「リーゼ達に指示していたのはグレアム提督、貴方ですね?」
時空管理局の一室。その一室にいるクロノの言葉に、二匹の灰色の猫を隣に寝かせているグレアム提督は無言で頷く。
「やはりそうでしたか。その目的は……【闇の書】の永久封印ですね?」
「その通りだ。その為に独自に【闇の書】を探し続け、見つけ出した。その主となった彼女の境遇を知った時は心が痛んだが、同時に運命だとも思った。孤独であれば、それだけで悲しむ人は少なくなる……」
「……【闇の書】の主、八神はやての両親の友人と偽り、生活の援助をしていたのも提督ですね?」
その質問にもグレアム提督は無言で頷く。
永遠の眠りつく彼女に少しでも幸せな時間を過ごしてほしかったという、偽善的な行為であると自覚しつつ。
「このデバイスを使って彼女ごと、凍結魔法で【闇の書】を封印するつもりでしたね?」
クロノはそう言って、中心に水色のひし形のクリスタルのあるカードを机に置く。
このカードは二匹の灰色の猫―――リーゼ姉妹のすぐ傍に落ちていた待機状態のデバイスだ。
「ああ。そうすれば【闇の書】の転生機能は働かず、【闇の書】を永久に封印することができる」
グレアム提督―――厳密にはリーゼ姉妹―――のプランでは、守護騎士達の魔力を蒐集した後、芝居を打って真の主として覚醒したはやての狙いをなのはとフェイトにする。そして、暴走が始まる数分前に凍結封印を施す予定であった。
しかし、その直前で誤算が生じてしまった。【闇の書】を完成させる為の最後の一手を実行しようとして―――【ナハトヴァール】がリーゼ達、外部からの干渉が原因で起動してしまったのだ。
その結果、守護騎士だけでなくリーゼ達も魔力を蒐集されてしまい、二人は正体を隠す為の仮面の男の姿になっていた変身魔法はおろか、獣人形態すら維持できない程に魔力を奪われ、行動不能となってしまったのだ。
「……クロノ、これから君はどうするつもりだ?」
「……現場に戻ります。少なくとも現時点では、彼女は凍結封印しなければならない程の犯罪者じゃありません」
クロノはそう言って立ち上がり、その場を後にしようとする。
そんなクロノを見て、グレアム提督は意を決したように口を開いた。
「クロノ。凍結封印以外に【闇の書】を止められる可能性がある手段が一つだけある。それも彼女を犠牲にせずにだ」
グレアム提督のその言葉に、クロノは驚いた表情で振り返る。その顔には何故そっちを取らなかったのかという疑問がありありと浮かんでいた。
「この手段は最近になって思いついたものだ。確実性にも欠ける上に、私達では出来ないものだった。加えて、この方法では暴走そのものは止められないからな……」
「……なら教えてください。その彼女を犠牲にしない手段を」
――――――
融合騎が放とうとした《スターライトブレイカー》を魔力分断効果が付与された砲撃―――《バリオンカノン》で霧散させた自分は深く息を吐いた。
初めての《ディバイドモード》だが、上手くいって良かったよ。
『さすが過去最高で適合した契約者なだけあります。この分なら想定の時間より二、三分くらいは持ちますね』
「自分としては常に内側から沸騰しているようでキツいけどな」
まるで沸騰している鍋を強引に蓋で抑え込んでいるような感じだ。少しでも気を抜けば蒸気が溢れて呑まれそうだ。
『泣き言ですか?アレだけ大口叩いておきながら、情けない契約者ですね』
「うっさい。アイツを助けられるなら、一時間でも耐えてやるさ」
スコール挑発に強がりで返していると、銀色の長髪の女性がこちらに向かって飛んで来た。
……手足の赤いベルトが痛々しく見える。左腕のゴツいガントレット?なんかかなりヤバそうだし。
『久しぶりですね【夜天の書】の融合騎。その左腕の武装は始めて見ますが』
「……《魔法殺しの剣》とその契約者……お前達も、主と騎士達の願いを妨げるつもりか?」
