高嶺清麿の実力至上主義の教室   作:Gussan0

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どうもΣ(゚Д゚)

続き書けたで候。

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

展開思いつかなくてずっと考えてたら、いつの間にか年越してた。

申し訳ありませぬ。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第六十五話 第二回グループディスカッション

二回目のディスカッションが始まっても、誰もすぐには口を開かなかった。

 

前回より静かで、前回より重い沈黙。

 

 

「では……始めましょうか」

 

 

そんななか有栖が、穏やかな声で切り出した。

 

 

「前回は“協力の姿勢”について話しました。今回はなぜ誰も名乗り出なかったのか、そこを整理したいと思います」

 

 

「簡単だろ」

 

 

龍園が肩をすくめる。

 

 

「名乗った瞬間、自分が“狙われる側”になるからだ」

 

 

「……それだけかしら?」

 

 

鈴音が即座に返す。

 

 

「名乗らない理由は他にもある。“確証がない”――それも理由の一つよ」

 

 

「確証、ねぇ」

 

 

龍園は鼻で笑う。

 

 

「じゃあ聞くが、何人かはもう、確証に近いものを持ってんじゃねぇのか?」

 

 

空気が、わずかに揺れた。

 

清麿は、その揺れを見逃さない。

 

視線の動き。

 

指先の強張り。

 

呼吸の乱れ。

 

 

(……いる。複数だ)

 

 

「……一つ、提案があります」

 

 

静かに声を上げたのは、椎名ひよりだった。

 

 

「もし、ですけど。この試験に“法則”があるとしたら……どうでしょう?」

 

 

一斉に、視線がひよりへ集まる。

 

 

「法則?」

 

 

平田が首を傾げる。

 

 

「ええ。優待者が“完全なランダム”で選ばれているなら、ここまで疑心暗鬼にはならないはずです」

 

 

有栖の口角が、ほんの僅かに上がった。

 

 

「続けてください」

 

 

「はい……」

 

 

ひよりは一度、深呼吸をした。

 

 

「干支という括り。グループ分けの偏り。そして“厳正なる調整”という文言……」

 

 

「なるほどな」

 

 

橋本が相槌を打つ。

 

 

「つまり、気付く奴には気付くように作られてるってことか」

 

 

「……可能性の話です」

 

 

ひよりは慎重に言葉を選ぶ。

 

 

「でも、もし本当に法則があるなら――“もう誰かは気づいている”はずです」

 

 

沈黙。

 

 

(……やはりか)

 

 

清麿は確信する。

 

ひよりの「法則」という言葉が落ちてから、場の空気は確実に変質していた。

 

誰も声を荒げない。

 

誰も明確な主張をしない。

 

――だが、全員が“誰かの嘘”を探している。

 

 

(この沈黙は、思考音だ)

 

 

清麿は、円卓の上を流れる視線の動きを追う。

 

有栖は笑っているが、視線は一度も同じ場所に留まらない。

 

龍園は身体を崩しながら、“誰が先に焦るか”を待っている。

 

櫛田は相変わらず柔らかい表情だが、呼吸が、ほんのわずかに浅い。

 

 

(……櫛田)

 

 

清麿は、心の中でだけ名を呼ぶ。

 

 

(お前は、今この場で……一番動けない)

 

 

焦っている。

 

そう読み取る事が出来た。

 

 

「一つ、確認してもいいでしょうか?」

 

 

有栖が、何気ない調子で口を開いた。

 

 

「もし法則があるとして……それを“一人だけが知っている”状況と、“複数人が気づいている”状況。どちらが、より危険だと思います?」

 

 

誰もすぐに答えない。

 

 

「……複数人、でしょうね」

 

 

しばらくして、金田が答えた。

 

 

「知ってる者が増えれば増えるほど……その誰かが踏み切る確率は上がります」

 

 

「そうですね」

 

 

有栖は満足そうに頷く。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

言外に含まれた意味に、全員一瞬だけ反応する。

 

 

(……揺さぶりが、上手すぎる)

 

 

清麿は思う。

 

有栖は答えを聞いていない。

 

全員の……その“反応”を見ている。

 

 

「坂柳」

 

 

龍園が口を挟む。

 

 

「質問が回りくどすぎるんだよ。要するにテメェはこう言いてぇんだろ?」

 

 

龍園は机に指を叩きつける。

 

 

「法則に気付いている奴は、もうこの中に複数いる――そう思ってるんじゃねぇのか?」

 

