続き書けたで候。
やっと生徒会長出せたっていう。
……出しただけですけど。
ちょっと短いですが、どうぞ∠( ゚д゚)/
残り時間が少なくなってきたため、清麿は要点だけを伝えることにした。
「皆、部活動説明会まで時間がないから、あと二点だけ伝える。そのままMAPを見てくれ」
皆は配られたMAPを再度見る。
「特別棟と書かれた場所を見てほしい。見て分かる通り、そこには1台も監視カメラが設置されていないんだ」
『本当だ……』『なんでだろ?』と言った疑問の声が聞こえてくる。
清麿は説明する。
「ここまであからさまなんだ。この特別棟にはあえて設置していないんだろう。そして、その理由として考えられるのは……この学校はある程度グレーなやり方を容認しているんだと思う」
清麿の言葉の意味に気付いたのか、神崎は驚く。
「待て高嶺……まさか、学校は見えないところでの暴力行為を黙認しているというのか!?」
「ああ。そういったやり方も実力の一部として考えているんだろう。バレなければ問題にはならない。恐らく……そういうことなんだと思う」
清麿と神崎の会話を聞いて、その意味が分かったのか、B組の面々は顔を青くさせる。
それを見た清麿は、できるだけ安心させるように言う。
「皆、この特別棟にはできる限り近付かないようにしてくれ。あとは可能な限り、一人でいることも避けること。この学校には、まだまだ分からないこと、不明なことが多すぎる。用心するに越したことはないからな」
そして清麿は最後の要点を伝える。
「最後に……今ここで話した事は他クラスには他言無用で頼む。いずれクラス同士で競い合うことになるんだ。情報のアドバンテージはできるだけ失いたくない」
清麿の言葉に全員が頷く。
そして全て話し終えると、清麿は時計へと視線を向ける。
見れば時刻は16:45となっていた。
部活動説明回は17時からであるため、そろそろ行かねば間に合わない。
「話はここまでだ。また何かあったら伝える。あと分かってると思うが、ポイントの使い過ぎには十分注意してくれ。各々自分のできる範囲でいい。ポイントの節制に努めてくれ。オレからは以上だ」
清麿は話が終わると教壇から離れる。
それを合図にB組の面々は散っていく。
清麿も息をはきながら自分の席へと戻る。
すると帆波が近寄ってきた。
「清麿君、お疲れ様」
「……ああ、ちょっと疲れた」
清麿はへたり込む。
すると神崎と柴田も近寄ってきた。
「……驚いたぞ、高嶺」
「ああ、マジでビックリしたよ」
「悪いな。だが内容が内容だから、早目に話しておいた方がいいと思ったんだ。それより二人とも、そろそろ第一体育館に向かわないと部活動説明会に遅れるぞ」
「そうだな」
「それじゃ、チャッチャと行こうぜ」
そして清麿は帆波にも視線を向ける。
「帆波はどうする?」
「あ、じゃあ私も一緒についてっていい?」
「勿論だ」
清麿達は手早く帰り支度を済ませると、第一体育館へと向かった。
◆◆◆
第一体育館には多くの一年生が集まっていた。
清麿は配布されたパンフレットに視線を落とす。
暇つぶしにパラパラと各部活動のページを読んでいくと、さすが高度育成高等学校というだけあって、それぞれ全国トップクラスの成績を収めていた。
だが野球やバレーなどの名門校には、一歩及ばないといった感じである。
しかしそれを抜きにしても全国クラスの部活や選手も多く、設備も充実しているらしい。
(なるほど。こういったクラブ活動で優秀な成績を収めれば、ポイントがさらに支給されるんだろうな)
周りを見渡すと、思ったよりも人数が多いという印象を受ける。
司会は生徒会の橘が行っている。
そして壇上では各部活動の代表と思われる人物達が順に紹介していた。
神崎と柴田も興味があるのか、真剣に話を聞いていた。
清麿は隣で見ている帆波に話しかける。
「帆波は何か部活は考えているのか?」
すると帆波は少し考えてから答えた。
「私、生徒会に入りたいんだ」
「……そうなのか?」
「うん。だから近い内に募集があったら受けてみるつもり」
「……そうか」
清麿は帆波の話を若干複雑な心境で聞いていた。
なぜなら、彼女の入りたがっている生徒会に自分が所属することになってしまったのだから。
清麿が生徒会に所属していると知ったら彼女はどう思うだろうか?
