謎の声はロストロギアでした   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


残酷に立ち向かうは……

海鳴市が経営する公立図書館。

自分は今日、そこに来ていた。

 

『なぜ図書館に来たのです?リフレッシュなら遊具のある公園でいいのでは?』

 

別にいいだろ。図書館でも。運が良ければ友達に会えるかもしれんし。

ちなみに今日は訓練休み。連日訓練したから射撃と砲撃、近接もある程度形になってきたし。

 

『私の求める及第点にはまだ遠いですがね。《アークカリバー》や《バリオンカノン》も使えるようになりましたが、私のサポート抜きではまだ使えないでしょう。後、図書館は本を読むための場所です。談笑する場所ではないはずですが?』

 

お前の要求レベルが高過ぎるだけだろ!展開して五秒で砲撃しろとか、初心者には難易度高過ぎだろ!?

後、図書館で談笑しようが、友達が来てなかろうが別にいいだろ!!いなくても漫画呼べばいいし!!

 

『教育や歴史の漫画なら確かに構いませんがね。そもそも普段は心理学や脳の病気に関する本を読んでいたでしょう。どういう風の吹き回しです?』

 

その本を読んでいたのはお前が原因だからな?以前はお前をどうにかしたくて読んでいたんだからな。

 

『そういえばそうでしたね。そのような本を読んでも無駄だと何度言っても聞きませんでしたが』

 

……本当にこいつは自分に喧嘩売るな。あんな物騒な存在と分かっただけマシだが。

 

『おや、今日は来ていましたね。良かったですね、契約者』

 

本当に腹立つ口調だが、スコールの言う通り自分の友達は本棚の前で本を選んでいる。

 

「久しぶり八神。調子はどうだ?」

「久しぶりやね暁くん。私はいつも通りや」

 

相変わらずの車椅子生活をしている茶髪の少女―――八神はやてに挨拶すると、八神もいつも通りに言葉を返す。

 

『確かに久しぶりですね。お互いにボッチですが』

 

ボッチ言うな!この疫病神!

 

「まーた例の声なん?今度はなに言うたん?」

 

八神は苦笑しながら自分にそう聞いてくる。八神はこの声については知っている。あくまで非日常に遭遇する前の認識で、だが。

 

「……互いにボッチだって」

「残念やったね。私は最近になって友達が増えたからボッチやないよ」

 

そっかー。八神、友達増えたのかー、良かったなー。

 

『どうやらボッチは契約者だけですね。撤回しましょう』

 

だーかーらー!一々自分を扱き下ろすな!後、友達候補は自分にもいるぞ!!

 

「暁くんは相変わらずなんやね」

「そういう八神もそうだろ」

 

八神は自分と同じく両親がいない。それに足が不自由で車椅子生活だから友達を作る機会も少なかった。最近は親戚の人達と暮らしているから幸せだと嬉しそうに言った時は、羨ましいなと本当に思ったよ。

 

『契約者も祖父母がいるでしょう。羨む意味が理解できませんね』

 

そのじいちゃんばあちゃんを、申し訳なさそうな顔をさせている諸悪の根源が言うな。

 

「んー?暁くん、何か妙に逞しくなってへん?」

『鍛え始めてからまだそれほど経ってませんがね。大方雰囲気を察してでしょうが、中々勘が鋭いですね。この鋭さを少しは見習ってほしいですね』

 

……とりあえずコイツの言葉は無視しよ。

 

「実は最近、剣道でも始めようかと思って素振りを毎日……」

 

もちろん剣道云々は嘘。魔法のことは他言無用なので、聞かれたら嘘をつくしかないのだ。

 

『余計な混乱を招かない為ですからね。ま、言っても信じないでしょうが』

 

だよなー。自分もあれがなかったら絶対信じなかったし。

 

「暁くん、剣道始めようと思っとるんかー。実は今暮らしている家族の一人が剣道家でな。良かったらどうやー?」

「マジか。でも、今はいいかな。まだ始めると決めたわけじゃないし」

『単に剣道では参考にならないだけでしょう。あんな作法やルールの中限定の剣は実戦では不向きですから』

 

