高嶺清麿の実力至上主義の教室   作:Gussan0

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どうも|ω・`)ノ ヤァ

続き書けたで候。

ちょっと長くなったので分けます。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第五十三話 本音で

「はぁ……めんどくさ」

 

 

夜間、姫野ユキは端末装置の前にいた。

 

彼女がキーカードをかざすと、占有時間の更新がなされた。

 

時刻は23時となっており、クラスのメンバーは既に床に就いている。

 

周りには誰も居らず、彼女は一人になれる時間を見計らってここにいた。

 

 

「私……リーダーって柄じゃないんだけどな」

 

 

姫野は清麿に頼まれてAクラスのリーダーを引き受けた。

 

元々彼女は、自分からは積極的に意見や主張をせず、自分の考えを曲げてでも周囲の空気を壊さないように、他人の意見に合わせることが多い。

 

内心では人付き合いが面倒だと考え、徐々にストレスを溜めていくタイプである。

 

そんな彼女にとってお人好しの多いAクラスは少々居心地が悪かった。

 

姫野は昼間、清麿に言われたことを思い出す。

 

 

 

『オレは誰一人欠けることなく、皆でAクラスを卒業したい。だが、今のままでは絶対に無理だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()……』

 

 

 

彼女は考える。

 

 

「本当の仲間って……一体なんなの……?」

 

 

姫野が端末装置を囲っているテントからそっと出ると、綺麗な星空が見えた。

 

彼女は星空を見ながら呟く。

 

 

「私にどうしろって言うのよ……」

 

 

胸の内にモヤモヤしたものを抱えながら、姫野はテントに戻った。

 

そしてその様子を一人の男子生徒が見ていたことを彼女は知らない。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

翌日、清麿は朝早くに目を覚ます。

 

寝床となっているハンモックから起き上がると、伸びをする。

 

 

「ん〜っと。意外と熟睡出来るもんだな」

 

 

清麿はそのまま井戸へと向かう。

 

滑車を動かし、桶で水を汲むと、顔を洗う。

 

手持ちのバッグからハミガキを取り出し、歯を磨く。

 

うがいも済ませ、タオルで顔を拭くと完了だ。

 

 

「さっぱりしたな」

 

 

「高嶺、起きていたのか」

 

 

「おはようございます、高嶺君」

 

 

すると丁度、清麿が顔を洗い終えたタイミングで神崎と浜口の二人がやって来た。

 

 

「おはよう、二人共。それよりこんな朝早くにどこへ行ってたんだ?」

 

 

「少しDクラスへな……」

 

 

「高嶺君と一之瀬さんが昨日、BCクラスに偵察に行ったので、僕達もDクラスに軽く偵察に行ってみたんです」

 

 

「そうだったのか。それでどうだったんだ?」

 

 

清麿は二人の意見を聞く。

 

 

「軽く見た程度だが、使用ポイントは俺達とそう変わらないだろう」

 

 

「あわよくばリーダーが誰か分かるかと思ったんですが、そう上手くはいきませんね……」

 

 

「そうか……まあ、リーダー当てはよっぽどの確証がない限り、出来ないだろうな」

 

 

(最終日のリーダー当て……もしオレの予想が間違っていなければ、Cクラス、龍園は間違いなく他クラスのリーダーの情報を狙っている。だが、まだその確証が持てん。そのためにもまずはDクラスへ行って話を聞かないとな)

 

 

清麿は昨日のことを思い返す。

 

彼には一つだけ気掛かりな事があった。

 

 

 

『清麿君や他の皆に任せてばかりで……私ってなんの役にも立ってない。本当に……駄目だなぁ。()()()からなんも変わってないや……』

 

 

 

(『あの頃』……。帆波のある意味過剰なまでの他人を(おもんぱか)る行動の要因が、その言葉に集約されている気がする……)

 

 

清麿は昨日の一件で、一之瀬帆波の抱えている闇の一端に触れた気がしていた。

 

あの後、帆波は泣き止むと少し落ち着いたのか、いつも通りの元気な姿を見せていた。

 

 

