GATE - アークス 彼の地にて、斯く戦えり 作:睦月透火
初挑戦ながら書いてて楽しかったのは良かったのですが、スマホでやるとどうも反応が鈍くなっていくんでちょっちイラッと来たのは秘密w
さて、件の国会中継は予定を若干遅らせたものの終了。
世界中が衝撃に包まれる中、渦中の当人達は密かに議事堂を脱出しなくてはいけなくなったのです……まぁ、当然だよね?
姫さま達に同行したリィスからの通信で、会談は無事に終了……合流すると報告が来た……のだが。
「こりゃあちょいとばかし厄介な事態になったぞ……報道関係に混じって、大勢の一般人までもが議事堂周辺に
「え"っ?! 何でそんな事態に?」
「大方、あの男の存在のせいだろうよ」
駒門さんの指摘は正鵠を射ているだろう……この世界では空想の産物とされている、アークスの実在……
……僕がこの場に居るからだ。
「トリニティ、あの場で公開したのは……ホントはマズかったんじゃないか?」
『あはは……でも、元々アークスの存在を秘匿する義務はありませんし、此方としては何時でも良かったんです……とはいえ、あの場で公表した事による衝撃が、当初の想定よりも大き過ぎた……というのは一つ、反省点ではありますがね』
地球へ渡ってからの通信手段として、コチラで普及している幾つかの通信ネットワークの仕組み等を教えて貰っていたので、そのネットワークを利用出来るよう端末は改良してある。
端末の画面には、絶えず更新される不特定多数者を巻き込んだリアルタイムチャット形式の画面を映している……その中では「議事堂なう」「アークス居た?」「人多すぎww」と口々に書き込まれていた。
「とにかく、当初の予定通り……議事堂を離脱する。皆は俺に付いて来てくれ」
「我々も予定通り行動する、合流は例の場所でな」
駒門さんは止めてある車両に乗り込み移動を開始……僕らも人混みを避けながら、徒歩で議事堂を後にするのだった。
議事堂から徒歩でしばらく歩き、辿り着いたのは地下鉄……地球でもこういう交通網が発達している事は把握済みだったが、記録を見るのと実際見るのとでは、やはり情報量の差が違うね。
国会議事堂前という駅から、丸ノ内線という路線の地下鉄に乗り込んだ僕ら……一つ先の霞ヶ関駅で駒門さんとも合流し、囮作戦の顛末を聞きながら車輌に揺られていた。
「移動手段の急遽変更を知らなかった時点で、情報漏洩の容疑者は2人に絞られたよ……」
この移動手段の変更は、内部の情報を漏らしているスパイの炙り出しに使われた様だ……もちろん、僕らにもメリットはある。
あの大観衆から姫さん達帝国の要人を守り通す自信は無いし、万が一にでも連れ去られたら国家の沽券にも関わる……だが幸いな事に、特地住人であるテュカ、レレイ、ロゥリィには思ったよりマークが甘く、逆にその分だけ僕とリィス……つまりアークスが注目されているらしい。
『……僕らとしては、無事にオラクルへ帰還出来るなら、どの国が協力者でも構わないんだけど……さすがに、他国の民間人まで危険に晒す様な国はお断りだね』
利益優先を是とし、他国へ迷惑を掛ける様な国に対して、僕は協力するつもりなどない……そんな指示をした時点で、その人物の性根は腐っている……僕らアークスの多くが最も嫌悪する人種だからだ。
「……世の中にはそういう手合いの方が多い、お前さん等の志は立派だが、この星では綺麗事だけじゃ生きていけない場合もあるのさ……」
駒門さんは苦言を呈してくるが、生憎と僕はこの生き方を変えるつもりは無い……そうでなきゃ、また彼女を泣かせてしまうからね。
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殿下達とは乗車時に合流しているので、後は滞在先に入るだけ……だったのだが、ロゥリィの様子がさっきからおかしい。
「伊丹ぃ……まだ着かないのぉ?」
「もう少しの辛抱だ、2つ先の駅で降りるから……」
「は~や~くぅ~!」
何をそんなに警戒しているのか、随分と焦りの混じった声色だ……特地では体感できないこの特殊な閉鎖空間を忌諱しているのか? と思ったが、実際は……
「地面の下はハーディの領域なの……アイツ、200年前から私に『嫁に来い』ってしつこくてしつこくてしつこくてぇ……!」
……向こう側の経験からくる理由だった。
大地の下……地下を縄張りとする神、か……恐らく地球で言う死神『ハーディアス』の事だろう。
(この世界に神は居ない……住んでる世界が違うから、全くの杞憂なんだけどなぁ)
だがロゥリィにそう言っても信じては貰えないだろうし、混乱を助長する可能性もある……言うべきか逡巡していると。
「駒門さん……スンマセン、俺達ココで降りるわ」
「ちょっと待て、俺達達にも段取りってモンがある! そう簡単に動かれちゃ……」
構内の電光掲示板やスピーカーから流れて来たのは、車輌事故による運転休止のアナウンス……このタイミングで……という事は、何処かの国の陰謀の可能性があるな。
駒門さんと伊丹さんも何処か渋い表情だ……自国の利益の為なら、他国の事などどうでも良いのか?
