続き書けたで候。
橘先輩出ます。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
清麿の精神は朝からガリガリと削られていた。
ショートホームルームの星之宮からのイジリから始まり、クラスメートからの質問……特に帆波との関係や、テレビの内容についても多く聞かれることとなったからだ。
中でも特に多かったのが世界的映画スター:パルコ・フォルゴレや、超人気アイドル歌手:大海恵などの有名人とどう知り合ったのかという質問である。
清麿は下手にごまかすことは不可能と思い、嘘とほんの少しの真実を混ぜて伝えることにした。
弟分であるガッシュの友人、キャンチョメとティオの保護者がフォルゴレと恵であったため、その流れで知り合ったということにしたのだ。
その関係でシェリーや、アポロといった著名人とも友人になった……というていで話を進めた。
星之宮の話では、昨日のフォルゴレのインタビューは、ほとんどの生徒や教師陣が把握しており、朝に清麿達が職員室に質問に行ったときには、教師陣全員が聞き耳を立てる程に注目されていたらしい。
ちなみに帆波との関係は、両者共に一貫して、仲の良い友人で話を通した。
◆◆◆
「今日の授業はここまでとする。各自、キッチリと予習をしておくように」
四時間目の授業が終了する。
日本史担当の
そして茶柱は教室を出ていく。
清麿はその後ろ姿を見つつ、思考する。
(どの先生も、生徒の不注意な行為を見つける度に何か記録をつけていたが……茶柱先生はその比ではなかったな)
清麿は板書を取りながら、教師陣の動きをつぶさに観察していた。
教師陣は生徒が不注意な行為、例えば居眠りをしていたり、端末を弄っているのを見つけても特段注意はせず、何かを書き込んでいたのだ。
中でも茶柱のチェックが、特に厳しく行われていた。
(恐らく生徒を評価する裁量は、確認する先生に一任されているんだろう。とりあえず、茶柱先生は厳しめに評価するということは覚えておこう)
「ぐぅーっと…………はぁ……」
清麿は背を伸ばしつつ、ため息をつく。
「……昼飯の時間か」
四時間目が終了したことで昼休みが始まる。
クラスメート達は思い思いに過ごしている。
新しく友人となった者と食堂へ行ったり、一人でごはんを買いに行ったりと各々自由にしていた。
帆波も友人となった者達と一緒にお弁当を食べるようだ。
「オレはどうするかな……」
清麿はどうしようか悩んでいると、隣の席の柴田が話しかけてきた。
「なあ高嶺、一緒に学食行かね?」
「ん?柴田か……別に大丈夫だぞ」
清麿は了承する。
すると柴田はもう一人の生徒、
「なあ神崎、俺と高嶺さ、今から学食行くんだけどお前もどうだ?」
「ああ。行かせてもらおう」
「じゃあ、三人で行くか」
清麿は柴田、神崎の二人と友人となっていた。
友人となったきっかけは、クラスメート達からの怒涛の質問でグロッキーになっていた清麿を二人が庇った事だった。
そこに帆波の協力もあって、なんとか落ち着いたという訳である。
「高嶺、少し顔色が悪そうに見えるが、大丈夫か?」
すると神崎が話しかけてきた。
その声音は心配そうであった。
「……少し気疲れしてな」
「朝からあれだけ騒がれれば、それも仕方あるまい」
「まあ、でも落ち着いて良かったじゃねえか。今は腹一杯飯食って切り替えろって」
「そうだな」
清麿達が食堂へ行くと、たくさんの生徒達で賑わっていた。
ひとまず窓際の席が空いていたので座ると、清麿が二人に言う。
「オレがここで席取っとくから、二人は先に買ってこいよ」
清麿が席取りを買って出る。
「悪いな」
「サンキュー、高嶺」
二人はそう言うと、食券を買いに販売機の列に並ぶ。
その間、清麿は食堂の中をボーッと眺めていた。
(やっぱり見られてるな……)
周囲のことは気にしてないという様子を見せつつ、視線を動かし何気に周りを観察する清麿。
