続き書けたで候。
いよいよ清麿が動き始めます……が、今回は説明回だけになってしまいました。
すまぬ。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
清麿はため息をつきながら教室へと戻る。
「はぁ……まさか生徒会に所属することになるとはな」
あのあと、橘と連絡先を交換し、清麿の生徒会への所属が正式に決定した。
基本的には生徒会に所属している者の推薦がある、なおかつ推薦された本人が了承すると生徒会に入ることができる。
本来なら、生徒会長による面接試験があるのだが、清麿は橘の推薦により免除された。
橘の話に依れば一年生からは例年2〜3人取るらしく、清麿は実に過去最速で生徒会に所属することになったらしい。
しかし清麿は憂鬱であった。
(この学校の生徒会か……正直、不安しかないな)
この実力至上主義の学校の生徒会が普通なはずがない。
清麿は内心、戦々恐々としていた。
そしてトボトボと歩いていると、いつの間にかBクラスにまで戻ってきていたらしい。
清麿は自分の席にまで戻ると、次の授業の準備を始める。
そのついでに軽く周りを見渡す。
B組の面々は比較的真面目な者が多く、次の準備をキッチリと終えている者達が大半であった。
(……Bクラスの皆は真面目だな)
そして清麿はコピーしてきた四十枚のMAPを見る。
(クラスメートに関しては、特に問題はなさそうだ。
清麿は、さっそく動き出すつもりでいた。
唯一、クラスメート達がどんなタイプなのかが懸念事項であったが、心配は
◆◆◆
全ての授業が終わり、放課後となる。
「じゃあ今日はここまで!五時から部活動説明会が第一体育館であるから行く人は遅れないようにね〜」
そうして星之宮はホームルームを終えると、教室をさっさっと出ていった。
直後、清麿は教壇へと行き、クラス全体に聞こえるように声をかけた。
「皆、すまない。ちょっと聞いてくれ」
清麿の声にB組の面々が、何事かとざわつく。
すると帆波が、いの一番に声をかけた。
「清麿君、もしかして……」
「ああ」
帆波の言葉に、清麿は頷く。
清麿の意図を察した帆波は、扉付近にいる生徒達に声をかける。
「あ、ごめんね。少し扉、閉めてもらってもいいかな?できれば、鍵も閉めてもらえるとありがたいかも」
帆波の言葉に扉付近にいた生徒達は、素直に扉を閉め、鍵をかけた。
「ありがとね。準備OKだよ、清麿君」
帆波が生徒達にお礼を言った後、清麿へとウィンクする。
清麿は少し頬を赤くさせるが、咳払いをして気を引き締める。
「コホン……皆、いきなり呼び止めてすまない。だが、今からオレが話す内容をよく聞いてほしい。このBクラスに関わる大切な話なんだ」
清麿の真剣な表情に、B組の面々は冗談ではないことを悟る。
そして清麿は話し始める。
「単刀直入に言うと……来月、支払われるポイントが10万ポイントではない可能性がある」
「「「「「えぇ!?」」」」」
クラスの面々が驚く。
「ど、どういうことだよ高嶺!?」
柴田が焦ったように質問する。
清麿は答える。
「落ち着け柴田。順を追ってちゃんと説明する。オレがそう思ったのには、三つの根拠がある」
清麿は続ける。
「さっそく一つ目の根拠なんだが……皆、昨日、星之宮先生がガイダンスでポイントについて説明していただろ?だが、よく思い返してみてほしい。先生はポイントの支給日については説明していたが、ポイントの支給額については一切触れていないんだ」
「言われてみれば……そうだな。星之宮先生は、毎月1日にポイントが振り込まれるとは言っていたが、毎月10万ポイントが振り込まれるとは一言も言っていない」
神崎の言葉に他の面々も『確かに……』『そういえば……』と納得していく。
清麿は続ける。
「二つ目の根拠は……あれだ」
「あれは……監視カメラ?」
