ヘイローナイツ    作:漬けまぐろ

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9千文字ちょっと、少し物足りないかもですがお許し下さいドクター博士


    \ウワー/



HALO側の武器などのデザイン・モーションは

YouTubeより『HALO 5: All guns shown』をご覧下さい


─ 巨星始動 ─

 

 

 

 ─ UNSCインフィニティ ─

 

 

 「それは本当かローランド」

 

 

艦長室からラスキーの驚愕の声が発せられる、その発端はローランドが『艦長、ブルーチームがこの星にいるようです、スパルタンⅡ用の秘匿信号を確認しました』と言い出した事だ

 

 

 「なぜチーフが?チームという事は他3名もいるということだろう?そもそもブルーチームはファイアチーム・オシリスと行動していたはずだ、それが何故この星に?」

 

 「さぁ?私に聞かれましても。ですが惑星サンヘリオスからマスターチーフ達が転移した──と考えれば他の誰かもこの星に来ている可能性があるという事ですな」

 

 

今言える事はUNSCにとって唯一無二の最高戦力の1つであるブルーチームとの交信が今後最優先されるという事になるだろう、だが何故いるとわかっているのにこちらから交信ができないのだろうか?

 

ラスキーはローランドにその疑問をぶつけてみることにした

 

 

 「全くもって見当もつきませんよ、確かに少し前までブルーチームは無許可離隊で追われる身でしたがこの状況下で今更そんな事が理由で通信を拒むなんてマスターチーフがするとでも?艦長も良くお分かりでしょう」

 

 「なら何かしらの理由で通信が出来ないということか?あの街に見えるモヤのような霧か?」

 

 「恐らくは」

 

 

どうにも身動きが上手く取れずもどかしい、できることなら無人誘導でペリカン輸送機を送り込みブルーチームを回収したいがUNSCの光域通信ですら遮るあの忌まわしい霧をどうにかしなければならない

 

 

 「そんな艦長に良い知らせです、あの霧は外側からの信号を遮りますが中にいる限りにおいて通信機器は外側にもある程度送信が可能なようです。現に()()()0()5()8()からインフィニティに火力支援と脱出用のペリカン3機を要請しています、ご丁寧に現在の座標と目的地の座標まで。私が察するにあの霧は外側と内側で周波数が異なる磁場の境目に当たるというヤツですな、面倒なので《電波障害》と言っときましょう」

 

 「そうか・・・何故最初に言わないのかは後程問うとしてブルーチームがあの街にいるという証拠は?」

 

 「ブルーチームはあの霧の中で()()()()()()()()()という勢力と連携を取り現在も敵性勢力と交戦状態にあるからです」

 

 

一体どういう事だ

ロドス・アイランド?そんな話今までしていなかったじゃないか!ローランドはしれっと言うがそれが原因で全く持って良くない方向へ向かうこともあり得る

 

だがブルーチームならある程度コミュニケーション能力がある()()()()()()1()0()4()もいる事もありそこまで酷いことにはなっていないだろうと杞憂にしておく事にする

 

 

 「ならすぐに歩兵火器弾薬を満載したガンシップ装備のペリカン3機を向かわせろ、なんとしてでもチーフとブルーチームを連れ戻すんだ」

 

 「電波障害については?」

 

 「有人誘導ならその周波数を適切に変更し通過できる可能性がある、操縦士は《Mk-Ⅵ GenⅡパイロット型アーマー》の熟練者、通信士は電子機器に明るいスパルタンⅣにさせろ」

 

 

ラスキーから強引な命令をされたローランドはため息をつきながら「了解しました」と答える、ラスキーがムキになり声を荒げる理由は過去にマスターチーフに2度も命を救われた件が由来だ

 

1度目は士官候補生時代、ラスキーがまだ10代の頃にUNSC海軍士官候補性養成学校に在学中だったラスキー含め数百万人が在星していた人類の内()()()1()()()()()()()()()の1人として救出された件*1

 

2度目は人工惑星レクイエム脱出後、ウル・ダイダクトの進行を食い止めた地球衛星軌道ライン防衛戦にてチーフが居なければ間違いなく地球はダイダクトによって全ての知的生命体がコンポーザーによりデータ化されていた件

 

