ダーケストダンジョンで出会いを求めるのは間違いだ   作:アイゼンパワー

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第四話

我らが栄光ある……まだボロボロだが……拠点、主の教会(レイナルド命名)についた。地下室への扉を開け、中に一歩踏み込むと黒と白の物体が光速で突っ込んできた。

目に捉えた時には懐にすでに潜り込んでおり、レイナルドは反射で拳を突き出し、ディスマスは頭突きを喰らわせた。

「いっったあーーー!!」

果たしてその物体の正体とは我らが主神、ヘスティア神であった。心臓に悪いのでやめてほしい。奇襲にあった時を思い出す、実に嫌な思い出だ。

「キミたちエイナくんの授業を聞かないで3層まで潜ったって?!」

 

「楽勝だったぜ?罠もねえしずっと明るいからな……」

「足元を気にしなくていいのは楽ですよ。前までいたところに比べると天国のようです。」

「キミたちどんなとこにいたのさ?」

 

ヘスティア神が聞くが誰も答えない、答えたくないのだ。誰が好き好んで今日会ったばかりの人間……もとい神に自分のことをひけらかすだろうか?誰もいない筈だ。それにあそこのことは思い出したくない。

 

「………まぁいいさ。おいで、ステータス更新してあげる!」

 

ジョン=マクスウェル=レイナルド

 

レベル1

 

力【I】0→20

耐久【I】0→21

器用【I】0

敏捷【I】0

魔力【I】0→5

 

 

スキル

【主神信仰】

・信仰心によって効果を発揮する

・主の名の下に置いて戦う時に力と耐久が上昇する

 

魔法

熱心な告発(ジーロス・アキュゼーション)

・攻撃魔法

・信仰心が強いほど効果が上昇する

・告発を耳にした者を攻撃する

・告発を耳にした者は気絶する

詠唱:不浄なるものよ、聞くが良い。熱心な告発(ジーロス・アキュゼーション)

 

神の癒し(ディバイン・ヒール)

・回復魔法

・信仰心が強いほど効果が上昇する

詠唱: 主よ。我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、 我らの罪をも赦したまえ。神の癒し(ディバイン・ヒール)

 

 

ディスマス

 

レベル1

 

力【I】0→2

耐久【I】0→9

器用【I】0→29

敏捷【I】0→40

魔力【I】0

 

発展アビリティ

【決闘者の前進:A】【血管炸裂:A】【追いはぎの勘:A】

 

スキル

【隠遁者】

・敵に発見されにくくなる

・隠遁している者を見つけやすくなる

・器用が上昇する

 

魔法

なし

 

 

 

アウグスト=ダーケスト

 

レベル1

 

力【I】0→8

耐久【I】0→17

器用【I】0→12

敏捷【I】0→24

魔力【I】0→32

 

発展アビリティ

【深淵を覗いた者:A】【暗黒の子孫:A】

 

魔法

召喚術(サモニング)

・モンスターを召喚する

・召喚した者を使役する

・一度に3体まで召喚できる

・ごく稀に失敗する

詠唱:来れ、不浄なるものよ。我が剣となり、盾となりたまえ。召喚術(サモニング)

 

奈落砲術(アビサルアーティレリー)

・攻撃魔法

・離れた敵を攻撃する

詠唱:ファイア!

 

悪霊引手(デーモンズプル)

・攻撃魔法

・攻撃対象を目の前まで牽引する

詠唱:我が面前にかの者を連れてこい。悪霊引手(デーモンズプル)

 

 

目覚ましい成長だった。すべての敵をなぎ倒し、3層へと潜っただけはある。

そしてレアスキルと魔法の数々は相変わらずそこにある。見間違えか写し間違えなどではなかったのだ。

「キミたちこのスキルと魔法のことはあまり言いふらしちゃだめだよ?」

「だぁれが好き好んで他人に自分のことを言いふらすかよ。」

 

 

 

ヘスティア神はずいぶんと寛容な女神であった。私がかつて本で読んだような嫉妬深く、悋気する女神ではなく、誰に対しても優しい人情味のある神だ。

ディスマスは硬貨を一つかみ自分のポーチへ押し込み夜の街へと繰り出した。明るいダンジョンでたまったストレスを発散しに行くのだろう。病気をもらってこないよう言いつけて私はそのまま彼を送り出した。

「我々はどうしますかね、神よ。」

「ファミリア結成記念に飲みに行こうよ!」

彼女の体はアルコールを分解できるのだろうか。神たるものそれぐらいたやすいのだろうが、如何せん見た目が幼女であるためいらぬ心配をしてしまう。

「そういたしましょう。」

酒は魂の救いだ、貴族として数々の酒を嗜んだこの私が拒否するはずもない。ディスマスがいないのは残念だが彼も彼で“お楽しみ”だろうから別にいいだろう。

「よし!そうと決まれば早速行こう!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

オラリオを訪れて数ヶ月経った頃。生活はなんとか安定し、ディスマスは週に数回は繁華街に通い、楽しんでいた。

 

