GATE - アークス 彼の地にて、斯く戦えり   作:睦月透火

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長らくお待たせ致しました。
久しぶりの進捗状況……ゲームの方が春キャンペーンで時間が喰われるw


第21話 褐色肌(ダークエルフ)異邦人(アークス)

 地球での一件から数日後、テュカの不穏な行動が表面化しているとの報が黒川さんから齎されたのだが、伊丹さんは「最後まで責任持てないなら、これ以上関わるな」と黒川さんに釘を刺していた。

 

 確かに、彼女は捲き込まれた形で此処へ連れて来られた。その為同族はおろか身寄りもなく、精神的に不安定な今の彼女は心に危うい爆弾を抱えている……表面上は何とも無い様に見えるが、黒川さんの情報を元にリィスが調査したところ、夕方に市街を歩き回り、亡くなった筈の父親を探している姿が何度も目撃されているのだという。

 

『……あれはもう、重症化していると見て間違いないかと』

 

 リィスの意見に、僕も同意した。身内を含む一族全員を一度に失った事によるショックが精神を蝕み、徐々に悪化の一途を辿っている……下手をすれば、トラウマによる精神崩壊ないしは何らかの悪影響を及ぼす可能性が非常に高い。

 精神科医による早急な診察と治療行為を受けるのが望ましいが、まだアルヌスには精神科まで対応する余裕が無いと狭間司令からも説明を受けた。

 

(イリスなら、この件にも対応出来るけど……重要性としては殿下の方が遥かに怪しいからな。今更呼び戻しは出来ない……さて、どうする?)

 

 さすがに医療分野は門外漢だし、此方の定石が通用するかも怪しい……何気にオラクル側の治療法は地球と比べると(伊丹さん曰く)やや強引な精神論みたいだし、下手に手を出せば悪化を助長しかねない。これはさすがにお手上げかな……

 

――――――――――

 

 それからさらに数日後、レレイにテクニックの手ほどきをしていると、自衛隊員が現れ、レレイに通訳を依頼してきた。

 

 なんでも、最近市街で起きていたカツアゲ犯(?)を逮捕したのだが、現地語で取り留めのない事しか話さず、事情聴取に難儀しているのだという。

 何か引っ掛かるものを感じた僕はレレイに同行し、噂のカツアゲ犯(?)と対面することにした。

 勿論、混乱を防ぐために生身モード……市街や現地を回る際に基本となった男エルフ(男性ニューマン)の姿をして。

 

 

「男のエルフ……だと……?!」

 

「ヤオ・ハー・デュッシ。僕はトリニティ・フェザーバレット……悪いがエルフじゃない」

 

 そう言って本来がキャスト姿を見せたが、今度は“魔法の鎧……いや、まさか新種の魔物か?!”とますます誤解してくるのでとりあえず黙らせた。

 

「まずは君の話を聞かせてくれ……何故、この様な事を?」

 

 それから語られた事を要約すると、彼女は遠方にある「シュワルツの森」に住まうダークエルフの一族で、負傷した炎龍に度重なる襲撃を受けて全滅の危機に貧していた……が、近隣で「炎龍を撃退した」と噂になっているという「緑の人」に一縷の望みを賭け、彼らの救援を得る為にこのアルヌスを訪れたらしい。

 

(緑の人……自衛隊の隊服を特徴として捉えた訳か。納得の呼び名だね)

 

 ……しかし、駐屯地の自衛隊員は現地語に疎い者が多数。彼女とマトモに話せる相手が居なかったらしく、周囲の男達が助け舟を出して来たが、全員彼女の身体目的で近付いた小悪党だったので返り討ちに。

 

 それが結果的にカツアゲとして通報された事で、自衛隊も捜索を開始……

 

 発見時の彼女は、商店内で自衛隊員とやり取りしていたバイトの獣人に対し、何やら無茶なお願いをしていたらしい……やはり、言語問題は深刻だな。後で解決法を考えないと……

 

「……炎龍……」

 

『成る程ね。君の望みは、狭間司令への取り次ぎ……かい?』

 

「貴殿等は彼等に顔が効くと見た。出来れば口添えも頼みたい……我が部族の命運が掛かっているのだ!」

 

 

 僕とレレイは彼女の願いを叶えるべく仲介を快諾した……がその結果は、さすがに無茶過ぎるとの事で不可能だった。

 理由は単純に領土問題……シュワルツの森は帝国領ではなく、隣国の領土内であり、無断で戦力を越境させる事は最悪の外交問題、ひいては宣戦布告と見做される。

 

