気分で文字数は変わります。
「……そろそろ打ち止めか」
近くに捨てられているソファに座る。
学校を早退した後、俺は近くの海浜公園で個性トレーニングをしていた。
ここは不法投棄されたゴミが多く、人目につきにくい。
個性がおおっびらに使えない世の中でこういう場所はありがたい。
最も、この公園は来年にはゴミ一つ無くなるのだが。
「っと……もう日が暮れてやがる」
夕焼けに染まった空を見上げる。
空は綺麗なのに地面はゴミだらけなんて馬鹿な話だ。
そろそろ帰ろうと立ち上がり出口に向かっていると、粗大ゴミの陰から人が出てきてぶつかってしまった。
「おい……大丈夫か?」
尻餅を付いた男性に手を差し伸べる。
男性は弱々しくその手を握った。
「あぁ……すまないね少年」
立ち上がった男性は砂を軽く払う。
その姿は見ていて気の毒になる程ひどく痩せ細っている。
そう……目の前の男性こそ、この世界のNO1ヒーロー【オールマイト】だ。
恐らく、緑谷の修行場所でも探しに来たのだろう。
今日が緑谷との初コンタクトの日だというのに行動が早い。
「気にするな。ここは視界が悪い」
「それもそうだが私も気が散っていて君に気づかなかった」
「それならお互い様だ」
個性トレーニングの後はどうも気が散りがちになる。
まぁ個性の原理状、仕方のない事だが。
「そうか……。お詫びと言えば何だがこれを受け取ってくれ」
そう言って渡してきたのはスポーツドリンクだった。
「トレーニングしていたんだろう?」
何の、とまでは言わなかったが彼は恐らく分かっているだろう。
そう顔が物語っている。
「まぁな。あんたは逆にトレーニング場所を探している様だな」
オールマイトが驚愕の表情を浮かべる。
おいおい、いくらなんでも顔に出過ぎじゃないか?
「あ、あぁ……よく分かったね」
「多少頭が回るからな。その程度は楽勝さ」
そんな嘘を吐きつつ歩き、すれ違いざまにオールマイトの肩に手を置く。
「俺は貸し借りが嫌いなんでな。近い内に返させてもらう」
「ははは、私には何のことだかさっぱりだね」
「それじゃあまた、雄英で会おう……No1ヒーロー」
「なっ!?何故それを!」
驚愕を通り越して警戒される。
ただ、マッスルフォームにならないのを見ると活動限界のようだ。
「言っただろ、多少頭が回ると」
「君は一体……何者なんだ」
「この物語の主人公さ」
振り返らずに手を振って立ち去る。
ちなみにスポーツドリンクは死ぬほどまずかった。
緑谷……強く生きろよ。
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流れるように時は経ち、気づけば入試当日になっていた。
この日まで勉強して、たまに緑谷とオールマイトの特訓を覗きに行って、トレーニングしての日々を繰り返していた。
特に海浜公園がゴミ一つ無くなった景色は綺麗だった。
原作見てても絶対無理だろうと思っていたのに数ヶ月で海岸線取り戻しちゃったよ。
こいつは賞賛物だな。
なんて考えてる内に受付にたどり着く。
「受験表の提示を」
「ほらよ」
「……確認しました。貴方の受験会場はD-1です。頑張ってください、
「まぁやるだけやってみるさ」
受付を後にして、渡された地図を頼りに会場へ向かう。
道中、文字通りガチガチに固まっている男がいた。
「おい、そんな速度じゃ遅刻するぞ」
「オウ、スマネェナ」
「お前は機械か。緊張しすぎだ」
「ソウハイッテモヨ……」
「ったく……少しだけ手伝ってやる」
このまま放っておいても問題ないと思うが念の為肩の力をほぐしといておくか。
一応こいつも重要キャラだし。
「目を瞑って3秒数えろ」
「オ、オウ……1、2、3。あっ、力が抜けた!?」
瞬く間に男の硬直が解かれる。
体の硬直と同時に緊張もほぐれたようで、口調が元に戻った。
「なぁあんた!今のどうやったんだ!?」
「ただの
実際は個性を使ったんだがこの言い方の方が格好いいだろう?
「すげぇな!!俺は切島鋭児郎ってんだ!あんたは?」
「空果由自だ。よろしくな」
「おう、よろしく!お互い試験頑張ろうな!!」
「そうだな」
そして切島と握手を交わし、受験会場へと向かった。
空果の個性は次回明らかになります。
ちなみに彼の名前の由来は[空の果ての自由]です。