続き書けたで候。
清麿と龍園の会話が思ったよりも難産でした。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
「ちっくしょうがあぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「ぐ……ぐぁあああああああ!!!!????」
清麿のクロスカウンターが決まり、龍園は吹き飛ぶ。
優に6〜7mは吹き飛び、龍園は背中から廊下に叩きつけられた。
すると清麿が大声で叫ぶ。
「テメェ!自分がどれだけひどいことを言ってるのか分かってんのか!?ひよりを……オレの大切な友達を犯すだとっ!?冗談も大概にしやがれ!!!このクソ野郎がっ!!!!」
龍園は笑いながら起き上がる。
「……効いたぜ高嶺。良いパンチ打つじゃねえか。だが、とんだ甘ちゃんだな。たかだかその程度のことで……怒ってんじゃねぇよっ!!」
そして再び、拳を向けて清麿へと殴りかかる。
「ふっざけんじゃねぇ!!!!」
清麿は真っ正面からそれを迎え撃つ。
龍園の拳に、自分の拳を合わせるように放ったのだ。
ゴッ!!!っといった音が辺りに響く。
両者の拳がぶつかり合う。
真っ向勝負を制したのは……
「ぐっ!?野郎、なんてパワーしてやがる……」
龍園は右拳を負傷し、強く握ることができなくなっていた。
(拳がイカれやがったか……)
だがそれでも龍園の心は折れない。
「ハハハッ……頭のキレもあって、腕っ節も強ぇとは……たまんねぇ!たまらねぇよ高嶺!!」
三度、龍園は攻撃する。
負傷した右拳で軽くジャブを入れつつ、左拳を主軸に攻めていく。
しかし清麿はそれらを紙一重でかわし、龍園の懐へ潜り込むと、今度はボディブローをお見舞いする。
「いい加減にしやがれ!!」
「がはっ!?」
龍園は口から勢いよく空気をはき出し、少し空中を吹き飛ぶが、倒れることなく踏みとどまる。
「ま、まだまだだ……!!」
そして龍園は、今度は蹴り技中心に清麿へと攻めていく。
その様子を観察していた清麿は、龍園の精神的強さに驚いていた。
(こいつ……)
龍園は清麿との力の差を見せつけられながらも、全く勢いを失う様子を見せない。
普通なら自分の腕っ節に自信があればあるほど、相手との圧倒的な差があれば絶望するものだが、龍園にはそういった様子が全く見られない。
むしろ、まだ自分の勝利を信じて疑わない目をしていた。
だがそれでも、清麿のやる事は変わらない。
拳を握り、目の前のクソ野郎をぶん殴る。
「この……くそったれが!」
「ぐあ!?」
清麿のパンチが龍園へとヒットする。
もう何度目かも分からない攻撃を食らって、ついに龍園が膝をついた。
「はぁ……はぁ……はぁ……ここまで力の差があるとはな。高嶺、お前普通じゃねえよ。一体どうやってそんな力を身に着けたんだ?」
龍園は清麿の強さが、喧嘩の場数を踏んで辿り着く領域ではないことに気が付いていた。
龍園のように、日夜喧嘩に明け暮れて手に入れた強さの次元ではない。
「……オレもそれなりに場数は踏んでるってことだ。それより答えろ龍園!どうしてひよりを巻き込んだっ!?ひよりはなんの関係もねえだろうがっ!!」
龍園は答える。
「ク、ククッ……どこまでもお人好しな野郎だ。安心しろよ。ひよりの奴に手なんか出しゃあしねぇ。あいつはお前に全力を出させるための餌にすぎない」
「オレの全力……だと?」
龍園は説明する。
「高嶺、お前は俺にはない強さを持ってる。俺にはないモノを持ってる。全力のお前とやり合えば、俺はそれが何なのか理解できると思った」
「まさか、それだけのために、たったそれだけのために……ひよりを巻き込んだのか?」
「ああ、そうさ。この世は勝つことが全てだ。俺は勝つためなら、利用できるものはなんでも利用する。そのためなら、今負けることだって厭わない。いずれその負けすらも利用して、俺は勝利を手にする。最後に勝つのは……この俺だ」
龍園は己の目的を吐露する。
それを聞いた清麿は……
「黙りやがれ!!!!!!」
一蹴した。
「龍園、オレはな……テメェみてぇな奴が……人の心を弄んで利用しようとする奴が、絶対に許せねぇんだよ!!!」
清麿は叫ぶ。
「お前、さっき言ったな?勝つことが全てだと。なら、教えてやる!そんなものは本当の勝利じゃねぇ!本当の勝利とは呼ばねぇ!!本当の勝利ってのは、自分にとって大切なものを守り抜く事なんだ!!!断じて周りを利用して勝ち続けることなんかじゃねぇ!!!!」
「ハッ……あめぇな。信じられるのはいつだって自分だけだ。他者を蹴落としてでも、自分だけが生き残る。少なくとも、俺の周りはそんな奴らばかりだったぜ」
龍園は語る。
「……過去に俺を排除しようとした奴らの中には、結託する奴らだっていた。大勢に囲まれ、ひたすら暴力を受け続けたこともあった。抗えない力の前に崩れ落ちたことも一度や二度なんかじゃねぇ。負けた数だって優に三桁は超える。だがそれでも……誰も俺を屈服させることは出来なかった!俺自身、恐怖することもなかった!!今までどうやって復讐し、逆転するかだけを考えてきた!!!俺はずっとそうやってきた!!!!」
龍園は叫ぶ。
「高嶺、今日の勝負はテメェが勝つだろう!だが、明日は!?明後日は!?しょんべんしてる最中は!?糞してる最中は!?たとえ今ここでお前が俺に勝っても、俺は何度でも食らいつく!どこからでも狙う!学校のどこにいても、隙を見つければすぐに仕掛けてやる!!」
そして龍園という男は、
「だから今は、一時の愉悦を味わえよ!さあ、勝利は目前だぜ高嶺!!」
そんな龍園を見ながら、清麿は
「リュウエンンンン…………」
そのとき、龍園の全身に悪寒が走った。
(な、なんだこりゃ……身体が……震える……?)
