中津の四季島皇帝生活   作:阿鬼羅

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四季斉講和条約締結、そして軍事増強

明治27年10月四季斉講話条約通称プルタレス条約(仲介のプロシア外交官ヤーコプ・ルートヴィヒ・フリードリヒ・ヴィルヘルム・ヨアヒム・フォン・プルタレスに由来)内容はシェナ半島の38度線以北(現在の北朝鮮相当)と大邱までの占領地の割譲と遼東半島、台湾、澎湖諸島など付属諸島嶼の主権ならびに該地方にある城塁、兵器製造所及び官有物を絶永劫四季島帝國の物と認める。賠償金として20億帝國メゼルの支払い捕虜の交換上海、天津等に租界の設置海軍軍備の制限(いかなる艦艇であろうと12000トンを超えることを禁ずる、10000トン以上12000トンまでの艦艇所持の4隻まで備砲は単艦10inch以上12inchまでの砲4門までその他の備砲は8incs以下ならば制限を無しとする8inch以上10inch以下の砲搭載艦の制限排水量45000トンまで個艦は5000トン以上10000トン以下の艦数は5隻までそれ以下の備砲装備艦は、総排水量150000トンまで、なお排水量300トン以下備砲が75㎜まで魚雷未搭載の艦は制限無しなれど300トン以下の艦で魚雷搭載可能艦は3000トンまでとする)

この中で1番大きかったのは現在の日本円に変換すると10兆相当額賠償金であった、支払いは10年払い利子は原初元金の1%で総支払額20億帝國メゼル金本位制により純金換算2200トン相当の銀などでの支払いとなった

 

10月28日大邱第1軍司令部

 

アーチボルド「ふう、撤収の準備はどうなっていますか?」

 

参謀「はい、現在第2師団が撤収完了第5第6師団も完了しております」

 

アーチボルド「シェナ半島、いやメレマイス半島に名称が変わるんでしたね」

 

参謀「はい」

 

アーチボルド「駐留部隊は2個独立混成旅団に1個装甲旅団ですか」

 

参謀「そうなります」

 

 

11月9日四季島帝國豊原宮城

 

中津「ルーシとフランカがか、半島南部と遼東半島か、まあよかろう、ただし釜山周辺は確保しろよいな」

 

高橋「御意」

 

 

11月13日プルタレス条約に変更が加えられた遼東半島及び釜山周辺を除いた38度線以南占領地は斉側に返還されたその代わり賠償金として追加で15億帝國メゼルの支払いがルーシ、フランカ両国に課せられた

 

年を越し27年2月四季島帝國南部鹿屋飛行場にて公式的に世界初の動力飛行機械による飛行試験が世界中の記者や軍人政治家にお披露目された

 

プルタレス「飛んだ、飛行船では無いあのような物が」

 

プロシア軍人「飛びましたな外交官」

 

記者「写真だ写真撮れ、こりゃ凄い、号外だ号外」

 

フランカ軍人「飛行船より小型で少人数で使えるのか」

 

 

この報告を聞いた各国軍首脳部は四季島帝國から資料を取り寄せようとしていたが、先のニ国干渉により関係悪化の一途を辿っていたルーシ、フランカは入手に手こずりその間にもプルタレス条約仲介国のプロシア、アラスカ開拓関連とカナダとの貿易で友好関係を気づきながな同盟を狙うエングランド、開国以前からの付き合いのあるベルギウム、ネーデルラントは初歩的な飛行機設計資料を入手していた

 

2月9日四季島帝國空軍飛行偵察隊設立時速90㎞で300㎞飛べる偵察機27年式偵察機を正式採用同時に東京、横須賀、佐世保、舞鶴、大湊、霞ヶ浦、大津、千歳、鹿屋、台北、開城に飛行場を設置、それに鹿屋、霞ヶ浦、大津、横須賀の4箇所に航空士育成機関を開校陸海空軍から集められた将卒が2年間の航空教育を受けた、また士官学校や兵学校にも航空科が設置4年間で航空士官、下士官の育成が進められた

 

