家に帰ると、誰かが出迎えてくれる。
それは、とても幸せな事だ。一人暮らしが長くなり、そんなことも忘れていた。
「ただいまー」
「おかえり」
このやり取りだけで幸せになれる。仕事が終わり、家に帰ってきた実感が湧く。この瞬間を楽しみに、仕事を頑張れるってものだ。
「───っていうことを思ったんだよ」
「なるほど、だから惚けていたのか」
と、俺が生徒会室前でボケっとしていた理由を会長、もといシンボリルドルフに掻い摘んで説明した。何故か扉を開けようとした時にそんなことを思ってしまったのだ。
「ところでトレーナー君」
「どうした?」
生徒会室に入ったところでルドルフが振り返りながら聞いてきた。
「何をしに来たんだい?」
その一言で思い出す。ルドルフに1つ伝言を頼まれていたことを。
「あ、そうだそうだ。伝言を頼まれててね」
「おや、誰からだい?」
俺はルドルフのトレーナーなので、三冠ウマ娘のトレーナーとして世間からも知られている。そのため、ルドルフが参加する行事やインタビューのことは大抵俺が管理している。ただでさえトレセン学園会長という職務についているため、スケジュールくらいはこちらで負担してあげなきゃな、という決まりである。
「理事長からだよ」
今回の伝言を頼んできたのは理事長である。自由な人ではあるが、俺たちトレーナーから見てあの人は尊敬できる。トレーナーとして大事な『ウマ娘第一主義』を貫いているからだ。
細かい中身は長くなるので省くが、ウマ娘のことを第一に優先しているその体制を、トレーナーとして働く者が蔑むわけがないのだ。
「内容は、『そろそろ決まったかい?』だってさ。俺は何が何だかサッパリだが」
そう言って肩を竦めてみせる。実際、知らない間に会議をセッティングしていたりするので、事後報告には慣れている。まあ、エアグルーヴの苦労は計り知れないが。
「あー····」
「お、やっぱ知ってたか」
少し考える素振りをするルドルフ。長い付き合いなので素振りを見れば何を考えているのか大体わかるようになっている。やはり、経験というのは大事だ。
「うん、知ってた」
「急にルナモード入ったな」
口調が変わるのは2人きりの時だけ。これも一緒にいる時間が長くなるにつれて慣れてきたが、急に変わるのはホントにびっくりする。
「え、えーとね、とれーなー···」
少しモジモジしながらこちらを見るルナ。ギャップがかわいい。
「あの、ね?ルナと····一緒に暮らして欲しいんだ」
「は?」
こうして、トレーナーの生徒会室前の瞑想は、事実となる。
名トレーナーへの道完走して引いたらルドルフ出たので、記念に頭に浮かんだまま描いてます。
ハロウィンイベントも称号は取りきったのであとは完走目指して頑張るだけ!