高嶺清麿の実力至上主義の教室   作:Gussan0

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どうも|д゚)チラッ

続き書けたで候。

なんか今回ダイジェストみたいになってしまったという。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第十三話 他クラスの友人との交流

ガッシュの手紙が来てから約二週間の時が過ぎた。

 

この二週間、清麿は慌ただしく過ごしていた。

 

あれから学校では、空飛ぶ赤い本の目撃情報が多発し、一種の七不思議的な扱いとなっていた。

 

世界中でも空を飛ぶ本は目撃されており、それをニュースで見ていた清麿は思わず飲んでいたコーヒーを吹きかけたほどである。

 

あの一件から清麿は、Aクラスを目指すことにさらに本気になった。

 

今まで清麿は、監視カメラの把握に、敷地内の施設の把握、部活動で行われている賭け試合の実態調査などを行ってきた。

 

そんな彼が次に取り組んだのは、他クラスの動向調査である。

 

清麿は事前にクラスメートに、他クラスの動向を調べてくれと頼んでいる。

 

そして、もしトラブルに巻き込まれた時用のために、ボイスレコーダーも持たせている。

 

このボイスレコーダー、ひとつ3000ポイントする代物であり、40人分買ったので、実に12万ポイントの出費であった。

 

ちなみにクラスメート達には、ポイントを賭けた試合で稼いで買った物だと、既に伝えてある。

 

どちらにしろ部活に入れば、ポイントの賭け試合のことは耳に入るであろうし、基本的には健全な範囲で行われていることから、帆波と相談した結果、皆に伝えても問題ないという結論に至ったのだ。

 

クラスメート達はポイントを返すと言ってきたが、清麿はこれを拒否。

 

その分、情報収集を頑張ってくれと、なんとか説得したのだ。

 

クラスメート達は渋々了承すると、各々の出来る範囲で情報収集を開始。

 

その甲斐あって、清麿は他クラスについて大雑把にではあるが、把握できていた。

 

Aクラスは現在、友人である坂柳有栖と、葛城康平という男子生徒の二大巨頭によって統率されているが、両者の派閥が敵対している状態らしい。

 

Cクラスは同じく友人である椎名ひよりが所属しているが、今のところリーダーらしき者がいるという情報以外は特に分かっていないが、素行が悪そうな生徒が比較的多いらしい。

 

Dクラスは隣人で友人の綾小路清隆が所属しているが、個性的な面子が多く、いかんせん授業態度が悪すぎることで有名らしい。

 

清麿としては、今のところDクラスは警戒する必要はないと考えている。

 

この学校の実態に気付いていれば、授業態度の改善に乗り出しているであろうし、それがないのだとすれば、未だにこの学校のシステムに気付いていないのだろう。

 

下手をすれば、来月支給されるポイントが0ということも十分あり得る。

 

警戒するのは、今はAクラスとCクラスだけで良いという結論を出した。

 

そんなBクラスのリーダー的ポジションにいる清麿だが、自らもある程度は動き出す必要性があると感じていた。

 

その理由のひとつが、人脈の形成である。

 

基本的にAクラスになれるのは1クラスだけであるが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()も否定できない。

 

五月からは本格的にクラス対抗戦が始まるため、警戒心のない最初の月でどれだけ人脈を広げられるかが、勝負の鍵であった。

 

そんなとき、ある一人の少女がBクラスへと訪ねてきた。

 

少女の名は櫛田桔梗(くしだききょう)

 

Dクラスに所属する女子生徒で、容姿端麗でコミュニケーション能力が高く、『学校中のみんなと友達になる』という目標を掲げている少女である。

 

櫛田は瞬く間にBクラスの面々と仲良くなり、連絡先を交換していく。

 

勿論、清麿も櫛田と連絡先を交換した。

 

そのとき清麿は、ふと綾小路のことが頭をよぎった。

 

綾小路とは通学時間が被るのか、学校の登校を一緒にする仲である。

 

隣人ということもあって、比較的会う頻度も高く、よく話している。

 

