今年もどうぞよろしくお願いします。
ではどうぞ。
「「「「「「「「「個性把握テスト!!?」」」」」」」
「そう、君達の能力を手っ取り早く数値化する方法だ。中学では個性禁止の体力テストが主だが、あれは合理性に欠ける。文部省の怠慢だね」
「先生!!入学式とかガイダンスは無いんですか!!?」
飯田がビシッと手を挙げる。
何か動きがカクカクしてるがツッコむのはやめよう。
「ない」
「「「「「無いの!?」」」」
「時間は有限、そんな物をやっている暇なんてないんだよ」
ギラリ、とこちらを睨みつけてくる。
爆豪とはまた違った意味で眼力が凄い。
ただ敵意は無く、値踏みというか懐疑的な視線なのは何故だろうか。
「主席は……空果だな。お前、中学の時のハンドボール投げの記録は?」
「58メートルだ」
「よろしい、なら個性を使ってボールを投げてみろ。円の中から出なければ何しても構わん」
「了解」
爆豪が後ろで何か言いかけそうだったので素早く円の中に入る。
原作だと爆豪が700メートルぐらい投げてたと気がする。
あいつの記録を超えたら面倒だが……加減が微妙に難しい。
取り敢えずフェイスとブレイブを二つとも倍掛けでいいか。
その場で軽く跳んでかかり具合を確かめる。
「そらっ」
力を込めてボールを投げる。
ボールはあっという間に見えなくなり相澤先生の持つ機械に距離が反映される。
「928メートル。とまぁこの様に今日は個性有りで体力テストをしてもらう」
微妙に調整が効かなかった……
うん、200メートルぐらいは誤差だな。
そう思おう。
「何それ凄い!!」
「個性を自由に使っていいなんて聞いたことない!!」
「凄い面白そう!!」
クラスの一部が目を輝かせて楽しそうに騒ぐ。
それと反対に、相澤先生の顔は険しくなる。
「面白そう……ね。君達はそんな腹積りで3年間過ごそうとしているのか?」
相澤先生の圧により、周りが沈黙する。
「よし、8種目トータル成績最下位の者は見込みなしとして……除籍処分とする」
「「「「「!!?」」」」」」」
周りは驚き半分、嘘だと思っている奴が3割、残りは挑戦的に笑っている。
「これから3年間、雄英は君達に苦難を与え続ける。さらに向こうへ、プラスウルトラの精神さ。さぁ……全力で乗り越えてみせろ」
こうして、除籍をかけた運命の体力テストが始まる。
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「次、ハンドボール投げ。青山から名簿順に並べ」
1時間かけて、体力テストが折り返しの地点に差し掛かろうとしている。
これまでトップにならない様に絶妙に加減してきた。
本気でバフをかけたら機械を破壊しかねないからである。
「空果は……やるか?」
「いいや、十分だ」
「そうか」
そして順番が進んでいき、緑谷の番が回ってきた。
緑谷の顔は真っ青で目には焦りの2文字が見える。
原作だと何とかなるんだが……雲行きが怪しい。
1回目、相澤先生に個性を消されて普通の記録が出る。
そして、玉砕覚悟でやろうとしていた事を咎められ冷たく言い放たれた。
「緑谷、お前の力じゃヒーローにはなれないよ」
「……」
緑谷の目が暗くなっていく。
おいおい……大丈夫なのか?