うっさいぞ。素振りで筋力鍛える分には問題ないだろうが。

 

「そっかー。でも、その気になったら何時でもいいやー。ちなみに凄いおっぱいやで」

「おっさんか」

「おっさんちゃうわ」

 

その後は本を選んで読みつつ、他愛ない会話に花を咲かせるのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

八神との再会から時が経ち、テスタロッサが仮面の男の介入で魔導書に魔力を蒐集されて数日。

無限書庫で【闇の書】について調べていたユーノ達からの報告を、自分は訓練室から聞いていた。

 

『【闇の書】の本当の名前は【夜天の書】……スコールの認識が正しかったことが分かった。それだけじゃない。その【夜天の書】本来の機能も、スコールが言った通りだったんだ』

 

マジか。てっきりスコールの勘違いか何かかと思ってたのに。

 

『そんな訳がないでしょう。つまり、【闇の書】にある転生機能と無限再生機能は本来の機能が変化したものですね?』

『それで間違いないよ。世界を旅をする機能が転生に、自己を修復する機能が無限再生へと変化したと資料にある。それ以外にも【夜天の書】には本来ない防衛機能……【ナハトヴァール】が組み込まれていると書かれている。更に質が悪いことに、一定期間蒐集しないと持ち主のリンカーコアを侵食して死に至らしめるんだ』

 

つまりあれか?【闇の書】を完成しようがしまいが持ち主は死ぬってことなのか?

 

『本当に迷惑ですね。持ってるだけで破滅するとは。後継機は触れなければいいだけですが、こちらは勝手に持ち主を選定しますからね』

 

……本当に平常運転だな、お前は。

 

『封印や停止の方法はないのか?』

『あればとっくに実行してるでしょう。今も活動しているので、現時点では存在しないと判断します』

 

クロノさんの質問をスコールがバッサリ否定。即座に否定はどうかと思うぞ。

 

『それはもう少し調べないと分からないけど……完成前に封印を施したり停止させたりするのは難しいと思う』

『なぜだ?』

『【夜天の書】から正式に主と認められないと、プログラムに干渉できないシステムになっているんだ。完成前に無理やり外部から干渉すると主を吸収して転生するから、その前に封印するのは不可能なんだ』

 

何その悪意の塊とも言えるシステムは。いや、第三者の干渉を防ぐためのシステムだったんだけど、それが最悪の形になっているだけか。

 

「逆に言えば完成したら干渉できるのか?いや、その干渉できる主が魔導書に取り込まれるから実質手出しできないのか?」

『ああ。十二年前の【夜の書事件】もそれが原因で、輸送していた艦ごと吹き飛ばしたからな』

 

ユーノの隣にいた猫耳のショートヘアの女性―――リーゼロッテさんがそう口にする。

ロッテさんは見た目の容姿から分かるが使い魔だ。それも自分や高町と同じ地球の出身だから驚きだ。

 

『大方、当時の主が【夜天の書】にもっと守ってもらおうと管理者権限を使い、自作した防衛プログラムを無理矢理組み込んだのでしょう。それが重篤なエラーとなり、他のプログラムにまで悪影響を及ぼしたのでいい迷惑ですが』

『……書物には悪意ある改変とあるんだけど』

『知りません。そもそも自滅するような改変をするバカは盛大な自殺志願者ということになります。自殺したければ【夜天の書】を改造せずとも別の手があるでしょう。どうせ自己強化目的によるものがエラーを起こして変遷したんでしょう。一番の悪は中途半端な知識で改造した【夜天の書】の主に代わりありませんが』

 

そう言われれば確かに。元々の機能を改造するのはまだしも、残りの二つに関しては確かにおかしい。

特にリンカーコアの侵食なんて付ける意味が本当に分からないし。

改造に失敗した魔導書……それが【闇の書】の始まりだったんだろうな。

 

『……そう言われると確かにと納得するな』

 

クロノさんも納得してるし。

 

『【夜天の書】も……可哀想だね』

『うん……シグナム達は知っているのかな?』

『今までの反応からして、知らないと考えるのが普通でしょう。アルフも《蒼き狼》は自分達の行動を主は何一つ知らないと言っていたのでしょう?』

『ああ。間違いなくアイツはそう言っていたよ』

 