多くの生徒が彼に視線を向けていた。
(中学の時と違って別の意味で視線を浴びることになるとはな……)
清麿はガッシュと会う前はイジメに遭い、不登校となっていた。
頭脳明晰であるが故に、中学生になるあたりから友人や同級生に妬まれ、いじめや暴力を受けたりしたのが不登校の原因である。
そのこともあって、他人を全く寄せ付けないようになり、暗く排他的な性格となってしまったのだ。
当時は暇つぶしに家で大学生の論文を読んだり、近所の植物園に出入りしつつも、日々を無気力に過ごしていた。
清麿は視線を食堂から、窓から見える景色に移す。
(もしガッシュと出会ってなかったら……今頃オレはどうしてたんだろうな……)
清麿の転機は、間違いなくガッシュとの出会いだ。
もしガッシュと出会っていなければ……もし魔界の王を決める戦いが行われていなければ……彼の人生は全く別の物となっていたであろう。
ここで話は変わるが、清麿は端正な顔立ちをしている。
その点に関しては、アイドルの恵が初対面で会った際に赤面し、ティオも格好いいと評するほど。
何が言いたいかというと、景色を見ながら何か憂いを帯びた表情をする清麿は、非常に絵になっていた。
通りがかった幾人もの女子生徒が、思わず立ち止まって見惚れてしまうほどに。
加えてそこにクール系の神崎と、爽やか系の柴田もいる。
後にこの三人が『B組の御三家』と呼ばれることになるとは、このときの彼らはまだ知る由もない。
そこへ、料理を注文した神崎と柴田が丁度戻ってきた。
「待たせたな」
「結構メニュー豊富だったぞ」
「二人とも戻ってきたか。じゃあ、オレも取りに行ってくる」
そして清麿も食券を買いに販売機へと向かった。
そのときにある物を発見する。
「ん?山菜定食?無料か……」
0円で売られている山菜定食を見つけたのだ。
(これも救済措置の一つということか)
気になった清麿は、山菜定食を頼むことにする。
食券と引き換えに山菜定食を受け取り、そのメニューを見る。
(わらびの炒め物に、野菜の揚げ浸し。わかめと豆腐の味噌汁に、ごはんのセットか。無料の割にはずいぶんとしっかりしたメニューだな)
無料というからには精進料理のような物をイメージしていた清麿であったが、そこは育ち盛りの高校生というのを考慮しているのか、しっかりとメニューは考えられているようだった。
席に戻ると、神崎と柴田が意外そうに見てくる。
「高嶺、それは山菜定食か?」
「ああ。ちょっと気になってな」
「山菜定食って言うから、もっとひもじいイメージしてたけど……意外と美味そうだな」
そして三人は食事を取る。
ちなみに神崎はうどん定食、柴田はカツカレーの大盛りである。
そのとき、ある放送が聞こえてきた。
『本日午後五時より第一体育館にて、部活動の説明会を致します。繰り返します。本日──』
すると柴田が二人に話を振ってきた。
「なあ、お前ら何か部活って考えてるか?」
「俺は今のところ考えていないな。高嶺はどうだ?」
「うーむ……オレもまだなんとも言えんな。中学の頃は、もっぱら帰宅部だったからな。そういう柴田は何か部活を考えているのか?」
「俺か?俺はサッカー部一択だ」
そして話題は放課後の部活動説明会へ。
「なんなら二人とも、今日の部活動説明会一緒に行こうぜ。もしかしたら興味のある部活があるかもしれないしよ」
「説明会か。まあ、行くだけ行ってみるか」
「二人が行くなら、俺も行ってみるとしようか」
そして三人は食事を終えると、教室へと戻る。
教室には既に何人かの生徒が戻ってきており、部活動のことについて意見を交わしていた。
清麿はというと、ある物を持って再び教室を出る。
彼の目指す先は、図書館だ。
そして清麿が足早に進んでいると、目の前に大量のプリントを運んでる女子生徒が見えた。
「あれは……って、今にも転びそうじゃないか」
