その序章。
「見つけた!敵の砲撃陣地」
丘の横、林の陰からハンナが敵陣を、見つけた。
「迫撃砲5!野砲が3!トーチカに鉄条網。なかなかえぐいですねぇ」
チャーフィーが持っているカメラを覗きながら言った。
「私の分隊は重トーチカ潰す!チャーフィー達は野砲と迫撃砲をお願い」
ハンナは敵陣を指さし、出来るだけ声を落として喋る。
「あら、先陣を切ってくれるのですか?助かりますけど」
双眼鏡を覗いたまま、チャーフィーはわざとらしく聞き返した。
「皆いい?ありったけの手榴弾をトーチカに投げ込むの」
チャーフィーを無視してハンナは分隊員に指示を始める。
「うちの分隊の手榴弾も使ってください。私たちは後から行きますから」
チャーフィーは無視されたことが気に入らないのか、つまらなそうに言った。
「ん?ありがと。じゃあ私が鉄条網を破壊するから、みんな後に続いてね」
生返事をした後、ハンナは大まかな作戦を決めた。
「決まりですね、ハンナ分隊が突っ込んで、チャーフィー分隊が援護、いいですね」
チャーフィーが作戦をしつこく確認する。彼女は慎重な性格なのだ。
「そう、私たちが鉄条網を破壊するからチャーフィーは援護ね」
「合図を決めておきましょうか?」
「いや私が突っ込むから。あとは適当に合わせて!」
ハンナはそういうと、放たれた矢のように飛び出す。余りに急だったので、皆が呆然とする。
「もう!無茶苦茶だ!援護射撃!とにかく!ネウロイの気を引くよ!ハンナが死んじゃう!」
チャーフィー達が焦りながら、ネウロイの重トーチカに向かって撃ち始める。釣られて皆、援護を始める。
「まずは鉄条網と地雷原!私の魔法ならいける!」
ハンナは両手にシールドを出し、二つの小さな盾を作ると、盾から5つの刃は生える。
「まずは鉄条網」
ハンナは短くつぶやくと、シールドが電動ノコギリのように回転を始め、鉄条網を切り裂く。
「あとは地雷、どこに埋まってんのか、わかんないや。まぁ掘り返せばいいか」
次に2つのシールドを1つにまとめ、今度はいくつもの鎖をはやし、地面に置く。
「よし!回って!」
シールドが高速で回り、土がほじくり返され、すぐにボンッと音がする。地雷が炸裂したのだ。
辺りを丁寧に「掃除」したあと、ハンナは満足そうな顔をして、シェリダン達のほうを向いた。
「もう来て良いよ!シェリダン!」
「頼むから!前を見て隊長!トーチカがまだですから!」
シェリダンが青ざめ顔をして叫ぶ。
「ここ!死角になっているから!大丈夫!進路作ったから来て!トーチカを潰すよ!」
幸いなことに、砲撃はなかった。その砲口はシュタイナー達の陽動部隊に向けられていたからだ。
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