明治28年4月動員令解除同時に御前会議にて陸軍の縮小と質の強化が決定3個軍を解体2個軍を組織改編即応性の向上と局地戦特化にそれに海軍は防護巡洋艦(4隻建造)や駆逐艦(12隻建造)の増強しつつも装甲フリゲート艦装甲コルベットの1部退役を決定、1部の艦艇はトルコにほぼ無償*1で売却されていった

 

同年6月空軍設立と同時に第1第2飛行船隊による都市爆撃演習実施翌7月空軍防空司令部設立同時に各地に地上防空団設立75㎜高射砲や28年式高射機関砲(9㎜弾使用)が配備されるも高射機関砲の射程不足を受け新型高射機関砲開発計画を発令使用弾薬の大口径化と弾薬の長さを長くする事となった

 

翌29年2月空軍飛行戦闘機械開発委員会が発足飛行船迎撃と敵偵察飛行機撃退用の機体の開発を開始翌30年に27年式偵察機に武装した試作機を完成させるも能力不足により廃案それ以降40年まで試作と廃案を続ける

 

そして明治30年御前会議にて海軍増強法案として88艦隊計画通称芝原計画(当時の海軍作戦局長芝田発案のため)可決内容は明治36年までに17000トン級戦艦8隻10000トン級装甲巡洋艦8隻4500トン級防護巡洋艦16隻950トン級駆逐艦72隻150トン級航用型水雷艇60隻1000トン級哨戒通報艦16隻計180隻計381400トンを計画また陸軍においても4斤砲に変わる火砲の開発を開始翌31年には31年式野砲、山砲、騎砲が完成この砲は液気圧式駐退復座機を備えた最新鋭の火砲であった、この機構は前年にフランカで採用されたM1897野砲で採用された物だがこの機構を31年式に取り入れるに当たってフランカからの技術提供があったとされている、フランカ政府としては四季島政府との関係改善を狙うと共に技術提供の見返りとして初歩的な飛行機設計資料を得たようである

 

その後四季島陸軍砲兵本部は野戦重砲や攻城砲の開発を統合参謀本部や陸軍省に申請対ルーシとの戦争を決めていた中津の後押しを得て野戦重砲としての10.5cm15cm砲攻城砲としての30.5cm砲の開発と諸外国からの購入を決定プロシア帝国クルップ重工社から10.5cm砲15cm砲を購入するも10.5cm砲は採用確定となるが15cm砲については大阪砲兵工廠によって開発された13口径15.5cm砲を採用するべきとの意見に押されクルップ15cm砲は没となった採用された15cm砲は射程10500mと良好な射程と重量2トンと言う繁殖に成功した筑波重馬なら4頭輓曳が可能な重量が評価された

 

そして明治34年4月横須賀海軍工廠にて新型戦艦薩摩竣工武装に45口径30.5㎝連装砲2基4門45口径20.3㎝連装砲4期8門内2基を主砲後方に背負式配置するなど他国の戦艦を超える性能を持っていた同年6月に呉海軍工廠で2番艦阿波舞鶴海軍工廠で3番艦ストレラが竣工9月に佐世保海軍工廠で4番艦アサルムが竣工また同年8月には新型装甲巡洋艦出雲が竣工武装に45口径20.3㎝連装砲2基4門45口径15.5㎝連装砲4基8門門内2基を主砲後方に背負式配置するなど薩摩に似た設計がされていたそして同月中に2番艦八雲3番艦ラントクレイス9月に4番艦マストレイヤーが竣工その他吉野型防護巡洋艦や磯風型駆逐艦や3型航用型水雷艇涼島型哨戒通報艦が次々と竣工対ルーシとの全面対決姿勢を取った。

