僕のヒーローアカデミア短編集   作:113(いちいちさん)

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注意。この作品では真空の概念をかなり自由に定義しています。実際の真空の定義に当て嵌まらない事や間違っている事があると思いますが、予めご了承ください。


真空のヒーローアカデミア

 敵連合によるUSJ襲撃事件から2日後。相澤先生とオールマイトは13号のお見舞いで病室に向かっていた。

 

「おや?どうやら先客がいる様だね」

 

 病室の中から話し声が聞こえることに気づいたオールマイトが相澤先生に向かってそう言った。

 

「リンゴ剥けたよ。はい」

「いや、自分で食べられるから!」

「動いてはダメ」

「いや!全然大丈夫だから・・・アイテテ」

「安静にしていないとダメ」

「いや、でもこれは流石に大人として情けない・・・」

 

「随分親しいようだね」

「ああ、そういえばオールマイト先生は彼女の事を知りませんでしたね」

「うん、誰なんだい?」

「二年前の"アース・クェイク事件"の事を覚えていますか?」

「ああ、凶悪敵「アース・クェイク」を逮捕する為に十数人のヒーロー達が戦った事件だね。その戦いの余波で数十棟の建物が倒壊する大惨事となったが、警察やヒーローの避難誘導のお陰で奇跡的に死者は0人、負傷者も全員命に別状は無かったんだったね」

「ええ、そうです。その時、倒壊した孤児院に少女が一人生き埋めになったことは知っていますよね」

「ああ!!あの時の13号君の奇跡の救出劇には、恥ずかしながら私もテレビの前で涙を流してしまったよ!!」

「此処病院なんでもう少し声を抑えてください」

「ああ、すまない」

「その時救出されたのがあの子です。名前は、葉朴真紅(はぼくしんく)。将来有望なヒーローの金の卵です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、目の前の光景が信じられなかった。とある幼稚園の教室。その中心には、机や椅子、本棚、そして、人間が一つの塊の様に集められていた。

至る所から呻き声や泣き声が聞こえる中、一人の少女が唖然とした顔でその光景を見ていた。

 なぜこんな事になっている?この惨状を作り出したのは一体誰だ?

 

 

 

 

 私だ。

 

 

 

 この幼稚園では、授業の一環で発現したばかりの個性を園児同士で見せ合う催しが行われていた。この時、葉朴はまだ個性が発現しておらず見ているだけしかできなかったのだ。

 皆が様々な個性を使う中、自分だけが個性を発現しておらず、彼女は焦っていた。どうにかして個性を使おうと必死になっていると、突然体の中から何かが沸き起こるような感覚がし、気が付くと教室は変わり果てていた。

 最悪のタイミングで彼女の個性"真空"が発現したのだ。個性により教室の中心に真空が発生し、急激な気圧の変化により物や人が引き寄せられたのである。自身は影響を受けないタイプの個性だった為、彼女だけが無事だったのである。

 この騒ぎは他の先生に直に伝わり、暫くして警察や救急隊が到着した。幸い、負傷者の傷は軽傷で命に別状は無く、個性が発現する際に稀に起こる個性の暴発として処理され警察沙汰になる事は無かったが、この事故が彼女の人生を大きく変えた。

 この日から彼女は園内で孤立した。園児たちは彼女を恐れ近付こうとせず、それだけならまだしも、彼女に向かって敵だ何だと暴言を吐く者も現れ始め、彼女は自宅に引き籠る様になってしまった。更に悪い事に、彼女の両親は個性の暴発に自分達が巻き込まれたり、それによる責任を追及される事を恐れ、幼い彼女を一人残し出て行ってしまったのだ。それにより彼女は孤児院へ送られる事となった。

 孤児院ではあからさまに彼女を非難する者はいなかったが、彼女の境遇に対する哀れみや個性に対する恐れなどで何処か腫物のような扱いをされていた。そして、彼女自身も聡明な子供だった為現状を周りの所為と考えず、全て自分の責任だと思い自己嫌悪に陥ってしまったのだ。

