高嶺清麿の実力至上主義の教室   作:Gussan0

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どうもΣ(゚Д゚)

続き書けたで候。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第六十九話 試験の結果

竜グループが終了した後、残る二つのグループも、その夜のうちに試験を終えた。

 

どちらも、優待者はBかCの生徒。

 

Aクラスから回答した者はいない。

 

Dクラス側でも、鈴音と平田が確認した範囲では、回答した生徒は見つからなかった。

 

翌朝、清麿は集まった報告をメモ帳へ書き込んだ。

 

十二のグループ全てに、終了を示す線が引かれている。

 

「……全部、終わっちゃったね」

 

隣で帆波が呟く。

 

「ああ」

 

清麿はメモ帳を閉じた。

 

これから話し合いを重ねても、回答をやり直すことはできない。

 

学校からは、終了したグループについて、以後のディスカッションへ参加する必要はないと伝えられていた。

 

生徒達には、再び自由な時間が与えられる。

 

もっとも、試験の結果が気になり、落ち着かない者も少なくなかった。

 

清麿達も同じだった。

 

各グループで何が起きたのかを聞き取り、回答したという生徒の話を集める。

 

それでも、正解か不正解かを確かめられないところは残った。

 

最終的な収支は、学校の発表を待つしかない。

 

そして、指定された最終日の午後十一時。

 

Aクラスの面々は、船内のミーティングルームに集まっていた。

 

机の上に置かれた携帯が、一斉に震える。

 

清麿は届いたメールを開いた。

 

各グループの結果と、クラス単位のクラスポイントの増減。

 

画面を下へ送っていく指が、最後の項目で止まった。

 

Aクラス、マイナス百。

 

Bクラス、プラス五十。

 

Cクラス、プラス五十。

 

Dクラス、増減なし。

 

清麿は、しばらくその数字を見つめていた。

 

◆◆◆

 

「……Dクラスは、増えてないのか?」

 

柴田が顔を上げた。

 

「俺達の優待者は、全部Dが当てたんだよな?」

 

「ああ」

 

清麿は頷くと、白板の前へ立った。

 

「DはAから百五十ポイント得た。その後、Dの優待者三人が全員見抜かれたことで、同じだけ失っている」

 

白板へ、各クラスの増減を書き込む。

 

「Dの優待者を回答したのは、A、B、Cが一人ずつだ。オレ達は五十を取り戻したが、残る百をBCが得た」

 

「じゃあ、Aが失った分が、そのままBとCに……」

 

「最終的な収支は、そうなる」

 

柴田は携帯へ目を落とした。

 

他の生徒達も、黙って画面を見ている。

 

無人島試験では、大きく得点できた。

 

それだけに、今回の失点を前に、何を言えばいいのか迷っているようだった。

 

「BとCが、お互いの優待者を答えたって話は?」

 

別府が尋ねた。

 

清麿は、学校から発表されたグループ別の結果を白板へ書いた。

 

BCの優待者がいた六つのグループは、全て結果4で終了している。

 

「正解ではなく、互いに誤回答していた」

 

「……わざと間違えたってことか?」

 

「ああ。Bの優待者がいる三つのグループではCが間違え、Cの優待者がいる三つではBが間違えた。互いに百五十を得て、百五十を失うから、そこでは増減しない」

 

「そんなことして、意味あるのか?」

 

清麿は頷いた。

 

「グループが終了する。オレ達が優待者の名前を知っていても、もう回答できない」

 

別府は白板を見つめる。

 

清麿が全グループの優待者を見つけたことは、クラスの面々も聞いていた。

 

だからこそ、答えが分かっていながら負けたという事実を、すぐには飲み込めないのだろう。

 

「……高嶺。それなら、俺達も先に回答してればよかったんじゃないか?」

 

別府の問いに、清麿は顔を上げた。

 

責めるような声ではなかった。

 

ただ、本当に分からないのだ。

 

清麿は、その疑問を避けなかった。

 

「その通りだ。法則を見つけた時点でBCの優待者を回答していれば、今回、得点することはできたと思う」

 

部屋の中が静まる。

 

「だが、オレは他クラスから一気にポイントを取ることで、今後、Aを倒すために三つのクラスが協力することを警戒した。それで、相手の出方を見ることを選んだ」

 

清麿は白板へ視線を戻した。

 

