

 

 なおスタージェムとは、主に第3世代以降のアークスが愛用しており、特殊な資材やコスチューム等が当たるスクラッチだったり、資材専用の倉庫利用費にも使える電子マネーだ。

 

「……なるほどな、帰還してもお前さんはお前さんで苦労する訳か……分かった、その辺の事情も併せて同席させて貰えるよう進言しておくよ」

 

『よろしくお願いします』

 

『……それではご主人様、接収した情報は議会終了後に』

 

『あぁ、頼むよリィス』

 

 リィスに情報収集を任せ、移動に使ったバスから降りた僕は、青空に聳える国会議事堂を見上げた……

 

(……さてこの先、事態はどう動くかな……?)

 

──────────

 

 日本標準時14:20……国内中の報道カメラを通して、大勢の日本国民が事態の推移に注目する中……特地現住民に対する質疑応答の生中継が始まった。

 

《あっ、参考人が入ってきました……!》

 

 伊丹さんを先頭に、レレイ、テュカ、ロゥリィ……そしてフルドレスデュピティを着込んだ僕が扉を潜って入る……報道カメラが一斉に此方を向き、弾幕を形成するマシンガンの如くフラッシュが焚かれ、特地原住民として招かれた彼女たちと僕を撮り続ける。

 この光景は幾つもの報道カメラを通して、世界中が見ているらしい……下手な芝居は打てないが、こちらの目的を果たす為なら、それなりの事をやる準備は出来ている。

 

(さて、穏便に済めば良いんだけど……)

 

 一抹の不安が過ぎる中、質疑応答が開始された……

 

 

 最初の議題は、自衛隊の行動の如何を問うものだった……

 口火を切った議員からの質問……最初のドラゴン戦での民間人死傷者数が100人を越えた件を、如何にも自衛隊員の怠慢……という風に捲し立て始める。

 

「え~、それは……ドラゴンが強かったからですかね」

 

 対する伊丹さんの回答は至極単純……自分たちの想定以上に相手の方が強かった、と答えた。

 

 当然、議員は「何を他人事みたいにッ!!」と噛み付く……が、当時を第三者として見た僕からすればそうとしか言えないし、他に理由も無い。

 結果的にはドラゴンの撃退は出来たものの、その際に取られた戦術……事態の推移からすれば、あの結果は逆にあれだけの損害で済ませた……というのが、アークスとしての僕の評価だ。

 

 この場の言動にこそ出していないが……レレイやロゥリィもその評価は当然としており、現地民からしても……襲われるという恐怖を物ともせず、満足に動けない自分たちを守る為に敢えてドラゴンの前に出て戦いを挑んだ彼ら自衛隊員を揃って称賛、逆に誰一人として侮蔑などしなかった。

 

 伊丹さんが続けて語ったのは、それでも死者を出してしまったという遺憾の意と、自らの部隊の戦力不足……ただ、その最後に「荷電粒子砲とか、電磁投射砲(レールガン)とか……」と聞いた僕は必死に笑いを堪える羽目になった。

 

 

 ドラゴンの能力に関しては、研究関係の部署からの報告もあって一応の答弁は済み……今度はレレイへと質問が投げられる。

 今回、この場に参加する殆どが日本語を話すので、レレイ達にはアークスのリアルタイム通訳システムを内蔵した自動随行(マグ)型翻訳機……通称「全知くん」を渡しており、質疑応答には一切支障ない。

 

 議員はレレイを完全に子供とみなし、さも自分の方が聡明であるかのような態度で質疑をするが、レレイは全く意に介さず……淡々と、そして簡潔に応答を繰り返した。

 これには最初、子供だとタカを括った議員も徐々に旗色が悪くなり……ドラゴン戦での自衛隊員の対応に問題があったかとの問に「無い」と即答したのを最後にレレイへの質疑を止めた。

 

 次に行われたのはテュカへの質疑……

 

 その冒頭、議員はテュカがニューm……もとい、エルフだという事に疑問が湧いたのか「耳は本物か?」と訪ねた。

 当然テュカは髪を手で動かして隠れた耳の付け根を晒し「そうですよ? 何なら、触ってみますか?」と返答……

 直後にカメラのフラッシュが凄まじい勢いで連発され、全員の視線がテュカの耳へ向けられたのは言うまでもない。

 

 それからテュカに対しても、ドラゴン戦における自衛隊の行動の是非が問われたが……当の本人は気絶していたので言えるはずもなく……正直に「気絶していた」と答弁したので、議員も追及を諦めた。

 

 その後、ロゥリィへと質疑が移る事になったんだけど……それがまさか、あんな事態にまで発展する事になるなんてね。




読みやすさ重視というか、なんと言うか……
個人的に楽しみは取っておきたい派なのでロゥリィは後半という事にw

殿下の方の奴ですけど……
ほぼアニメそのまんまだし、特に代わり映えしないのでバッサリです。

次回こそお待ちかね。
野党議員のお嬢ちゃん呼ばわりとそれから巻き起こる一騒動……

感想お待ちしてま~す♪

議会中の騒動を受け、ネット上で一番の話題をかっさらうのは?

  • 原作通りの「お嬢ちゃん」発言
  • 種族的な特徴からの実年齢
  • 実在したオラクルとアークス君
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