(帆波が一体何を抱えているか分からんが、出来る限り支えてやらないとな)

 

 

清麿から見た帆波は、明るく正義感の強いお人好し、無防備で天然を地で行く普通の女の子だ。

 

彼女の明るさには清麿自身、かなり助けられている。

 

帆波がいるだけでクラスの雰囲気は柔らかくなるのだ。

 

つまり一之瀬帆波という存在が、クラスの緩衝材の役割を担っている。

 

だがその純粋さ故に、一人で悩みを抱え込みやすく、それ故にストレスを溜め込みやすい性格をしている。

 

彼女の闇を晴らすには、彼女が本音で語れる状況を作るしかないだろう。

 

 

「高嶺、そういえば一つ知らせる事があった。綾小路が今日訪ねて来るかもしれないぞ」

 

 

「綾小路が?」

 

 

「ああ。Dクラスとは協力関係にあるだろう?もしかしたら堀北も一緒に来るかもしれないぞ」

 

 

「分かった」

 

 

(その二人が来るなら、わざわざ偵察にいかなくてもいいか。なら、他の事に力を入れるか)

 

 

清麿の視線の先には、たった今起きたのか、眠い目をこする姫野の姿があった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

朝の点呼を終えると、各自割り当てられた仕事をこなすために作業に取り掛かる。

 

主に指示を出すのは神崎と帆波の二人だ。

 

今回清麿は、裏方に徹することに決めている。

 

彼自身、Aクラスのリーダーであるものの、あまりあれこれ言わないようにしている。

 

神崎と帆波の二人に経験を積ませるというのもあるが、それよりも他にやらなければならない事があるからだ。

 

清麿は一人で森に入ろうとしている姫野を見つけると、小走りで駆け寄った。

 

 

「姫野」

 

 

「……高嶺君か」

 

 

「少しいいか?」

 

 

「……別にいいけど」

 

 

二人は森を歩く。

 

少し距離をあけながら歩いていると、先に口火を切ったのは意外にも姫野であった。

 

 

「ねぇ、前にクラスの意識を変えるって言ってたけど、一体どうするつもり?言っとくけど、私に期待されても困るんだけど……」

 

 

「そんなに身構えなくても大丈夫だぞ、姫野。特に変なことを頼む訳じゃない。むしろ、いつも通りに生活してほしいだけだ」

 

 

「……いつも通り?」

 

 

姫野が胡散臭そうな目で清麿を見る。

 

清麿は苦笑いしながら説明する。

 

 

「そうだ。ただ一つだけ、心掛けてほしい事があるんだ」

 

 

「……それって?」

 

 

清麿は言った。

 

 

 

 

 

 

「Aクラスの皆に余計な気を遣わず、常に本音で話してほしい」

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

姫野は清麿の言葉が予想外だったのか、目を丸くさせる。

 

 

「勿論、オレや帆波、神崎や浜口と話すときだって余計な気は遣わなくていい。お前の思ったことを口にしてくれるだけでいいんだ」

 

 

「……そんなことでいいの?」

 

 

「むしろ本音で話すからこそ、見えてくるものもある」

 

 

これは清麿の経験則によるものであった。

 

彼は本音で話し合う大切さを知っている。

 

清麿のパートナー、ガッシュには絶対に揺らぐことのない友への真っ直ぐな想いがあった。

 

それ故に、ガッシュは常に本音で話すため、彼の言葉は不思議と心に刺さる。

 

ガッシュは大切な仲間や友のためならば、相手がどれだけ格上であろうと、自身がどれだけ傷付けられて血を流そうとも、絶対に退かずに立ち向かい続ける強い心を持っていた。

 

かつて清麿もガッシュに救われた一人だ。

 

清麿は思い出す。

 

清麿が初めてガッシュと出会った日、ガッシュは清麿の教育係として、清麿の元へとやって来た。

 

『清麿の友達を作る!』と、ガッシュはそう宣言し、学校まで清麿に付き纏うと、ガッシュはやる気満々で『正義の味方作戦』を清麿に促す。

 

だが、それを疎ましく思った清麿は、よく屋上でヤンキーがカツアゲをしているという情報を思い出し、ガッシュを一人で屋上へ向かわせる。

 

