高嶺清麿の実力至上主義の教室   作:Gussan0

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どうもΣ(゚Д゚)

お久しぶりです。

やっと続き書けたで候。

では、どうぞ(╯°□°)╯︵ ┻━┻


第六十四話 続・第一回グループディスカッション

 

「先に皆さんに言っておきます。私達、Bクラスは全てのグループの結果1を目指しています。つきましては、皆さんにはぜひそのご協力をと思いまして」

 

 

──有栖の言葉が場の空気を一変させた。

 

 

(……意外だな。有栖が、ああもはっきり協力姿勢を打ち出すとは)

 

 

清麿はその場で特に言葉を挟まず、他の面々の反応を静かに観察していた。

 

 

「いきなり本題かよ……随分と気合が入ってるじゃねえか、坂柳」

 

 

龍園が面白そうに口元を歪めた。

 

 

「結果1って……つまり、優待者を全員で協力して正しく当てましょうってこと?」

 

 

帆波が首をかしげながら、有栖に確認を取る。

 

 

「ええ、そうです。互いに情報を出し合って“全員で”報酬を得るのが最良だと思います。……建前ではなく、本心で」

 

 

(言うな、有栖。だがそんな“善意”だけで、あの有栖が動くとはとても思えん。確実に何か別の狙いがあるはずだ……)

 

 

清麿は一瞬、言葉を挟みかけたが、自制する。

 

 

「なるほど。でも、情報を出し合うには……まず周囲からの“信頼”が必要だと思うのだけれど?」

 

 

そう返したのは、Dクラスの鈴音だった。

 

言葉に棘はないが、慎重な姿勢が伺える。

 

 

「おぉ、いいねぇ。信頼だとよ。で?誰が優待者か、名乗り出るか?」

 

 

龍園が肘をテーブルにつきながら、不敵に笑った。

 

 

「名乗り出ろとは言いません。ただ、今日の段階で“情報共有の姿勢”が見られないのであれば、次の段階では考えを変えざるを得ません」

 

 

有栖が、柔らかくも一切の妥協を許さぬ調子で言い切った。

 

 

(“次の段階”……つまり、裏切りと告発も視野に入れてるってわけか)

 

 

すると、同クラスの葛城がその言葉に続くように言った。

 

 

「情報共有を拒むということは、信頼関係を放棄するという意思表示とも取れる。……違うか?」

 

 

金田がやや緊張気味に二人に視線を移す。

 

 

「坂柳氏や葛城氏が言う事も分かりますが……しかし、まだ情報が少ない現状では、誰が優待者かなんて判断出来かねると思いますが……」

 

 

「確かにそうだな。だが、()()()()()、今日のところは“名乗り出ること”が目的ではなく、“姿勢を示すこと”が大事なんじゃないか?」

 

 

橋本がニヤリと笑いながら言うと、ひよりが小さく頷いた。

 

 

「情報を出し合えないグループは、結局“裏切り者”にやられるだけ……そういうことですね?」

 

 

ひよりの言葉に一同は息を呑む。

 

その時、清麿は不意に、隣にいる鈴音と視線が合う。

 

両者が見合っていた時間は一秒とも満たない僅かな時間であったが、清麿は鈴音の視線の意図を理解した。

 

 

(情報の共有……)

 

 

DクラスはAクラスと同盟を結んでいる。

 

どうやらこの試験を乗り切るのに、彼女はAクラスの力が必要だと感じたようだ。

 

さらに、清麿は沈黙する他の面々の様子を冷静に観察していた。

 

 

(葛城は今のところ、有栖の補佐的立ち位置。橋本は飄々としつつも、しっかりと周りの反応をみている。アルベルトはだんまり。金田は戸惑いながらも情報収集をしつつ、ひよりは視線の動きから周りをつぶさに観察している。平田と櫛田も表情は自然だが、様子を見ている……か)

 

 

「清麿君……どうする?」

 

 

帆波が小声で囁く。

 

 

「今は、動くべきじゃない。……“あえて泳がせる”。ここで釣れる魚は、もう少し大きくなってからだ」

 

 

