高嶺清麿の実力至上主義の教室   作:Gussan0

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どうも|д゚)チラッ

続き書けたで候。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第七話 いざ、職員室へ

清麿の朝は早い。

 

日が昇る朝五時半ごろに目を覚ますと、眠い目をこすりながら顔を洗う。

 

そして青いジャージを羽織ると、ランニングをするために外へと出る。

 

 

「うぅ……まだ冷えるな……」

 

 

四月の朝はまだ気温が低いため、はきだす息も白くなる。

 

清麿は地理を把握するために、とりあえず寮の周りを軽く歩くことにした。

 

身体を鍛えるトレーニングは中学三年の頃から始めている。

 

その頃はクリアとの戦いに備えていたこともあって、今の清麿の身体能力は、ずば抜けて高い。

 

ストレッチを軽めに行った後、ゆっくりと寮の周りの道を歩く。

 

しばらく歩くと、大きな公園が見えてくる。

 

公園の周りは道幅が大きく、走るには持ってこいの場所であった。

 

 

「ふむ。ここら辺でいいか」

 

 

清麿は軽くストレッチをすると、公園の周りを走り始める。

 

時間をかけて一周すると、約十五分程経っていた。

 

 

「だいたい3Kmってとこか」

 

 

そしてまた走り出そうとすると、ある声が聞こえてきた。

 

 

「あれ?清麿君?」

 

 

「ん?この声は……帆波か?」

 

 

清麿が後ろを見ると、ピンク色のジャージを着た帆波の姿があった。

 

帆波は清麿の姿を確認すると、嬉しそうに近寄ってくる。

 

 

「おはよう、清麿君!」

 

 

「おはよう、帆波」

 

 

帆波は機嫌が良いのか、元気よく挨拶する。

 

ニコニコと眩しい笑顔をしており、いかにも私嬉しいですオーラを全身から醸し出していた。

 

清麿は話を切り出す。

 

 

「帆波もランニングか?」

 

 

「うん。私、中学生のとき陸上部だったんだけど、良い機会だから高校入学を機に、身体を鍛え直そうと思って」

 

 

「そうなのか。じゃあ、良かったら一緒に走るか?」

 

 

「あ、うん!」

 

 

清麿と帆波は、まずはゆっくり歩きながら話す。

 

 

「今日から本格的に授業が始まるな」

 

 

「そうだねぇ。でもこの学校は普通じゃないから、授業ちゃんとついていけるか、ちょっと心配かも」

 

 

「帆波なら大丈夫そうな気がするけどな」

 

 

清麿は帆波と会話しながら、昨夜のことについて考える。

 

 

(一応、帆波には昨日考えていたことを伝えておいた方がいいかもしれんな……)

 

 

清麿と帆波は、同じBクラスの生徒である。

 

つまりは、これから共に戦っていく仲間ということになる。

 

それに帆波は、Bクラスの中心人物となる可能性がある。

 

彼女とはできる限り、情報を共有しておく必要があるだろう。

 

 

「帆波、少し話しておきたいことがある」

 

 

「ほぇ?どうしたの?」

 

 

そして清麿は話す。

 

昨夜、導き出した答えを。

 

この学校で、いずれ行われるであろうAクラス争奪戦の可能性について。

 

この学校の実力至上主義の真実について話した。

 

 

「……という訳だ」

 

 

「クラスの変動に……Aクラス争奪戦……まさかこれからそんなことが行われるかもしれないなんて……」

 

 

話を聞いた帆波は唖然とする。

 

しかし少し考えると、納得したような表情をする。

 

 

「でも言われてみれば納得かも。こんな好待遇でなおかつ、全ての生徒の希望が叶えてもらえるなんて話……虫がよすぎるもんね……」

 

 

「ああ。オレの予想が正しければ、これからこの学校は、クラス変動を起こす何かしらのイベントを用意してくるはずだ」

 

 

「……普通に考えれば、テストに体育大会、文化祭……あとはオリエンテーリングに球技大会とか。修学旅行もあるかも」

 

 

「まあ、正直そこら辺はまだなんとも言えないな」

 

 

二人は軽く走り出す。

 

 

「だがこれで一つハッキリしたことがある」

 

 

「ハッキリしたこと?」

 

 

()()()()()()()()についてだ。昨日の話、覚えてるか?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って話してただろ?」

 

 

「あ、分かった!支給されるポイントってクラスの評価で決まるんだね!そう考えれば、教室にある監視カメラの理由も説明がつくよ!クラスの変動が起こる可能性があるってことは、私達のクラス全体の評価を見られてるってことだもんね!!」

