「暇!ひ~ま!もう警戒任務も飽きたよ~敵来ないの?」
ハンナは退屈そうに、頭の後ろに腕を組み、たこつぼの中から空を見上げる。
「じっとしていられないんですか?空ではなく前線を見てください。ハンナ隊長」
横で双眼鏡を覗いていたシェリダンが、あきれた様子で答えた。
「そうは言ってもねぇ~そうだシェリダン副長」
ハンナは寝そべったまま、シェリダンの方に顔を向ける。
「なんですか?ハンナ隊長?」
シェリダンは持っていた双眼鏡をしまいながら、答える。
「シェリダンさ~クルツ少尉のこと、どう思う?」
ハンナはニヤニヤと意地悪に笑いながら話し始める。
「何ですか?藪から棒に、優秀な士官だと思いますよ。私は」
シェリダンは少しも表情を変えずに答えると、また前線に視線を戻す。
「え~それだけ?もっとあるでしょ!かっこいいし、鼻筋も通ってるし、カッコいいし」
ハンナは指を折りながら、わざとらしくクルツの容姿について語り始める。
「クルツはあなたが思ってるような男じゃないです!それに今は警戒任務に集中してください!」
ハンナの煽りに思わず感情をこめて、シェリダンは怒る。
「もぅ、また怒った。分かったよ、この話はこれでおしまい」
ハンナはシェリダンに面食らいつつ、ばつが悪そうに頬をかきながら言った。
「あ!クリスファーだ!!クリストファー!降りてきなよ!」
ハンナが、真上を旋回しながら止まり木を探していた、カラスに気づく。
「ア~カァ~」
クリストファーはマダラに模様の翼を大きく広げ、空気をつかみながら降下すると、真っすぐに伸ばされたハンナの腕にとまった。
「よしよし。お帰りクリストファー。敵の様子は?」
ハンナは左腕にとまった三本足のカラスに話しかける。カラスのクリストファーは、また毛づくろいをはじめ、今度は青い羽根を咥えてハンナの前に突き出す。
「ブラウね、ありがと!ん?足に巻いてあるのは伝言?あっ」
ハンナが礼を言うと、早々にクリストファーは司令部テントに向かって飛んで行った。
「敵に動きはなさそうですね。暫くは平和です」
シェリダンは安心し少しだけ顔を緩める。
「うん、でも足に付いた、銀色のカプセルが気になるな」
ハンナは顎に手を当てて珍しく難しい顔をする。
「ハンナ隊長がそんな顔をするなんて、明日は槍が降りますよ」
シェリダンが少し驚いた様子で言った。
「え?最近のネウロイってやり使うの?」
「物の例えですよ、まぁ降ってほしくないですけどね、やり」
狭いたこつぼの中で、二人は楽しそうに話している。つかの間の平和を噛みしめるように。
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