夕飯時には一緒に外食をしたこともあり、少なくとも清麿にとっては、完全に友人と言ってもいい間柄である。

 

櫛田に綾小路のことを聞くと、櫛田は目に見えて驚いていた。

 

綾小路との関係性を聞かれ、素直に友達だと答えると、先程よりも驚いたリアクションを取られる。

 

訳を聞くと、綾小路は教室で一人でいることが多く、あまり目立つ存在ではないらしい。

 

そんな綾小路と清麿が友人であることに、純粋に驚いたとのこと。

 

すると櫛田は何を思ったのか、清麿を遊びに誘ってきた。

 

他クラスの様子が気になっていた清麿は、良い機会だと思い、これを了承。

 

どうやら櫛田は帆波と既に遊ぶ約束をしていたらしく、そのうえで清麿も誘ったらしい。

 

後日、櫛田と帆波企画の遊びが開催された。

 

主にその目的は、BクラスとDクラスの交流である。

 

勿論、参加者の中には綾小路の姿もあった。

 

櫛田が清麿に気を遣ってくれたのだ。

 

清麿は主に綾小路と会話しつつ、新たにDクラス男子の平田洋介(ひらたようすけ)、女子の軽井沢恵(かるいざわけい)佐藤麻耶(さとうまや)篠原(しのはら)さつき、松下千秋(まつしたちあき)王美雨(ワンメイユイ)と知り合う。

 

なぜか圧倒的に女子生徒と知り合う割合が多いことに、清麿は内心不思議に思っていた。

 

というのは、女子の参加率が異常に高いのである。

 

男子の参加者はBクラスは清麿、神崎、柴田、浜口の四人、Dクラスは平田と綾小路の二人の合計六人であるのに対して……

 

女子の参加者はBクラスは帆波、白波、網倉、安藤、小橋、南方の六人、Dクラスは櫛田、軽井沢、佐藤、篠原、松下、王の六人の合計十二人という実に男子の二倍もいるのだ。

 

実を言うと、ここに参加している男子六人共にある一年女子の作ったイケメンランキングトップ10に入っている猛者達なのだ。

 

そんなイケメン男子六人と遊ぶ機会を逃す女子がいるであろうか?

 

否、断じて否。

 

ここに参加している女子達は、櫛田厳選のDクラスの選ばれし者達と、もっと清麿達と仲良くしたいBクラス女子達の共同戦線故に考えられた企画なのである。

 

そんな裏事情があるとは露知らず、清麿達男子は楽しく遊んでいた。

 

勿論、帰りに全員と連絡先を交換しておくのも忘れない。

 

このとき、心の中で綾小路とD組女子達はガッツポーズをしていた。

 

綾小路は純粋に友達が増えたことに喜び、D組の女子達はB組のイケメン達と知り合えたことに喜んでいたのだ。

 

後日、このDクラスの面々と知り合ったのをきっかけに、清麿は他クラスと交流を持つために動き出した。

 

まずはひよりに連絡を取ると、すぐに返信が返ってきた。

 

どうやら清麿が色々動き回っていることは他クラスでも噂になっているらしく、清麿がこの学校のことを調べていると予測したひよりは、気を遣って今まで連絡を取らなかったのである。

 

清麿はひよりと久しぶりに読書談義に花を咲かせつつ、最近はひよりがどう過ごしているのかを聞いてみた。

 

「読書友達はできたか?」と質問をすると、返ってきた答えは、「私……まだ……友達いないです……」であった。

 

清麿は安易に聞いたことを、さっそく後悔した。

 

ひよりの話によると、Cクラスは不良のような者達が多く、本を読んでる生徒は一人も居らず、ひよりとは話が合わないらしい。

 

ショボーンという効果音が付きそうなほどに落ち込みながら語るひよりの姿に、清麿は心の中で涙を流した。

 

そんなひよりは現在、毎日のように図書館に出入りして読書に(いそ)しんでいた。

 

この高度育成高等学校の図書館の規模はとても大きく、本の保有量はかなりのものである。

 