「……隊長……」
「ヤレヤレだな、お前さんの読みの方が正しかった訳か……」
栗林さん達の顔も何だか複雑な表情だ……渋々、といった感じで駒門さんも同意するしかなくなり、僕らは銀座駅で地下鉄を降りる事となった。
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地下鉄の駅から地上へ上り、銀座の街中へと出てきた僕らを襲ったのは、無防備な手荷物やバッグ類をすれ違い様に盗む……所謂、ひったくり行為だったのだが……
「うぐぉあっ?!」
ロゥリィのハルバードを盗んだ直後……想定外の重量に負けて崩折れてしまったひったくり犯は、その場でハルバードの下敷きになってしまった。
「ヤレヤレ、何やってるんだかコイツは……」
溜め息混じりに駒門さんがひったくり犯を立たせようとハルバードに手を出し、伊丹さんが「ちょ、ソレは……」と制止しようとした直後……
グキリッ!! 「ひぎぃぃっ?!」
鈍い音が響いた後、駒門さんの体勢が崩れ始め……ひったくり犯に重なる様に倒れてしまったのであった。
ロゥリィの持つハルバードは僕ですら片手で長時間の保持は難しく、その重量は数百キロに達するらしい……地球人の人体構造がオラクル人とほぼ同一とはいえ、身体性能は一般人である駒門さんも負荷に耐えられなかったのだろう……南無三。
本当ならこの先、市ヶ谷にある施設で一泊する予定だったのだが……伊丹さんは何を思ったのか、コンビニで1人ぶんの食事を買い込み、近くの住宅街へと僕らを案内し始めた。
その後、辿り着いたのは……駅からさほど離れてないエリアにある「集合住宅」の一つだった。
「ま~たギリギリ状態か……全く、アイツは……」
どうやら、この建物が目的地らしい……そしてそこには、こういう事情でも信頼できる知り合いが居るという事になる……
伊丹さんの人脈はいったいどうやって築かれたのだろうか……情報部として、非常に気になる処である。
「……おいおい、エアコンも付けてないのか? 寒いぞこの部屋……」
勝手知ったる……という事なのか、手持ちの鍵で扉を開け、無遠慮に中へと入っていく伊丹さん……部屋の中は暗く、ライトや照明が一切点けられていない。
それを承知の上で入り込み、この場の主が居るであろう部屋の入り口を開いたら……
「……ぁ……っ、ご~は~ん~だ~」
か細いが芯はハッキリと感じる女性の声がして、伊丹さんの足元に誰かがすがり付く……
「あぁ……あったかぁいぃ~……」
その女性はよほど空腹と戦っていたのだろう……隠す事なく口端から唾液が見えている。
「……隊長、誰なんですか? その
「……はぇ? トリー君が見える……何で画面越しでもないのにトリー君が……?」
『……その呼び方……もしかして「サリー」……?』
「え、梨沙……お前、PSO2やってたのか?!」
『サリーは、アークスシップ第10番艦・ナウシズで総務部に所属する
「コイツは俺の元・嫁さんだ……っていうか梨沙お前、PSO2やってた事黙ってたな……?」
「……ネタのためよ? まぁ、ついつい楽しくて止めらんなくなっ……あ痛ぁ?!」
「 「 「 えぇぇぇぇぇぇっ?! 」 」 」
伊丹さんの元・配偶者であり、僕の元・仕事仲間……その彼女が、当時のこの地球からゲームのアバターを使ってオラクルに来ていた事……それぞれから与えられた何重もの衝撃に、この場に居る全員が驚愕の声を上げたのである。
アークスこぼれ話。
サリーこと梨沙のゲームアバターと、オリ主のトリニティは同じ10番艦ナウシズに所属しており、事ある毎(ストーリーイベントとやらで業務的)に会話させられ、ほぼ強制的にお互いを認識させられていた過去がある。
なお、原作ゲームではトリニティではなく、情報部トップのカスラが毎度の如くプレイヤー(主人公)と顔を合わせていますw
ちなみにラストで殴られた理由は、結婚当時に謎だった使途不明金の消えた先が判明したため。
サリー(デューマン:女性) クラス:フォース/サモナー
ナウシズを拠点に活動するフォースの1人で、ペット「マロン」「メロン」を常に連れている。
戦術的にはペットの攻撃に紛れてPPの続く限り攻撃テクニックを連発するタイプだが、弱点や死角の把握、戦略眼は本物で、同行しているペットの被弾率は異様に低い。
しかし、不測の事態で追い詰められると「マロン(メロン)リボルバー」と呼ばれるペット虐待行為スレスレの戦法に切り替えてくる……
なお、彼女のスキル構成、防具の能力付与、ペットのキャンディBOXの全てが火力最優先のガチ盛りなので、通常時はおろか、マロン(メロン)リボルバー時の与ダメージはなかなかにエゲツナイものに……w
今後も元(または現)PSO2プレイヤーの参戦はありですか?
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あり
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なし
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ヒツギ達「PSO2地球組」は?
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むしろオラクル側の介入は?