僕のヒーローアカデミア短編集   作:113(いちいちさん)

4 / 12
ゴランのヒーローアカデミア その4

 雄英高校2日目。

 午前中は必修科目である普通の授業が行われた。英語の授業担当はあのプレゼント・マイク先生だったが、入試の時とはうってかわって普通の授業だった。

 

 昼休み。呉蘭は耳郎と口田、ついでに上鳴の4人で食堂で昼食を食べていた。

 

「えぇ・・・」

「マジか・・・」

「(゚Д゚;)」

 

 呉蘭はざっと5人分はあるであろう料理を食べていた。

 

「・・・ん?どうした?」

「いや、よく食うなって思ってな」

「ああ、俺の個性はエネルギー消費が激しいんだ。で、子供の頃から個性を使っては食ってを繰り返してる内に胃腸の消化吸収速度が異様に早くなった」

「鍛えられたっつーことか?」

「そう言う事だな。そのお陰で動ける時間も増えた」

 

 午後の授業。ヒーロー基礎学。

 

「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!」

 

 教室にヒーローコスチュームを着たオールマイトがやってきた。

 

「オールマイトだ!」

「すげぇや、本当に先生やってるんだな!」

「アレ、シルバーエイジのコスチュームね」

「画風違いすぎて鳥肌が…!」

 

 ヒーロー基礎学の担当はオールマイトがするようだ。

 

「早速だが、今日はコレ!戦闘訓練!!そしてそいつに伴って・・・こちら!」

 

 そう言うと教室の壁がいきなりせり出してきて、1~21の番号が書かれたケースが現れた。

 

 

「入学前に送ってもらった個性届けと要望に沿ってあつらえた、戦闘服(コスチューム)!!」

「「「「おおー!!」」」」

「着替えたら順次、グラウンドβ(ベータ)に集まるんだ!」

「「「「はーい!」」」」

 

 各自、コスチュームに着替えてグラウンドβに集合した。

 

「格好から入るってのも大切な事だぜ少年少女。自覚するのだ、今日から自分は・・・ヒーローなんだと!!」

 

 全身を覆う鎧のような者や、一見私服のような者、色々と大丈夫なのかと心配になる者、と各々特徴的なコスチュームを着ている。

 

「カッコイイぜ!さあ始めようか!有精卵ども!!

 

 戦闘訓練の内容は「"(ヴィラン)組"と"ヒーロー組"の2対2のコンビによる屋内戦」であり、状況設定は、「敵がアジトの何所かに核兵器を隠しており、ヒーローはそれを処理しようとしている」との事。

 勝敗については「ヒーロー側は敵を捕獲するか、核兵器を回収すること。敵側は制限時間まで核兵器を守るか、ヒーローを捕獲すること」で、核兵器の回収はタッチする事、相手の捕獲は"捕縛テープ"を相手に巻き付けるとの事。

 チーム決めはくじ引きで行い、1チームだけ3人になる所があるのでそこにはハンデを付けるとの事。

 

 呉蘭は、尾白猿夫(おじろましらお)葉隠透(はがくれとおる)の3人で「Iチーム」となった。

 

 1回戦目は

 ヒーロー側 Aチーム 緑谷出久・麗日お茶子

 敵側 Dチーム 爆豪勝己・飯田天哉

 となった。

 

 

「呉蘭のコスチュームってそんな感じなんだ」

 

 訓練場に移動中、耳郎が話しかけてきた。

 呉蘭のコスチュームは暗い緑色の学ランのようなコートにブーツと手袋、視界を広く保つために前半分ほどがガラス張りのヘルメット、ハンバーガーのマークが書かれた袋である。

 コートとズボン、手袋は防弾・防切・防水繊維で作られており、ヘルメットのバイザーは特殊強化ガラスで対物ライフルの直撃にも耐えるらしい。ブーツは雪上でも走れるように靴底に強力な滑り止めが施されている。

 ビニール袋のような物は防弾・防切・防水素材で作られており、袋の口は密封されるようになっているが、手を入れたり物を取り出すときは広がるよう無駄に高度な技術が使われている。ちなみにコスチュームの要望欄にはこの袋の事を一番詳しく書いていた。

 その他にサポートアイテムとしてスタンガンと伸縮する警棒を携帯している。

 

「というか、やっぱりその袋は持ってるんだ」

「ああ、こいつは俺にとってヘルメットと同じくらい重要な物だ」

「でもやっぱり邪魔じゃないその袋。ていうか栄養補給するならハンバーガーじゃなくてもよくない?栄養バーとか」

「安心しろ、ちゃんと持ってる」

 

