無数に乱舞していた傀儡人形が一体また一体と落とされている。
魔王様の首がはねられた
別の人形に意識を移す
魔王様の身体が両断された。
別の人形に意識を移す
魔王様の心臓が貫かれた
別の人形に意識を移す
魔王様の、魔王様の、魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の魔王様の…
また意識を移す。魔王様は殺された分だけ意識を傀儡人形に移して戦闘を続行している。
対して勇者は全身に無数の傷を負いながらも、剣を手に魔王様へと挑んでいる。
魔王様の振るう魔法が勇者に当たる。
いいやまだだと勇者は吠え、魔王様の顔を両断した。
互いに息切れが酷い。
勇者は体力と傷による消耗が。魔王様は魔力と連続して味わった死の影響が。
おそらく、次で決まる。
勇者は聖剣を天にかざし、壊れた天井から差し込む天の光に照らされ。
魔王様は魔杖を床に突き立て、溢れ出る暗黒を掌握した。
必殺技。互いに全力を絞りつくしての一撃が今、放たれた。
轟音、爆音。閃光と漆黒が激突した。
光が闇をかき消し、闇が光を飲み込む。一進一退の激突だったが、終わりはすぐに見えた。
突然光が何倍にも膨れ上がり、闇を打ち払ってしまった。
しばらくの間、極光で何も見えなかったが少し経つと現実がそこにはあった。
四肢がもげ、壁にもたれかかっている魔王様とそれにボロボロの聖剣を向ける勇者の姿が見えた。
お願いやめてと、叫ぶ私の声は届かない。
勇者は聖剣を構え、振り落とそうとし…
そこで水晶の映像は途切れた。
魔王城の隠し地下室。もしものためと思って魔王様と城のみんなで作った秘密の場所。
勝てない敵が来た時にみんなで逃げるために作った使い捨ての魔法陣もある。
最初は他のみんなも一緒にいた。ここまで来れる奴と戦ったらただじゃすまないって分かってたんだと思う。
でも他のみんなは「少し見てくる」「物を忘れた」「トイレ行きたい」なんて言って外に出て、勇者に挑んだ。きっと、最後まで魔王様のために戦うためについた嘘なんだと思う。
悲しかった、辛かった。みんなが死んでいくのは
私は人で、みんなは魔物で。でも仲良くなれて。
魔王様も優しかった。家もなく、死地を探して魔物がたくさんいるここに来た私を拾ってくれた。名前をくれて、魔法も教えてくれて、お父さんのような存在。
生まれ変わってどん底スタートで死にたいと思ってた私を生きたいと思わせてくれた、大切な私たちの家。
魔法陣が光りだす。最後に出て行ったスケルトンさん達が設定したタイマーだ。一度付けたら止まらない。
目頭が熱くなっていく。視界がぼやけて胸が苦しくなる。でも、これだけは言わないといけない気がして何とか口を開いた。
「行って、きます…!!」
続くかは知りません