その言葉を信じるなら、守護騎士達は自分達の主を救う為に【夜天の書】を完成させようとしている。

だとしたら……あまりにも救われない。

 

『方法は褒められたものじゃないが……情状酌量の余地はあるな』

『……まあ、負傷者は出ているけど死者は一人も出ていないからね』

 

クロノさんの言葉に、ロッテさんと良く似た髪が長い女性―――リーゼアリアさんがそう返す。

ちなみにロッテさんとアリアさんはクロノさんの師匠だそうで、実力も結構高い。

 

「……本当にどうにも出来ないのか?何か方法はないのかよ?このままじゃ【夜天の書】の主が……」

『それも含めて調査を続けるよ。闇……【夜天の書】の主が唯の加害者じゃないと分かったし、完成したら尋常じゃない被害も出るからね』

 

結局、【夜天の書】の封印、停止に関してはユーノが調査を続けていくしかないという結論しかでなかった。

 

「……スコール。お前なら何か妙案が浮かばないか?優秀なんだろ?」

『……諸悪の根源と罵っている私に頼るとは、契約者は本当に情けないですね』

「お前に聞いたのが間違いだったよ、クソッタレ!!」

 

その日の訓練はかなり荒れたのは言うまでもない。

 

 

 

――――――

 

 

 

12月24日。

今日はクリスマス・イヴだ。

 

「八神の家って確かここ……だよな?」

 

せっかくのクリスマスだから、クリスマスセットのお菓子を一緒に食べようと思って八神の家に来た。

住所は剣道云々の時に教えてもらったから、間違ってなければここで会ってる筈だ。

 

『教えて貰った通りなら、ここで間違いないでしょう。インターホン鳴らして確認すればはっきりするでしょう』

 

ハイハイ、そうですね。

スコールにおざなりに返しながら玄関のチャイムを鳴らすと、少しして玄関の扉が開いた。

 

「あら?どちら様ですか?」

 

…………え?

 

『……《風の癒し手》がなぜ此処に?』

 

スコールも驚いたように疑問を露にしているが、それどころじゃない。

何でこの人が此処にいる?此処は八神の家じゃないのか?

 

「えっと……八神の家は此方でしょうか……?」

「はやてちゃんの家なら確かに此処だけど……ひょっとしてはやてちゃんのお友達かしら?」

 

彼女の肯定の言葉に、自分の心がどんどんざわついていくのが分かる。同時に嫌な予感も駆け上がっていく。

 

「は、はい。そ、それで、八神にこれを渡そうと思って……」

「そうだったの。でも、ごめんなさい。はやてちゃんは今、入院中なの。良かったら私達と一緒に行く?」

「い、いえ!この後予定があるので!!すいませんが八神に渡しといてください!!」

 

自分はそう言って押し付けるようにお菓子のセットを彼女に渡すと、全力で走ってその場から離れていく。

何で魔導書の騎士の一人が八神の家に?一体八神とどういう関係なんだ?

 

『一人ではありません。サーチの結果、他の守護騎士もあの家にいました。間違いなく彼女……八神はやてが―――』

 

止めろスコール!それ以上は聞きたくない!!

 

『彼女が……【夜天の書】の主です。足が不自由だったのも侵食の影響と考えれば、辻褄が合います』

 

その瞬間、自分は立ち止まりその場で力尽きたように崩れ落ちた。

八神が夜天の……あの魔導書の、主……

 

『見事な灯台もと暗し、ですね。まさか彼女らがこの世界……それも目と鼻の先にいたとは。クロノ執務官やリンディ提督が知れば、溜め息を吐くでしょうね』

 

嘘だ……ウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだウソだ。

 

『現実逃避しないでください。ここでは目立ちますので早く移動してください。幸い、向こうは私達に気づいてませんが、感づかれないとも限らないのですから』

 

正直、何も考えられ……考えたくない。

スコールに促されるまま、自分はふらついた足取りで、逃げるように歩いていく。

……しばらくの間歩き続け、見つけたベンチに座る。日も既に暮れている。

……足がとても重い。歩く気力も湧かない。

……どうしたら、いいんだ。

 

『クロノ執務官に報告するのが妥当でしょう』

「……クロノさんに報告したら、八神は助かるのか?」

『助かるわけないでしょう。主に選ばれた時点で死が確定してるのですから』

 

じゃあどうすれば八神を……友達を助けられるんだよ!?お前は優秀なんだろ!?なら、八神の命を救う方法を思い付けるだろ!!

