遅れて申し訳ございません。
仕事に忙殺されてました。
ではどうぞ
入学式前日の夜更け。
珍しく寝付けないので、海浜公園をぶらぶら歩いて時間を潰している。
夜の海岸線は非常に静かでいい。
雑音が無い分考え事に集中できる。
しかも今日は月明かりが反射していて幻想的だ。
「……いよいよ明日か」
明日から雄英での学校生活が始まる。
それは、物語の本格的な始まりを指している。
俺は本来物語にはいないイレギュラーな存在だ。
だから他の奴らと違い、俺には死ぬ可能性がゼロじゃない。
バフをかけてなければ一般人も同然なんだ、MP管理はこれまで以上に注意を払う必要がある。
「これまで以上に鍛えないとな」
目標は範囲魔法を使えるようになる事。
最低でもUSJ襲撃時間までには覚えておきたい。
それと他の系統の魔法を使える必要もある……この辺りは未知数だがやれるだけやろう。
あとは……ミストナック技の習得か。
やる事はまだまだある。
「……っと、あいつは」
しばらく歩いていると、月を眺めて突っ立っている緑谷が見えた。
恐らく俺と同じであいつも眠れないんだろう。
「よう、こんな所で考え事か?」
「えっ!?君は確か……空果君!」
「正解だ」
「どうしてこんな夜中に……?」
「少し、眠れなくてな」
「そうなんだ……」
「大方、お前も同じ理由だろ」
「うん……そうなんだ。明日から雄英生なんて……実感が湧かなくて」
つい最近まで無個性だったのにNo1ヒーローから力を渡されて目標だった高校に入れたんだ。
実感が湧かないのは当たり前だろう。
「まぁ深く考える必要はない。明日から生活が変わる、それだけの事だ」
「考えても仕方ない……か」
少し冷えて来たな……そろそろ帰るか。
「それじゃあ、またな」
「う、うん。またね」
来た道を引き返す。
さて……寝るか。
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特に寝坊する事もなく学校に着いた。
校門前には多くの雄英生が浮かれた様子で登校している。
「……まさかもう一度学生をやるなんてな」
満開の桜が花びらをちらほらとこぼして地面に落ちる。
社会人になってからは、学生の頃に戻りたいと思っていたが本当に実現するとは思わなかった。
前の学生生活よりもハードだとは思うが、本気で頑張ってみよう。
「おぉっ!空果じゃねぇか!」
後ろから馬鹿でかい声が突き刺さった。
振り向くと髪が真っ赤に染まった切島がこちらに向かってくる。
「久しぶりだな。そっちは随分と変わったようだが」
試験日に出会った時の切島は黒髪だった。
確か昔の自分と決別したかったから……だと思う。
そこまでアニメを見ていた訳じゃないから細かい所は若干分からない。
「ま、まぁな!色々とあるんだよ」
痛い所を突かれた顔になる切島。
この件には触れないでおくか。
「そうか。まぁ、野暮な事は聞かないさ。よろしくな」
「おう!」
手を出して握手を強く交わす。
結構力が強く、地味に痛い。
例えるならギリギリという効果音が入るぐらいだ。
つまり、痛い。
「馬鹿、強く握りすぎだ」
「あっ、すまねぇ!つい力んじまってさ」
「ったく……気をつけろよ」
「あぁ!」
「ほら、行くぞ」
痛かった手を振りながら、教室へ向かう。
ちなみに切島が自信満々に案内すると言うから着いていったら2回ほど迷った。
方向音痴だったのかこいつ……
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「おぉ〜でかいな!すげーバリアフリー!」
確かに大きい。
俺と切島の身長を足しても余裕で入るくらいには大きい。
「馬鹿みたいな感想言ってんな」
「馬鹿じゃねぇし」
「分かった分かった。ほら、入るぞ」
扉を開けると同時に騒がしい声が聞こえてくる。
「だから、机に足をかけるのはやめたまえ!」
「うるせぇっクソ坊ちゃんが!!てめーには関係ねぇだろうが!」
「ふ、ふたりとも……おちつい「テメェは黙ってろ!クソデク!」ひぃっ」
どうやら爆豪と飯田が喧嘩の中心の様だ。
緑谷の横に麗日がいる所を見るに、最初の喧嘩が長引いている感じだろう。
原作ではすぐに担任の相澤先生が教室に入って来るはずなんだが……
とにかく今はあの場を収めないと。
「切島、少し持っててくれ」
「おう分かった」
「2人とも、そこまでだ。騒がしいぞ」
2人の間に強引に割って入る。
別に放っておいてもいいが、騒がしいのは好きじゃない。
「君は……」
「テメェは……!!?」
「俺は空果由自。お前らと同じクラスのメンバーだ」
「……僕とした事が随分騒がしくしてしまったようだ。僕は聡明中の飯田天哉、これから一緒に頑張ろう」
「分かってくれたようでなによりだ」
割って入った事で、飯田は落ち着いたようだ。
ただ爆豪はまだ興奮している。
「何でテメェみたいなモブがここにいんだよ!!」
爆豪が机から足を下ろしてこっちに突っかかって来る。
眼力が凄まじい。
「俺がここにいたら悪いか?」
「テメェも無個性の筈だろうが!!どうやって試験を突破した!?」
どうやら無個性だと勘違いしているようだ。
確かに今まで個性を見せびらかした事が無かった。
そういえば、一時期無個性だと囃されていたな。
全て無視していたら何も言われなくなったけど……。
それを信じていたのか。
「今までは人前で見せる必要が無かったから使わなかっただけだ」
「はぁ!?」
「まぁ嘘かどうかは追々分かる」
「ちぃっっっ!!!」
だから、眼力が怖いんだよ。
「……そう喧嘩腰になるな。とやかく言うつもりはないが、せめてマナーくらい守れ」
「うるせぇ!守れるわ!!」
流石に周りの注意を引きすぎたからか、不機嫌そうに足を組んで座る爆豪。
全く……原作以上に凶暴じゃないか?
「く、空果君……!」
「お前もさっさと座れ」
「イケメンや……」
麗日があっけにとられている。
まぁ関係を知らない奴から見たら颯爽と現れて一瞬で喧嘩を収めたと見られてもおかしくない。
目立つと面倒なんだが……仕方ない。
切島からバッグを受け取り、席に座る。
「お前あいつと知り合いなのか?」
「まぁな」
「すげぇな……」
切島と談笑しながら少し待っていると、相澤先生が入ってきた。
寝袋姿で。
「はじめまして、君たちの担任の相澤消太だ。よろしく」
((((((((寝袋!!?担任!??)))))))))
教室内が一瞬ざわめく。
側から見たら怪しさの塊だから仕方ない。
「はい、君達が静かになるまで14秒かかりました。合理性に欠けるね」
寝袋のジッパーを開けて出てくる相澤先生。
寝袋状態でどうやって移動していたんだろう。
というか寝転がってたあの状態で立てるのか?
「それじゃあ全員これに着替えてグラウンド集合ね」
体操着を片手に持って気怠そうに言ってくる。
確かこの後は……個性把握テストか。
絶対爆豪絡んでくるよなぁ……一応主席だし。
面倒な事この上ない。
「何やってんだ?行こうぜ」
切島に肩を叩かれる。
気づくと、クラスメイトの大半は教室を出ていた。
「……あぁ、今行く」
「おう」
切島に連れられて教室を出る。
そして一度迷いかけたから切島には二度と案内は頼まない。
ちなみにキャラ設定は独自解釈なので原作とは違う事もあります。
そんなに変わってはないとは思います。