スコールの挨拶を無視した融合騎は、敵対するなら容赦しないという鋭い眼差しと雰囲気を発しながら問いかける。
……殺気が凄いが退くわけにはいかない。涙を流しているからな。
「その主を助ける為に此処に立ってんだ。だから―――【ナハトヴァール】をお前から切り離す」
不退転の決意。その決意を聞いた融合騎は。
「……不可能だ。ナハトは止まらないし、止められない。ましてや私から切り離すなど不可能だ。そして、お前達も邪魔するなら―――あの者達と共に永遠の闇を」
融合騎はそう言った瞬間、左腕のガントレットをこちらに向けて構え、黒に近い紫の光線を放った。
その光線は自分の胸に当たるも、そのまま溶けるように消えていった。
「……やはり魔力による攻撃は効かぬか。なら―――」
融合騎の姿がぶれたかと思ったら―――衝撃と共に吹き飛ばされた。
「ぐほっ!?」
『殴り飛ばしましたか。まあ、定石ですね』
スコールの説明を聞き流しながら、体勢を整えて制動をかけて停止する。
すぐに顔を上げると―――無数の岩の塊が融合騎の周りに浮いていた。
「……アレ、何?」
『質量魔法です。殺傷性が高い魔法で、物質の塊ですから分断不可能な魔法です。私のような対導師相手に有効な魔法ですね』
そうかー。あれは分断できないのかー。アハハ。
「……潰れろ」
融合騎がそう呟いて掲げていた右手を振り下ろした瞬間、岩の塊が一斉に襲い掛かってきた。
「ヤッベェエエエエエエエエッ!!」
そう叫びながら全力退避。もの凄いスピードで襲いかかる岩の塊から必死に逃げていく。
『もの凄いスピードではありません。魔力弾の方がまだ早いですよ』
「そんなツッコミいらねぇよ!!それより解析はどうなってんだよ!?」
『まだ時間が掛かりますね。三分前までには解析し終えますので、それまで頑張って耐えてください』
分かったよチクショウ!!
そうスコールに返した直後、無数の桃色と金色の光弾が融合騎に襲い掛かった。
融合騎はその光弾をシールド一つで防いだけど。
「暁くん、大丈夫!?」
「暁、無事!?」
そんな声と共に高町とテスタロッサが近寄って来た。二人が此処に来たってことは、巻き込まれた民間人は無事に避難させられたか?
「暁、その姿は……?」
「スコールの本領を発揮した状態だ。悪いが詳しく―――」
テスタロッサに断りを入れようとするも、石の礫が飛んできたので強制中断。回避して難を逃れる。
「お前達も来たか……丁度いい。そこの契約者共々、永遠の闇に沈めてやろう」
融合騎はそう言うと、赤色に輝くナイフと尖った石の礫を周囲に展開していく。
『二人とも聞いてくれ。スコールが今―――』
『なのはちゃん!フェイトちゃん!暁くん!』
高町とテスタロッサへの会話を遮るように、リミエッタさんから念話が届いた。
『エイミィさん!?急にどうしたの!?』
『さっき、クロノくんから【闇の書】の主を助ける方法が届いたの!』
『本当なの!?エイミィ!』
『うん!だけど、その方法は暁くんが鍵を握ってるの!今から言うことを……』
自分が握ってる?まさか……
『《ディバイドモード》で【ナハトヴァール】を融合騎から切り離すやつか?それならスコールが今、【ナハトヴァール】を解析しているとこだぞ!』
自分がそう言うと、リミエッタさんから驚いたような雰囲気が念話で伝わってくる。
『凄い偶然の一致だよ!ならそのまま解析を続けて!クロノくんも今そっちに向かってるから、なのはちゃんとフェイトちゃんは……!』
『うん!任せてエイミィさん!!絶対に助け出すから!!』
『私も!必ず助ける!!』
自分達のすべきことを改めて確認した途端、魔力で構成されたナイフと物質である礫が自分達に向けて放たれる。
『Hareken form』
「ハーケンセイバー!」
「アクセル……シュートッ!」