 それから3年。彼女が7歳の時にあの事件が起きた。

 

『敵による大規模な災害の恐れがあります。付近にお住いの方は速やかに屋外へ避難し、警察や消防、ヒーローの指示に従ってください』

 

 放送と共に街を地震が襲った。孤児院の職員達は避難誘導に当たっている消防隊員と共に子供達の避難を始めた。そして葉朴を含む数人を避難させて最後という所に一際大きい地震が襲った。

 建物が倒壊する直前、葉朴は無意識の内に個性を発動していた。建物の外に真空が発生し、それにより出口付近にいた職員や子供は吐き出される様に外に出された。個性の影響を受けない葉朴一人を残して。

 降り注ぐ瓦礫を見たのを最後に、彼女の意識は途絶えた。

 

 

 

「ウワバミ!位置は!」

「そこです!その瓦礫の下です!」

 

 誰かの話声で意識が戻った。全身に強い圧迫感と痛みが走る。

 

「クソッ!人力じゃあこれが限界だ!重機はまだか!」

「他の現場で手一杯です!それに、あまり動かすと怪我人が危険です!」

 

 痛い、暗い、このまま死んじゃうのかな・・・

 

『皆さん下がって!ここはボクに任せてください!』

 

 誰か、助けて・・・

 

『もう少しの辛抱です!必ず助け出します!』

 

 ゴオオオオオオオォォォォ

 

 何かを吸い込むような音が聞こえ、徐々に周りの音が大きくなってきた。

 

 ゴオオオオオオオォォォォ

 

 段々と瓦礫が軽くなっていき、光が見え始めた。そして、体が浮き上がった。

 

『もう大丈夫!よく頑張りましたね!救護班!頼みます!』

 

 気付けば私は、宇宙服のようなものを着た女性に優しく抱き抱えられていた。

 

 

 

 目が覚めると私は病室にいた。幸い、瓦礫が上手く重なり隙間が出来たことで軽傷で済んだらしい。恐らく個性を使ったことにより、落ちる瓦礫の位置が僅かに変化したお陰だろう。

 医者の話を聞いた後、病室に13号と言う宇宙服の女性が訪ねてきた。

 

『やあ、怪我は大丈夫だったようだね。院長さんに聞いたよ。建物が崩れる寸前、咄嗟に個性で皆を助けたんだってね』

 

 実は、13号は孤児院の院長に葉朴と話をして欲しいと頼まれたのだ。

 院長は当時から彼女の事を気にかけていたのだが、無個性の自分がどう話しかけて良いか分からなかったのだ。そこで、似た個性を持つ13号に葉朴と話をして貰いたいと願い出たのだ。

 

『自分を顧みず、他人を助けられる君は将来立派なヒーローに成れるよ』

「・・・なれないよ」

『どうして?』

「・・・だって、わたしは個性でみんなを傷つけたんだよ。みんなわたしを敵だと言うし、お父さんとお母さんもわたしを怖がって出て行った」

「・・・さっきだって、たまたま上手くいったから良かったけど、もしかしたらもっと怪我してたかもしれない」

「・・・わたしはみんなを傷つけるばかり、こんな個性じゃヒーローなんかなれないよ」

『・・・ボクの個性の話をしようか』

 

 黙って話を聞いていた13号は、ゆっくりと話し出した。

 

