僕のヒーローアカデミア短編集   作:113(いちいちさん)

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ゴランのヒーローアカデミア その7

 ピッ・・ピッ・・ピッ・・

 

「・・・・んぅ・・・ん?」

 

 心電図の音だけが聞こえる中、顔全体に包帯を巻き人工呼吸器を着けた呉蘭は目を覚ました。

 そのまま目だけで周りの様子を窺っていると、偶然部屋に入って来た看護婦と目が合った。するとその看護婦は驚いた顔をして急ぎ足で部屋から出て行った。

 暫くすると、白衣を着た医者と思われる男がやってきて色々と質問された。

 

「貴方の名前は、分かりますか?」

「・・・呉蘭有様」

「貴方の通っている学校は?」

「・・・雄英高校」

 

 その後、幾つか質問をされ、それに答えると医者はホッとしたような顔をして「脳に異常はないみたいだね」と言いながら何かの書類を書いていた。

 話によると、自分は3日間昏睡状態だったらしい。体を動かしずらいのもその所為であって運動神経にも特に異常は無いらしい。

 その後、雄英からリカバリーガールが呼ばれ、彼女の治癒により大体の処置は済んだ。この後はもう1日様子を見て問題無い様なら退院し、残りの怪我は学校に通いつつリカバリーガールに治して貰う事となった。

 

「体の傷はリカバリーガールのお陰で殆ど無くなるだろう。しかし、一つだけ問題があってね」

「問題?」

「顔面の怪我が特に酷くてね、鼻筋の辺りに大きな傷が出来てしまっているんだ。そればっかりはリカバリーガールの力でも完全に消すことが出来ず傷跡が残るそうだ」

「そうですか」

「本当にすまないね」

「いえ、別に大丈夫です。女性の様に顔の傷を気にする訳ではありませんし、幼少期から怪我してばかりだったので逆に今まで傷が残らなかったのが不思議な位です」

 

 とは言ったものの、顔のような目立つ場所に傷があるのはヒーローとしてあまりよろしくない。敵っぽく見えるし、子供に怖がられるかもしれない。テープでも貼っておくか。

 

 翌日。リハビリ後に病室で休んでいると相澤先生とオールマイトがやって来た。相澤先生は右腕にギプスを付け、頭に包帯を巻いていた。大丈夫なのか聞くと、リカバリーガールの処置が大げさなだけで問題ないと言われた。

 

「何度も言うように、自身との格の違いを感じたら戦闘より撤退を優先しろ。そもそも学生が戦闘すること自体が間違いで・・・」

 

 相澤先生からその後の話を聞いた後、呉蘭は説教されていた。

 

「お前は他の生徒よりも冷静な判断力を持っているが、偶に抜けてる時がある。自分の個性に自信を持つことは大切だが、自信過剰は禁物だ。今回だって結局負けてたんだからな」

「相澤君、もうその辺で・・・」

 

 さすがに哀れと思ったのか、オールマイトが止めに入る。

 

「・・・ゴホン・・・まあ、そのお陰で俺もこの程度の怪我で済んでいる訳だしこの位にしとくが、これからは無茶をするなよ」

「はい、分かりました」

「教師としては以上だが、俺個人としては礼を言う。ありがとな」

「さて、次は私だな・・・突然だが呉蘭少年、今回は本当にすまなかった!!」

 

 そう言うとオールマイトは呉蘭に向けて頭を下げた。

 

「どうしたんですかいきなり」

「あの場には本当なら私がいる筈だったんだ。しかし、私の勝手な都合で到着が遅れてしまった。私が最初から居れば、君が怪我を負う事は無かったかもしれない!」

「いえ、オールマイトが謝る事はありません。相澤先生が言った通り、個性の力を過信して返り討ちにあっただけです。俺の自業自得ですよ」

「いや、しかし・・・」

「いやいや・・・」

 

 №1ヒーローに頭を下げられると逆にこちらが恐縮してしまうのでとりあえず止めてもらい、どちらが悪い、悪くないと口論になりつつも無理やり納得してもらった。

 その後、検査も終わり退院許可が下りた為、明日からまた学校に通えることになった。相澤先生から、明日の放課後にリカバリーガールの治療を受けるように言い渡された後、タクシーで自宅に送ってもらった。

 

 翌日。呉蘭は頭に包帯を巻き、右手には松葉杖、左手にはハンバーガーという格好で教室に向かっていた。途中、すれ違った他クラスの生徒に驚いた顔をされたが無視して教室に向かった。

 

 ガララ・・・

 

「「「「呉蘭(君/さん)!!」」」」

 

 教室に入ると既に呉蘭以外全員登校しており、一斉に名前を呼ばれた。

 

「おはよう、皆早いな」

「昨日相澤先生から、呉蘭君が退院すると聞いて皆で早く来て待っていたんだ!傷はもう大丈夫なのか?」

 

 呉蘭が疑問に思っていたことを言うと、飯田がそう言いながら席を立ち歩いてきた。そしてそれに続いて数人が近づいてきた。

 

