GATE - アークス 彼の地にて、斯く戦えり   作:睦月透火

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ゲーム内やアニメでも、如何にアークスという存在がチートなのか分かると思いますが……
こう実際に目の前でやられると、衝撃的だと思いますね。

さっそく第2話、行ってみよー♪



第2話 アークス=チート集団?

「倉田……お前、なにか知ってんのか?」

 

 伊丹は部下である倉田だけが違う反応をしたのに気付き、説明を要求……倉田もコレは語るべきと興奮を抑えきれぬままに口を開いた。

 

「隊長も知ってるでしょ?! あのゲーム!」

 

「はぁ?」

 

「『PSO2』ですよ! 色んな意味で伝説と化してる、あのオンラインゲーム!!」

 

(やはり……彼らの世界でも、僕らの世界はゲームの中の世界だという認識なのか)

 

 予想していたとはいえ、彼らの反応が地球との交流開始時と同じ反応だった事に残念がる……だが、その反面ある意味期待も膨らんだ。

 

(だけど、ゲームであるなら……この世界からの帰還は、意外と早く叶う可能性が高いね)

 

 そう、オラクルと地球が交流を持つに至るまで……地球側の人類は一部を除き、オラクルの世界をゲームだと信じて疑わなかった……

 だが、地球側で発達した「エーテル」技術が、オラクル側の「フォトン」技術とよく似ている事や……ダーカー勢力の干渉によって地球側にも影響が出たり、地球人がエーテルをフォトンの様に扱い、中にはフォトン能力に目覚める者も現れるなど、様々な混乱が生じた事や……地球側の組織「マザー・クラスタ」と「アースガイド」との対立……幻創造神(デウス・エスカ)との戦闘と対話を経て……ある程度限定されたルートのみながら、現在も相互交流は続けられている。

 

「で、それがどうしたんだよ?」

 

「アークスはプレイヤー勢力の組織! 熟練者が4人も居れば神でも瞬殺するチート集団ですよ!!」

 

 ちょっと待って、その情報は初耳なんだけど?

 いくら僕らアークスの身体能力がフォトンによる強化で地球人よりも優れているとしても、たった4人で神を瞬殺はさすがに無理がありすぎる……せいぜい、ダークファルスを足止めするのが関の山だ。

 

 そんな誇大妄想を現実のように吹聴している彼……何かが怪しい。

 

『……さすがに神殺しは無理だよ……そもそも僕らはダーカーとは戦うけど、神さまとは敵対してないし』

 

「「「……えっ?」」」

 

 え? なにその反応……まさか僕の言葉の方が信じ難いって事?

 

『誤解しないで欲しいんだけど……僕はアークスだけど神さまは殺せないよ、あと、殺す気もないから』

 

 隊長である伊丹さんは信じてくれた様だけど、誤情報を発した彼……倉田さんはまだ疑っている様だ。

 誤解を解くには、少し時間と切っ掛けが必要な様だ。

 

──────────

 

 取り敢えず敵意はなく、ココが何処なのかも分からない事を伝えると、彼らは再び反応に困る様子に見えた。

 

「……どういう事だ倉田? アークスは個人で空間転移できる程の技術を持ってるんだろ?」

 

 確かに、技術的には個人単位での転移も可能ではある……だが、それはあくまで外部のサポート……管制官やシップ側が演算処理やゲート生成を行うからであり、1人で空間転移が可能というのは語弊がある。

 

『口を挟む様で悪いけど……転移可能なのはサポート体制が万全、かつ妨害されてないからだよ……個人で完結する技術ではないからね』

 

 

 一先ず、自衛隊の人とは会話が成立するのでこちらの事情を話し、帰還の際に同行させて貰う事になった……のは良いが、先程のオオトカゲとの戦闘で負傷者や死者も多く出たらしい。

 

『……まだ間に合うなら、手伝わせてくれ』

 

 例え違反行為だとしても、黙って見過ごすほど冷徹じゃない……彼らしか帰還する宛はないのだ、確約できないとはいえ、彼らには無理を言っている事くらい理解している……誠実さを以て返さなければ僕の気も済まないしね。