「BCが協力している可能性も考えていた。なのに、相手がいつ回答できる状態になるか、どのグループから終わらせるかまでは、十分に確かめられていなかった」

 

法則を知っている。

 

相手の狙いも、ある程度は分かっている。

 

それでも、実際に生徒を動かす準備では、向こうが先を行っていた。

 

「動きを見てから方針を変えた時には、既に回答が始まっていた。……そこは、オレの判断が遅かった」

 

清麿が言うと、神崎が椅子から立ち上がった。

 

「高嶺。一人で決めたように話すな」

 

清麿が振り返る。

 

「様子を見る方針には、俺も賛成した。Dへ優待者を教える案も、皆で相談して決めたことだ」

 

「……そうだね」

 

帆波も顔を上げた。

 

「清麿君が相談してくれた時、私達にも意見を言う時間はあった。負けた時だけ、清麿君一人の判断にするのは違うと思う」

 

「僕達も、他のグループの情報を集める役目でしたから」

 

浜口が携帯を机へ置く。

 

「グループが終わった後の報告だけでなく、その前に誰が誰へ接触しているかを、もっと聞いておくべきでした」

 

清麿は三人の顔を順に見た。

 

そこで、後方から声が上がる。

 

「つーか、最初に様子見を言い出したの、私なんだけど」

 

姫野だった。

 

腕を組み、少し不機嫌そうにこちらを見ている。

 

「あんたが全部悪いってことにされたら、私、何も言わずに乗っかったみたいじゃない」

 

「姫野……」

 

「別に、あの時の意見が全部間違ってたとも思ってないわよ。でも、待つならいつまで待つかくらいは決めるべきだったんじゃない?」

 

清麿は、少し考えてから頷いた。

 

「……ああ。次は、そこまで決めよう」

 

判断を待つ条件。

 

待つ間に集める情報。

 

誰かが回答を始めた時の対応。

 

そこまで共有していれば、違った動き方ができたかもしれない。

 

清麿は白板へ向き直った。

 

「AからDへ渡す案についても、説明しておく」

 

三つのグループ名の横へ、Dの文字を書く。

 

「この百五十がBCに取られていたら、相手の得点はさらに増えていた。だから、Dに渡したこと自体を間違いだったとは考えていない」

 

「でも、それだけじゃ足りなかった」

 

神崎の言葉に、清麿は頷いた。

 

「ああ。守れたところはある。だが、今回の試験ではBCに負けた」

 

清麿は、皆へ向き直る。

 

「この結果は、ちゃんと受け止めよう。次の試験で、同じように後手へ回らないために」

 

◆◆◆

 

Aクラスの集まりが終わった後、清麿はラウンジへ向かった。

 

鈴音と平田が、窓際の席で待っていた。

 

「……結果は確認したわ」

 

鈴音が、清麿の座る椅子を示す。

 

「こちらも、さっきクラスで説明した」

 

清麿が腰を下ろすと、平田が口を開いた。

 

「Dクラスでも、色々な意見が出たよ。百五十増えると思っていた人もいたから……」

 

「そうだろうな」

 

「でも、Aクラスから得点できなければ、僕達は百五十失っていた。そこは、きちんと説明した」

 

鈴音は、机の上の携帯へ指を添える。

 

「増減なしだから何もなかった、とは言えないわ。あなた達の失点で、私達の損失が埋まっている」

 

「それは、こちらから提案したことだ。返せとは言わんよ」

 

「……分かっているわ」

 

鈴音は少しだけ眉を寄せた。

 

「ただ、こちらも、自分達の優待者についてもっと早く共有するべきだった」

 

清麿は頷く。

 

「次に同盟で動く時は、回答する権限と、緊急時の連絡先まで決めておこう。オレやお前を通さないと何もできない状態では、また遅れる」

 

「そうね」

 

鈴音が応じる。

 

平田も、その提案を携帯へ書き留めた。

 

話が途切れたところで、鈴音が顔を上げる。

 

「それで……櫛田さんの件は?」

 

清麿は一度、窓の外へ視線を向けた。

 

暗い海には、船内の明かりが僅かに映っている。

 

「橋本が正解したことは、結果とも一致している。あいつ自身も認めている」

 

「櫛田さんが、情報を渡したと思う?」

 

「疑っている」

 