テスタロッサはフォームチェンジしたバルディッシュの魔力刃を飛ばし、高町は十個の魔力弾を一斉に飛ばす。
どちらもカートリッジで魔力を上乗せした状態だ。その魔力刃と魔力弾は、迫ってきていた礫を次々と吹き飛ばしていく。
当然、魔力のナイフはこちらに飛んでくるも……
「シールド!」
自分が張った三角形のシールドで全部受け止める。
このシールドにも魔力結合を分断する効果があるから、魔力のナイフは次々と霞のように消えていく。
共に戦うのは始めてだが、上手く連携できたことに内心でホッとする。
「闇の書さん!お願いだから話を聞いて!」
「私達ははやても貴女も救いたい!だから―――」
「無駄だ。【闇の書】の主の宿命は始まった時が終わりの時だ。この呪いは誰にも解くことは……運命を変えることは、できはしない」
高町とテスタロッサが説得を試みるも、融合騎は聞く耳持たずだ。
「だったらなんで泣いてるの!?泣いてるのは、悲しいからじゃないの!?」
「シグナム達も、はやてを助けたいから一か八かの覚悟で貴女を完成させようとしていた!その想いは、貴女も知ってる筈だ!!」
「……確かに騎士達は《魔法殺しの剣》の言葉で疑問を持ち、それでも僅かな可能性を信じて動いた。だが、ナハトはそれさえも呑み込んだ。そして、この涙は主の涙だ。道具である私のではない」
……守護騎士達はスコールの指摘で疑問を抱いてたのか。それでも八神を助ける為に……
『ずいぶんと諦めが早いですね、融合騎』
スコール?何故急に会話に入ってんだ?また余計なことを言わないよな?
「お前には分かるまい……主を殺す運命を変えられず、ただ同じ運命を繰り返す苦しみが」
『確かに分かりませんね。私は新たな契約を交わすまではずっと漂流していたので』
「スコール、頼むから喋るな。お前は無自覚に相手を喧嘩を売りまくるから」
明らかに不穏な展開を感じた自分はスコールを黙らせようとするも、スコールは構わずに続けていく。
『でしたら契約者や彼女達の可能性を試すのも一興とは思いませんか?本当に変えられないかは、それを試してからでも遅くないでしょう?』
スコールが融合騎を説得してる……だと?あの喧嘩を売りまくるスコールが!?
『喧嘩など売ってません。純然たる事実を申しているだけです。それと【ナハトヴァール】の解析が完了しました。あの左腕の武装に私をぶつけて分断すれば切り離せる筈です』
うん、いつも通りだった。
けど……朗報だ!
「《ディバイドモード》の残り時間は!?」
『おそらく四分です。なので契約者、四分以内に切り離しを実行してください』
「分かったよ!二人も聞いてたな!?」
「うん!」
「全力で暁を援護する!だから彼女を!!」
テスタロッサの言葉に自分は力強く頷き、スコールを握る手に力を込める。
同時に地面があちこちで隆起し、溶岩のような紅く輝く柱やタコのような触手が何本も突き破るように現れる。
「……早いな。もう崩壊が始まったか。私も直に意識を無くし、そうなればナハトも暴走する」
……どうやらそっちの時間も残り少ないようだ。
「私の意識が無くなる前に……主と騎士達の望みを叶える」
融合騎はそう宣言し、大量の岩の塊を幾つも空へと展開する。
「……眠れ」
そして、岩の塊は隕石の如く自分達に向かって落下していく。同時に地面から伸びた触手も襲いかかってくる。
自分達はその場を離れるように岩の塊と触手を避けていくが、その代償に融合騎から離れてしまう。
「クソッ!これじゃ近づけねぇ!!」
『本当に面倒くさい融合騎です』
不本意だが、全く持ってその通りだ!!
スコールにそう返しながら《バリオンカノン》で岩の塊と触手を吹き飛ばすも、これじゃ焼け石に水だ。
『残り時間は三分……このままだと水の泡ですね』
三分以内にあの隕石を抜けて、融合騎に近づけられるのか?