対するルーシ帝国もボロジノ級を史実より多い8隻を建造それ以外にも10000トン級の海防戦艦4隻を建造租借した旅順港に太平洋艦隊として戦艦6隻とともに配備四季島帝國は20隻を超える戦艦(海防戦艦含む)に対して半数未満の12隻で戦うことに不安を覚えた、これに対して皇帝中津は新型機雷によるウラジオ、旅順封鎖作戦新型潜水艦隊による紅海もしくはマラッカ海峡雷撃作戦を構想敵艦隊の進路上に多数の新型潜水艦による飽和雷撃によって来援するルーシ艦隊を撃滅する事を想定したそれに対して海軍軍令部は野心的であると中津を諫めつつウラジオは機雷と巡洋艦以下の既存艦で対処するとし旅順艦隊は潜水艦隊と主力艦隊で来援艦隊の到着前に撃滅する事を上奏しつつ陸軍に旅順攻略とウラジオ攻略作戦の立案を依頼した。

 

依頼を受けた陸軍は対斉戦争時の旅順要塞と今の旅順要塞の規模を調査攻略には1個軍と開発した34式305㎜砲40門が必要と判断したが現状で34式は3門が完成7門を製作中40門揃うのは38年までかかると判断またこの計算では他の軍やアラスカ要塞等の要塞に配備しない前提となり物議を醸した、困り果てた陸軍は空軍の飛行船部隊に協力を求めた。求められた空軍もルーシ本土空襲やシベリア鉄道空襲に大半の戦力を割かねばならず旅順攻略軍に回されたのは1500㎏まで爆装可能の2型攻撃型飛行船8隻と新型で250㎏爆弾搭載可能な4型攻撃型飛行船2隻が割り当てられたがそれを持ってしても火力不足を想定していた。四季島陸軍は旅順要塞をアラスカ要塞に準ずるとしていただが実際は過大評価であったルーシ帝国との戦争のためにアラスカノームやコッツビュー等の沿岸部に張り巡らされたアラスカ要塞は最低でも鉄筋コンクリート厚さ3m各指揮所は厚さ8mに厚さ1mの鋼鉄装甲を取り付けられ要塞砲として海軍提供の45口径25.4㎝連装砲75基150門その他各種合計1000門を誇る大要塞であった。攻略には34式200門以上戦艦40隻飛行船50隻は必要とされていたこれに対して旅順要塞には砲500門未満が配備されていたが四季島軍は少なくとも600門多ければ800門を配備しコンクリートの厚さは3m近いと考えていた。ここまで過大評価される要塞も珍しいものである、悩みに悩んだ陸軍参謀本部は中津にどうすればいいかを聞くために宮城に参宮した

 

宮原宮城

 

中津「そうか」

 

メーリトラン「陛下残念ながら今の陸海空軍では旅順を落とせないかと」

 

中津(どうしよう、旅順要塞史実と変わりないよ34式6門と旧型の飛行船で落とせるんだけど、どうしてこうも過大評価されたんだろうな厚さ3m近いコンクリートなんてあるはず無いんだよなどうするかな)

 

メーリトラン「陛下何卒3個軍総攻撃の許可をいかなる犠牲を払おうとあの要塞を落としてみせます、被害が多い場合は小官の首を持って臣民に詫ますゆえ」

 

中津「わかった」

 

メーリトラン「では」

 

中津「わかったのはお主が途方も無いドアホだということがなこんなチンケな要塞1つとお主の首が釣り合うのもか貴様の首は少なくともルーシの皇帝の首に釣り合うと思え」

 

メーリトラン「陛下」

 

中津「旅順はお主が思うほど硬くはない34式10門と飛行船10隻で落とせる、それにアラスカ要塞には対空火器があるが奴らの要塞には無いつまりここに書いてある飛行船の損害はこの数百分の1以下となるよいな」

 

メーリトラン「御意」

 

明治35年4月2日四季島帝國はエングランド帝国との5年間の相互軍事同盟を締結内容は片方が宣戦布告されて場合もう片方が宣戦布告の自由をえると言った単純なものであったがこれによりルーシ帝国は四季島と開戦した場合いつエングランドから宣戦布告されるかわからない状況となったのであった

*1
3000トン級フリゲート艦1隻辺り54000帝國メゼル1トン当たり90帝國メゼルと米相場1トン当たり100帝國メゼルよりも安く売却されていった1300トン級コルベットの場合それより安く1トン当たり80帝國メゼル


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