 

『散々私を疫病神扱いしながら頼るのですか?プライドがない契約者ですね』

「プライドがなくとも情けなくてもいい!!本当に方法がないのかよ!?」

『…………』

 

なんで無言なんだよ!?お前はすぐに反論す―――

 

「……何で何も言わないんだ?お前はないならすぐにないと言うだろ?」

『…………』

 

自分のその言葉にスコールは何も言わない。まさか……

 

「まさか、あるのか?八神の命を救う方法が」

『…………』

「おい!答えろよ!!」

『……あるかないかで言えば、確かに方法はあります』

「なら、その方法を今すぐ教えろ!!」

『お断りします』

 

藁にも縋る自分の言葉を、スコールは仁辺もなく却下した。

 

「何でだよ!?」

『私が思い付いた方法は魔導書の完成が前提であること。もう一つは契約者のリスクが高いからです。そして、成功する確率も決して高くないので却下します』

 

だからって!確率が低くても可能性があるなら!

 

『では、自身が死ぬ可能性があってもやりますか?やりませんよね?だから言うだけ無駄です』

 

どこまでも相変わらずなスコールに反射的に言葉を返そうとした瞬間、ゾワリとした感触が自分を襲った。

 

「い、今のは……?」

『膨大な魔力反応を検知しました。魔力パターンからして、【夜天の書】からと推測できますね』

 

【夜天の書】……?つまり、例の魔導書が完成してしまったのか!?

 

『その可能性は高いですね。結界の構築も確認されましたので、契約者は隠れでも―――』

 

スコールの提案を無視して自分はフルアーマーの防具を展開。だいぶ形になった飛行で空を飛び、急いでそこへと向かって行く。

 

『まさか現場に行くつもりですか?足手まといですから大人しく隠れ―――』

「うっさい疫病神!もうお前は黙ってろ!!」

 

魔導書が完成したということは、八神の命が危ないだろうが!!

 

『……理解できませんね。どうしてそこまで【夜天の書】の主の救出に拘るのですか?単に何度か話した相手なだけでしょう』

「自分にとっては初めての友達なんだよ!お前のせいで周りから浮いて、孤独だった自分に距離を置くことなく接してくれた!!」

 

スコールの呆れに自分は歯を食い縛りそうにしながら言葉を返す。スコールを握る手にも力を籠めていく。

一人で叫んでいるようにしか見えず、周りから距離を取られ、一人ぼっちの寂しさを癒してくれた友達を、助けたいと思って何が悪い!?

 

『……転移機能がないのが本当に悔やまれますね。あれば契約者を安全圏に移動させれますのに』

「もう黙ってろ役立たず!!仮に転移されても意地でも行ってやるからな!!」

 

どこまでも邪魔しかしないスコールに、苛立ちを露にそう叫ぶ。

 

『……はあ。此度の契約者はバカに加え、とんでもない頑固者ですね』

 

頑固はお前だろうが!!

 

『私は頑固ではなく契約者の安全を優先してるだけです。そして同時に知っています。こういった頑固者は……絶対に考えを曲げないと』

 

スコール……?

何処か諦めたような感じのスコールに訝しんでいると、スコールは観念したように言葉を発した。

 

『……私が思い付いた方法は、《ディバイドモード》で完成した【夜天の書】から【ナハトヴァール】を強制的に分離させるといったものです。今までの情報から判断するに、暴走の原因は【ナハトヴァール】にあり、完成から暴走するまでの間は手出しが可能となるでしょう。その間に本体と暴走の原因を切り離せば、夜天の主の安全はひとまず確保できる筈です』

「本当に出来るのか?」

『理論上は。【ナハトヴァール】を解析する必要があるので少し時間を有しますが』

 

なら、《ディバイドモード》の使い方を教えろ!今すぐ!