「呉蘭、その足大丈夫なの?」

「(・_・;)」

「ああ、もうほとんど治ってる。松葉杖も後1、2日で要らなくなる」

「そっかー!よかったー!」

「呉蘭の個性は足が命だからなぁ」

「ケロ、頭の傷は大丈夫なの?」

「ああ、医者とリカバリーガールのお陰でこっちも2、3日で完治するらしい」

「そう、よかったわ」

「ごめん、呉蘭君。君が戦ってる時、俺はただ見てることしか出来なかった」

「いや、謝る事じゃない。俺が勝手に突っ込んだだけだ。それに脳無相手じゃ多分あの場にいた誰も相手になれなかっただろうからな」

「でも、その所為で君は怪我を・・・」

「この怪我も自業自得だ。速度じゃ負けて無かったんだから、あの場で反撃せずに時間稼ぎをすれば怪我をしなくてもよかっただろうしな」

「ケッ・・・あのスピードで負けてんじゃねぇよ・・・」

「かっちゃんが珍しく心配してる!?・・・」

「うるせぇぞデク!!しとらんわ!!」

「皆!朝のHRがもうすぐ始まる!私語を謹んで席に着け!!」

 

 耳郎達と(爆豪と緑谷も何やら言い合っていたが)話していると、飯田がそう言ったので皆席に戻って行った。

 

「あのさぁ、こう言うのは不謹慎だと思うけどさ。その鼻のテープ凄い似合ってるね」

「そうか?実は俺もそう思ってたんだ」

 

 戻る途中、耳郎にそう言われた。実際自分でも鏡を見て似合ってるなと思った。幼少期からよく怪我をしていたので鼻にテープを貼ることは多かったのだが、まるで生まれた時から貼ってあった様に妙にしっくりくる。

 

「皆席に着いているな」

 

 暫くして相澤先生が入って来た。頭に包帯をし、右手にギプスをした姿は痛々しいが本人は気にしていない。

 

「いきなりだが、()()()()()()()()()()()

「戦い?」

「まさか・・・」

「まだ敵が!?」

 

雄英体育祭が迫ってる」

「「「「クソ学校っぽいのキター!!!」」」」

 

 意味深に溜めたと思ったら、体育祭の話だった。

 

「敵に侵入されたばっかなのに、体育祭なんかやって大丈夫なんですか?」

「また襲撃されたりなんかしたら・・・」

「逆に開催することで、雄英の警備危機管理体制が磐石だと示すって考えらしい。警備も例年の5倍に強化するそうだ。何よりうちの体育祭は最大のチャンス、敵ごときで中止して良い催しじゃねぇ」

 

 話によると、雄英体育祭はオリンピックを超えるビッグイベントであり、全国のヒーロー達がスカウト目的で見に来るらしい。そこで名のあるヒーローに見込まれれば、その場で将来が拓けるチャンスらしい。

 

「年に一回、計三回だけのチャンス、ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ。その気があるなら準備を怠るな!」

「「「「はい!!」」」」

 

放課後。何故かA組の教室前に人だかりが出来ていた。

 

「な、何事だぁ!?」

「何だよ出れねぇじゃん!何しに来たんだよ!」

「敵情視察だろザコ。敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな、体育祭の前に見ときてぇんだろう」

 

 そう言いつつ爆豪は帰る為に人だかりに向かって歩いて行った。

 

「そんな事したって意味ねぇから、除けモブ共」

「知らない人の事とりあえずモブって言うの止めなよ!」

「噂のA組、どんなもんかと見に来たが随分と偉そうだよなぁ」

 

 爆豪の言葉に飯田が注意をしていると、紫髪で目に隈がある男子生徒がそう言いながら近づいて来た。

 

「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

「ァア?」

「こういうの見ちゃうと幻滅するなぁ。普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴結構いるんだ、知ってた?」

「・・・」

「そんな俺らにも学校側はチャンスを残してくれてる。体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ。

「「「「!?」」」」

「敵情視察?少なくとも俺は、いくらヒーロー科とはいえ調子に乗ってっと足下ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しにきたつもり」

 

 彼はそう言ってクラス全体を見渡すと、ふと呉蘭と目が合った。呉蘭はその顔を見て、そいえば入試試験の時に会った事あるなと思い軽く手を上げて挨拶した。

 

「よお、久しぶり」

「あ、アンタは・・・」

「おうおう!隣のB組のもんだけどよぉ!敵と戦ったっつーから話聞こうと思ったんだがよぉ!エラく調子づいちゃってんなぁオイ!!」

 

 すると突然、B組を名乗る男子生徒が大声を出しながらやって来た。そして爆豪はそれを無視して歩き出した。

 

「無視かてめぇ!!」

「待てコラ爆豪、どうしてくれんだ!おめぇの所為でヘイト集まりまくってんじゃねーか!」

「・・・関係ねぇよ」

「ハァ?」

「上にあがりゃ関係ねぇ」

 

 そう言って爆豪は帰って行った。

 

「くぅー、シンプルで男らしいじゃねぇか!」

「へぇ!?」

 

 クラスが微妙な空気になる中、呉蘭も保健室に向かうため歩き出した。すると、爆豪とは別の意味で注目された。呉蘭が「保健室に行きたいんで、通してくれますか」と言うと皆一斉に壁際に寄り道を開けた。

 

「アンタ、怪我したのか・・・」

 

 すると、先程の紫髪の少年が話しかけてきた。

 

「ああ、ちょっとな。そういえば名乗ってなかったな、俺は呉蘭有様だ。よろしく」

「俺は、心操・・・心操人使(しんそうひとし) だ」

「それじゃあ。お互い体育祭頑張ろうな」

「・・・ああ」

 

 そう言って呉蘭は保健室に向かって行った。そして、2週間後の体育祭に向けて各々準備を始めるのであった。

 

 

 




 初めてアニメで心操君を見た時の第一印象がゴランでした。
 プロローグ以外で描写がありませんでしたが、今まで呉蘭は鼻のテープを貼っていませんでした。これ以降は本家のゴランと同じでテープを貼ったままになります。
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