GATE - アークス 彼の地にて、斯く戦えり   作:睦月透火

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明けましておめでとうございます。

新年一発目の投稿がアークス関連とは……
やはり私は根っからのアークスなのだなぁと実感しまして……
今年もよろしくお願い致しますm(_ _)m

ところで……
リィスのメインクラス、個人的にはテクターになるかもって想定だったんですが……
圧倒的じゃないか、ファントムが!!

なのでメインクラスはファントムに確定しますw
……「ソウジは銃器で行います」とでも言わせる?


第6話 襲撃に揺れる街

 イタリカが襲撃されているのはすぐに分かったものの、距離的に到着した頃には戦闘も終わっており……固く城門は閉ざされ、見張りの兵すら外から見えない。

 

『センサーに感あり……扉の向こうに3人、居ますね』

 

 アークス謹製の複合レーダーシステムと……キャスト特有の各種センサーのデータを照合し、僕はその結果を伊丹さんに伝える。

 彼は「うっそ、そこまで分かるの?!」と驚いていたが……アークスなら障害物越しの存在確認など基本的な技能だし、熟練者にもなれば視界の外を狙い撃ちする事も出来る。

 

『フォトンセンサーなら、空間的な隔離でもしないと普通にバレますよ……物理密閉、空気の出入りすらも閉じなきゃね』

 

 フォトンセンサーは大気中のフォトンを利用し、対象から放出される様々な現象を情報として捉え、それを肌感覚として感知するシステムだ。

 大気中のフォトンを利用するため、当然この様な場所なら丸分かりだし……例え扉を閉めた部屋でも、空気の出入りする隙間があるなら多少のタイムラグ程度で感知できるのである。

 

「何者だ!? 敵対する意思が無いなら姿を見せろ!!」

 

 見張り台の兵士が叫んだ。

 

「……多分、言う通りにした方が良い……私から行く」

 

「わ、私も……」

 

「じゃあ、私も行くわね……肩書きは煩わしいけど、私が一緒なら相手も悪く扱わない筈よぉ」

 

『万が一に備えて、僕も行くよ……伊丹さんは最後尾で付いて来て』

 

 レレイ、テュカ、ロウリィの3人が、まずは現地人として様子見に行くと申し出た。

 僕も今はニューマンの姿だし、国属騎士的な格好(クエントロクロス)だから怪しまれない筈……備えあれば憂いなしという風に、僕は伊丹さんの護衛として車を降りた。

 

「……、……」

 

「…………。……、……?」

 

 車を降りた事で、扉の前でヒソヒソと話している声がするのが聞こえてきた。

 さすがに内容までは聞こえないが、トーンと口調……そして声色から、男性1名、女性2名……おっと、その後ろに大勢の人間の反応……恐らく駐屯の兵士か、民間人だろう。

 

 先程まで戦闘していたのだから、警戒されるのは当たり前だ……事は慎重に運ばなければ。

 

(こういう時は、第一印象が肝心でしょ? 俺がノックするから、もし攻撃されたらフォロー頼む)

 

(……了解)

 

 小声で僕にそう伝え、伊丹さんは扉へと近付きノックを始める。

 こういう時でも普通にノックするのは、地球人だけだと思うのは気のせいだろうか……?

 

 なんて事を考えてると、短い間を空けてノックに反応し扉が開き始めた……が、その勢いは何故か……あ、速っ……

 

 ガゴォンッ!!

 

「よ、よく来てくれた……!!」

 

 重苦しい(?)音を発して開け放たれた扉……それを行った本人、というか加害者は軽装の鎧姿をした十代後半くらいの赤髪少女……身に付けた装飾品から、恐らくこの世界の貴族辺りだろう。

 

 最初はおっかなびっくりな表情だったが、困惑の表情を浮かべるレレイ達と、手を伸ばして届かなかった的な状態で硬直している僕……そして、彼女が開け放った扉に直撃し、不意の事で受け身すら取れずドミノの如く後方へ転倒……軽い脳震盪を起こして気絶している伊丹さんを確認した後……

 

「え……あ……も、もしかして……妾が……?」

 

「「「『…………』」」」

 

 4人からの無言の肯定に、彼女は引き攣った笑みを浮かべ始める。

 

《……隊長、伊丹隊長? 隊長!? 送れ!!》

 