よく見れば、自分の顔くらいの高さもあるプリントの束を運んでいる。
フラフラしており、今にもこけそうだ。
見ていられなくなった清麿は、女子生徒に声をかけた。
「あの……大丈夫ですか?」
「あ、いえいえ!おきになさらず!全然大丈夫です!!」
(全く大丈夫そうに見えないんだが……)
すると案の定、女子生徒はプリントを落としそうになる。
「わ、わわわ……」
「手伝います」
咄嗟に清麿は女子生徒の持つプリントを支えると同時に、半分手に持った。
女子生徒は、薄い紫色の髪をしたお団子ヘアーの少女であった。
「す、すみません。ありがとうございます」
お団子ヘアーの少女が申し訳なさそうにお礼を言ってくるので、清麿は安心させるように返事をした。
「気にしないで下さい。それより、これはどこまで運べばいいですか?」
「……では申し訳ないんですが、生徒会室まで一緒に運んでいただけますか?」
「分かりました」
清麿は、お団子ヘアーの少女の後をついていく。
それから先導されながら移動すること数分。
廊下を歩き、階段を上り、また廊下を歩くと、やがて生徒会室という表札がある教室の前へと辿り着く。
「今、開けますね」
「はい」
清麿は了承の返事をすると、お団子ヘアーの少女は生徒会室の扉を開ける。
少女が入るので清麿も後へ続くように入った。
とりあえず、清麿はプリントの束をテーブルの上に置く。
するとお団子ヘアーの少女は、笑顔で清麿に向き直った。
「先程は手伝っていただいてありがとうございました。お礼と言ってはなんですが、紅茶でもいかがですか?」
「あー……では、お言葉に甘えて」
「分かりました!それでは、好きな席に座って待ってて下さい!!」
お団子ヘアーの少女は清麿の返事に気を良くしたのか、機嫌よく紅茶を淹れ始めた。
その間、清麿はというと生徒会室の中を見渡していた。
生徒会室の中は広く、パソコンはもちろん、コピー機などの機械も置いてあり、ファイルや資料らしき物も整理整頓された状態で置いてあった。
他にもくつろげるように紅茶セットや、お茶菓子も常備していることから居心地の良さそうな部屋であることは間違いない。
すると、お団子ヘアーの少女が紅茶を持ってやってきた。
丁寧な所作でカップが置かれる。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
清麿はさっそく紅茶を一口飲む。
「美味しい……」
「ふふふ。ありがとうございます」
お団子ヘアーの少女は嬉しそうにお礼を言う。
そして少女は口火を切った。
「申し遅れました。私は三年A組の生徒会書紀、
「オレ……いえ、自分は一年B組の高嶺清麿です。こちらこそよろしくお願いします」
すると橘は驚いた表情をする。
「噂の高嶺清麿君……!?貴方があのっ……!?」
「えーっと、どのような噂をお聞きになったかは分かりませんが、その高嶺清麿です……」
清麿は若干遠い目をしつつも、先程気になったことを質問する。
「あの橘先輩、その……噂というのは一体?」
「あ、はい。高嶺君のことは教師の間でも話題になっていたんです。我が校始まって以来の筆記試験全教科及び、面接試験満点による首席合格者と」
「な、なるほど……」
「あとは昨日のテレビニュースのことでしょうか。ウチのクラスでも高嶺君の話題で持ち切りなんですよ?」
「三年のクラスにまで広まってるんですか……」
思っていた以上に大事になっていることに、清麿はガクリと項垂れる。
「高嶺君はもうこの学校には慣れましたか?」
すると橘が別の話を振ってきた。
清麿は答える。
「まあ、なんとか。今はこの学校のSシステムについて把握するのに精一杯ですが……」
清麿が何気なく言うと、橘は驚いたような表情をする。
「……高嶺君はどこまで把握していますか?」
「ある程度は……でしょうか」
清麿は思考する。
(教師陣には箝口令が敷かれていたが、先輩にならどうだ?)