清麿が指を差すと、B組の面々もそれに釣られて上を見上げる。
「そうだ。それとこれも見てくれ」
清麿はコピーしたMAPをそれぞれの席に渡していく。
皆は一枚ずつそれを受け取ると、後ろへ回していく。
そして全員に行き渡ったのを確認すると、清麿は説明する。
「それは校内に設置されている監視カメラの位置と、向いてる方向をメモしたMAPだ」
皆がまたしても驚く。
「ちょ、ちょっと待ってくれ高嶺!これ全部、監視カメラだってのか!?」
「気持ちは分かるぞ、柴田。だが悲しいことにこれが現実なんだ。で……だ。オレは教室でこの監視カメラを見つけたとき、疑問に思った。なんのためにこんな物を設置しているのか?とな。最初は当然、防犯のためにつけていると思っていたんだが、校内を散策してそれが間違いだと気付いた」
清麿は続ける。
「MAPを見て分かる通り、この学校の監視カメラの数はハッキリ言って異常だ。だがある考えに至ったとき、それにも合点がいった」
「その考えとは一体なんなんですか、高嶺君?」
中性的な顔立ちの男子生徒、
清麿は答える。
「それは文字通り、オレ達の行動を監視するための物だよ、浜口」
すると浜口はアゴに手を添えながら発言する。
「なるほど。大体分かりました。つまり高嶺君はこう言いたいんですね?『学校側は僕達の普段の授業態度や素行を見て、来月支払うためのポイントの判断材料にしている』……と」
「ああ、その通りだ」
浜口と清麿のやり取りを見て、B組内がざわつく。
「皆、落ち着いて!とりあえず、最後まで清麿君の話を聞いてみようよ!!」
帆波の一声で収まる。
それを見た清麿は説明を続ける。
「そして最後、三つ目の根拠は、至る所にある無料商品の存在だ」
「あ、そういえばコンビニで見たことある!」
「食堂にもあったよね。確か……山菜定食!」
「自販機にも無料飲料水があったよ」
清麿の言葉にポニーテール少女:
「これらはポイントが足りなくなった人のための救済措置だ。だが重要なのはここからだ」
清麿の言葉にB組の面々は、つい姿勢を正す。
「なぜ10万ポイントが支給されないのか?皆の疑問はそこにあると思う。ここからは一つずつゆっくり説明していく」
そして清麿は話す。
「そもそもの話……だ。毎月オレ達に10万ポイント支給されるという話自体、無理があるんだ」
清麿は黒板に書きながら説明する。
「一年クラスだけでも1クラス40人。それが4クラス。単純計算で160人はいることになる。そこに毎月10万円を払うとなれば、学校側は一体幾ら払うと思う?」
「1600万円ですね」
浜口が答える。
「それが一年間続くとなると?」
「1億9200万円だな」
今度は神崎が答える。
「それが二年生と三年生も合せれば、一体いくらになると思う?」
「「5億7千6百万円……!?」」
最後は二人の声が揃った。
他の面々はあまりの額の大きさに空いた口が塞がらなくなっていた。
「そうだ。国の助力があるとはいえ、たかだかイチ高校が支給する額にしては、あまりにも多過ぎる」
清麿は説明を続ける。
「そこでオレは考えた。支給されるポイントには増減があるんじゃないかと……」
「なるほど」
「そういうことか」
「……浜口と神崎は感づいたみたいだが説明を続けるぞ。そこでこの監視カメラの存在だ。さっき浜口が言ったように、学校側はオレ達の普段の授業態度や素行を見て、来月支払うためのポイントの判断材料にしていると思われる。なら、次の問題点だ。一体なんのためにそんなことをする必要があるのか?」
清麿は一旦話を切ると、B組の面子を見回す。
そして決定的な言葉を言った。
「それは支給されるポイントによってクラスの評価が決まるからだ。もっと分かりやすく言えば……この学校の卒業生で、希望する就職、進学先がほぼ100%叶えてもらえるのはAクラスだけだからだ」
「「「「「はぁあああああ!!??」」」」」