 

 幸い、戦闘で即死した人以外は全員が集められている……これなら問題ない。

 

『こんな事もあろうかと……って、誰かが言ってたっけ?』

 

 アイテムパックから、不測の事態に備え()()()()常備していたアイテム……コスモアトマイザーを取り出し、封を切る。

 このアイテムはアークスにおける最高ランクの消耗アイテム……戦闘不能者の蘇生・体力の回復・あらゆる状態異常の治癒を一定範囲内に発動させる、最高の回復アイテムだ。

 

 ただし、希少過ぎて通常手段では入手できず……旧友に譲って貰った1個を、お守り代わりとして常に持ち歩いていただけであった。

 

(コレで効かなきゃ、蘇生はお手上げだな……!)

 

 ボトル内のフォトンが大気に触れ、黄金の光を発しながら花火のように打ち上がり拡散……範囲内に集められた瀕死の重傷者へと降り注ぐ。

 

「……っ……ぅ……」

「はぁ……っ、はぁっ……ぁ…」

「……? な、何が……?」

 

 虫の息で手の施しようがなかった数名を含む、効果範囲内の全員へと降り注いだフォトンの光が収まる……するとどうだ、荒かった呼吸をしていた人の表情が緩み、息すらしていなかったのでは? と疑うような人が急に普通の呼吸をし始める……腕を蝕んだ火傷の疼きに呻いていた男の腕からは生々しい火傷が綺麗サッパリ無くなり、全身擦過傷だらけの上に足を骨折していた女性は、痛みが急に消えた事に驚いていた。

 

「……す、スゲェ……!」

 

「大量の重傷者が、あの一瞬で……」

 

「……奇跡じゃ!」

 

 翻訳システムの解読率が、いつの間にか75%に達している……どうやら、絶望を前にした彼らの声や言葉も拾い上げて演算していた様だ。

 

「……お前さん、森のエルフじゃないのか?」

 

「いや、違うよ……僕は、ただのアークスさ」

 

 そう言いながら、エネルギーアキュメーターとして機能している……視界に垂れてきた前髪を長い耳に掛け戻し、疑問を投げかけた男と向き合い、ただのお節介だと付け足した。

 

 

 先程、疑問を投げかけた男は避難民グループのリーダーだった様で、状況を再確認した後メッチャ感謝された。

 ……だが、実際に救えたのはほんの一部だけ……直接的・間接的に関わらず、あのトカゲのせいで命を落とした者は多かった。

 

「……随分と凄い事をやってくれたわねぇ?」

 

 言語翻訳率82%……もう普通に会話しても十分な数値だ、僕は声を掛けてきたゴスロリ衣装の少女を見ると、彼女の放つ奇妙な雰囲気に既視感を覚えた。

 

「凄い? アークスの中じゃ、蘇生行為は基本中の基本……消耗品の扱いレベルだからね、ある意味『禁忌』と言われそうではあるけど……」

 

「……分かってるなら、何故行ったのぉ?」

 

 少女から伝わる雰囲気が剣呑なものへと変化する……そうか、この既視感……以前にも感じたものだ。

 

(強さや規模は違うけど……この感じ、終の女神シバに似ている)

 

 油断はしない、斬り付けられても問題ないよう……彼女から見て影になっている左手に「リバレイトタリス」を現出させ、右手はフリーにしておく。

 

「救える命を放置するのは寝覚めが悪いからね、それに……」

 

 ゴスロリ少女の姿が消え、気配が背後へと回る……タイミングを見計らい、僕は特別な機能を持つタリスを真上に投げ上げ、彼女が背後に現れて大鎌を振り下ろす直前にタリス本体のスイッチを押す……

 

 ゴパァァンッ!!