カツアゲの現場に遭遇したガッシュは勿論、止めに入るが、後から突入してくる手筈だった清麿がなかなか現れない。

 

清麿は気になって様子を見に来たものの、そんな作戦に従順する気はさらさらなかったのだ。

 

『清麿がきっと助けに来る』と被害者の水野鈴芽に言葉をかけるガッシュだったが、ヤンキーの金山はそれを嘲笑う。

 

実際に清麿は助けに来るつもりなどなかったし、その天才っぷりは常に嫉まれ、クラス中から嫌われていることも自覚している。

 

そんな金山や周りの環境に苦しめられている清麿の現状に、ガッシュは堪忍袋の緒が切れたのか、力の限りに叫んだ。

 

 

 

『だまれ!!!お前に清麿の何がわかる!?』

 

 

 

『清麿は悪くない!!!だから私は清麿を助けに来たんだ!!!』

 

 

 

『清麿は、好きで天才になったわけじゃないんだぞ!!!』

 

 

 

『清麿の父上が言ってたぞ!小学校までは普通に友達と遊んでたって!!中学になって、だんだん友達が清麿の頭の良さをねたみ始めたって!清麿が変わったんじゃない!!!清麿を見る友達の目が変わったんだ!!!』

 

 

 

『清麿が実際何をした!!?今日、学校に来た清麿が何をした!!?おまえのように誰かを傷つけたか!?おまえみたいに弱い者から金を奪ったか!!?』

 

 

 

『学校に来なくていいのはおまえの方だ!!でくの坊!!!これ以上私の友達を侮辱してみろ!!!お前のその口、切りさいてくれるぞ!!!』

 

 

 

こうした純粋な強い想いを力とするガッシュの言動は、パートナーである清麿はもちろん、敵であった魔物や人間の孤独を癒し、友や仲間となることで確固たる絆を結ぶに至っている。

 

こうした『真っ直ぐさ』が、今のAクラスには必要なのだと清麿は考えていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

清麿と姫野が枝をある程度拾い集め終えて、ベースキャンプに戻るとDクラスの綾小路清隆と、堀北鈴音の姿があった。

 

二人は帆波と話しているようだった。

 

 

「じゃあ私、占有の時間だから抜けるね」

 

 

「ああ、頼む」

 

 

姫野は占有時間更新のために、端末装置の元へと向かった。

 

清麿は三人へと近付く。

 

最初に気付いたのは帆波であった。

 

 

「あ、おかえり清麿君」

 

 

「ああ、ただいま。綾小路も堀北もよく来たな。ぜひ、ゆっくりしていってくれ」

 

 

「いや、少し見に来ただけだからな。すぐに出ていくさ」

 

 

「ええ。こちらの事は気にせず、作業に集中して頂戴」

 

 

「そうか。それはそうと、三人で一体何を話してたんだ?」

 

 

「あ、えっとね……」

 

 

帆波が説明する。

 

AクラスとDクラスの協力関係の継続と、使用したポイント数、互いに購入した道具の使い方とその詳細、テントの寝床対策に暑さ対策を話していたらしい。

 

そして今は両者のクラスの状況についての情報交換を行っていた。

 

ここで帆波がある確認を取る。 

 

 

「そうだ。そういえば私達は協力関係の継続ってことでいいのかな?リーダーの正体を見破るって追加ルールで、お互いのクラスを除外し合うのも手だと思うんだけど。どう?」

 

 

「私もその話をしようと思っていたの。一クラスでも警戒対象から外れてくれるならありがたい。一之瀬さんと高嶺君が構わないのなら、その提案を受けさせてもらいたいわ」

 

 

「勿論、オッケーだよ。ね、清麿君」

 

 

「ああ。こっちとしても受けない理由はないからな」

 

 

互いに情報交換と協力関係の再確認を終えると、鈴音は周りを見渡すと感嘆の息を漏らす。

 

Aクラスの生徒達はそれぞれ自分の役割をしっかりと理解して行動し、一糸乱れぬ連帯感もある。

 