龍園が
すると驚愕する。
その顔は鬼へと変貌していた。
鬼となった清麿、鬼麿は呟く。
「龍園ンンン……お前エェ、そういえば言ってたなアァァァ……今まで『恐怖』することもなかったとかなんとかよオォォォ。ならアァ、教えてやるよオォォォ。オレがその『恐怖』とやらをヲヲヲ……どうやらお前にはアァァァ、教育が必要な様だからなぁアァァァ……」
そして鬼麿は龍園を見下ろしながら、懐からザケルスリッパを取り出すと、二刀流の要領で静かに構えた。
「その身に刻んでエェェェ……特と味わえエェェェ」
直後……
「ザケルゥ!!!!」
居合の要領でザケルスリッパが炸裂した。
「がっ!?」
絶妙な力加減で放たれたザケルは、龍園に気絶することを許さない。
そして……
「ザケル!!!ザケル!!!ザケル!!!ザケルガッ!!!ザケル!!!ザケル!!!ザケルガーーーーッ!!!!」
「ぐきゃあああああああ!!!!????」
ザケルスリッパの乱舞が龍園へと放たれる。
はたき、はたき、はたき、時々突きが龍園の顔面を襲う。
「あ……が……ぐ……て、テメェ……!!??」
龍園はなんとか起き上がるが、目を見開く。
スゥゥゥゥゥゥ……※鬼麿が口と鼻から空気を吸う音
(ヤロウ……息継ぎしてやがる……)
鬼麿は次の攻撃の準備をしていたのだ。
そして龍園にとっての絶望はまだ続く。
「ザケル!!!ザケルガ!!!ザケル!!!ザケルガ!!!ザケル!!!ザケルッ!!!ザケルガ!!!ザケルガーーーーッ!!!!」
「がきゃっ!?ぐはっはっ!?ぎゃははうぁああおあああああああ!!??」
はたき、突き、はたき、突き、はたき、突きの攻撃がザケルスリッパ二刀流から放たれる。
しかも絶妙に気絶できない威力で放たれているのが尚、質が悪い。
すると鬼麿は階段前で、ビクビク小動物のように震えているひよりに声をかける。
「ひよりイィ……オレのかばんから水を取ってくれエェェェ……」
「は、はい……!?」
地の底から響く声音にビクッとするひより。
ひよりは震える足で鬼麿の側に置いてあったかばんから水を取り出すと、鬼麿へと渡す。
ひよりから水を受け取った鬼麿は、それを勢いよく飲み干す。
ゴブッゴブッゴブッゴブッ……※鬼麿が水を飲む音
(ヤロウ……無料飲料水で喉を潤してやがる……)
それを見ていた龍園の目がさらに死んでいく。
そして最後のザケルスリッパの乱舞が放たれた。
「ザケル!!!ザケルガ!!!ザケル!!!ザケルガッ!!!ザケル!!!ザケルガ!!!ザケルガ!!!テオザケルーーーーー!!!!」
「あっ!?ぎゃっ!?がっ!?ふぅぅ、うふあぁああああああああ!!!!????」
はたき、突き、そして最後のザケルスリッパ範囲攻撃が龍園の顔面へと炸裂する。
合計ザケル12発、ザケルガ10発、テオザケル1発が龍園へと放たれた。
そして龍園翔という少年に恐怖という感情が刻まれた瞬間でもあった。
……とうとうやってしまった。
では、また( `・∀・´)ノ