 

一瞬。

 

櫛田の視線が、僅かに下を向く。

 

清麿は悟る。

 

 

(櫛田は、“自分が見られている”と自覚した)

 

 

「……仮に、だ」

 

 

清麿が口を開く。

 

 

「仮に複数人が気付ているとしても、それだけで即、行動に移す理由にはならない」

 

 

有栖の目が、細くなる。

 

 

「それは……なぜ?」

 

 

「踏み切る側は、“失敗の責任”を一人で背負うことになるからだ」

 

 

「フフフ……」

 

 

有栖は微笑む。

 

 

「では清麿君。あなたは、責任を背負う覚悟がない……と?」

 

 

その問いは、告発を促す問いだった。

 

清麿は、ほんの一拍だけ黙る。

 

 

(……ここだ)

 

 

ここで否定すれば、“踏まない人間”として見られ、肯定すれば、“知っている人間”としても狙われる。

 

清麿は、第三の答えを選んだ。

 

 

「覚悟がないわけじゃない」 

 

 

全員の意識が集中する。

 

 

「だが、今背負う責任は、とてもじゃないが、最善じゃない」

 

 

龍園が嗤った。

 

 

「ハッ!……テメェのそれはただの逃げだぜ、高嶺」

 

 

「違う」

 

 

清麿は即答する。

 

 

「踏み切る覚悟がある奴ほど、“踏み切るべき瞬間”は選ぶんだ」

 

 

「……なるほど」

 

 

有栖が、ゆっくりと息を吐く。

 

 

「清麿君。つまり、貴方は“今日は違う”と言いたいのですね」

 

 

清麿は頷いた。

 

 

「ああ。今日は、“誰が踏み切れる人間か”を見る日でもある」

 

 

清麿が有栖をジッと見ると、有栖は静かに笑う。

 

 

「フフフ……そんなに見つめられては照れてしまいますね」

 

 

すると、有栖は周りの皆に静かに問うた。

 

 

「では質問を変えましょう。法則があるとしたら……」

 

 

有栖は微笑んだまま、言った。

 

 

 

 

 

 

「“一番最初に気付く人間”は、この中で、誰だと思いますか?」

 

 

 

 

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

有栖の言葉に、清麿以外のAクラスの面々が()()()()

 

()()()()()()()()

 

その問いは、刃だった。

 

皆の視線は、()()()()()()麿()()()()()()()()()

 

龍園がニヤついた。

 

 

「ほう?つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……ってことだよなぁ?」

 

 

「ただの仮説よ」

 

 

直後、鈴音が言い切る。

 

 

「確証がない以上、ここで賭けに出る理由はないわ」

 

 

「賭けに出なきゃ、勝ちは転がってこねぇぞ鈴音」

 

 

龍園の声が僅かに低くなる。

 

 

「この試験はな、待った奴から負ける」

 

 

「……だからと言って、無謀に踏み出す必要もないわ」

 

 

鈴音は静かに言う。

 

 

「今日は、判断材料を揃える回。そう割り切るべきよ」

 

 

有栖は、そのやり取りを満足そうに眺めていた。

 

 

「ええ。今日は“踏み切る日”ではありませんね」

 

 

その言葉に、櫛田の肩から力が抜ける。

 

 

(……まだ、来ない) 

 

 

だが同時に――

 

 

(……でも、次は来る)

 

 

全員が、同じことを思っていた。

 

 

『第二回ディスカッション終了まで、残り三分です』

 

 

アナウンスが流れる。

 

誰も、告発しない。

 

誰も、名乗らない。

 

だが――もう誰も、“何も知らない”とは言えなかった。

 

その瞬間、櫛田が、わずかに声を上げる。

 

 

「……ねぇ」

 

 

全員が、櫛田を見る。

 

 

「もし……誰かが間違った告発をしたら、どうなるんだっけ?」

 

 

その問いは、あまりにも自然に行われた。

 

 

「結果4が適用されるでしょうね」

 

 

有栖が即答する。

 

 

「告発者のクラスが50ポイント失い、優待者とそのクラスが得をします」

 

 

「……ふぅん。じゃあ、間違えちゃったら……地獄だね♪」

 

 

櫛田は、軽く笑った。

 

しばらくして、第二回ディスカッション終了の放送がされた。




あと数話で干支試験編おわりやす。

さっさと次の展開いきたいー!!

では、またく(`・ω・´)
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