ラスキー自体もインフィニティにダイダクトの手先が侵入してきた際にはショットガン片手に身長3mに届く《プロメシアン・ナイト》に対して拳で挑み怯んだ隙をショットガンの接射というアグレッシブかつ向こう見ずな行動を取った一面もある

 

マスターチーフの期待に応えんばかりにラスキーはチーフが求めれば与え、チーフが進言すればU()N()S()C()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の進言と同等の価値があると信じ配下にチーフの提案を厳命させてきた、彼に対する忠誠は留まる事を知らない

 

マスターチーフとは日本語でマスター(M)チーフ(C)ペティー(P)オフィサー(O)と言う階級であり極東の島国での名を『最先任上級兵曹長』という戦場においては絶対的な発言権と実績を持ち合わせる十数億人という最大規模時のUNSCでも片手で数えられる程度の人数しか存在しない階級だ

 

スパルタンⅡという戦場の叩き上げエリートであると同時にその階級もありチーフの一言は所属艦艦長の言葉と同じ《現場を知りつくす者》として貴重なものとなっている

 

それを無視した結果地球にダイダクトが攻め入りインフィニティ初代艦長《アンドリュー・デル・リオ》は佐官の階級だというにも関わらず意図も簡単にフッド卿に左遷を言い渡され『チーフを頼むぞ。』とラスキーをインフィニティ2代目艦長として着任させる珍事も過去にあった

 

フッド卿もチーフに絶対的な信頼を持つ人物として有名で直属の部下にチーフの武勇伝を日頃から語っている

 

UNSCの現場兵士ならば誰もが口を揃えて『英雄』『守護神』と称されるマスターチーフは()()()()()として宗教の壁も惑星の壁すら越えた圧倒的なカリスマ性を持っていた

 

 

 「失礼します艦長、各種動力メンテナンスクルーから復旧完了との報です、そして問題が1つ・・・ショウ・フジカワ光速機関*2の大部分が破損しており修復にはかなりの資材と人員が必要です」

 

 

 「ふむ・・・全損よりはマシと捉えよう、諸君!機関始動だ!インフィニティ海抜せよ!ブルーチームの探索と収用を第一とし発艦したペリカンも引き続きチーフの捜索に当たれ!ローランドはSFFTLエンジン修復に必要な材料をリストアップしこの星の資材に互換性があるか調査しろ」

 

 「イエス・サー!!」

 

 「了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「──チーフ、今度は私が貴方を守る番です」

 

 

人類の産み出した巨人の心臓に火が灯される

 

歩む先に待ち構えるは鬼が出るか蛇が出るかの2本道、どちらに進んでも録なことにはならない

 

むしろ異星人(人類)の介入によってテラに破滅が待ち構えるやもしれない

 

しかし指を加えて一部始終を眺めているだけでは何も解決しない、UNSCの翼を広げる大鷲の紋章に流れ星が記されているがこれは《宇宙》を意味するだけではない

 

『勇気』『未来』『止まる事のない進み続ける光』などの意味も含まれているが最も大きな意味を挙げるとすれば──そう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『希望の流星』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴

 

 

 

 

 

 

 

 ロドスの重装オペレーター2人の僅かな合間を白い尾を引いた弾丸が通り抜けレユニオンの狙撃兵の額中央に命中する

 

ロドスメンバーに危害が及ばないように弾丸を徹甲榴弾から高い貫徹力を発揮する14.5×114mm APFSDS弾に変更し狙撃兵に撃ち込む、貫通しても尚勢いは減衰すること無く狙撃兵を貫通し背後で移動していたレユニオン兵の脇腹から背骨を綺麗に貫いた

 

 

 「本当に移動都市の外の崖から弾尾が・・・」

 

 

秒速1530m/s(時速5508km/h)の槍が物体に衝突した際のエネルギー量は途方もない暴力を振るう

 

次に発射された侵徹体はレユニオン重装兵の盾に衝突すると盾とダーツのように尖った弾丸が塑性流動現象を発生させ容易く食い破り重装兵のヘルメットに侵入した所で速度を失い熱量で融解しばらけ散った弾丸で脳内を掻き回された

 

しかし戦車砲として使用されるAPFSDS弾とノルンファングで使用されるAPFSDS弾は《装甲を貫徹させる》原理は同じだが弾そのものの大きさは使用される火器に依存していた

 