そう言うと呉蘭はコートの裏地を見せるように捲った。するとそこにはまるで拳銃の予備弾倉の様に栄養バーが刺さっていた」

 

「いやそれなら余計その袋要らないじゃん」

「いや、要る」

「何で?」

「ハンバーガーを食いたいからだ」

「・・・」

 

 1回戦目はAチームの勝利となったが、試合内容は壮絶なものだった。訓練場となったビルの壁や天井には大穴が空き、緑谷と麗日は個性の反動によりダウン。特に緑谷の怪我が酷く直にリカバリーガールの下に送られた。

 

 2回戦目は

 ヒーロー側 Bチーム 轟焦凍(とどろきしょうと)障子目蔵(しょうじめぞう)

 敵側 Iチーム 呉蘭有様・尾白猿夫・葉隠透

 となった。

 敵側にはハンデとして「核の配置は最上階に固定・通信機は使えない・一部屋に3人集まらない」の三つが適用される。

 

 訓練開始5分前、3人は最上階で作戦会議を始めた。

 

「とりあえず自己紹介をしよう。俺は呉蘭有様、個性は高速移動だ」

「俺は尾白猿夫、個性は"尻尾"だよ」

「私は葉隠透!個性は見ての通り"透明"!見えないけど!」

「よし分かった。とりあえず俺が考えた作戦を説明しようと思うけど、いいかな?」

「俺は大丈夫」

「私も!」

「じゃあ説明するよ。俺と葉隠が捕獲に向かう、尾白は核の護衛をしてくれ。とりあえずは時間切れを狙って、可能なら捕獲。轟は個性把握テストを見る限り氷を操る個性みたいだから、それに太刀打ちできそうな俺が囮になる。葉隠は様子を見てチャンスが来たらテープで捕獲してくれ。障子の個性はよく分らんが、律儀に二人で来るんだったら俺達が、もし別行動して抜けられたら尾白が相手してくれ」

「分かったけどさ、呉蘭くんの個性なら一人で瞬殺できるんじゃないの?」

「確かに、あの速さなら二人に何もさせずに勝つ事も簡単なんじゃないのか?」

「そういえば二人には話してなかったな、俺の個性は自分でも強いと思うが実はそれ程万能じゃないんだ」

「どういう事?」

「俺の個性は速く動いてるだけで別に物理を無視してる訳じゃ無い、だから急停止や直角に曲がるとかはできない(体の負担とか無視すればできなくはないが)。車は急には止まれないってやつだ。そう言う訳で俺は室内戦に向いてない。それに音速以上で走っている人間に殴られたら人はどうなる?」

「「あっ」」

「間違いなく死ぬ。だから接触するには減速しなきゃいけない。その隙を逃すほど相手は甘くないと思うよ?特に轟とか」

「なるほど」

「だから二人の協力が必要不可欠な訳」

「分かった、それで行こう」

「うん!私頑張るよ!」

 

『それでは、屋内対人戦闘訓練!第二戦、スタート!!』

 

訓練開始の合図が行われた――――

 

ピキピキピキ・・・

 

――――その時

 

「ッ!!」

 

 建物全体が凍り付いた。

 

「うわっ!」

「キャッ!」

「悪い、緊急事態だったんで勘弁してくれ」

 

 足元が凍り付く瞬間、呉蘭は個性を使い二人を抱えてジャンプした。

 

「ああ、俺は大丈夫」

「私も、一瞬お腹がフワッとしたけど」

「ならよかった。しかし予想外の個性の強さだな」

 

モニタールーム。オールマイトと生徒たちは寒さに震えながら訓練の様子を見ていた。

 

「最強じゃねぇか!」

「轟すっげー!これもう終わったんじゃねーの?」

「いや、よく見ろ」

「マジか、あれを躱したのか!」

「足元が凍り付く寸前に、呉蘭さんの個性で躱したようですね」

「てことは呉蘭のヤロー、葉隠の裸体を触ったってことか!う゛ら゛や゛ま゛し゛い゛!!」

「仲間を巻き込まず、核兵器にもダメージを与えず、尚且つ敵も弱体化!呉蘭少年が居なければ、ここで勝負が着いていたかもね!」

「しかし、敵側の方が圧倒的に不利な状況だという事は変わりませんわ」

「(さあどうする少年少女。ここからが本番だぞ!)」

 