清麿の言葉に帆波を除く全員が驚き声をあげる。
「A、Aクラスだけって、一体どういうことだよ!?」
別府という男子生徒が慌てる。
「落ち着け別府。だから皆も慌てるな。落ち着け」
清麿の言葉にB組の面々は、再び落ち着きを取り戻す。
清麿は説明を再開する。
「そもそも皆、なぜオレ達に10万ポイントが支給されたと思う?」
するとある男子生徒が答える。
「それは俺達にそれだけの価値があるからって先生が……」
「そうだな。そして先生はあのときこうも言っていた。『この学校は実力で生徒を測る』と。つまり……入学時点のオレ達の実力、価値は10万ポイントだってことだ」
清麿は説明を続ける。
「そして先生の言葉を信じるなら、この学校は実力で生徒を評価する。そう考えると、この一年のクラス分けにも意味があることになってくる」
清麿は説明を続ける。
「つまり……A組〜D組というクラス順も実力順として評価されているということだ。そして星之宮先生はさらにこうも言っていた。『三年間クラス替えはない』と」
清麿は説明を続ける。
「実力によって生徒のクラス分けをするシステムに、三年間クラス替えはないという事実。この二つから導かれる答えは……実力によってクラスの変動が起こる可能性があるということだ」
清麿は説明を続ける。
「恐らく五月から本格的にAクラス争奪戦が始まるはずだ。A組〜D組4クラス対抗で行われる蹴落とし合いがな」
B組の面々はあまりの内容に唖然となる。
清麿は説明を続ける。
「ここで話はポイントに戻るが、恐らく支給されるポイントは10万ポイントから徐々に減点されていくはずだ。ということは、Aクラスに近付くためには、その減点ポイントをどれだけなくせるかが勝負の鍵となってくる」
そして清麿は再び周りを見回し、言った。
「そこで皆に聞きたい。皆はどうしたい?」
皆の反応はない。
清麿は言葉を続ける。
「あくまでも言っておくが、これはオレの仮説に過ぎない。もしかしたら外れているかもしれない。だが、オレとしてはほぼ九割の確率で起こる物だと思っている」
清麿は言葉を続ける。
「いきなりこんなことを言われて動揺してしまう気持ちも分かる。だが、だからこそ……ここで聞いておきたい。皆はどうしたい?」
すると、様子を見ていた帆波が言葉を発する。
「私は……Aクラスを目指したい」
帆波は言葉を続ける。
「私は私の目的のためにこの学校に来たの。だからそれを達成するためにも、私はAクラスを目指したい」
そして帆波は立ち上がり、周囲を見回しながら言った。
「皆は……どう?」
するとある一人の生徒が答えたのを皮切りに、皆が一斉に言い始めた。
「私もAクラスに行きたい!」
「俺もだ!」
「私も!」
「ぼ、僕もだ!」
そして帆波はその様子に満足しながら、清麿へと微笑んだ。
「……みたいだよ、清麿君」
その様子を見ていた清麿は、自身の中から熱い何かが込み上げてくるのが分かった。
だからこそ、清麿は不敵に笑いながら言う。
「皆、よく言ってくれた。正直、これからどうしたらいいか、何をしたらいいか分からないのはオレも同じだ。だから一歩ずつでいい。ちょっとずつでいい。皆で一緒に前に進んでいこうぜ。そしてここにいる全員で……必ずAクラスになろうぜっっ!!」
「「「「「おおっっ!!!!」」」」」
Bクラス全員が雄叫びを上げた。
その光景を見ながら清麿は思った。
(そうだ。
ガッシュと駆け抜けた日々は、今も清麿の中で大切な『財産』として、彼の心の中で生き続けている。
願わくば、この学校生活で駆け抜ける日々が、B組の面々にとってかけがえのない『財産』になればいいなと、清麿は切に思うのだった。
うーむ。
ちょっと強引過ぎたかなあ。
でも清麿ならこれくらい言うかなあと思いまして。
次回こそ、堀北会長出るはず……たぶんきっとおそらくメイビー。
では、また( `・∀・´)ノ