高嶺清麿の実力至上主義の教室   作:Gussan0

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どうも|д゚)チラッ

続き書けたで候。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第三十九話 自分に出来ること

七月最初の金曜日、今日も今日とて、通常通り授業が行われる。

 

昼休み、帆波は清麿、神崎、浜口の三人を学食に誘うと進捗状況を話し合う。

 

 

「二人とも、貼り紙と掲示板の方はどんな感じかな?」

 

 

「貼り紙は、今日中には用意出来そうだ」

 

 

「掲示板の方も、昨日の内に募集の書き込みはしておきました」

 

 

神崎が携帯電話を操作すると、とある画像が映っていた。

 

それは作成途中の貼り紙で、七割程完成していた。

 

浜口も携帯電話を操作すると、学校のHPを映す。

 

そこには今回の事件についての目撃者を募る書き込みがされており、閲覧者数まで見れるようになっていた。

 

閲覧者数はまだ数人で、めぼしい情報などは特になかった。

 

帆波はそれらの報告を聞くと、苦笑いする。

 

 

「さすがだね二人とも。さすが過ぎてリアクションしづらいや……」

 

 

「笑えばいいと思うぞ」

 

 

帆波のリアクションに、清麿がツッコミを入れる。

 

いつも通りの光景である。

 

昼食を済ませた後は、午後の授業を受けると、あっという間に放課後となる。

 

清麿はというと、ある一人の女子生徒の様子をずっと観察していた。

 

 

(白波の奴……今日一日、ずっと帆波の事を避けていたな)

 

 

白波千尋。

 

帆波にラブレターを出した生徒である。

 

そして今日、彼女は16時に体育館裏で帆波と会うことになっている。

 

時計を見ると、時刻は既に15:45となっていた。

 

 

(あと15分か。帆波の奴は先に教室を出てったみたいだが……)

 

 

そのとき、清麿の携帯電話が震える。

 

見れば帆波からチャットが届いていた。

 

 

(なになに……『緊張して倒れそう!お願いだから側にいて!!』……って、子供かよ……)

 

 

帆波からのヘルプコールに、清麿は溜息をつく。

 

 

「はぁ……しゃーない。行ってやるか」

 

 

清麿は『近くのベンチで座って待っててやるから、そのまま頑張れ』と送ると、教室を出て体育館裏へと向かう。

 

その際に、白波の様子をチラッと見たが、まだ自分の席に座っているようだった。

 

恐らく、時間ギリギリに向かうつもりなのだろう。

 

清麿は体育館の側にあるベンチに座ると、自販機で買った缶コーヒーを飲む。

 

体育館の周りは、部活動に励む生徒達で溢れていた。

 

そしてしばらくボーッとしていると、時刻は16時前になり、白波が緊張した面持ちで体育館裏へと向かう姿を目撃する。

 

清麿は引き続き、缶コーヒーを飲みながら待機していると、白波が彼の近くを小走りで駆けていった。

 

目に(うっす)ら涙を浮かべながら。

 

清麿はその様子を見守りながら、視線を体育館裏へと向ける。

 

すると、少し落ち込んだ様子でトボトボと歩いてくる帆波の姿があった。

 

清麿はゆっくりと帆波の元へと向かう。

 

 

「あっ……」

 

 

帆波は清麿を見つけると、少し気まずそうに俯いた。

 

 

「お疲れさん」

 

 

清麿は帆波の頭をポンッと叩くと、一言(ねぎら)った。

 

帆波はそのまま清麿を上目遣いで見上げる。

 

 

「明日からはいつも通りにするって言ってたけど……。元通りにやっていけるかな?」

 

 

「さあな。だがやらない後悔より、やって後悔だ。あのまま、なあなあにしていたら、もっとひどくなってたと思うぞ」

 

 

「うん……」

 

 

帆波が頷く。

 

陽が傾いてきたのか、部活に打ち込んでいる生徒達も帰路につく者が多くなっていた。

 

 

「今日はありがとう。ごめんね、色々付き合わせちゃって」

 

 

「今更だろ?」

 

 

「むぅ……そこは嘘でもそんなことないって言う場面だよ?」

 

 

「へいへい」

 

 

帆波は清麿の返事に頬を膨らませる。

 

 

「……最初の頃に比べて、私の扱いが大分ぞんざいになってる気がするよ」

 

 

「まあ、そう言うな。ブリでも奢ってやるから元気出せ」

 

 

「なんでブリ?」

 

 

「気分だ」

 

 

清麿はそう言うと、ケヤキモールへと歩き出す。

 

帆波はそんな清麿の後ろ姿を見ながら、小走りで追いかけた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

帆波にブリを奢った翌日の土曜日、清麿は学から貰った暴行事件の資料を熟読していた。

 

この暴行事件の発端は、Cクラスの三人(小宮、近藤、石崎)がDクラスの須藤に呼び出され、殴られたことから始まる。

 

彼らが言うには、須藤に一方的に殴られ傷を負わされたらしい。

 

そのことから、CクラスはDクラスを訴えた。

 

しかし、加害者とされる須藤の主張は真逆で、反対に三人に呼び出され、先に殴り掛かられたらしい。

 

そして身を守るために、やむを得ず撃退したという正当防衛を主張している。

 

両者の主張は全くの平行線であり、来週の火曜日に開かれる審議で裁定が下る。

 

尤も、その裁定を下すのは清麿であるのだが。

 

そして清麿は翌日の日曜日、橘にレクチャーしてもらった審議の進め方を復習していた。

 

ノートに書いたメモを何度も読む。

 

こうすることで当日、審議を滞り無く進められるように準備しているのだ。

 

しかし、それでも多少の緊張はあった。

 

 

(とりあえず事件の概要や、審議の進め方は一通り頭に叩き込んだが……正直、それでも不安がないと言えば嘘になるな……)

 

 

さすがの清麿も、初めてする事には不安がある。

 

そして週が明けて、審議まで残り一日となった日、下駄箱前にある掲示板を見ると、貼り紙の設置もちゃんとされていた。

 

神崎が金曜日の内に済ませていたのだ。

 

清麿はHPの掲示板も確認する。

 

すると、新たに2件の書き込みがあった。

 

見ればCクラスの一人、石崎は地元では結構な(わる)で喧嘩の腕も立つらしい。

 

 

(それだけ腕の立つ奴がいながら、一発も相手を殴れずにやられるというのはさすがにおかしい。後の二人もバスケ部だから運動神経が悪いということもないだろうし……やはりCクラスの三人がやられたのはワザとだろう。Dクラスの須藤を罠に嵌めるためだと考えれば納得もいく)

 

 

しかし、それでも現状最も不利なのはDクラスである。

 

 

(さすがに完全無罪は厳しいだろうな……)

 

 

何より、一方的に殴ったという事実が重くのしかかる。

 

 

(ままならんな……)

 

 

どちらが加害者で、どちらが被害者なのかは少し考えれば分かる。

 

しかし、それを証明する証拠がない。

 

 

(オレに出来ることは一体なんだ……?)

 

 

清麿は悩む。

 

丸一日考えるが、それでも答えは出なかった。

 

そして、そんな葛藤を抱えたまま、清麿は審議当日を迎えた。




次回はいよいよ暴力事件の審議です。

では、また( `・∀・´)ノ
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