『契約者の現在の攻撃手段は《バリオンカノン》に《ブレードショット》……近接向けの《アークカリバー》だけですからね。手札が少なすぎます』
……砲撃と射撃、斬りつけしかできないとかマジで泣ける。
『ねえ、暁くん。要は暁くんが闇の書さんに近づければいいんだよね?』
『あ、ああ。それさえできれば何とかなる筈だ』
高町の念話にそう答えると、高町は意を決したような声で告げた。
『なら、私とレイジングハートで道を作るよ―――レイジングハート!』
『それなら私も―――バルディッシュ!』
二人は互いの愛機を構えると、初めてみる形状へとデバイスを変化させる。
レイジングハートはパルチザンのような杖に、バルディッシュは刀身が魔力で構成された大剣へと。
『ACS,Stand by』
『Jet Zander』
さらに二人はカートリッジを二つ使い、更に魔力を上乗せする。
「撃ち抜け、雷神!!」
テスタロッサはそう叫んで横凪ぎに大剣を振るい、辺りの触手を一気に両断する。
『Strike flame』
レイジングハートから魔力の刃と翼が展開され、ジェット機のような轟音が響き始める。
「私に続いて、暁くん!」
……そういう事か!!
「エクセリオンバスターACS!ドライブ!!」
まるで自身を弾丸のようにして融合騎へと突撃していった高町の後ろを、その意味を理解した自分が全速力で付いていく。
『全然追い付けていませんがね』
「うっさい!」
融合騎は高町に向かって魔力による攻撃を仕掛けるが、高町は物ともせずに岩の塊を突き破りながら突撃していく。
そして、そのまま融合騎へと激突した。
「くっ……!」
融合騎はバリアを展開してレイジングハートの先端に展開された魔力刃を受け止めるも、反動を殺せずにそのまま後ろへと押されていく。
幾ばくか後ろへと下がらされた融合騎は何とか制動を掛け、高町の突撃を受け止めた。
「そのような突撃、通ると……」
「通らなくて、いいよ」
高町はそう言ってACSを解除。スコールを振りかぶった自分と入れ替わるように後ろへと下がる。
「―――しまった!?」
「
『融合騎と【ナハトヴァール】の切り離しを実行します』
融合騎は自分達の狙いに気づくも既に遅し。そのままスコールを左腕の武装に向かって振り下ろした。
融合騎のバリアを容易く切り裂き、スコールと左腕の武装がぶつかり合った瞬間、激しい火花が飛び散っていく。
「ぐぅうううう……ッ!!」
『やはりそう簡単に分断できませんか。残り時間、一分です』
スコールの言葉を無視し、融合騎と【ナハトヴァール】の分断に力を注いでいく。
少しづつスコールの刃が食い込んでいくが、両断するにはまだ足りなかった。
「カートリッジ、ロード!!」
『完全に負担を度外視してますね』
スコールは呆れながらも指示に従い、カートリッジを三発ロードする。
当然身体に重力がのし掛かったような衝撃が襲うが、構わずに出力を上げた分断を続けていく。
「くっ……!」
融合騎は苦悶の表情を浮かべて右の拳を引き絞るが、桃色と金色の輪を嵌められて動きを阻害される。
「お願い、暁!」
「はやてちゃんとその人を救ってあげて!!」
周りから次々と出てくる触手を吹き飛ばしながら声援を送る二人の言葉を受け、更に力を込めていく。
『ようやく半分ですが、残り三十秒です』
スコールの警告と同時に、融合騎の左腕の武装から紫の蛇が何体も顔を覗かせ始める。
残り時間関係なく、これ以上の時間は掛けられねぇ!
「スコール!カートリッジを全部使え!!」
『本気ですか?』
「いいからさっさとやれ!!失敗したらお前のせいにするからな!!」
『……分かりました。これで失敗に終わったら、寝覚めが悪くなりますからね』
その瞬間、カートリッジが最大までロードされる。
当然身体の負担が凄いが……不思議と耐えられる。
「ぉおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
気合いが伴った叫び声を上げ、そのままスコールを力任せに振り抜こうとする。
しかし、分断の出力が上がっても思ったように切断できず、中々振り切れない。
『残り時間、十秒です!』
後少し、後少しで切り離せるんだ!十秒経過しようが―――!
『止まって!!』
聞き覚えのある声が突然脳内に聞こえたかと思ったら、今までの苦戦が嘘のようにすんなりと振り切れた。
そんなスコールを振り抜いた自分の目には……左腕の武装が融合騎からしっかり離れた光景が写っていた。
「――――――」
「よっしゃあッ!!」
その光景に自分は歓喜の声を上げるも、宙を舞った武装は瞬く間に紫の蛇の塊へと変貌。そのまま融合騎に絡みつこうとする。
『再結合する気ですね。契約者、急いでアレを消し飛ばしてください』
本当にしぶといな、クソが!!