 

「二人共、作戦変更だ。俺一人で行く、二人は核を守ってくれ」

「どうして?」

「轟の個性が予想よりも強力だ、それにこの状況じゃ今の葉隠の恰好じゃキツイだろ」

「確かに・・・寒い!」

「恐らく轟は単独行動だ。これだけ強力な個性だと味方も巻き込みかねないからな。俺が轟の足止めをするからお前達は障子の相手をしてくれ」

「分かった」

「後は同じで時間切れを狙っていく。出来れば捕獲したかったが、今の状況じゃリスクが大きすぎる」

 

 凍り付いた建物の中を、轟は一人歩いていた。

 今回の試合、最も警戒する相手は呉蘭だと考えている。葉隠の個性は障子の個性"複製腕"で耳を複製し聴覚を強化すれば対応可能、尾白は近距離タイプの個性であり、近づけさせなければ脅威ではない。しかし呉蘭の高速移動は二人にとって脅威だ。

 彼のスピードは個性把握テストの時に見ている。正直に言うとあの速さには轟でさえ反応できない。しかし、あの速度で人と接触すればどうなるかわからないほど馬鹿ではない。相手は確実に減速する、それならギリギリ反応する事も可能だろう。また、轟は50m走の際、呉蘭がブレーキを掛けつつ減速している所を見ていた。そこから考えるに、急停止や急激な方向転換はできない、もしくはそれなりのリスクがあると考えられる。そして持久走の際、個性を温存していた所を見るに持久戦は苦手と考えられる。

 

「(それなら、幾らでもやりようがある)」

 

 そう考えつつ4階への階段までの通路に差し掛かった時。

 

「そこまでだヒーロー」

 

 通路の真ん中にハンバーガーを食べ終わった呉蘭が立っていた。

 

「一緒に来てもらおうか。大人しくするならこいつを分けてもいい」

「時間稼ぎしようってのが丸分かりだぞ。まあいい、お前には避けられると思っていたが、他の仲間はどうした?」

「さあ、どうしたんだろうな?」

「(障子、尾白と葉隠の様子はどうなってる?)」

 

 轟は通信機で障子に確認をした。

 

『最上階に二人分の呼吸音が聞こえる。足音もしている事を見るにどうやら二人共氷から逃れたようだ』

「(せめて二人には行動不能になってもらいたかったんだが、仕方がねぇ。外から直接乗り込んでくれねぇか)」

『分かった』

「話は終わったか?」

「ああ、待たせたな」

 

 そう言うや否や右足から氷を生み出し呉蘭へ向けて攻撃した。しかし、それを呉蘭は軽々と躱した。そしてそのまま轟の背後に回り込み捕縛テープを巻こうとした瞬間。

 

「痛って!」

 

 氷の壁に阻まれた。

 

「やっぱりそう来たか。かなりギリギリだったが、どう動くかが分かってりゃあ何とかなるもんだな」

「そう簡単に捕まってはくれないか」

 

 呉蘭はそう言いつつ氷に捕まる前に個性を使って離れた。

 

 最上階。尾白と葉隠は核の前で待機していた。

 

「尾白くん私ちょっと本気出すわ。寒いけど手袋もブーツも脱ぐわ」

「う、うん・・・(葉隠さん、透明人間としては正しい選択だけど、女の子としてはやばいぞ、倫理的に」

「はっ!見ちゃ駄目だからね?」

「いや見えないし・・・ッ!!」

 

 その時、窓の一つが突然開き、そこから障子が現れた。

 

「マジか!障子君って飛べたのか!」

「ん?尾白一人・・・いや、葉隠もいるな」

「嘘!私ばれてる!」

「あの耳・・・そうか!音で探知してるのか!」

「位置が分かるとしてもニ対一ではこちらが不利か。なら、回収させてもらうぞ!」

 

 二人を捕獲するよりも核を回収した方が合理的と判断し飛び出す・・・しかし。

 

「あまり甘く見ないでほしいね!」

「おりゃー!!」

 

 尾白が行く手を阻み、その後ろから捕縛テープを構えた葉隠が飛びついてくる。

 障子も6本の腕で対抗するが尾白は尻尾でそれを払い、葉隠も意外と高い身体能力でそれを躱す。

 

「なかなかやるな」

「伊達に鍛えてる訳じゃ無いからね!」

「私だって!こう見えて脱ぐと凄いんだからね!見えないけど!」

 

