この物語の主人公さ   作:myo-n

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原作アンチではないです。


No1

「お前進路どうする?」

「決まってんだろ、というか皆そうじゃね」

「そうだな~」

 

休み時間に騒ぎ始める奴らを尻目に俺は手元の進路希望調査の紙を見つめる。

まだ期限は先だが、書いておくに越したことはない。

第一志望から第三志望までの欄にある高校の名前だけ書いてファイルにしまう。

 

「今朝のシンリンカムイかっこよかったなぁ。しかも彼の個性は戦闘だけでなく救助や捕縛もできるから行動の幅が広い。けど見た目が少し地味なのがネックになってるかな……。そういえばマウントレディも恰好良かったけど彼女の個性は閉所や狭い空間では使えないし、大きくなった分戦闘時の二次被害の危険性が否めない。インパクトは強いけどデメリットをどうやって克服していくかが今後の期待すべき────」

 

 

……唐突だが、俺には物心ついた時から記憶があった。

 

今とさほど変わらない世界、仕事に通う日々、ゲームしかやることがない休日。

そんな無の循環を今まで繰り返してきた、そんな男の記憶。

そしてどういうわけか自分の意識まである。

 

俺は数日かけて、これが輪廻転生というものだと認識した。

正直いつ死んだか覚えてないのが気がかりだが、気にしても仕方ない。

むしろ石器時代とか戦国時代とかに転生しなかった事を喜ぼうじゃないか。

 

前世と何一つ変わらない現代社会。

ただ一つ、前世と違う点があるとするなら……全人類の八割が〈個性〉と呼ばれる超能力じみた力を持っているという事だろう。

そしてそこではヒーローという物が実際の職業として認知されている。

 

ちなみに俺はこの世界を知っている。

前世で見ていたアニメと寸分違わないから間違いない。

 

ここは……【僕のヒーローアカデミア】の中だ。

そして隣で一人ぶつぶつと呟いている緑のもじゃもじゃ頭の少年こそ、主人公の緑谷出久なのだ。

 

物語としては、無個性の彼がナンバー1ヒーローから力を授かってヒーローを目指すという物だが……実物を見ていて非常に不安になる。

 

オタクっぷりが凄くて、呟いている最中は物凄く近寄りがたいし幼馴染の爆豪はエグイレベルで彼をいじめているから不安要素しかない。

 

「おいクソデク!さっきからぶつぶつうるせぇんだよ!!」

 

「ご、ごめん!かっちゃん……」

 

爆豪が彼の机を叩いて小さな爆発を起こす。

その影響か火の粉が飛んできて地味に熱い。

 

「おい爆豪」

 

「なんだァモブが!」

 

「個性を無暗に使うな。熱いだろ」

 

若干服が焦げたところを見せる。

ちなみにこれで今学期に入って5回目だ。

 

「……チッ、分かったわクソが!」

 

一応彼にも緑谷以外には善悪の区別(?)があるのか、大人しく引いていく。

 

「全く……お前も何か言い返さないのか?」

 

彼の机は俺の服の焦げより悲惨なことになっている。

 

「ありがとう。でも、今のは僕が悪かったから……」

 

「……そうか、まぁ好きにするといいさ」

 

ここはフィクションであり現実でもある。

原作と同じ流れに沿うかもしれないし、沿わないかもしれない。

しかしそもそもの話だが、この世界は危険度が高い。

個性なんて裏返せば凶器になるし人は簡単に死ぬ。

 

勿論、俺はヒーローを目指すし狙うならトップを狙う。

だが正直、物語がどうなろうと知ったことではない。

俺の行動は原作にも少なからず影響を与えるだろうがその時はその時だ。

 

BOOOM!!!!

 

隣で大きな爆発音が鳴る。

 

「こらデクゥ……没個性所か無個性のてめぇが!何で俺と同じ土俵に立てるんだァ?」

 

……どうやらHRが始まっていたらしい。

クラス全体が緑谷を嘲笑しているのが側から見てもひしひしと伝わってくる。

 

この世界では個性がない無個性の人間は無条件に見下される。

緑谷も例にも漏れず俺を除くクラス全員から見下されている。

 

「やってみないと分かんないし……」

 

「なぁにがやってみないとだァ……!記念受験かァ!!?てめぇが何をやれるんだァ?無個性のくせによォ!!」

 

「これでヒーロー志望とは聞いて呆れるな」

 

ため息混じりに聞こえやすく喋る。

クラスの目と一瞬遅れて爆豪が振り向く。

 

「今何つったァ!クソモブがァ!」

 

分かりやすくブチ切れてくるな。

これどっちかって言うと悪側の人間じゃないか……?

 

「要するにだ。お前はまだ(・・)ヒーローの器じゃないんだよ。弱い者いじめしている暇があるならヒーローとは何かを調べてこい」

 

「知ってるわッ!!てめぇよりも何千倍なァ!!」

 

少々挑発が過ぎたのか、爆豪がこちらに襲いかかってくる。

確か爆豪の個性は手から汗を出して爆破する物だったはず。

 

「やれやれ……面倒だな!」

 

「モブはモブらしく黙ってろやァッ!!」

 

「ストップ」

 

その一言と共に、爆豪の両腕が止まる。

まるで空中に縫い付けられたように。

 

「なっ!?てめぇ何しやがった!!」

 

「お前に教える義理はないな」

 

「クソがァ!」

 

腕以外をジタバタさせる爆豪。

腕が動かないんじゃこいつも無個性と変わらないな。

 

「取り敢えず頭が冷えるまでそのままでいとけ。それと、こう言うのは性分じゃないが……」

 

教師含め、クラス全員を睨みつける。

全く……本当に碌でもない奴らだ。

 

「お前らもヒーロー目指すなら道徳を学び直してこい」

 

静まり返る教室の中、俺は教師に進路希望調査票を叩きつける。

調査票には、第一志望の欄に雄英高校ヒーロー科以外何も書いていない。

教師はそれを見て愕然とする。

 

「じゃあな、お互い頑張ろうぜ。緑谷、爆豪」

 

一人には皮肉を、もう一人には激励を込めて、俺は早退した。

 




主人公:名前(次話公開)
性別:男
個性:FF 個性の影響で言動がバルフレアに近くなるぞ!
血液型:AB型
好きな物:自由
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