 

 

「その通り。恐らく支給されるポイントは10万ポイントから徐々に減点されていくはずだ。それはつまり、()()()オレ達の普段の授業態度や素行などを見て判断するってことだ」

 

 

「ということは、Aクラスに近付くためにはその減点ポイントをどれだけなくせるかが勝負の鍵になってくるね」

 

 

「そうだな」

 

 

二人は徐々にスピードを上げていく。

 

 

「そしてこのAクラス争奪戦が本格的になってくるのは、恐らく五月からだ」

 

 

「あ、ポイントの支給日……」

 

 

「そう。だが勘の良い奴はもう動き出している。例えば……有栖とかな」

 

 

「有栖ちゃん?」

 

 

「実は……」

 

 

そして清麿は、昨日の有栖とのやり取りについて話す。

 

有栖がポイントを増やすために入学初日から既に動いていたこと、その過程で部活やサークルでポイントの賭博やギャンブルといった方法が行われていると知ったこと、学校側がそういったグレーなやり方を黙認していること、全てを話した。

 

 

「ポイントをかけた賭博……そんなものが認められているだなんて……」

 

 

「そう。それでオレはあることに合点がいった。帆波、昨日特別棟を見て回ったときのことは覚えてるか?」

 

 

「え、うん。確か()()()()()()()()()()()()()()だよね……って、ちょっと待って清麿君……それってもしかして……」

 

 

「ああ、そうだ。グレーなやり方が認められているんだ。学校側は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と考えるべきだ」

 

 

「そ、そんな……」

 

 

バレなければ問題にはならない……きっと、そういうことなんだと思う」

 

 

帆波は顔色を青くさせながら、清麿は表情を厳しくさせながら言う。

 

 

(()()()()()、情報漏洩防止のために三年間外部との連絡を禁止しているんだろう。こんなことが外部に漏れたら、それこそ責任問題に発展しかねん。だが、外ではそんな様子は一切見られない。だとすれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……ということなんだろうな)

 

 

清麿は隣を走る帆波に話しかける。

 

 

「だから帆波、オレ達は一刻も早くこの学校の実態を知らねばならん。この学校は普通じゃない。もしかしたら、他にもまだオレ達の知らない秘密があるかもしれん」

 

 

「そうだね……下手したらBクラスの皆が何かトラブルに巻き込まれる可能性だって、あるってことだもんね……」

 

 

帆波は沈痛な面持ちで話す。

 

心優しい彼女にとって、こういった話は辛いのだろう。

 

 

「しばらくオレは情報収集に務めようと思ってる。今日登校したら、さっそく星之宮先生の所に行くつもりだ」

 

 

「……先生に何か質問しに行くの?」

 

 

「ああ。いくつか確認しなければならないことがあるからな」

 

 

「それ、私もついてっていい?」

 

 

「別に構わんが……大丈夫なのか?」

 

 

清麿は少し辛そうな表情をする帆波を心配する。

 

 

「心配してくれてありがとう。でもこういったことは、早目に確認しておかなきゃいけないからね……」

 

 

「そうだな……」

 

 

清麿と帆波はしばらく無言になる。

 

 

「「…………」」

 

 

そんなとき、清麿がふと呟いた。

 

 

「帆波、少し走るぞ。考えてばかりじゃ、気が滅入る一方だ。だから全力疾走して、一旦頭の中をリセットするぞ」

 

 

「えっ?」

 

 

「ほら、走るぞ帆波!オレについてこい!!」

 

 

「えっ!?えっ!?い、いきなり!?ちょ、ちょっと待ってよ〜!?清麿く〜ん!?」

 

 

スピードを上げた清麿の後を必死についていく帆波。

 

清麿が振り返ると、帆波の表情は先程よりは、幾分か明るくなっていた。

 

走るのに必死になっているとも言えるが。

 

 

「ふっ」

 

 

その様子に思わず安心する清麿。

 

このとき清麿は、ある事を思い出していた。

 

それはガッシュと清麿が出会って、まだ日が浅かった頃、清麿の中学の同級生、水野鈴芽がかつて銀行強盗に巻き込まれたことがあった。

 

そのとき、鈴芽の救出に行くかどうか、テレビの前で葛藤を抱えていた清麿に、ガッシュが言ったのだ。

 

 

 

『走れ!清麿!!もう……もう考えるな!!!走ってしまえ!!!!』

 

 

 

迷っていた彼の背中を押すように叫んだ言葉。

 

このとき清麿は、何も考えずに走った。

 

迷いを振り払うかのように、全力で走った。

 

 

(がむしゃらに……やってみるか!!)