あれはショックが大きすぎて考えられていない顔だぞ。
そして緑谷は力なく円の中に入り、2回目のボール投げを行おうとする。
このままだと確実に緑谷は除籍になる。
全く、仕方ないな……
「緑谷!」
緑谷は動きを止めてこっちに視線を向ける。
その顔は何処か助けを求めている。
だが、これは自分で乗り越えるべき壁だ。
いちいち頼られるのも面倒だからな。
だから俺が贈るのはシンプルな言葉だけ。
「考えろ」
「……っ、うん!」
緑谷から目の輝きが戻る。
これで、思考停止したヤケクソ状態でやらなくて済みそうだ。
「(そうだ、考えろ考えろっ。一か八かなんて方法は駄目だ。現状、ワンフォーオールは0か100かしか出せない。相澤先生の言った通り、腕を犠牲にするのは駄目だ。なら……出力じゃなくて、使う場所を変えれば……!!)」
「SMAAASH!!」
ボールは天高く舞い上がり、705メートルという大記録を打ち立てた。
緑谷は一本の指を負傷したが、痛みを堪えて気合いを入れる。
「(痛い……けど!)先生……まだ、まだやれます!!」
「こいつ……!!」
相澤先生の顔が期待と称賛からか、にやけている。
どうやらお眼鏡に適ったらしい。
良かった、これで除籍される事はなさそうだ。
「空果く「何でてめぇが個性使えてんだクソデク!!」」
こっちに駆け寄ってきた緑谷を突然爆豪が掴みかかる。
爆豪の性格上、今まで下に見ていた緑谷が自分と同等の記録を出した事に納得がいかないのだろう。
「やめろ、爆豪」
「っっっ!!?」
緑谷を締め上げていた爆豪が相澤先生の捕縛布に絡め取られ拘束される。
便利だな……
「はぁ……各自一旦休憩だ。俺はこいつの頭を冷やしてくる」
そして相澤先生は爆豪を連れて行った。
まぁそれが普通だよな。
「あの、空果君!」
緑谷がこっちに寄ってきて頭を下げる。
「ありがとう!」
「……俺は何もしてねぇよ。あれはお前が出した結果だ」
「でも、空果君のおかげで気づけたんだよ!」
指を怪我しているのを忘れてグッと拳を握りしめる緑谷。
直後電気が走った様な顔をする。
「……!いっててて……」
「はぁ……嬉しいのは分かるが、怪我の事忘れんなよ」
「ははは……その通りだね」
改めて緑谷の指を見ると、赤黒く変色していて見るに耐えない酷さだった。
骨折どころか壊死してるんじゃないか……?
「……ったく、指見せてみろ」
「?う、うん」
これだけでも相当痛いだろうに。
原作だとこの後のテストは痛みが邪魔して結果が出せなかったはずだ。
仕方ない、少しだけ助けてやるか。
緑谷の指にストップを重ねがけして時間を止める。
「え?痛くなくなった……!?」
「応急処置だ。治した訳じゃないから後でばーさんの所行っとけ」
一応2時間くらいは持つ様にかけた。
途中で解ける様ならまたかけ直すしかないな。
「ありがとう……!」
「礼はいい。俺が勝手にした事だ」
「イケメンや……」
麗日が後ろでほわほわしてるけど、ノーコメントで行こう。
その後、相澤先生が来るまで他の奴らと簡単に自己紹介をしていた。
そして、相澤先生が爆豪を連れて戻ってくる。
「さて……休憩は終わりだ。さぁ、続けるぞ」
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そのまま特に問題もなくテストは続き、緑谷は最下位になった。
「さっ……最下位……空果君、ごめん」
「何しょぼくれてるんだ緑谷、除籍?あぁ……それは君達のパフォーマンスを上げる為の合理的虚偽」
相澤先生はサラッと言う。
その言葉に驚愕する緑谷と他クラスメイト。
「「「「合理的虚偽!!?」」」」
「そういう事、じゃあ今日はこれだけだからもう帰って良いぞ」
緑谷は驚きの余り崩れ落ちてしまった。
それを捕縛布でぐるぐる巻きにして相澤先生は医務室へと向かう。
ちらほらとクラスメイトが更衣室へ向かう中、ある声が聞こえた。
「あんなの、少し考えれば嘘だと分かりますわ」
呆れた表情で八百万が呟く。
普通に考えて教師が生徒を簡単に除籍なんてできないだろう、と。
「それはどうだろうな」
「……?どういう事ですか?」
「嘘かどうかはこれを見れば分かる」
八百万にある記録を見せる。
それは、今年の入学パンフレット。
「これは……!」
顔を青ざめる八百万。
なぜならパンフレットには小さく、ヒーロー科2年A組の在校生の数が0と書かれていたからだ。
「もし見込みがなければ……あの人は問答無用でクビを切るだろうな」
「……だからあの時、貴方は緑谷さんに声を掛けたんですか?」
「さぁな」
「あっ、お待ちください!」
「断る」
更衣室へ戻り、着替える。
そして赤い空を見上げながら学校を出ようとした。
「空果君、ちょっといいかな」
「何か用か……?オールマイト」
やれやれ……厄介なのに捕まってしまったな。
じわじわ伸びてきていて非常に嬉しいです。
これからも応援よろしくお願いします