表面上は上手く取り繕いつつも、内心は落ち込むかもしれない。
とはいっても、五月になるまでは誰にも言わないよう橘から口止めされているのだが。
そのとき周囲が騒がしくなる。
「なんだ?」
清麿が前に視線を向けると、多数の野次を飛ばす一年生達の姿があった。
「がんばってくださ~い」
「カンペ、持っていないんですか〜?」
「あはははははは!」
壇上を見れば、眼鏡をかけた一人の男子生徒が、マイクを前に無言で佇んでいた。
最初は笑っていた一年生も、「何だよ、あの先輩は?」といった具合で段々と呆れていく。
しかしその男子生徒は動かない。
すると、次第に体育館の空気が変わっていく。
皆が騒いでいた状態から、今は一言でも喋ること自体が禁止であるかのように、恐ろしい静寂へと飲み込まれていく。
そんな静寂が三十秒程続いた後、ゆっくりと一年全体を見た男子生徒は演説を始める。
「私は、生徒会会長を務めている、
堀北学は話す。
「生徒会もまた、上級生の卒業に伴い、一年生から立候補者を募ることとなっています。特別立候補に資格は必要ありませんが、もしも生徒会への立候補を考えている者がいるのなら、部活への所属は避けて頂くようにお願いします。生徒会と部活の掛け持ちは、原則受け付けていません」
口調は柔らかいものの、肌を突き刺すような緊張感が漂う。
清麿はジッと男子生徒の姿を観察する。
(あの人がこの学校の生徒会長……堀北学……)
「それから…………私たち生徒会は、甘い考えによる立候補を望まない。そのような人間は当選することはおろか、学校に汚点を残すことになるだろう。我が校の生徒会には、規律を変えるだけの権利と使命が、学校側に認められ、期待されている。そのことを理解できる者のみ、歓迎しよう」
淀みなく演説を終えると、堀北学は真っ直ぐに舞台を降りていく。
その間際、その視線が清麿を捉えた。
(……こっちを見た!?)
清麿と堀北学の視線が合う……が、彼はそのまま体育館から姿を消した。
その瞬間、館内を包んでいた緊張感は霧散する。
誰も言葉を発せない状態であったが、司会の橘の言葉により、再起動する一年生達。
清麿はというと堀北学について考えていた。
(圧倒的だったな……)
堀北学はこの場を完全に支配していた。
威圧感とでも言えばいいだろうか?
(並の魔物なら完全に萎縮していたな……)
少なくとも気の弱いキャンチョメが堀北学と相対していたら、確実に怯えていただろうことは想像に難くない。
(しかしあの迫力……ただ者じゃないな。生徒会にはあんな人がごろごろいるんだろうか……)
橘からは近い内に会長と顔を合わせてもらうと、清麿は聞いている。
この実力至上主義の学校の生徒会長を務める人物だ。
もし会うことになるのであれば、気を引き締めていかねばならないだろう。
「清麿君?」
「ん?」
すると帆波の呼び掛けに気付くと、清麿は思考をやめる。
「説明会、もう終わっちゃったよ?」
周りを見れば部活の申し込みで忙しなく動いている一年生と、それを受付で丁寧に対応している三年生達がいた。
どうやら部活の入部受付をしているらしい。
「あ、悪い」
とりあえず清麿と帆波は、外に出ることにする。
ちなみに柴田はサッカー部へ入部受付に行き、神崎は人混みによったせいか気分が悪くなったらしく、既に帰っている。
二人は寮へと続く道をゆっくり歩きながら話す。
「生徒会長……なんか色々凄かったね」
「ああ。場の支配力というか、なんというか。とりあえず、色々規格外な人だというのは良く分かった」
「そうだねぇ」
そのとき、帆波がふと質問する。
「ねぇ、清麿君?」
「なんだ?」
「清麿君は……生徒会に興味ないのかなぁ……なんて」
帆波の質問に清麿はどう答えたものかと、頭を悩ませるが濁して答えることにした。
「……まあ、興味がないことはない」
「本当!?実は、清麿君も一緒に生徒会に入ってくれたら嬉しいなぁって思ってたんだ〜」
帆波は照れくさそうに言う。
「清麿君が生徒会に入って、しっかり仕事して、それで私がそのサポートをして……。そんな、楽しそうな光景があったら良いな~って、ちょっと思っちゃった」
「それは確かに……楽しそうだな」
清麿もその未来を少し想像したのか、楽しげな表情であった。
すると帆波が予想外なことを語る。
「それで清麿君が生徒会長になるの!」
「オレが……生徒会長?」
清麿は思わず呆気に取られる。
「うん!清麿君ってリーダーシップありそうだし!それで私はサポートに徹して……清麿君を支えるの!!」
「……さすがにこの学校の生徒会長はオレには荷が重いぞ?」
「清麿君なら大丈夫だと思うけどなぁ」
清麿は苦笑いしながら帆波の話に耳を傾け、帆波は楽しそうに理想の未来を清麿へと語る。
そして二人は楽しげに話しながら、寮への道をゆっくりと歩いていった。
次回はガッシュからの手紙が清麿の元へと届く!!
では、また( `・∀・´)ノ