それだけでなく、誰もが楽しそうに役割を全うしているのだ。

 

 

「このクラス……想像以上に統率が取れているわね。どっちが率いているの?」

 

 

鈴音が二人に質問すると、清麿が答えた。

 

 

「今回の特別試験でのクラスの事に関しては、帆波に一任してる。オレはオブザーバーみたいなものだ」

 

 

「困ったときは相談させてもらってるけどね」

 

 

「そう。良いチームワークね」

 

 

そこから軽くDクラスのまとめ役の話をしてから、話題は他クラスの話へ。

 

 

「一之瀬さん。聞いてばかりで申し訳ないけれど、私達はBクラスの状況を確認したいと思っているの。彼らのベースキャンプに関して掴んでいることはある?場所だけでも分かるようなら助かるんだけど」

 

 

「……あ、うん。場所は分かるよ。でも情報を得るのは難しいと思う」

 

 

僅かに帆波の表情が暗くなったことに、綾小路と鈴音の二人は見逃さなかった。

 

しかし、二人は特にツッコむような素振りは見せずに帆波の話を聞いていた。

 

帆波はBクラスのベースキャンプの場所の説明を終える。

 

その際にBクラスの秘密主義、守りが徹底していたことを伝えることも忘れない。

 

説明を聞いた鈴音はあまり想像出来ていないようだったが、帆波は『見れば分かるよ』とだけ言っておいた。

 

すると、今度は様子を見ていた清麿が鈴音と綾小路へと話しかける。

 

 

「二人共、今からBクラスへ行くのか?」

 

 

「ええ。この目で見てみないことには何とも言えないもの」

 

 

「そうか。なら、Cクラスの状況については把握しているか?」

 

 

「ええ。さっき行ってきたわ。信じられない程、愚かなことをしていたわね」

 

 

「なら話が早い。確認したいんだが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

清麿の質問に鈴音は目を見開く。

 

 

「なっ!?ど、どうして貴方がその事を知っているの!?」

 

 

「やはりか。実はAクラスでも一人、Cクラスの男子生徒を保護してるんだ」

 

 

直後、一人の生徒が話しかけてきた。

 

Cクラスの金田だ。

 

 

「お話中すいません。あの一之瀬さん。中西君はどこにいるか分かりますか?」

 

 

「中西君はこの時間、海の方に出向いてるはずだよ?どうかしたの?」

 

 

「お手伝いに行こうと思いまして。余計なことでしたか?」

 

 

「ううん、そんなことはないよ。金田君の気持ちは凄く嬉しい。じゃあ、向こうで千尋ちゃん達のフォローに回ってもらえる?私から言われたって話せば大丈夫だから」

 

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 

金田はそのまま作業を手伝いに行く。

 

清麿はそれを見送ると、帆波にもあるお願いをする。

 

 

「帆波、少し金田のフォローに入ってやってくれないか?昨日の今日でまだ慣れてはいないだろうから」

 

 

「あ、うん。分かったよ。それじゃあまたね、堀北さん、綾小路君」

 

 

そう言うと、帆波は金田の方へと小走りで向かっていった。

 

 

「今の男子生徒が、件の金田悟。昨日、保護したCクラスの生徒だ」

 

 

「AとDの2クラスで、Cクラスの生徒を同じ日に保護している……?偶然……ではないでしょうね」

 

 

「実はオレはこの保護している生徒二人が、Cクラスのスパイなんじゃないかと思ってる」

 

 

「スパイ……?」

 

 

「ああ、考えてもみろ堀北。お前達はあの審議会で随分とCクラスに苦しめられただろ?奴らの大将である龍園は相手の裏をかく策を得意としている。そんな奴が黙って特別試験をリタイアすると思うか?」

 

 

「まさか……彼の狙いは?」

 

 

「龍園の狙いは恐らく、いや十中八九、クラスリーダーの情報だ」

 

 

清麿の告げた情報に鈴音は驚き、綾小路は興味深そうに聞いていた。




数日中にまた続き投稿します。

今月中には無人島試験終わらせられたらと思います。

では、また( `・∀・´)ノ
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