UNSCで正式採用される《Chalybs(チャリーブス) Defense(ディフェンス) Solutions(ソリューション)》社製戦車こと《M820スコーピオン戦車》

M990電熱化学式150mm滑腔砲から発射される侵徹体は2500年代で更に牙を磨き正式採用された2557年で砲弾初速は推進材の加速も合わさり実に2450m/s(時速8820km/h)へ達し全長830mmの弾芯を使用し3900mmの特殊装甲を穿孔(せんこう)可能なのに対しノルンファングの侵徹体はわずか140mmと差は歴然である

 

使用している素材は《劣化ウラン》の物があるが最も戦車砲弾に適した高比重素材は《タンタル》か《イリジウム》である

 

タンタルはかなりのレアメタルであった過去の地球とは違い各植民地惑星で大量に採取されているため強い毒性を持つ劣化ウランは軍製品としては衰退を辿っており一般の銃火器には《鉛》《タングステン》が使用され戦車・狙撃銃・UNSC海軍艦での主砲(M.A.C.ガン)は《タングステン》《タンタル》がUNSCで更新され始めている

 

 

 『good night』

 

 

後方8kmからの白い尾を引いた死の射線にロドスのオペレーター達は舌を巻く、どれだけ長距離狙撃が得意なオペレーターでもボウガンや弓ではそもそも射程距離に限界がある

 

058から既に何度目かのキルコールが入り貫かれた重装兵以外の比較的軽いレユニオン兵は着弾の衝撃で3m程吹き飛ばされ廃ビルの窓ガラスを突き破り見えなくなった

 

それをドクターの周囲を囲み警護する指揮から今回に限り采配されずにいたオペレーター数人が会話している

 

 

 「うわっ・・・8km先からでもあの威力とはえげつないな」

 

 「なぁ、あれは《銃》ってやつだろう?」

 

 

テラにおいて銃は珍しい物ではあるが誰もが知らない物ではないサンクタも一部の者が愛用するしサンクタ以外の者も使用されることがある

 

例えば民間人、取り分け女性が比較的多く所持しているのが目撃されており利用目的の大半が《護身用》としている

 

セーフティを解除してトリガーに指を掛けて適当な当たり(狙い)を付けて指を絞る、手の忙しさならナイフと催涙スプレーもあるのだがテラと地球では正当防衛に対する認識が地球人とはかなり異なっている

 

地球では正当防衛の他に《過剰防衛》という『自身を守るためでも限度がある』──という法律があるがテラに於いてはそれが殆ど機能していない点が挙げられる

 

簡潔に言ってしまえば『手を出す方が悪い』という意味で地球の女性が知れば権利団体が喚き散らすこと請け合いだ

 

要は治安が極端に悪いのだ、地球で例えれば人類が外惑星のテラフォーミングに着手するよりも過去のデトロイトの大陸規模版といったところである故『犯罪者に近づかれる前に殺すから銃が一番』というのがテラの女性の護身事情となっている

 

もちろん治安が悪ければ逆に良い地域も存在するが長くなるので割愛する

 

 

 「サンクタとBSWが使う銃とは違うのか?」

 

 「知らねぇよ、レイジアン工業が《あんなの》作ったらそのうち俺達が使ってる《アーツ》も時代遅れになんのかな・・・」

 

 

後衛がそんなことをぼやいている最中にも戦況は目まぐるしく変化していた、スパルタンはいつの間にか役割が真逆に豹変し087は敵の目前まで潜り込みM45ショットガンを立て続けに放つ

 

屈強なコヴナント兵士にすら至近距離では恐れられる対人用バックショット弾はレユニオン術師が飼い慣らす《オリジムシ》に命中すると勢い良く弾け飛んだ

 

五臓六腑満開御礼(ごそうろっぷ まんかいおんれい)

 

ここに粋な極東生まれがいればそんな事を言い遠巻きで見ながら膝を叩いただろう、図体に似合わない後方宙返りをしつつショットガンの装填をする087は戦場の様子を右から左へと一瞬で流し見る

 

ドクターが定めた4つの通路は最後に1ヶ所に纏まり最終防衛ラインに繋がっておりスナイパーの058をカバーするようにロドスの重装オペレーターが2人と術師が援護をしている

 

最初こそビビり散らしていたものの数発の弾丸が100%の確率でレユニオン兵に吸い込まれるのを見ている内に幾つか気が付かされる事があった

 

