続き書けたで候。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
展開思いつかなくてずっと考えてたら、いつの間にか年越してた。
申し訳ありませぬ。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
二回目のディスカッションが始まっても、誰もすぐには口を開かなかった。
前回より静かで、前回より重い沈黙。
「では……始めましょうか」
そんななか有栖が、穏やかな声で切り出した。
「前回は“協力の姿勢”について話しました。今回はなぜ誰も名乗り出なかったのか、そこを整理したいと思います」
「簡単だろ」
龍園が肩をすくめる。
「名乗った瞬間、自分が“狙われる側”になるからだ」
「……それだけかしら?」
鈴音が即座に返す。
「名乗らない理由は他にもある。“確証がない”――それも理由の一つよ」
「確証、ねぇ」
龍園は鼻で笑う。
「じゃあ聞くが、何人かはもう、確証に近いものを持ってんじゃねぇのか?」
空気が、わずかに揺れた。
清麿は、その揺れを見逃さない。
視線の動き。
指先の強張り。
呼吸の乱れ。
(……いる。複数だ)
「……一つ、提案があります」
静かに声を上げたのは、椎名ひよりだった。
「もし、ですけど。この試験に“法則”があるとしたら……どうでしょう?」
一斉に、視線がひよりへ集まる。
「法則?」
平田が首を傾げる。
「ええ。優待者が“完全なランダム”で選ばれているなら、ここまで疑心暗鬼にはならないはずです」
有栖の口角が、ほんの僅かに上がった。
「続けてください」
「はい……」
ひよりは一度、深呼吸をした。
「干支という括り。グループ分けの偏り。そして“厳正なる調整”という文言……」
「なるほどな」
橋本が相槌を打つ。
「つまり、気付く奴には気付くように作られてるってことか」
「……可能性の話です」
ひよりは慎重に言葉を選ぶ。
「でも、もし本当に法則があるなら――“もう誰かは気づいている”はずです」
沈黙。
(……やはりか)
清麿は確信する。
ひよりの「法則」という言葉が落ちてから、場の空気は確実に変質していた。
誰も声を荒げない。
誰も明確な主張をしない。
――だが、全員が“誰かの嘘”を探している。
(この沈黙は、思考音だ)
清麿は、円卓の上を流れる視線の動きを追う。
有栖は笑っているが、視線は一度も同じ場所に留まらない。
龍園は身体を崩しながら、“誰が先に焦るか”を待っている。
櫛田は相変わらず柔らかい表情だが、呼吸が、ほんのわずかに浅い。
(……櫛田)
清麿は、心の中でだけ名を呼ぶ。
(お前は、今この場で……一番動けない)
焦っている。
そう読み取る事が出来た。
「一つ、確認してもいいでしょうか?」
有栖が、何気ない調子で口を開いた。
「もし法則があるとして……それを“一人だけが知っている”状況と、“複数人が気づいている”状況。どちらが、より危険だと思います?」
誰もすぐに答えない。
「……複数人、でしょうね」
しばらくして、金田が答えた。
「知ってる者が増えれば増えるほど……その誰かが踏み切る確率は上がります」
「そうですね」
有栖は満足そうに頷く。
「
言外に含まれた意味に、全員一瞬だけ反応する。
(……揺さぶりが、上手すぎる)
清麿は思う。
有栖は答えを聞いていない。
全員の……その“反応”を見ている。
「坂柳」
龍園が口を挟む。
「質問が回りくどすぎるんだよ。要するにテメェはこう言いてぇんだろ?」
龍園は机に指を叩きつける。
「法則に気付いている奴は、もうこの中に複数いる――そう思ってるんじゃねぇのか?」
一瞬。
櫛田の視線が、僅かに下を向く。
清麿は悟る。
(櫛田は、“自分が見られている”と自覚した)
「……仮に、だ」
清麿が口を開く。
「仮に複数人が気付ているとしても、それだけで即、行動に移す理由にはならない」
有栖の目が、細くなる。
「それは……なぜ?」
「踏み切る側は、“失敗の責任”を一人で背負うことになるからだ」
「フフフ……」
有栖は微笑む。
「では清麿君。あなたは、責任を背負う覚悟がない……と?」
その問いは、告発を促す問いだった。
清麿は、ほんの一拍だけ黙る。
(……ここだ)
ここで否定すれば、“踏まない人間”として見られ、肯定すれば、“知っている人間”としても狙われる。
清麿は、第三の答えを選んだ。
「覚悟がないわけじゃない」
全員の意識が集中する。
「だが、今背負う責任は、とてもじゃないが、最善じゃない」
龍園が嗤った。
「ハッ!……テメェのそれはただの逃げだぜ、高嶺」
「違う」
清麿は即答する。
「踏み切る覚悟がある奴ほど、“踏み切るべき瞬間”は選ぶんだ」
「……なるほど」
有栖が、ゆっくりと息を吐く。
「清麿君。つまり、貴方は“今日は違う”と言いたいのですね」
清麿は頷いた。
「ああ。今日は、“誰が踏み切れる人間か”を見る日でもある」
清麿が有栖をジッと見ると、有栖は静かに笑う。
「フフフ……そんなに見つめられては照れてしまいますね」
すると、有栖は周りの皆に静かに問うた。
「では質問を変えましょう。法則があるとしたら……」
有栖は微笑んだまま、言った。
「“一番最初に気付く人間”は、この中で、誰だと思いますか?」
「「「「っ!?」」」」
有栖の言葉に、清麿以外のAクラスの面々が
その問いは、刃だった。
皆の視線は、
龍園がニヤついた。
「ほう?つまり、
「ただの仮説よ」
直後、鈴音が言い切る。
「確証がない以上、ここで賭けに出る理由はないわ」
「賭けに出なきゃ、勝ちは転がってこねぇぞ鈴音」
龍園の声が僅かに低くなる。
「この試験はな、待った奴から負ける」
「……だからと言って、無謀に踏み出す必要もないわ」
鈴音は静かに言う。
「今日は、判断材料を揃える回。そう割り切るべきよ」
有栖は、そのやり取りを満足そうに眺めていた。
「ええ。今日は“踏み切る日”ではありませんね」
その言葉に、櫛田の肩から力が抜ける。
(……まだ、来ない)
だが同時に――
(……でも、次は来る)
全員が、同じことを思っていた。
『第二回ディスカッション終了まで、残り三分です』
アナウンスが流れる。
誰も、告発しない。
誰も、名乗らない。
だが――もう誰も、“何も知らない”とは言えなかった。
その瞬間、櫛田が、わずかに声を上げる。
「……ねぇ」
全員が、櫛田を見る。
「もし……誰かが間違った告発をしたら、どうなるんだっけ?」
その問いは、あまりにも自然に行われた。
「結果4が適用されるでしょうね」
有栖が即答する。
「告発者のクラスが50ポイント失い、優待者とそのクラスが得をします」
「……ふぅん。じゃあ、間違えちゃったら……地獄だね♪」
櫛田は、軽く笑った。
しばらくして、第二回ディスカッション終了の放送がされた。
あと数話で干支試験編おわりやす。
さっさと次の展開いきたいー!!
では、またく(`・ω・´)