「いい女だったぜ……」

ディスマスは繁華街から出て、大通りを歩いていた。アマゾネスたちと一晩の“お楽しみ”を経てストレスはすっかり発散され、顔色も血色もだいぶ良くなっていた。

領主は病気をもらってこないようにといいつけていたがここの繁華街の女たちは奇跡的なことに全員が極めて健康なのだ。病気を持っているものは一人もいない……少なくとも接客に出ているものに病気持ちは一人もいない。

 

「あの狐耳が生えてる娘は綺麗だったなァ……ヤれないのが残念だ」

どうやら彼は狐の獣人がお気に入りのようだ。

 

 

そんなことを一人で漏らしながら通りをぶらぶらと歩いていると路地裏が何やら騒がしいことに気づいた。

 

 

オラ!有り金全部出しな!

 

 

 

物盗りか強盗か何かだろう。それだけなら彼は気にも留めず歩き去っただろう、所詮同業者が仕事をしているだけだ

しかしその対象が問題だった、子供だ。年端にも満たない子供。歳は見た感じ14くらいだろうか?白髪赤目の子供だ。

 

かつて国を騒がせた凄腕の追い剝ぎであるディスマスには矜持というものがあった。決して女子供からものをとらないという矜持だ。

 

「おうおうおう。このディスマス様の前でずいぶんなことしてくれるじゃねえか。」

彼は裏路地へと歩き入り、ならず者に話しかけた。

「ああ゛?なんだてめえ」

ならず者はがっしりとした体形で、力ではとても勝てないだろう。

「子供から物をとるとはずいぶんな恥知らずと見た。このタマ無し野郎!」

「なぁんだとぅ?!」

 

ならず者は怒りに任せ、当たれば一たまりもないであろう丸太のように太い腕が振るったが、当たらない。

手を離された少年は地面に尻もちをつき、その痛みにうめき声をあげた。

 

巨体を持つ者の力は確かに強い。どのような怪物であろうと彼の腕の下では一撃で地に伏せるだろう。

だが巨体には致命的な欠点がある。

 

「おらあ!」

「当たらねぇよ!」

 

それは敏捷性に欠けていることだ。

素早く身を引き、ディスマスは腕が届く範囲から逃れる。

ならず者は腕を無茶苦茶に振っているだけだ。これならあの腐った豚肉野郎(スワイン)の方がまだ強かった。ウィルバーの指揮ありきとはいえ、正確に弱点を狙い撃つ術は目を見張るものがあった。

だがこいつにその術はない。

ならず者が腕を振りかぶったところを狙い、前へと素早く踏み込んだ。懐に潜り込んで短剣を振るい、腕の腱を断ち切る。

 

「イギャア!!腕が…腕が!」

この腕は当分……下手すると一生使えなくなるだろう。

この隙を逃さず、ベルトに挿していた拳銃を引き抜き、火打ち石を上げて、轟音と共に至近距離で撃ち放つ。

 

鉛玉は太ももに食い込み、大穴を開けた。

 

「ウアア……アァアアァ……」

ならず者は痛みにうめくことしかできず、座り込んだ。戦意を喪失し、項垂れている。

ディスマスは子供に向き直り、声をかけた。

「おう、このディスマス様がいてよかったな。今度からは気をつけろよ。」

「は、はい……」

ディスマスはしばらく彼をじっと見つめ、話した。

「お前さん、行くとこないんだろ?」

「どうしてわかったんですか?!」

「そりゃあ…企業秘密ってやつさ。」

「そうなんです……どこのファミリアに行っても門前払いにされちゃって…」

なんとも可哀想なやつだ、ディスマスはそう思った。この子供はおおかた田舎から来たいわゆるお上りさんというやつだろう、このまま放っておけば遅かれ早かれまた同じような目に遭うに違いない。

 

 

そこで酒と女でぼんやりした頭に稲妻のように一つの思いつきが駆け巡った!

 

「お前さん、うち来ねえか?」

「えっ!いいんですか!!」

「ウチのカミサマは喜ぶだろうよ。あいつ(領主の野郎)がなんていうかは知らんがな。」

「是非!お願いします!」

「よし!じゃあ俺についてこい!」

「はい!!」

 

夜は明け、朝日が地平線から顔を出していた。オラリオに新たな出会いを求めて、一人の伝説になるであろう冒険者がここに生まれたのだ。




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