 

 「なぁ!さっきから《あの狙撃手》!」

 

 「わぁ?!びっくりするからいきなり話しかけないでよぉ!」

 

 

盾を必死に構えながらレユニオン兵を押し戻す重装オペレーターの怒鳴り声に近い会話は《長すぎる袖が気になるゆらゆらした雰囲気の術師》の耳にも入っていた

 

 

 「俺達が『やべぇ!抜かれる!』って思った時にはその狙撃手がぶっ倒してんだ!着弾するまで数秒は掛かるだろうにそれを先読みして当てるなんざ世の中にはすげぇヤツもいるモンだなァ!」

 

 「えー?!何言ってるのか聞こえないよー!!」

 

 

特徴的なマスクを被った《一本角》が生えた声を挙げる男性重装オペレーターとその言葉が鈍器や刃物がシールドに当たる音で遮られ曖昧にしか耳に届かずイマイチ理解できてない《スキーゴーグル》を額に当てた白いシャツを着たペッローの重装オペレーター、その耳自体は案外飾りに近い物なのかもしれない

 

 『カキュンッ』

 

遥か後方から侵徹体が飛来し、それはペッローの女性重装オペレーターのシールドを僅に掠るとレユニオン兵の喉仏に吸い込まれるように命中した

 

 

 「ひゃぁ!!弾が盾を掠めた!!」

 

 「あぶねぇ!盾の破片が目の前掠めたぞ!前言撤回だ!あの()()狂ってやがる!!」

 

 

グルグル回るドリルのような手の平返しの後、ついに堪忍袋の緒が切れた男性重装員、100%の命中率を誇る最強のスナイパーだとしてもやっても良い事と悪い事があると逆上する

 

8kmも離れていてはこちら(ロドス)の動きによっては友軍に直撃してしまう事もあろう、だが長年スナイパーを勤める058は誤射は彼女のスナイパー人生において一度も発生したことはない

 

最後の1人を叩き伏せシールドの端っこを抉り取られた持ち主はちょっと泣きそうな顔をしてスコープに写るように何かを訴えかけていた

 

盾自体の材質は一般的にはポリカーボネートやアクリル有機ガラス、鉄などが使用されているがUNSCでは装甲服自体が《ミョルニルアーマー》という防弾・防刃・対熱・対冷・ガス・放射線耐性などありとあらゆる耐久力を持つ素材となっておりリチャージ式の高出力アーマーシールドが備わっている事もありUNSC歩兵装備では物体シールドは設置式機関銃の銃手の防護や防衛線の守りに使用されるチタニウム合金製の限定的な物しかない

 

一部例外として戦闘車両があるがそれは後述する

 

UNSCにシールドが無いわけではなくアーマーアビリティとして薄い青色の硬貨フォトン式《ライトシールド》、手榴弾型の小型デバイスを地面に叩き付けてハニカム状の透明に近い黄色の壁を展開する《バブルシールド》などの光学式シールドか主流となりスパルタン達はそれらを用途に合わせ使用するのだ

 

気になる点はテラの各元素が地球の元素と元素が相反する可能性である

 

 

 「・・・あの子、ご立腹なのかしら?」

 

 

058はそこまで考えて先程放った弾丸が彼女のシールドに掠めたことを思い出した、そんなに怒ることではないのでは?

 

しかしテラでは装備品を大切にする者は多い、資源が限られてるからか、はたまた高級品だからか──そういった意味合いではSPARTAN-Ⅱも少し親近感を感じるところがある

 

SPARTAN-Ⅳのアーマーは都市部に豪邸を幾つか建てる位の値がかかるがSPARTAN-Ⅱのアーマーは宇宙戦艦一隻に相当する費用が掛けられている、しばらく前に彼らのアーマーも《ミョルニルアーマー Mk-Ⅵ GenⅠ》に更新されUNSC経理部署がてんてこ舞いにになり海軍情報局(Office of Naval Intelligence)がほくそ笑むようになってから久しくなった

 

 

 「後で謝らなきゃね」

 

 

そんな申し訳程度な事を言うがフルフェイスヘルメットを被る058の表情は何ら変わり無い無表情であった

 