 

 振り下ろされた大鎌の威力で大地が抉れ、土煙が発生する……何事かと伊丹達が飛んできた。

 

「……っ!? 居ない?!」

 

「ここだよ」

 

 ゴスロリ少女の攻撃は当たっていない……僕はヒーロークラスの扱うタリスだけが持つ特殊能力「マーキングショット」によって上空へと回避したのだ。

 勿論、タイミングは刃が触れる直前……設置したマーカーへとジャンプする時、使用者の身体はフォトンによって空間の位相がずらされており、相手からみれば「確実に当たった」と錯覚させる事が出来る。

 

「……命を救うのに理由なんて要らない、それがアークスの理念だ」

 

「……そう、アナタもそうなのね……良いわ、認めてあげる」

 

 何事もなくヒラリと着地すると、ゴスロリ少女は1人で納得して歩き去って行った……

 

 ……少し驚いたが、彼女はこの世界で何かしら神格的な役割を持っているのだとか……だから、禁忌とか軽々しく言った僕にちょっかいを掛けてきたのか?

 

(この世界での蘇生行為は、あまり褒められた事じゃない……のかな?)

 

 此方から敵対する行為をする事はない……今後からはもう少し考えて行動しないと。

 

「……先程からずっと此方を見ているけど……僕になにか用かな?」

 

 いい加減にこの視線から開放されたい、僕は視線の送り主を見ないまま声を掛けた。

 勿論、視線の送り主は自衛隊の車内に居るニューマンの少女だ……まだ布一枚しか羽織ってないので、振り向く訳には行かない。

 

(……さすがにあのままじゃ可哀想だしね)

 

 再びアイテムパックを漁る……ふと、女性物の服がアイテム化されたまま入っている事に気付いた。

 

(……あ、コレって……)

 

 未開封のパッケージングが施されたアイテム……それは昔、付き合いの長い同期から強引に手渡されたボックス品だった……量子データ化されているので年季などは入らないが、随分と懐かしいデザインの服と装飾品が一式揃って入っている。

 

「……あんな格好じゃ、ろくに話も出来ないな……お姉さん、彼女にコレを着せてくれ」

 

 そう言って僕はアイテムパックからさっきのボックスを取り出し、ちょうど此方へと戻って来ていた自衛隊の女性、黒川さんへとボックスを渡す。

 

「え、良いんですか?」

 

「問題ない……というか、彼女の格好を先にどうにかしたいからね」

 

 発言の意図を察し、さっそく黒川さんは車内で彼女に服を着せ始めた……途中「これ、どうやるのかしら?」とか「あ、コレ綺麗ね」とか聞こえたが、僕に聞いてくる程の事はなかったので問題なく着せれたのだろう。

 

「……すみません、お待たせしました」

 

 黒川さんの声と共に車両の扉が開かれ、黒川さんと彼女が出てくる……

 

「……ふぅむ、よく似合ってるね」

 

 着慣れてないせいか、まだモジモジしているけど……ニューマンらしい外見の彼女に、この「メルレットカリーナ」一式はピッタリだ。

 

「……あ、ありがと……」

 

 これでようやく彼女と話せる……この姿になってからずっと僕を見ていた理由、いい加減に吐いて貰わないとね。




……なんというか、アークスの戦い方って酷いぐらいチート過ぎませんかねぇ?
アトマイザー系アイテムなんて息の根止まってない限り蘇生可能だし、失敗しない……それが初歩的なアイテム、しかも簡単にお店で買える消耗品ですよ?

あと、アークスの常識しか無いのでこの男……エルフのテュカをまだニューマンだと思ってますねぇ。
……ま、外見的な違いがほとんど無いですからねぇエルフとニューマンって。

それはそうと、テュカに着せた「メルレットカリーナ」はPSO2の衣装で
2016年10月5日のアップデートにて実装されたものです。
もちろんフルセットですよ当たり前じゃないですか!?

テュカにも当然似合うでしょ?! 似合うよね?! 似合ってるって言ってよぉ!!

なお、時間的にはまだ昼間……死者の見送りと避難民達との別れはこの後です。
次回もお楽しみに! 感想・評価もよろしく~♪

他の子達にもアークスの衣装、着せちゃう?

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