 

 

そのときの気持ちを思い出した清麿。

 

迷う帆波の様子を見ていたら、放っておけなかったのだ。

 

なお、走り終わる頃には、帆波の機嫌が少し悪くなっていたのはご愛嬌である。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

ランニング後、シャワーを軽く浴び、朝食を取ってから彼は制服へと袖を通す。

 

そして学校へ行く準備が完了すると、清麿は部屋を出る。

 

ドアが閉まっていることを確認し、そのまま行こうとすると、突然隣の部屋のドアが開いた。

 

どうやらその部屋の人物も登校するようで、丁度、清麿と鉢合わせる形となる。

 

容姿は中肉中背の体格に、茶髪気味の髪をしている少年であった。

 

しかし清麿は、強くその少年に興味を抱く。

 

より詳細に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

(デュフォー?)

 

 

デュフォー。

 

かつてガッシュの兄、ゼオンの本の持ち主(パートナー)であった少年。

 

寡黙で冷静沈着であり、まるで感情を見せない少年であった。

 

不思議なことに、清麿には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

すると茶髪の少年が挨拶をしてきた。

 

 

「……おはよう」

 

 

「お、おはよう……」

 

 

清麿もなんとか挨拶を返す。

 

少し気まずいと思いながらも、話しかける。

 

 

「えっと、隣の部屋になったBクラスの高嶺清麿だ。よろしくな」

 

 

「あー……オレはDクラスの綾小路清隆(あやのこうじきよたか)だ。こちらこそよろしく、高嶺」

 

 

「そうだ。これも何かの縁だし、良かったら一緒に登校しないか、綾小路?」

 

 

「あ、ああ。オレは大丈夫だがその、良いのか?」

 

 

「これから長い付き合いになるんだし、親睦を深めるって意味でもどうかと思ったんだが……」

 

 

「何してる?早く行こう、高嶺」

 

 

清麿の言葉に被せるように話す綾小路。

 

気のせいでなければ、少し嬉しそうにしているように見える。

 

その姿が清麿には、まるで純粋な子供のように思えた。

 

 

(しかし綾小路とデュフォーの姿が重なって見えたのは、一体なぜなんだ?)

 

 

清麿はふと思った疑問を脳の隅っこに置いておくと、綾小路と学校へ通学する。

 

軽い世間話をしつつ、二人は雑談を交える。

 

そして歩きながら清麿は気付く。

 

 

(見られているな……)

 

 

学校に近付くにつれて、彼らを見る視線が多くなっていた。

 

清麿はそれに気付かないフリをしながら下駄箱で、上履きに履き替える。

 

 

(そうだ。せっかくだから綾小路と連絡先を交換しておくか)

 

 

そして清麿は、綾小路が上履きを履き替えるタイミングを見計らって、提案する。

 

 

「綾小路、連絡先交換しないか?」

 

 

「あ、ああ」

 

 

清麿は端末を取り出し、綾小路と連絡先を交換する。

 

すると綾小路が端末をジッと見つめていた。

 

気になった清麿は綾小路に声をかける。

 

 

「どうした綾小路?そんなに画面を見つめて……あー、もしかして迷惑だったか?」

 

 

「いや、すまない。別にそんなことはないぞ。ただこういうのはあまり使い慣れていなくてな……」

 

 

「そうなのか。まあ、こればっかりは慣れるしかないからな」

 

 

清麿も携帯電話を持ち始めたのは、中学三年生になってからである。

 

持ち始めた当初は、彼も操作に慣れずに四苦八苦していた。

 

そして二人は自分の教室へと向かう。

 

Dクラスが見えてきたので、綾小路とはここでお別れだ。

 

 

「じゃあ、またな綾小路」

 

 

「ああ、またな高嶺」

 

 

綾小路がDクラスへ入るのを確認すると、清麿もBクラスへと向かう。

 

清麿が教室へ入ると、さっそく声をかける人物がいた。

 

 

()麿()()!」

 

 

帆波である。

 

しかし帆波が清麿の名前を呼んだ瞬間、クラスの面々が一斉に清麿の方へと視線を向けた。

 

思わず清麿がビクリッと反応すると、近付いてきた帆波が心配そうに声をかける。

 

 

「どうしたの清麿君?もしかして体調悪い?」

 