 3階通路。そこには至る所に氷の塊ができており、戦いの激しさがよく分かる。そしてその壁際には足を凍らされた呉蘭と、白い息を吐き、体の半分に霜を降らせた轟がいた。

 

「やっぱりこうなっちまったか。まだまだ対人経験が足りなかったな」

「いや、実戦なら間違いなく俺がやられてた。本当なら最初の一撃で俺を殺せた筈だしな」

 

 轟の言う通り、これが訓練ではなく本当の殺し合いだったなら何もできずに一瞬で死んでいたのである。

 

「(しかし予想以上に手間取っちまった。彼奴の動きに集中するあまり、障子からの無線も聞きそびれちまったしな。)」

 

 そう、二人が戦ってる最中に一度、障子から連絡が来ていたのだ。しかし、呉蘭の攻撃が激しく聞いてる暇がなかったのだ。

 

「まあいい、取り合えずこの勝負は俺の勝ちだな」

「いや、君の負けだよ」

「何言ってんだ、この状況で・・・何!」

 

 何と、轟の右腕には捕縛テープが巻き付けられていた。

 

「まさか、いつの間に!(確かに寒さで右腕の感覚が鈍くなってるとはいえ、今まで気づかない訳・・・)」

「俺じゃないよ、ほら」

「ふっふーん。私です!」

「まさか葉隠!どうして此処に、障子からは何の連絡も・・・まさかあの時か!」

「後は障子くんだけだね!よーし、反撃開始!」

 

 とその時

 

『ヒーローチーム、WIN!』

 

「あ・・・」

「ええっ!これからなのに!」

 

 モニタールーム。

 

「ごめん二人共、守り切れなかった。葉隠さんにも『ここは俺に任せて先に行け!』なんてカッコいい事言っておいて、結局負けちゃって・・・」

「いや、俺達はよくやれた方だ」

「そうだよ!そのお陰で轟くんを捕まえる事が出来たんだし!」

「二人共、ありがとう」

 

「すまない轟、回収に時間が掛かった上に葉隠に逃げられた」

「いや、俺の方も油断していた。俺達は結局、相手を舐めてたんだ」

 

「さて!両チームともよく頑張った!皆良い働きをしてたけど、その中でも今回のMVPは誰かな?分かる人!」

「はい!オールマイト先生、やはり轟さんと呉蘭さんの二人だと思います」

「どうしてかな?」

「轟さんは先生も仰った様に、仲間を巻き込まず、核兵器にもダメージを与えずに敵を弱体化させる強力な個性を持っており、もしも呉蘭さんが居なかったらそこで終わっていました。それに高速で動き回る呉蘭さんを先を読んだ計算された動きで追い詰めたりと、戦闘面で高い実力を持っていました。呉蘭さんは敵味方の個性の相性を考え瞬時に作戦を考える思考力、咄嗟に仲間を抱え氷を回避する判断力、自身の個性の性質を知り、不利な状況でも優位に立ち続けた戦闘力、どれを取ってもIチームの中で最も優れていたと思います」

「う、うん。その通りだな!(また思ってたよりも言われちゃった)だが!他の三人も自分のできる最大限の方法でチームに貢献した!皆、素晴らしい働きだったよ!」

 

「「「「「有難うございます!」」」」」

 

「よし!それでは第3回戦の準備を始めよう!」

 

 こうして訓練は進んでいった。

 

「お疲れさん!緑谷少年以外は大きな怪我も無し!しかし真摯に取り組んだ!初めての訓練にしちゃ皆、上出来だったぜ!それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば。着替えて教室にお戻り!」

 

 訓練終了後、オールマイトはそう言って凄まじいスピードで走って行った。その後、放課後に皆で訓練の反省会を行うことになり呉蘭も参加した。

 

「呉蘭って分かりやすい弱点とかあるの?」

「雨だ。昔、雨の日に個性を使って酷い目にあった」

「「「「(うわぁ・・・考えたくねぇ・・・)」」」」

 

 途中、保健室から帰ってきた緑谷が先に帰った爆豪の後を追って行ったりしたが、反省会は問題なく終わった。

 こうして波瀾万丈な入学2日目は無事?に終わったのである。

 

 

 

 

 




自分は余り戦闘描写を考えるのが得意ではないので、こう言う話の内容になってしまいました。二次創作で戦闘シーンを書いている人達は本当に凄いんだなと改めて思いました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。