一頻りぶつくさと孤高の狙撃手に文句を垂れ流した後に《ノイルホーン》《カーディ》《ドゥリン》の3名はドクターからの指示で移動するとそこは激戦区の真っ只中、まさに鉄火場のような熱気に包まれていた

 

熱気というのも気迫や気合いなどの精神的な話しではなく物理的な温度のことを比喩した状況にある、赤熱化した鉄柱と焼かれ、燻されたような惨事にカーディは思わず鼻を摘まむ

 

その瞬間直ぐ側の通りを横切るように()()()()が瞬間的に映し出された

 

光線の直撃を受けた重装兵と数名の兵士及び暴徒を貫通し廃墟に着弾したところで光線は消滅、赤熱が()()()()()()は文字通り()()し、装甲や衣服などは大半が()()してしまった

 

根元を探すとロドスの者たちにとってファーストコンタクトであった104が背中にどういう原理でくっついていた物を構えていた

 

 『ボシュゥゥゥ・・・』

 

間違いない、アイツ(104)だとすぐにわかった、その()から熱を放射しているのか排気音と揺れる蜃気楼が発生していたのである

 

一体どれだけの熱量を発生させたのかは謎であるが兵器としての猛威が存分に発揮されているのは嫌でも理解させられた

 

その名もWeapon/Anti Vehicle Model6 Grindell/Galilean Nonlinear Rifle

 

通称、スパルタンレーザー

 

UNSC内の歩兵用火器として最強の破壊力も持つスパルタンレーザーはスパルタンⅡと同じ時期に開発プロジェクトが始動しスパルタンⅡの完成とほぼ同じタイミングで開発が完了した由来からスパルタンレーザーと呼ばれている

 

スパルタンにしか扱えないわけでないので安心してほしい、夥しい熱エネルギーを直線に照射するこの光学火器はUNSCにおいて歩兵用火器の中でも最強の単発火力という名を欲しいがままにしている

 

呆然として立ち尽くすレユニオンに発射口を向け再度発射の為の充電が開始され発射口から照準用の早い感覚で『キンキンキン』という異音と共に点滅する赤く細い光線が戦場を駆けてゆく

 

それを見て蜘蛛の子が散るように逃げ出すがもう踵を返した瞬間に光線が発射され数人のレユニオンを蒸発させた

 

命からがら逃げおおせた戦闘員に087が奇襲を掛ける、至近距離にはショットガンで吹き飛ばし距離が少し開けばフルメタルジャケット(徹甲弾)が装填されたM20サブマシンガンの高速連射で確実に息の根を刈り取る

 

遮蔽物に身を隠した重装兵には117が()()()()()()()()()()を向ける、割れた銃身を繋ぐように光の輪が幾つか連なると『パゴオォン!!』という凄まじい轟音と共に磁気を纏った青い光が飛び出す

 

遮蔽物を抉り抜き隠れた重装兵の装甲を貫くと鈍い破裂音が耳に入る、着弾した重装兵がくしゃりと倒れ込むと隙間と言う全ての隙間から黒煙が漏れた、ドクターはそれ遠巻きに見て《高い貫通力を持ち、弾が内部から破裂し破壊する兵器》と見た

 

実際はアシンメトリック(A)リコイルレス(R)カービン(C)-920と呼ばれるUNSC傘下のアケロン・セキュリティ製の()()()()()()()()である

 

M64 16mm×65mm FTP-HE(高性能炸薬弾)が1発のみバッテリーパックに納められておりそれごと交換することで飛翔速度マッハ9の炸薬入りスラグ弾を投射する事ができる

 

ただしこのレールガンは携行できる弾数に限りがあるのだ、生産数は多くはないが備蓄分は十分であり、現代のスマートフォンを5~6枚程を重ね合わせた大きさに対して約8kgというかなりの質量を持つ重水素発電式バッテリーパック1つにつき1発の投射体が納められた複数個持ち運ぶにはかなりの負担になってしまう

 

現に117も所持可能な6発の内3発を使用していた、104のレーザーキャノンも最大充電時であっても4射分しかチャージできないため2射してしまったがまさに《切り札》といえる性能を秘めていた

 

 

 「・・・圧倒的だね」

 

 「・・・はい、ロドスのエリートオペレーターも、各地の傭兵でも、ここまで洗礼された者はそうそういないでしょう」

 

 