(龍園の態度も気になる。あいつが素直に“全体協力”を呑むとは思えない。だが、今のところ特に噛みついてくる様子は見せていない。となれば……やはり裏がある。今はまだ動かない。今は“見極め”の時だ)

 

 

清麿は、あくまで中立を保つ表情で円卓に身を置きながら、全体の流れと“次の一手”を見据えていた。

 

結局、その日、第一回のディスカッションは、名乗り出る者なく終了した。

 

だがその裏で、複数の者達がすでに次なる一手を準備し始めていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

第一回ディスカッション終了のアナウンスと共に、生徒達は静かに立ち上がり、部屋を後にしていく。

 

清麿は帆波達を先に行かせた後も、なぜか一人残っていた。

 

 

「……そろそろ来ると思ってたよ」

 

 

清麿がふと背後から気配を感じると、振り返った。

 

 

「……高嶺君、少し話があるの」

 

 

振り向くと、堀北鈴音が立っていた。

 

真っ直ぐな目で、遠慮のない声だった。

 

 

「構わない。……そのために残っていたからな」

 

 

清麿の向かい側に鈴音が座ると、二人は話し始める。

 

 

「率直に聞くわ。……あなた、何か気付いていることがあるんじゃない?」

 

 

清麿は軽く目を伏せ、肩をすくめた。

 

 

「気付いたというより……()()()()()()()()()()だがな」

 

 

そう言って、清麿はポケットから小さなメモ帳を取り出し、ページを一つめくった。

 

そこには干支の順番が並び、その隣に各グループの優待者らしき名前が書かれていた。

 

 

「この試験……“割り振り方”に何か意図がある気がしてね。たとえば、名字の順や、干支の順番と何か関連があるんじゃないかって思ったんだ」

 

 

「干支の順番と名字の順番……?」 

 

 

「現時点じゃ、確証はない。ただ、偶然にしては一致しすぎている箇所がある。……たとえば、うちのグループの優待者──『櫛田』も、辰の位置に当てはめると妙に整合性が取れてしまう」

 

 

鈴音は沈黙しながら、清麿の手帳に視線を落とした。

 

 

「これは……なるほど、仮にこれが正しいとするなら……」

 

 

「他クラスの優待者も推測できる可能性がある、ということだ。逆にこの仮説を誰かに渡せば、相手がどう動くかも見えてくる」

 

 

「つまり“餌”としても使える……と?」

 

 

清麿は頷いた。

 

 

「この情報をどう活用するか、それが鍵になる。今は、あくまで“気づいた者”として観察を続けたい」

 

 

鈴音は少しだけ目を細めた。

 

 

「……やっぱり、あなたは油断ならない人ね」

 

 

「どういう意味だ?」

 

 

「言葉通りよ。理屈だけじゃなく、実行力もある。……正直、少し驚いたわ」

 

 

清麿は苦笑した。

 

 

「買いかぶりすぎだ。オレはまだまだ半端者だよ」

 

 

「そうね。でも……だからこそ、私はあなたを超えてみせる」

 

 

そう言った鈴音の眼差しは、どこまでもまっすぐだった。

 

清麿はその言葉に少し目を見開き、そして柔らかく笑った。

 

 

「いい目だな。……期待してる」

 

 

彼らの視線が交錯したところで、次の戦いの幕はすでに上がっていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

夕刻・展望デッキにて、二人の男女の姿があった。

 

夕日を背に、有栖と龍園が並んでいた。

 

 

「……どうだった?Aクラスの出方は」

 

 

「予定通り……名乗り出る者はいません。清麿君もね」

 

 

「ククッ……やっぱりあいつは石橋を叩いて渡るタイプか」

 

 

龍園は手すりに肘をつきながら、不敵に笑う。

 

 

「で、お前の描いてる“青写真”はどうなってるんだ?」

 

 

有栖はカップを口元に運びながら、視線を海に落とした。

 

 

「焦る必要はありません。今回の試験の本質は“情報の価値”と“信頼の崩壊”。その両方が壊れ始めるタイミングを見極めるだけです」

 

 

「なるほどな。爆弾の導火線は俺が引き……お前は火花が走る方向を操作するってか」

 

