高嶺清麿の実力至上主義の教室   作:Gussan0

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どうも|д゚)チラッ

続き書けたで候。

ここで、ザケルスリッパのテオザケルの範囲攻撃について説明したいと思います。

前話の感想でどんな攻撃なの?という質問が多かったので。

分かりやすく言うと、ザケルスリッパのラッシュです。

北斗百烈拳やゴムゴムのガトリングみたいな技をイメージしてもらえればいいかと。

前回の話で言えば、鬼麿が両手のザケルスリッパを龍園に高速で叩きつける感じですね。

イメージすると、ちょっと怖いですけど……(白目

では、続きにいきましょう。

少し短いですが、どうぞ∠( ゚д゚)/


第ニ十三話 ひよりの質問

椎名ひよりは困惑していた。

 

なぜなら目の前で、友人である高嶺清麿が鬼へと変貌してしまったのだから。

 

 

(清麿君……凄い迫力です……)

 

 

ひよりは鬼となった清麿、略して鬼麿の迫力にたじろぐ。

 

普段は何事にも動じることのない彼女だが、鬼麿の圧倒的な威圧感に身体が無意識に震えていた。

 

 

(人と言うのはあそこまで鬼になれるものなのですね……)

 

 

ひよりは目の前で行われている蹂躙という名の教育を観察する。

 

鬼麿は現在Cクラスの暴君、龍園翔の顔をひたすらスリッパではたいていた。

 

しかも龍園が気絶出来ないほどの絶妙な威力で。

 

それほど、今の鬼麿の怒りは凄まじいものであった。

 

 

「ザケル!!!ザケル!!!ザケル!!!ザケルガッ!!!ザケル!!!ザケル!!!ザケルガーーーーッ!!!!」

 

 

「ぐきゃあああああああ!!!!????」

 

 

はたき、はたき、はたき、時々突きが龍園の顔面を襲う。

 

 

「ザケル!!!ザケルガ!!!ザケル!!!ザケルガ!!!ザケル!!!ザケルッ!!!ザケルガ!!!ザケルガーーーーッ!!!!」

 

 

「がきゃっ!?ぐはっはっ!?ぎゃははうぁああおあああああああ!!??」

 

 

はたき、突き、はたき、突き、はたき、突きの攻撃が二個のスリッパから放たれる。

 

Cクラスに所属するひよりにとっては、この光景は到底信じられないものであった。

 

 

(あの龍園君がここまで一方的に……)

 

 

龍園はCクラスの『王』として君臨している。

 

それは彼が恐怖でCクラスを統率しているからに他ならない。

 

そんなCクラスの恐怖の象徴とも言える龍園が一方的にやられているのだ。

 

信じられないのも無理はない。

 

すると鬼麿は攻撃を一端終えると、ひよりに声をかけてきた。

 

 

「ひよりイィ……オレのかばんから水を取ってくれエェェェ……」

 

 

「は、はい……!?」

 

 

地の底から響く声音に思わずビクッとするひより。

 

ひよりは震える足で鬼麿の側に置いてあったかばんから水を取り出すと、鬼麿へと渡した。

 

鬼麿は水を受け取ると、それを勢いよく飲み干し、最後の攻撃を繰り出した。

 

 

「ザケル!!!ザケルガ!!!ザケル!!!ザケルガッ!!!ザケル!!!ザケルガ!!!ザケルガ!!!テオザケルーーーーー!!!!」

 

 

「あっ!?ぎゃっ!?がっ!?ふぅぅ、うふあぁああああああああ!!!!????」

 

 

はたき、突き、そして最後のスリッパの範囲攻撃が龍園の顔面へと炸裂する。

 

そして龍園は白目を向いて気絶してしまった。

 

ここに二人の決着がついた。

 

勝者は鬼麿もとい清麿であった。

 

清麿は鬼から普通の顔に戻ると、再度ひよりに声をかける。

 

 

「……大丈夫か?」

 

 

「だ、大丈夫です。ありがとうございます」

 

 

(清麿君の顔が元に戻った……?人体の神秘を垣間見た気分です……)

 

 

ひよりはそのまま気絶する龍園へと顔を向ける。

 

顔は多少赤いものの、腫れが少なかった。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

 

(スリッパで叩いていたとはいえ、腫れがほとんどない?跡が残らないように完璧に威力を調整していた……?)