そう毒づきながらスコールの切っ先を蛇の塊へと向ける。
「バリオン―――カノン!!」
切っ先から放たれる蒼色の砲撃。その砲撃を受けた蛇の塊はバリアをぶち抜かれて吹き飛ばされるも、消し飛ばすことはできなかった。
『完全に威力不足ですね。ですが……十分です』
「ディバイン……バスター!!」
「サンダー……スマッシャー!!」
スコールの声に応えるように、桃色と金色の砲撃が防御を失った蛇の塊へと襲いかかる。
二つの砲撃を防御もできず、マトモに受けた蛇の塊は呑み込まれるようにそのまま押されていき―――爆発と共に吹き飛んだ。
「今度こそ、やったか……?」
『ええ。融合騎と【ナハトヴァール】の分断は成功しました。これよりディバイドモードを解除、プロトディバイドシステムをダウンします』
その瞬間、沸騰するような感覚が消えると同時に一気に疲労感が押し寄せてくる。その疲労感からそのまま前のめりに倒れそうになるも、融合騎が受け止めてくれた。
そして、そのまま融合騎から放たれた白い光に包まれるのであった。
――――――
「……ここは?」
『おそらく【夜天の書】の精神空間でしょう。見事に巻き込まれましたね』
……つまりこの白い空間は融合騎の中?
「ああ、その通りだ」
自分の後ろから融合騎の声が聞こえるが、何故か自分の本能が後ろを向くなと叫んでいる。
『その判断は正解ですね。融合騎とその主は今、裸ですから』
裸!?何で裸なの!?
……って、主?
「まさか八神も……」
「うん。リインフォースに抱えられとるよー」
マジかー。八神もいるのかー、それも裸で。
てかリインフォースって誰?
『状況からしてそこの融合騎の名前でしょう。彼女から貰いましたか?』
「ああ。お前と同じようにな、スコール」
『……私の場合は契約に必須なプロセスです。貴女のそれとは全く違いますよ』
そこはそうですか、良かったですねって言えよ!
てか……
「……なんでそんなに冷静なんだ?普通はもっと動揺すると思うんだが……」
「……?この程度なら問題ないと思うが?」
「んー……まだ現実とちょっと認識できなくてなー」
つまり、八神はまだ理解が追い付いてないと?後、リインフォースの認識がどこかずれてると?
これ、絶対に振り向いたらダメなパターンだ。
『バカな契約者にしては鋭いですね。振り向いたら一気に羞恥心が来て、即座に制裁されるでしょう』
「本当にお前は自分に喧嘩売るよな!!」
「あはは……それが暁くんに聞こえていた声なん?」
どこか困ったような声を出す八神。苦笑いしている姿が容易に想像できるぞ。
「そうだよ。そこの【夜天の書】と似たような奴だよ。性格はめっちゃ最悪だけどな」
『心外ですね。私は悪辣な改造を受けてませんし、契約者の役に立ったでしょう』
確かに役に立ったけど!その物言いはホント腹立つ!!
『それはそうと融合騎。貴女の暴走は止まりましたか?』
「ああ。お前達のおかげで私の暴走は収まった。だが……」
だが?
「ナハトヴァールの暴走は止まっていない。お前達によって切り離されはしたが、消滅するには至らなかった。直に膨大な力が暴れ出すだろう」
マジか。まだ一仕事しないといけないのか。
てか、二人のあの砲撃受けて消えないとか、どんだけ頑丈なんだよ?
『本当に迷惑なプログラムですね』
「その意見には全面的に同意だな」
本当に不本意だけどな。
「案外仲ええなぁ二人とも」
これが仲が良いって?冗談だろ八神?
「ま、みんなで何とかしよ。それじゃ暁くん、また後でな」
八神がそう言うと、自分の視界は再び真っ白に染まっていくのであった。
「リインフォースもおっぱいが凄いな。今のうちに堪能してええか?」
「我が主!?」