 日本は現在進行系で、帝国と事を構えている最中……更なる問題を抱える事は、自衛隊としても絶対に避けたいだろう。

 

『ヤオにとって、自衛隊は最後の希望……だが、彼等にも守るべきルールがある。これを覆すのは不可能だよ』

 

「……まだ、夢を見ているのだろうか」

 

 レレイはヤオにハーブティーを飲ませる、呆然とする彼女……最後の希望が絶たれた彼女、まだ現実を受け止めきれない様だ。

 

「残念だけど、これは全て現実……」

 

「嘘だと言ってくれ!! このままでは……私の一族が……」

 

 激高しながらも涙を流し、救いを懇願するヤオ……向こうの席では隊員達が何やら計画を練っている様だが、如何せん彼らは無茶を通せる立場に無い。

 

 ……とはいえ、この件の発端……元を正せば僕があの時、炎龍(アルヌスオオトカゲ)を確実に仕留めなかった事に起因するだろう。さすがにこのままでは寝覚めも悪い。

 

『……自衛隊には縛りがある。だから無理だと断るしかなかった……だけど僕ならそんな縛りもないし、逆に炎龍を討つ理由もある。

 ……その要請、僕が受けるというのはどうかな?』

 

 彼女はその言葉に、しばらく理解が及ばなかったのかポカンとしていた……その意味をようやく理解し

 

「……お前は、一体何者なのだ?」

 

 そう問うてきた……勿論、僕は飾らない一言でこう答える。

 

「僕は“アークス”……ただのおせっかい焼きだよ」

 

 この後、僕は即行動に移す予定であったが、狭間司令から「帝国側の情報入手と、皇女殿下等の護衛に協力して貰いたい」と要請が入る……

 

 ヤオの心情から炎龍問題の解決は急ぎたかったが、殿下の護衛に付けたイリスからも“私とリィスだけでは手が足りない。3人目も呼んで、直接指揮を執って欲しい”と請われ、自衛隊の要請も併せて承諾……その間トリニティはヤオに、対炎龍戦を想定して“ある事”をさせる事にした。




次回は、キナ臭い帝国でのお話。
この流れで行くと、捕虜のお話もありますよね……

ちなみに殿下の護衛としてイリスを付ける前までは、リィスが帝国で諜報活動をしてました。
なお、リィス(キャスト)とイリス(デューマン)は師弟関係というのもあって得意分野はほぼ一緒ですが、イリスは表立っての要人警護、リィスは暗部での諜報活動を最も得意としています。

そのイリスから要請を受け、3人目も召喚する事にしたアークス君。
果たして、3人目のサポートパートナーはどんな子なのか……?
そして、ヤオに対して行われる“ある事”とは……?

――――――――――


※ サポパは紹介的なヤツしてなかったし、この際だからまとめてどうぞ。

TIPS:リィス・ステイヤー
種族:キャスト 性別:女性

トリニティのサポートパートナー、メインクラスはファントム。
主にアサルトライフルを重用するが、カタナやロッドも不得手ではなく、場合によって使い分ける器用な娘で、普段はモダン調の和風メイド服を着ているが、パンツタイプやタイトスカートのスーツも着こなすお洒落さん。
冷静沈着で冗談はあまり好まず、私情を仕事に持ち込まない堅物系キャラだが、思考は柔軟で温情知らずではないデキる娘……しかし、オフには友人宅で“R-18(性的)”な薄い本の製作をガチで手伝うなど、一部の思考が何処かオカシイ。
主に隠密行動を得意とし、情報部所属のトリニティを裏方の諜報活動にてサポートしている。


TIPS:イリスティーラ・クラウン
種族:デューマン 性別:女性

トリニティのサポートパートナーでは最古参。メインクラスは「エトワール」で、ウォンドを愛用。ロングスカートが特徴のクラシックメイド服と天使の光輪(全て自作)を常に着用している。
リィスと同じく、冷静沈着で言葉遣いも非常に整っているが、「ご主人様の伴侶となる方は最初から決まっているのです」と称して憚らず、悪い虫が付く事を一切良しとしない。
その為、結婚適齢期の女性がトリニティに近付いただけで、途端に過激な言動で実力行使も厭わない()()()()へと変貌するという悪癖がある。

感想・評価よろしくお願いします。
|д゚)チラッ

帝国潜入編の改変具合は?

  • とりあえず静観……かな?
  • 胸クソ要素だけ修正を……
  • ほどほどに書き換えよう
  • 悩むまでもない……ガッツリ改変や!
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