 

「BとCが同調すれば、AとDの絆など脆いものです。ああ……Dクラスに“綻び”を入れるのもちゃんと忘れずにお願いしますよ?」

 

 

「例の“爆弾”……まだ爆発させるなって合図か?」

 

 

「ええ。櫛田さんは今が一番美しい位置にいます。だからこそ、崩す価値がある」

 

 

「……ククッ。随分とエグい趣味してやがる」

 

 

「ふふ、あなたほどではありませんよ、龍園君。あなたの“予測不能さ”には、私の計算も揺さぶられてしまいますから」

 

 

龍園は目を細める。

 

 

「へぇ、それは光栄なこった。坂柳、俺もお前が計算通りに動いてくれるとは思ってねぇよ。だが、お互いに得があるうちは“協力”も悪くねぇ」

 

 

「ええ。あなたを利用しているのは私だけじゃない。あなたも私を“使ってる”のでしょう?」

 

 

「当然だ。お前と組んだ方が、Aを引きずり下ろすには手っ取り早いからな」

 

 

「なら……お互いが“裏切るタイミング”を見失わないようにしましょう」

 

 

夕暮れの下、二人の影が静かに、しかしどこまでも黒く重なっていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

部屋に戻った櫛田は、スマホをベッドに放り投げ、深く息をついた。

 

 

「……マジ、どうしよっかなあ」

 

 

誰もいない空間で、彼女はようやく“素”の声を吐き出す。

 

 

──私は、優待者だ。

 

 

メールが届いた瞬間、鼓動が跳ね上がった。

 

だが顔には出さなかった。

 

それが「櫛田桔梗」の仮面だ。

 

 

(高嶺君……絶対、気付いてる。あの目、私を見透かすようだった)

 

 

結果1を目指すなんて、ただの建前だ。

 

今、自分は“爆弾”の上に座っている。

 

告発されれば、すべて終わりだ。

 

 

「けどさ……こっちだって、黙ってやられる気なんてないからね」

 

 

彼女はスマホを手に取り、送信履歴を確認した。

 

 

──宛先:Bクラス代表・坂柳有栖、Cクラス代表・龍園翔。

 

 

「勝つのは……私の方よ」

 

 

仮面の裏で、櫛田は静かに牙を研いでいた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

椎名ひよりは、Cクラスの共有ノートにメモを残しながらも、頭の中であの会議を反芻していた。

 

 

(有栖ちゃんと龍園くん、あの二人……やっぱり、通じていますね)

 

 

直接的な証拠はない。

 

ただ、有栖の妙にスムーズな議事進行。

 

そして、龍園の無意味な挑発を止めなかったこと。

 

 

(あの場にいたみんなが、何かを“隠している”)

 

 

ひよりは怖かった。

 

情報戦に置いていかれることが。

 

 

(でも……誰かが疑わなきゃ、全員やられる)

 

 

彼女はタブレットに、思いついた仮説を小さく記した。

 

 

──「優待者には、ある“法則”があるのでは?」

 

 

翌日のディスカッションで、この仮説を口にするか、しないか。

 

椎名ひよりは一人、迷いの淵にいた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

シャワーを浴びた後、髪を拭きながらBクラス共有チャットを確認していた橋本は、眉をひそめた。

 

 

「へぇ……またお姫様のお言葉か」

 

 

清麿の名前は出ていない。

 

が、その背中にある“沈黙”に、彼は少なからず警戒を抱いていた。

 

 

(お姫様の読みは完璧かもしれねぇ。けど、盤面を読みすぎる奴ってのは、意外と脆い)

 

 

Aクラスの全体を見極めようとする姿勢。

 

Cクラスの反応の薄さ。

 

櫛田の仮面の下の“動かなさ”。

 

全部が静かに、けれど確実に「何かを孕んで」動いていた。

 

 

「俺は……次の“傾き”がどっちか見てから動くとするか」

 

 

タオルを肩に掛けたまま、橋本は部屋を出て行った。

 

第二回ディスカッションにて、それぞれの思惑と狙いが交錯する。




ミーティングって一日二回でしたね。

では、またく(`・ω・´)
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