ドクターが戦場から僅に離れた指揮場から潜めた声でそう言った、まだ実力は未知数だがこの短時間でドクターはスパルタンに対し一騎当千に等しい実力と強いコンビネーションを持ち合わせた戦場のエキスパートと判断する

 

各自所持する得物(武器)の性能も然ることながら極めて高い戦術性でこちら(ロドス)の指揮の邪魔をすることも無く効率的に生殺与奪を行う姿はロドスのオペレーター達からも不可思議な高揚感が更にアドレナリンを分泌させる

 

このチェルノボーグ( 地 獄 )から1人たりとも欠けず帰還できる──と

 

それにしてもスパルタンの動きには違和感を感じる、ドクターがそれを知るのはもう少し先の話しになるがドクターよりも()()を知るAceはそのドクターが想う違和感を朧気ながら形を作り、組み立て、想定した

 

 (奴らの動きは迎撃・防衛に重きを置いた動きではない、戦闘員を片付けるだけに止まらず周囲の施設や兵器、ありとあらゆる物も破壊し尽くす・・・恐らくだが奴らの特性は少数精鋭による強襲と掃滅(そうめつ)のソレだ)

 

 

Aceの考えはあながち間違ってはいなかったがスパルタンⅡは本来は隠密偵察・破壊工作・テロ主導者捕獲・要人警護・システムハッキング・暗殺など()()()()()()()()()()()()としてUNSCと海軍情報局共同の元開発されたものであり幅広い作戦行動に対応している、()()()()()()()()()()()()()()()()とはよく言ったものだ

 

 

 「・・・うん?」

 

 

なにやら様子がおかしい

何か、ナニカが迫るような、そんな感じ

 

なんだろう

 

 

 「・・・なんだがさっきと雰囲気っていうか、なんか物々しいな」

 

 「確かに、腹の底が震えるっていうか・・・」

 

 

不明瞭な言葉の数々にアーミヤに介護される()()()()()()()のニアールは霧の中に何かがこちらに向かっている事に気がついた

 

敵襲?!ニアールがそう思い口を開く前に()()は霧の中から飛来するや否や

 

 

 「うわぁ~なぁにアレ~?」

 

 

寝ぼけ交じりのオペレーターから気の抜けた声がいの一番に飛び出す

 

ロドスの物とは全く違う3機の謎の飛行装置は機体の先から104が射ち出した物と同じ()()()()を吐き出しレユニオンの群れに直撃した

 

次の飛行装置は胴体下から凄まじい連射力の機関砲(30mm弾)を光線から逃れたレユニオンに浴びせると破裂するように次々と()()()()()()()()()が出来上がる

 

阿鼻叫喚の断末魔と爆発音が奏でる気味の悪いオーケストラをロドスの者はただ固唾を飲み、せめて苦しまず死ねるよう見守った

 

 

 

 

 

*1
2話目でラスキーが触っている鉱石のネックレスはマスターチーフと共に撃破したハンターと呼ばれる大変危険なコヴナントの兵士の装甲の破片であり2526年当時(現在は2558年)ではスパルタンⅡであってもかなり危険な敵であった、必ず2体1組で行動し相方が倒されると凶暴化しスパルタンⅡのジェームスも凶暴化したハンターの拳でヘルメットごと叩き潰され餌食になってしまった

*2
─ ショウ・フジカワ ─ 日本人ではない、正確には《トビアス・フレミング・ショウ博士》と《ウォーレス・フジカワ博士》である、名前の通り日系人でありスリップスペースエンジン開発の第一人者




今回のピックで9連目に山さんを頂きました
少し前に公開求人で上級エリートがきたので妹と弟にバッグを開かせたら汁おじ雇用で何か運を使い果たしたような気がする今日この頃

次回のケルシーピックも是非モノにしたいので初課金の準備しなきゃ(使命感)


次回はチェルノボーグ脱出とブルーチームのロドス面談とプロファイル作りです、picrewでHALOの公式外部作品のブルーチームメンバーを模倣して証明写真を作ります

プロファイルより、実際にHALOキャラクターからオペレーターとして使えるなら誰が使いたい?

  • リンダ・プラヴディン
  • ケリー・シャドック
  • フレデリック・エルズワース
  • マスターチーフ
  • ゼル・ヴァダム(アービター)←参戦予定
  • 全員よこせ

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