『僕の個性は"ブラックホール"、どんな物でも吸い込んで消してしまうんだ。一歩間違えたら、簡単に人を殺してしまう怖い個性だ』

「・・・」

『ボクも昔、個性の所為で人を傷付けてしまった事があるんだ』

「えっ・・・そうなの?」

『うん。でもね、ボクはこうしてヒーローに成れてる』

「・・・」

『人は誰でも失敗する。でも、それを反省して次に生かせば成長することが出来る。そうして諦めなければきっといつかはヒーローに成れる日が来るよ』

「・・・ほんとう?」

『うん、本当だよ!現にボクは成れてる』

「こんな個性でもなれる?」

『勿論さ!君の個性は災害救助にとても役立つよ!例えば山火事が起きた時とか、君の個性で酸素を消せば一瞬で火を消せるし、色々使い方を変えれば沢山の人を救うことが出来る!』

「ほんとう?」

『本当だよ。君の個性は誰かを傷付ける為じゃない、誰かを助ける為にある、素晴らしい個性だ!』

 

「・・・わたし、みんなの笑った顔が好き、みんなが笑っているのを見るのが好き・・・」

『うん』

「だから・・・わたし、ヒーローになりたい・・・」

『うん』

「・・・みんなを助けれる、13号みたいなやさしいヒーローになりたい・・・」

『きっと成れるよ、ボクが保証する』

 

 

 

「そう言った経緯で、現在彼女は定期的に13号とのカウンセリングと個性の訓練を受けています」

「成程、そんな事が・・・」

「彼女、9歳とは思えないほど個性の扱いが上手くなっていますよ。13号に依存気味なのが少々問題ですが、このまま行けば確実に次世代のトップヒーローに名を刻みますよ」

「そうか、それは楽しみだ!」

 

 そう言うと二人は病室に入って行った。

 

 

 

 それから数年後。

 

「雄英高校・・・此処が・・・」

 

 校門の前に一人の少女が立っている。ボサボサの赤髪に眠たそうな金色の瞳をした彼女は、自身の恩人が教師を務めているこの学校を見上げ、小さな笑みを見せる。

 後に、災害救助のプロフェッショナルとして人々から"13号の後継者"と呼び称えられ、敵からは"史上最凶のヒーローと恐れられる"真空ヒーロー・ハヴォック"の誕生である。

 

 

 

 

 

ヒーロー名「ハヴォック」

本名「葉朴真紅」

好きなもの 子供の笑顔 13号

嫌いなもの 人が傷つくこと

 個性の暴走により一度は諦めたヒーローを13号との出会いで再び志した。自身の個性の危険性を最も理解しており、個性の精密動作性はトップクラス。ヒーロー名は自身の苗字と、個性が大混乱(havoc)から助ける側にも起こす側にもなるという戒めを込めて付けた。13号のようなヒーローを目指しており、味方には優しいが敵には容赦がない。

 

個性「真空」

 任意の場所に真空を作り出すことが出来る。本人はそれによる変化を受けない(窒息したり引き寄せられたりしない)。真空を発生させる場所、範囲、時間、濃度を自由自在に操ることが出来、気圧の変化で物を引き寄せるだけではなく、空気を薄くすることで敵を窒息させたり圧力の変化で圧し潰したり、逆に膨張させて破裂させたりとかなりエグイ事もできる。効果範囲も掌から街全体とかなりの広範囲で発生させることが出来る。一歩間違えれば大惨事な個性だが、度重なる訓練により完璧にコントロールされている。

 

 

 

「アース・クェイク」

 この話の為だけに考えた敵。現在タルタロスに収容中。

個性「地震」

 足踏みで地震を発生させることが出来る。踏み込む強さで揺れの強さが変わる。

 

 




 こういう話を考えるのは初めてな上に苦手なので、上手く書けませんでした。他の人ならもっと良い話を作れると思います。
 13号とハヴォックは能力に似ている所があったのでこういう話を書きたくなりました。個性が強すぎると思うかもしれませんが、本編でも史上最低最悪の契約者と言われていたのでこの位いいかなと思いました。
 ハヴォックの真空は本編でもどんなことが出来るのかイマイチ分かりませんでしたが、部屋?の壁が崩壊している映像があったので部屋の外と中の圧力差で部屋ごとグシャッと出来ると思っています。
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