 

『本来は肉体的な成長を待ってからでしたが、仕方ありません。《マルチタスク》を応用し、戦いながら教えます。《ディバイドモード》の使用は【ナハトヴァール】の解析が終わってから―――』

『サトル!聞こえるかい!?聞こえたら返事をして!』

 

スコールの説明を遮るかのように、突如ユーノから念話が届いた。

 

『ユーノ!?急にどうしたんだ!?』

『やっと繋がった!サトル、今何処にいるんだい!?』

『何処って……』

 

ユーノにそう聞かれ、目印となるような物を探していると、桜色の巨大な魔力の塊が目に写った。

 

『……なんか高町と同じ魔力光の塊が見えるんだが』

『サトルも結界内にいるのかい!?それなら急いでなのは達と合流して!あれは【闇の書】の管制人格の集束魔法攻撃だ!!』

 

集束魔法って……確か周囲の魔力を集めて大火力の攻撃として放つアレか!?

 

『しかもそれだけじゃない!結界に巻き込まれた民間人が二人もいるんだ!!それも集束魔法攻撃の範囲内に!!』

 

……なんだって!?

 

『場所は!?自分も今すぐそこに向かう!』

『分かった!場所は―――』

 

ユーノからその二人がいる場所を聞いてすぐ、急いでそこへと向かう。

 

『集束速度が早いですね。このままでは間に合いません』

「じゃあどうするんだよ!?このままじゃ……!」

 

……いや、待てよ。アレを使えばもしかしたら。

 

「スコール!今すぐ《ディバイドモード》を使わせろ!」

『正気ですか?確かに使えばあれは防げますが、今使うのは得策ではありません。現時点での《ディバイドモード》の使用可能時間は十分くらいですから』

「なら、その十分以内で解析しやがれ!優秀なら出来んだろ!?」

『安い挑発ですね。ですが、敢えてその挑発に乗りましょう』

 

その瞬間、自分の頭の中に《ディバイドモード》に関する情報が次々と流れ込んでくる。

起動方法は分かった。後はぶっつけ本番だ!

 

「ディバイドモード―――リアクト・オン!」

『コード承認。プロトディバイドシステム、起動します』

 

 

 

――――――

 

 

 

「―――スターライトブレイカー」

 

【闇の書】が完成し、主の哀しみに応えるように顕現した融合騎は【闇の書】に蒐集された魔法―――《スターライトブレイカー》を放つ。

放たれた桃色の集束砲撃は、騎士達と主の幸せな時間が()()()()()()()となった彼女達に向かって放たれ―――

 

『バリオンカノン』

 

ようとした瞬間、遠くから放たれた蒼色の光線が桃色の閃光を穿ち、そのまま桜の花弁のように桃色の閃光を霧散させていった。

 

「―――!!」

 

その現象―――魔力結合が分断された事に、融合騎はその蒼色の光線が放たれた方向へと顔を向ける。

其処にいたのは―――

 

『さすが過去最高で適合した契約者なだけあります。この分なら想定の時間より二、三分くらいは持ちますね』

「自分としては常に内側から沸騰しているようでキツいけどな」

『泣き言ですか?アレだけ大口叩いておきながら、情けない契約者ですね』

「うっさい。アイツを助けられるなら、一時間でも耐えてやるさ」

 

蒼色の服装に腕や脚、腰と肩に金色の剣十字の装飾が施された銀色の装甲を纏い、右手に《魔法殺しの剣》を持った、白い髪をした緑と金のオッドアイの少年であった。

 

 

 




「白い髪にオッドアイって……」
『俗に言う“厨二病”というやつですね。大人になって思い出すと苦悶する病気ですね。ま、オッドアイ程度、昔はよく見かけましたが』
「それ、ベルカ基準だろ。この地球には早々いないからな」

将来、ミッドで本物のオッドアイに遭遇するのだが、彼はまだ知らない。
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