「あ……は、ひぃぃ……いひぃ……ぃぃ……」

 

 身に付けている無線機から、車に残っていた隊員からの呼び声が響く中……加害者となった事を認識して涙目になっていく彼女には申し訳ないけど……以前、()()()()()()()()()()()()()()()を発見してしまい、その口止め料として見せられた「地球産ギャグ漫画」の様なこの惨状に、僕は顔は崩さなかったものの……内心、笑いを堪えるので精一杯だった。

 

──────────

 

 伊丹さんが復活するまでの間、テュカが彼を介抱しながら加害者である少女に対し「扉の前にいる人を確認しないなんてゴブリン以下よ!!」と激しく非難、ロウリィは何故か膝枕で伊丹さんの顔を覗き込んでおり……非難を浴びる問題の少女は、不可抗力とはいえ自分が引き起こしてしまった結果に複雑な表情を浮かべていた。

 僕は一応、護衛として全員を守れる位置に立ち……背中の大剣(リバレイトソード)こそ抜かないものの、厳しい目付きで周囲を警戒……する様なポーズを取る。

 

 ちなみにレレイも僕の隣で同じ様に警戒していた。

 

 伊丹さんが目覚めた後、無線の相手に自身の安否と指示を伝えた後……

 

「……んで、誰がこの状況を説明してくれるのかな?」

 

 伊丹さんのこの言葉に、この場に居た全員が加害者となった赤髪の甲冑少女を見た。

 

「……へ? わ、(わらわ)が?!」

 

「お、お前達! 帝国第3皇女……ピニャ・コ・ラーダ殿下に対して、非礼であろう!!」

 

 あーら、やっぱりそういう身分だったのね……しかも第3皇女という事は、出立前に説明して貰ったこの地域を収める帝国の、王の一族という事か……ここに居る状況までは掴めてないけど、色々と政治的な影響で苦労してそうな顔をしているなぁ……

 

 

 加害s……もといピニャ殿下によって、この街を治める伯爵の邸宅に案内される僕ら……道中で現状の説明も受けた。

 

 何でもココ「イタリカ」は交易の最重要点に位置する城塞都市であり、代々「フォルマル伯爵家」が治めていたが、先代当主が急逝……実子の末妹が後継者となったものの、その「後見人」の座を巡って他家に嫁いでいた「長女」と「次女」が対立……そこへ、アルヌスに「門」(ゲート)が開き、その先に繋がった()()()()()()()()への侵攻作戦が帝国で立案され、諸貴族へも当主の参戦が求められた……が、出撃した諸貴族の当主が誰も帰って来ないので「イタリカ」だけでなく各地の治安は急速に悪化しているらしい……

 派兵に失敗した帝国は国力の低下を悟られない事と、周辺諸国との戦力差を埋める為、周辺諸王国に嘘をばら蒔いて派兵をさせ、誤魔化そうと画策した。

 無論、諸王国は当初こそ渋ったものの……相互協力を約束した帝国に同行してアルヌス攻略に派兵したが、予想外の苦境に援護する筈の帝国軍すら誰も現れず、嵌められた事に気付いた時には壊滅状態だったそうな……

 更に、先程までココを襲撃していたのは、その異世界出兵に失敗した帝国の策略によって嵌められた周辺諸王国の敗残兵……つまり、「アルヌス」へと進出した自衛隊の反撃に遭い、行き場を失った元・国属兵達の成れの果てだというのである。

 

 ピニャ殿下がココに来ている理由の方は、ぶっちゃけ言って当て馬だ……突如として「門」のあるアルヌスに現れ、周辺諸王国の連合軍すらも軽々と打ち破り、周辺地域の村で噂になっているという緑の人……その正体を確かめろ! と言われて来て、いざ近隣まで来たら交易都市が襲撃を受けてる真っ最中……現・当主は若すぎて兵を率いさせるには忍びなく、代わりに指揮を執っている……ときた。

 

 フォルマル伯爵家の現・当主「ミュイ」と対面した時は、さすがに驚いたよ……まだ親の庇護下に居て当然という年代の少女だったのだから……

 

「……確か、公女は今年で11歳だったはず……」

 

 ……こりゃ殿下は、思ってたより苦境に揉まれてますなぁ……

 

──────────

 