清麿は、はっきり答えた。

 

「だが、法則を知っていれば、櫛田が優待者だと分かる。橋本が回答したことだけでは、取り引きの証拠にはならない」

 

「……そうね」

 

「今夜中にAが回答するという予定を伝えた直後、櫛田が電話に出た。その後、橋本が回答した。そこは気になる」

 

平田は黙って聞いていた。

 

やがて、慎重に口を開く。

 

「僕からも、櫛田さんと話してみる。ただ、決めつけて問い詰めることはしない」

 

「ああ。それでいい」

 

清麿は頷いた。

 

「報告しづらいことがあったなら、聞けるようにはしておきたい。でも、クラスの情報を他へ流していたなら、そのままにもできないからね」

 

平田の声は穏やかだった。

 

それでも、いつものように誰かを庇って終わらせようとしているわけではない。

 

清麿は、その顔を見て小さく頷いた。

 

鈴音も、すぐには言葉を挟まなかった。

 

◆◆◆

 

櫛田は、自室のベッドへ腰を下ろしていた。

 

学校から届いた試験結果のメールを閉じる。

 

竜グループ、結果3。

 

Dクラスの失点は、五十。

 

優待者である自分には、学校からの報酬は入らない。

 

その時、携帯へ別の通知が届いた。

 

プライベートポイントの移動。

 

二十五万。

 

続いて、橋本からメッセージが届く。

 

『約束の半分。確認よろしく』

 

櫛田は残高を確かめた。

 

坂柳と龍園から受け取った前金。

 

そして、今回の二十五万。

 

取り引きで得たポイントは、確かに自分の手元へ残っている。

 

『確認した』

 

そう返信して、携帯を伏せる。

 

「……払うところは、ちゃんと払うんだ」

 

独り言が、誰もいない部屋へ落ちた。

 

清麿の視線を思い出す。

 

橋本から連絡が来た後、彼は一度だけこちらを見た。

 

鈴音も、電話の相手を気にしていた。

 

今のところ、二人に契約の内容まで知られてはいない。

 

だが、今回と同じように動けば、次も見逃してもらえるとは思えなかった。

 

再び携帯が震える。

 

今度は、平田からだった。

 

『明日、少し話せるかな。今回の試験のことで、相談したい』

 

櫛田は文章を読み、しばらく画面を見つめた。

 

やがて、いつもと変わらない返事を打ち込む。

 

『うん。大丈夫だよ。何時にする?』

 

◆◆◆

 

「五十ずつか。派手な勝ち方じゃねぇな」

 

龍園が言うと、有栖はカップを置いた。

 

「清麿君が途中で動きましたからね。Dクラスの優待者を一人、Aに取られた分です」

 

「俺達が全部取れてりゃ、もう少し差を詰められたんだがな」

 

龍園が携帯の画面を閉じる。

 

BとCは、それぞれ五十得点した。

 

Aは百失った。

 

Aとのポイント差は、どちらも百五十縮まっている。

 

「十分な結果でしょう」

 

有栖は穏やかに言った。

 

「今回は、こちらの準備が先に整いました。それに、Aクラスの方針を見抜いた橋本君の報告も役立ちました」

 

「そりゃどうも」

 

橋本は肩をすくめた。

 

「けど、次も同じように待ってくれるとは思わねぇ方がいいぜ」

 

「ええ。分かっています」

 

「ククッ……なら、次は違うやり方で来てもらうだけだ」

 

龍園が椅子から立ち上がる。

 

「取り決めた分は終わった。今後のことは、また考えるとするか」

 

「そうですね」

 

有栖も頷いた。

 

龍園が去った後、橋本は携帯を取り出す。

 

櫛田へ送ったポイントは、既に確認されていた。

 

もう一つの連絡先を開く。

 

高嶺清麿。

 

自分から送ろうとしたところで、その相手からメッセージが届いた。

 

『明日、昼飯でもどうだ。試験の話を聞きたい』

 

橋本は、少し笑った。

 

『そっちの奢りなら』

 

返事は、すぐに来た。

 

『自分の分くらい払え。五十万入っただろ。というか全部無料だろうが』

 

「確かに……まあ、半分はもうねぇんだけどな」

 

橋本は小さく呟いてから、待ち合わせの時間を送った。




また投稿します。

では、また∠( ゚д゚)
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