 

 

ひよりは清麿のスリッパ捌きに戦慄すると同時に、何処か納得もしていた。

 

 

(必要最低限の威力で相手を(くだ)し、必要以上に相手を傷つけない……実に清麿君らしい勝ち方ですね)

 

 

一方の清麿はというと、申し訳なさげに頭を下げてきた。

 

 

「ひより……すまなかった」

 

 

「……なぜ清麿君が頭を下げるのですか?」

 

 

「オレと龍園とのイザコザに、ひよりを巻き込んじまった。それに……嫌な思いまでさせちまった……。本当にすまない」

 

 

「……龍園君の私を犯すと言っていたことを気にしているのであれば、それはお門違いですよ、清麿君」

 

 

しかし、ひよりはその謝罪を間違いだと指摘する。

 

 

「そもそも龍園君は、私に手を出そうなどとは欠片も思っていませんでした。あの言葉は清麿君に全力を出させるための方便に過ぎません。本人もそう言っていたはずです」

 

 

ひよりの言うとおり、龍園はひよりに手を出すつもりなど全くなかった。

 

龍園がひよりをこの場に連れてきたのは、清麿が全力を出さざるを得ない状況を作り出すためだ。

 

その結果、龍園の狙い通り、清麿は全力を出した。

 

ただ唯一誤算があるとすれば、清麿の全力が予想の斜め上を行くことであったくらいだ。

 

 

「しかし、私としてはこれで良かったと思っています。たとえ嘘と分かっていても、あまり気分の良いものではありませんでしたから。むしろスカッとした気分です」

 

 

「そう言ってもらえると助かるな」

 

 

ここでひよりは気になっていたことを聞くことにした。

 

 

「あの、清麿君……ひとつ質問してもいいでしょうか?」

 

 

「ん?別にいいが……どうした?」

 

 

「清麿君が言っていた『ザケル』や『ザケルガ』、『テオザケル』とは一体どういう意味なんですか?何か呪文のような言葉というのは理解できるんですが……」

 

 

「…………」

 

 

ひよりの予期せぬ質問に、思わず固まる清麿。

 

これは清麿にとって、最早癖とも言える症状であった。

 

魔界の王を決める戦いでは、魔本の呪文を唱えながら戦うことは必須である。

 

当然だ。

 

呪文を唱えなければ、術は発動しないのだから。

 

そして清麿はツッコミとしても、ガッシュのザケルを多用していた。

 

彼の周りには良くも悪くも個性的な面子が集まるため、そのツッコミとしてザケルは大いに役立っていたのだ。

 

しかしガッシュは既に魔界に帰ってしまったため、もうザケルでツッコミを入れることはできない。

 

そこで清麿は苦心の末、ザケルスリッパというツッコミ道具を生み出した。

 

勿論、護身用武器としても大いに役立っている。

 

スリッパ故に、必要以上に相手を傷つけることがないからだ。

 

ザケルスリッパは、ツッコミ道具としても、護身用武器としても、清麿にとっては既に必要不可欠な物となっていた。

 

しかし、ひよりはそんな清麿の裏事情など露ほども知らないので、バカ正直に言う訳にもいかない。

 

なので、清麿は誤魔化すことにした。

 

 

「あー……あれはなんというか、テンションを上げるために口走っているというか」

 

 

「なるほど。カタルシス効果というやつですね。口に出すことによって、己の内の感情を発散させていると」

 

 

「ま、まあな」

 

 

「思春期の男の子によく見られる症状にそういうものがありましたね。確か……中二病でしたか」

 

 

「ちゅ、中二病!?」

 

 

清麿は絶句する。

 

 

(い、いかん!ひよりはとんでもない誤解をしている!?)

 

 

中二病とは、日本の教育制度における中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動や態度を表す語である。

 

思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などを揶揄したネットスラングのひとつだ。

 

つまりひよりは、清麿の先程の技を叫ぶ行為は、その中二病によるものだと思っているのだ。

 

傍から見ればそれも仕方のないことと言える。

 

しかし清麿としては、到底認められる事実ではない。

 

つまり端的に言えば、とても恥ずかしかった。

 

 

「ひより、誤解のないように言っておくが、あくまでもあれはテンションを上げることが目的であって、中二病というものでは断じてないからな?」

 

 

「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ、清麿君。全て分かっていますから」

 

 

早口で弁明する清麿を、ひよりは生暖かい視線で見守る。

 

ちなみに龍園は未だに気絶したままである。(無慈悲




金色のガッシュ!!2の二話目が配信されましたね。

成長した清麿が大変カッコ良かったです。

清麿教授と呼ばれていたので、少なくとも最終回からは約10年は経過していると見て良いでしょうね。

しかしこれで心置きなく、この小説も思う存分書けます。

時系列が被らなくて本当良かった。

次回は、軽い後日談的なモノです。

では、また( `・∀・´)ノ

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