 

「い、いや、なんでもない。それより()()、今から職員室へ行くんだが一緒に来るか?」

 

 

「あ、うん。一緒に行こっか」

 

 

そして清麿が帆波の名前を呼ぶと、今度はその視線が鋭くなる……主に男子からの視線が。

 

女子達はというと、小さな声でヒソヒソ話をする者達もいれば、興味深そうに二人を見る者達もいた。

 

ちなみに帆波はというと、周りの反応に一切気が付いていない。

 

教室に居づらくなった清麿は帆波を連れて、職員室へと向かう。

 

清麿は隣を歩く帆波を、横目で見ながら思う。

 

 

(鈍いのか、警戒心がないのか……いや、多分どっちもだろうなあ……)

 

 

一之瀬帆波は美少女である。

 

ロングヘアでスタイルが良く、明朗快活で社交的な性格をしていることもあって、入学二日目にして既にクラス内でも注目されつつある存在となっている。

 

しかし彼女自身、そういった自覚がないのか少々鈍い傾向にあるようだ。

 

そうこうしている内に職員室へとたどり着く。

 

清麿と帆波はさっそく中へと入る。

 

 

「失礼します」

 

 

「失礼しま〜す。星之宮先生はいらっしゃいますか〜?」

 

 

職員室の中には教師陣が授業の準備をしているのか、各々の席に座って仕事をしていた。

 

そして件の人物、星之宮は入口近くの席に座っていた。

 

 

「あれ?高嶺君に一之瀬さん?朝早くにどうしたの??」

 

 

星之宮が二人に気付くと声をかける。

 

 

「先生に質問があって来ました」

 

 

「私はえっと、その……彼の付き添いです!」

 

 

「質問?一体何かな??」

 

 

そして清麿は本題を切り出した。

 

 

 

 

 

 

「来月の始め……ポイントは一体、いくら振り込まれるんですか?」

 

 

 

 

 

 

清麿が質問をした瞬間、職員室が一瞬静寂に包まれる。

 

直後、星之宮は目を鋭くさせながら、ニコニコと笑顔で二人を見る。

 

空気が変わったことに帆波も気付いたのか、少し驚いている様子であった。

 

そして清麿も教師陣の反応から、予想が間違っていないことを確信した。

 

 

「……どうしてそんな質問をしてきたのかな~?」

 

 

星之宮は答えを言わず、質問を質問で返してきた。

 

清麿は説明する。

 

 

「昨日、星之宮先生は10万ポイントについて説明したとき、毎月の支給日については言及されていましたが、毎月の支給額については言及されていませんでした。それがどういうことなのか、ちょっと気になりましたので……」

 

 

「なるほどね~。まぁ、()()来月のお楽しみとしか言えないかな~!!」

 

 

(()()……か。ここまで答えを濁すということは箝口令(かんこうれい)でも敷かれているんだろう。ふむ……少し揺さぶりをかけてみるか)

 

 

「なるほど。やはり、10万ポイントが確実に振り込まれるわけではない……ということですね?」

 

 

「う~ん、どうだろうね~。ポイントの支給額の決定権が私にあるわけじゃないから、なんとも言えないかな~。はい!支給額の質問はここまで!これ以上はノーコメントです!!」

 

 

星之宮は両手をバツにして悪戯っ子のように答える。

 

 

(特に意味はない……か)

 

 

清麿は星之宮の反応を注意してみつつ、話を続ける。

 

 

「分かりました。では最後の質問です。先生は、『この学校内でポイントを使って買えないものはない』、『なんでも購入することができる』ともおっしゃっていましたが……それは一体どういう意味です?」

 

 

「質問を質問で返すようで悪いけど……どうしてそう思ったのかな〜?」

 

 

星之宮の質問に、清麿は答える。

 

 

「……もし飲食や日用品の購入のことを言っているのであれば、『学校内の施設でポイントで利用できないところはない』とか『ポイントで全ての物を購入出来る』と言うのが普通ではないかと思いまして。……オレには先生が何かしらの意図を持って、遠回りに言っているようにしか思えませんでしたので」

 

 

すると星之宮は答えた。

 

 

「なんでもは、なんでも……だよ。これは、言葉通りの意味としか言えないね~」

 

 

(言葉通りの意味……か。それは普通は買えないものも、ポイントを使えば購入することが可能ということか?)