周りを見渡しても本だらけであり、もしかしたら毎日通い詰めても全部読み切ることはできないかもしれない。

 

しかも、図書館のデザインもオシャレであり、居心地もとても良い。

 

読書好きなひよりからしたら、この図書館はまさしく楽園であった。

 

清麿もしばらく図書館に通い、ひよりと交流を深める。

 

放課後は図書館に行き、ひよりと共に読書をし、閉館時間になると一緒に帰る。

 

ひよりは清麿よりも読書家であるためか、色々な本を知っていた。

 

すると清麿との読書談義が余程楽しいのか、ひよりは清麿を自身の部屋へと招き、そのまま夕食をご馳走するようになった。

 

最初は遠慮していた清麿であったが、ひよりの料理は美味しく、久しぶりに食べる手料理というのもあって、それからというもの、三日に一回はひよりの元へと通うようになってしまった。

 

後日、清麿は有栖とも連絡を取った。

 

こちらもすぐに返信が返ってくると、放課後に有栖と初めて会ったカフェで待ち合わせることとなる。

 

時間になり、清麿がカフェに入ると、既に有栖は居り、優雅にコーヒーを飲んでいた。

 

彼女の周りには、三人の取り巻きと思われる者達が居り、女子生徒が一人と、男子生徒が二人であった。

 

女子生徒の名は神室真澄(かむろますみ)、男子生徒は橋本正義(はしもとまさよし)と、鬼頭隼(きとうはやと)という名であり、この三人が主に有栖の側近として活動している。

 

そしてその三人は、清麿と有栖が名前で呼び合う関係だと知ると物凄く驚いていた。

 

なんでも有栖が名前で呼ぶ男子は、今のところ清麿だけであり、実際に呼んでいる様子を見るまでは信じられなかったらしい。

 

清麿と有栖は、久しぶりに一緒にコーヒーを飲みながら世間話に花を咲かせる。

 

有栖も勿論、清麿が既に色々と動き出していることは知っていたようで、本格的にAクラスに向けて動き出しているのを察していた。

 

有栖は語る。

 

清麿がBクラスのリーダーとして早い段階で動くであろうと見越して、神室に清麿を見張らせていたことを。

 

見事、彼女の予測は的中し、清麿の今までの動きは有栖に全て筒抜けだったようだ。

 

そこまで聞いた清麿は疑問に思う。

 

有栖はこの学校の実力至上主義の真実について、とっくの昔に気付いている。

 

それならば、なぜ本格的に動き出さないのか?

 

有栖の実力があれば、Aクラスをまとめることも容易いのではないかと思ったのだが、理由はすぐに思い至った。

 

もう一人のAクラスを統率する葛城康平の存在だ。

 

現在Aクラスは、革新派の有栖と、保守派の葛城が対立している状態だ。

 

そんな状況の中では、いくら有栖とてクラスをまとめるのは至難の業と言える。

 

だから彼女は待っているのだ。

 

その機会を。

 

そして有栖は別れ際に呟いた。

 

 

「期待していますよ、清麿君」……と。

 

 

その一言で、清麿は有栖の言いたいことを察した。

 

つまり彼女はこう言いたいのだ。

 

 

 

 

 

 

次のポイント支給日でAクラスになってみせろと。

 

 

 

 

 

 

 

もし仮にそんなことが起こってしまえば、現在のAクラスはBクラスへ降級し、混乱状態に陥るだろう。

 

有栖はその混乱に乗じて、クラスをまとめる腹積もりらしい。

 

恐ろしいなと清麿は思う。

 

一体彼女はどこまで先を読んでいるのか?

 

有栖の先見の明は恐らく、今の清麿以上にあるかもしれない。

 

だがそれと同時に、清麿はこの刺激的な学生生活に正直、少しだけワクワクもしていた。

 

清麿は思う。

 

絶対に負けられないな……と。

 

これから先、予想のつかない高校生活に想いを募らせながら、彼はそう思った。




次回はポイント支給日です。

初っ端からドンデン返しになりますですはい。

では、また( `・∀・´)ノ

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