 協議の結果、僕らはピニャ殿下の助勢をする事になった。

 当然ながら争乱が終わらなければ、当初の目的である「飛竜の鱗」を売る事など出来ない……

 そうでなくとも……無意味に争いを引き起こす野盗は処罰しておかないと、こっちの気が済まないしね。

 

 その後の対応と協議は伊丹さん達に任せ、僕はその部屋から続くベランダへと出た。

 

『様子はどうだった?』

 

 僕の声に反応し、黒いオーラが弾ける様なエフェクトと共にリィスが現れる……

 実は、車を降りた時点で彼女には別行動を取って貰い……襲撃者の追跡と、街の防衛状況の偵察に行って貰ったのである。

 

『城壁の損耗は一部が大きいですが、深刻な被害は城門付近に集中しているので、そこ以外はまず補強は必要無いかと……』

 

 城攻めの基本は城壁または1つの城門に囮を近付け、その対応をしている隙に別ルートから攻勢を掛ける……あるいはそれも囮にして、本命を後々に持ってくるのがセオリーだ。

 野盗とはいえ、元は国属騎士や戦士の大規模集団だ……戦術はあると考えて良いだろう……

 

『それと、魔法使い(フォース)らしき人物が1名……外見は緑色の鳥人系種族です』

 

 成る程、魔法による攻撃や補助がある可能性の考慮も必須か……

 

『敵の現在位置と規模、そして動向から……次は恐らく、夜襲を掛けてくると思われます』

 

『夜襲、か……僕らや伊丹さん達はともかく、彼女の軍勢は不利になるね……』

 

 現在の状況を近しい年代の地球の歴史書や各陣営の戦績データ等と照らし合わせ、結果を演算する……間違いなく、城門は開け放たれ……筆舌し難い惨劇の果てに、この街は落ちる。

 

『やはり、僕らが動こう……この街は重要な交易拠点だし、恩を売るなら……』

 

『今を置いて他にありませんね?』

 

『……あのさぁ、そこは「今でしょ?」って言ってくれても良いんじゃないかい?』

 

『ご主人様のギャグセンスは凡人以下なのですから、乗るまでも無いかと……』

 

──────────

 

 その夜、僕は伊丹さん達と作戦会議を開き……自衛隊は殿下の指示に従い東門へ、僕は遊撃として城壁を周回し、リィスにはもう一度先行偵察へ行って貰った。

 夜襲で一番危険なのは、本隊の襲撃タイミングが予測できない事にある……なので、リィスには本隊に張り付いて隠密行動を取らせ、敵の本隊が襲撃に移るタイミングで更にその背後を突く「隠密挟撃」の役とした。

 

「……大丈夫なのか? たった1人で……」

 

『私の主戦職(メインクラス)は隠密行動や電撃作戦に適正の高い「ファントム」です。

 兵士崩れの野盗程度ならば、たとえ万を越えようとも鎧袖一触ですよ……』

 

「「「……」」」

 

 誰も信じられない様だけど、ファントムの殲滅力は掃討戦において他に類を見ない程(ヒーローと同レベル)に高い……それに、打撃・射撃・法撃の全てにも満遍なく対応しており、多人数を相手取る戦いに向いているのだ。

 その上、戦術スキルにおいても不可視の刃や無音走行、光学迷彩など隠密に特化している……つまりは複数の相手を手玉に取り、自身の強みを一方的に押し付ける戦いが可能なのである。

 

『ま、既に実戦は経験済みだし……僕らの力を知るには、良い機会でしょ?』

 

『本当はご主人様が殿下に対して、これ以上ない程の恩を売るための演し……ムグッ』

『作戦は襲撃開始と同時。

 伊丹さん達は動きにくいと思うから、任せて良いよ!?』

 

──────────

 

 ……そして、その日の深夜に襲撃は始まったのである。




さりげなく殿下が悪者扱いに……でも事実なんだからしょうがない。

説明部分はアークス目線で見た彼の目線です。
画策やら何やらの部分は情報部所属故の邪推ですが概ね事実だからやけに鋭い……

さて次回は当然の流れで、アークスと自衛隊の蹂躙劇。
久しぶりに催促しちゃおう、感想よろしく~♪

次回のアークス成分は……?

  • 30%程度
  • 50%位で
  • 75%は欲しい
  • 120%で!
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