 

 

「では……例えば、一日学校をサボる権利もポイントで購入可能ということですか?」

 

 

「買えるだろうね~」

 

 

「なるほど……」

 

 

清麿がアゴに手を添えて考える。

 

すると今まで様子を見ていた帆波が慌てる。

 

 

「だ、駄目だよ清麿君!?学校サボるつもりなの!?」

 

 

「落ち着け帆波。ものの例えだ、ものの例え。本気でサボる訳ないだろ……」

 

 

「そ、そうなの?」

 

 

「そうだよ……」

 

 

清麿がガクリと項垂れる。

 

どうにも帆波は純粋すぎるきらいがあるらしい。

 

すると二人のやり取りを見ていた星之宮は、目を輝かせて二人に詰め寄る。

 

 

「二人共もう名前で呼び合ってるの!先生〜二人の関係が気になるなぁ〜!!」

 

 

星之宮の言葉に、帆波は顔を赤くさせる。

 

 

「にゃっ!?べ、別に清麿君は、た、ただの友達です!!」

 

 

「ふ〜ん。高嶺君って、美形で格好いいから私なら放っとかないけどなあ〜」

 

 

星之宮は清麿の頬をツンツンする。

 

清麿はというと、突然の星之宮の行動に頬を赤くさせながら注意する。

 

 

「い、いきなり何すんだあんたは!?」

 

 

「あれ〜?照れてるの?高嶺君も中々可愛い所あるじゃない〜」

 

 

照れる清麿に気をよくしたのか、星之宮はさらに清麿のほっぺをツンツンする。

 

 

「……そろそろツンツンするのやめてくれませんか?」

 

 

「でも特に拒否しないってことは満更でもないんじゃない~?もしかして……先生に惚れちゃった〜??」

 

 

そしてついに羞恥心が勝ったのか、清麿が声を上げる。

 

 

「ええーい!いい加減、鬱陶しい!!」

 

 

そのまま清麿は星之宮から逃れるように一歩下がると、踵を返した。

 

 

「質問は以上ですので、これで失礼します!行くぞ帆波!!」

 

 

「え!?あ、うん!!え、えっと、失礼しました!!」

 

 

「またあとでね〜」

 

 

手を振る星之宮を尻目に職員室から離れるように、二人は早足で歩く。

 

ある程度離れると、清麿はため息をつく。

 

 

「はぁ……なんなんだあの先生は……」

 

 

「あははは……」

 

 

疲れた様子の清麿に、帆波は苦笑いする。

 

 

「だが、質問に行った甲斐はあった。やはりオレ達の予想は間違ってなかったようだ」

 

 

「そうだね……なんかごまかされたって感じしかしないけど。でも清麿君、他にも聞きたいことがあったんじゃないの?」

 

 

「賭博の件……か?」

 

 

「うん……」

 

 

帆波が神妙な面持ちで頷く。

 

清麿は話す。

 

 

「そもそもあの話は、おおやけに話せる内容じゃない。話すにしても、周りに人がいないところでないと色々まずいだろ」

 

 

「それは確かにそうだけど……」

 

 

「それに聞いたところで正直に答えてくれるとも思えん。あと帆波、この話は……」

 

 

「大丈夫。誰にもしないよ。それより清麿君、少し相談があるんだけど……」

 

 

「なんだ?」

 

 

すると帆波は相談事を清麿に持ちかける。

 

その内容を聞いた清麿は思わず声を上げた。

 

 

「なっ!?オレがか!?」

 

 

「うん。少なくとも私は、これから行われるAクラス争奪戦にBクラスが勝ち抜くためには、その方が良いって思ったの」

 

 

二人が話しながら歩いていると、丁度教室へ戻ってきたところであった。

 

清麿の大声に、B組の面々が何事かと扉や窓から廊下に視線を向ける。

 

帆波はその様子を苦笑いで見ながら、清麿へと小声で言った。

 

 

「とにかく清麿君さえ良ければ、真剣に考えておいてほしいんだ」

 

 

そして先に教室へと戻っていった。

 

清麿は呟く。

 

 

「オレがBクラスのリーダー……」

 

 

帆波が持ち掛けた相談事とは、清麿へのBクラスリーダーの打診であった。




少し長くなりそうだったので割愛しました。

次回こそ堀北会長出る!……かも!!

いや、それよりも橘先輩先に出すかもしれないっす。

あと、Bクラスリーダーは清麿君になる予定です(唐突なネタバレ

次回から本格的に清麿と帆波が動き始めます。

もしかしたら近い内にガッシュからの手紙編するかもしれないっす。

では、また( `・∀・´)ノ

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