そこで清麿は橘に質問することにする。
「橘先輩、少し聞きたいことがあるんですがいいでしょうか?」
「……なんでしょうか?」
「橘先輩はこの学校の在り方についてどう思われますか?」
「在り方……ですか?」
「もちろん……この学校で行われているであろうAクラス争奪戦について。この学校の実力至上主義の真実について」
「…………」
橘は言葉をなくす。
まさか僅か入学二日目にして、この学校の秘密に気付いている者がいようとは思わなかったのだ。
「先輩のその反応からして、どうやら当たりのようですね」
清麿は橘のリアクションから、Aクラス争奪戦が実際に行われていることを確信した。
橘は答える。
「……申し訳ありませんが、今の段階では答えることはできません、としか言えません」
(
「大丈夫です。今朝、担任の先生に質問に行ったときも同じような事を言われましたので。学校全体で箝口令でも敷かれているんでしょう?」
「こ、答えられません……」
「そしてそれが解除されるのは恐らく、次のポイント支給日といったところでしょうか?」
「……そ、それも答えられません」
橘が涙目で答える。
少し虐めてるみたいになってきて、段々いたたまれなくなってきた清麿。
これ以上長居は無用と判断して、おいとますることにする。
紅茶を飲み干すと、席を立つ。
「紅茶ありがとうございました。美味しかったです」
「え?もういいんですか?もっとゆっくりしていけばいいのに……」
「えっと、少し図書館に用がありまして。コピー機を探してるんです」
「あ、それならぜひ、ここのコピー機を使って下さい」
「いいんですか?四十枚くらいコピーするんですけど……」
「大丈夫です!問題ありません!!」
「は、はあ」
力強く頷く橘。
そこまで言われては、逆に失礼になると思い、ありがたく使わせてもらうことにする清麿。
「それじゃ、使わせてもらいます」
清麿は監視カメラの位置と、カメラの向く方向が書かれた校舎専用MAPを取り出し、四十枚コピーする。
すると橘は気になったのか、横からヒョイッと覗き込む。
「何をコピーしてるんですか?」
「監視カメラの位置と向いてる方向をメモしたMAPです。クラスの人数分、配ろうと思いまして」
「…………」
「……橘先輩?」
「なんでもないです!なんでも!!」
反応がないので横を見てみると、開いた口が塞がらないような表情をしている橘の姿があった。
心配になったので呼びかけてみると、橘は問題ないと、首を横にブンブンと何度も振る。
リアクションの大きさは、あのガッシュにも引けを取っていなかった。
そして無事コピーも終わり、清麿はお礼を言う。
「コピー機ありがとうございました。助かりました」
「い、いえいえ!こちらもプリントを運ぶのを手伝ってもらいましたし!!」
すると橘は何を思ったのか、清麿にある質問をする。
「……高嶺君は何か部活を考えていますか?」
「いえ、今のところは。一応、放課後の部活動説明会には行こうとは思っていますが」
「あの、でしたら生徒会活動に興味はありませんか?」
「生徒会ですか?」
「はい。私達生徒会は高嶺君のような優秀な人材を常に欲しています。ぜひとも……どうですか!!」
「えっと、今のところは特に……」
「そ、そうですか……」
清麿が間髪入れずに断ると、目に見えて落ち込む橘。
何も悪いことをしていないはずなのに、妙な罪悪感に襲われる清麿。
気が付けばフォローを入れていた。
「あ、あー……でも橘先輩みたいな頼りになりそうな先輩がいればべ、別かなあなんて……」
「ほ、本当に……?」
「ほ、本当です、本当です」
「そ、そうですか。えへへへへ」
傍から見れば100%お世辞だと分かる言葉を真に受けるお団子ヘアーの女の子、橘茜。
彼女はどこまでも純粋であった。
どこか帆波に似てるなあと、遠い目をしながら思う清麿。
その流れで、なぜか生徒会の活動についての話を聞くことになったのであった。
閑話休題
「……
「は、はあ」
生徒会の活動内容は、
他にも生徒の諸活動についての連絡調査や、学校行事への協力、ボランティア活動などの社会参加、清掃活動や美化運動、緑化運動、リサイクル活動なども、生徒会で取り組む活動例として上げられる。
そして
(
そして清麿は説明を聞き終えて、ふと気付く。
(あれ?ちょっと待て……これはオレがもう生徒会に入る流れになってないか?)
清麿は正面にいる橘を見る。
「あ、会長にも連絡しとかなきゃ。あと
なぜか
(なぜだ!?なぜ橘先輩は、もうオレが生徒会に入る前提で考えているんだ!?)
清麿はなぜだか無性に泣きたくなった。
「あ、高嶺君!良ければ連絡先交換しましょう!困ったことがあれば、なんでも聞いて下さい!後輩を助けるのは先輩の努めですから!!」
「ハ、ハイ。ソノトキハ、ドウゾヨロシクオネガイシマス」
(言えない……今更、生徒会に入らないとは絶対に言えない……)
このとき、清麿は心の中で涙を流した。
じ、次回こそ堀北会長出る……はず!!
なんか書いてたら自然と生徒会に入ることになってました。
どうしてこうなった?(震え声。
では、また( `・∀・´)ノ